著者
池澤 優
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.13-29, 2007-03-31

本稿は,一般に生命倫理(学)と呼ばれている分野に対し,宗教学の側からどのようなアプローチが可能なのか,あるいは宗教学的な(宗教学らしい)生命倫理学というのは可能なのかを論じることを目的にする。現に宗教学の分野から生命倫理に対する言及が数多くなされている中で,改めてこのような設問をすること自体,奇異に感じられるであろう。実際,本稿は著者が生命倫理に対してどのようなスタンスを取るのかという極めて個人的な思索を綴ったものであり,根本的に論文と呼べるものではない。もう一つ断っておかなければならないのは,本稿の関心は"ものの考え方"に集中しているために,特に具体的な問題を扱わないということである。生命倫理上の特定の課題について何らかの主張を行うつもりはないし,明確な結論を出すつもりもない。これも奇異に感じられるかもしれないが,明確な主張や結論を出さない生命倫理へのかかわりが可能か,というのが本稿で追求したい試みである。分量上の問題から上下二篇に分け,上篇では各国における生命倫理の言説を類型化し,それを通して文化比較を行う可能性について論じる。下篇では,生命倫理が文化を反映するという現象がなぜ起き,それが何を意味するのかを論じたい。

2 0 0 0 OA 神の氏子

著者
山下石太郎 著
出版者
弥高舎
巻号頁・発行日
1911
著者
中津留 義樹 平松 良介 星野 准一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.38, pp.57-62, 2011-05-06

本稿では,エンタテインメントで用いられるコントローラを軟体物質で構成された柔軟性を持つものにすることで,より多くの感覚を使え,より多くのモーションを許容する体感型コントローラを実現できると考える.従来研究として曲げセンサを使用した軟体コントローラにより,その有用性が確認されている.しかし,従来の曲げセンサによる方式では耐久性に問題があった.そこで,本稿では曲げセンサに替わる大気圧センサを使用したボール型軟体コントローラを提案する.展示を通して提案した新方式の耐久性と操作性の検証を行う.
著者
高橋 準
出版者
一橋大学
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.99-119, 1991-07-31

論文タイプ||論説
著者
奥村 大介
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.1-30, 2011-03

投稿論文Dans cet article, nous voudrions tenter de faire un dessin de l'histoire de la réception de l´épistémologie française au Japon en nous appuyant en même temps sur la spécificité de la culture japonaise. Cet essai présente le résultat d'une investigation pour élucider comment Japonais ont accepté les pensées des épistemologues français et francophones, comme Gaston Bachelard, Michel Foucault, Georges Canguilhem, François Dagognet, Michel Serres, Jean Starobinski et Pierre-Maxime Schuhl. Egalement nous voudrions esquisser les portraits des philosophes et des écrivains japonais, comme Omodaka Hisayuki, Shibusawa Tatsuhiko, Sakamoto Kenzo, Kanamori Osamu etc., qui étaient tous plus ou moins influencés par les épistémologues français. Entre temps, nous avançons notre hypothèse qui affrme que nous devrions remarquer "le caractère encyclopédique" des épistémologues français, et la place prépondérante qu'ils mettent à "l'imaginaire" en général quand ils construisent leur monde dans la culture scientifique et morale. Ce faisant, nous courons un peu le risque de dire que nous finissons par préparer en un sens une sorte de marche funèbre de l´épisté ologie française ellemême, puisque nous préfé rons finalement modifier lentement l´épistémologie et l'approcher de ce que nous voudrions appeler la culturologie géenérale sur les sciences. Pygmaeos gigantum humeris impositos, plus quam ipsos gigantes videre.巨人の肩に乗れる矮人は 巨人よりもなお多くを見る (Diego Estella)
著者
熊谷 敦史 メイルマノフ セリック 大津留 晶 高村 昇 柴田 義貞 山下 俊一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

現地で得られたセミパラチンスク周辺地域での検診結果情報をもとに、検診結果と精密検査・治療の現状把握を行った。平成22年には、甲状腺結節が認められた場合に治療にあたるセメイ州立がんセンターから病理医を招へいし、同時に同センターで切除された甲状腺腫瘍標本を用いて、病理組織解析、53BP1蛋白の発現解析を行った。平成23年には、セメイ州立がんセンターから病理医、診断センターからデータベース担当者を招へいし、標本追加して病理解析による放射線発がん影響の解析を進め、甲状腺精密検査結果データと、疫学センターからのカザフスタン全土の癌疫学データを合わせ旧セミパラチンスク核実験場周辺地域の発がん傾向分析をまとめる予定であった。しかしながら、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に引き続く東京電力福島第1原子力発電所事故のため、研究代表者ならびにメイルマノフ・セリックをのぞく研究分担者は全て被ばく医療専門家として福島県に繰り返し派遣され支援にあたってきたため、研究期間内に予定された研究完遂が困難となった。
著者
片山 英樹 青江 啓介 関 千尋 阿部 宏美 三村 雄輔 上岡 博
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.202-208, 2012 (Released:2012-08-13)
参考文献数
12

緩和ケア病棟へ入院中の進行がん患者48名の血清マグネシウム値を測定し, マグネシウム製剤の内服の有無や全身状態とその臨床的意義を検討した. 血清マグネシウムの平均値は2.09 mg/dlであり, マグネシウム製剤投与例の平均値は2.17 mg/dlと, マグネシウム製剤非投与例の平均値1.80 mg/dlに比べて有意に高値であった(p=0.006). 基準値(1.8~2.8 mg/dl)を外れた高マグネシウム血症を2例, 低マグネシウム血症を8例に認めたが, 臨床的にマグネシウム異常に関連した症状は認められなかった. また, マグネシウム製剤の投与期間, 投与量と血清マグネシウム値との関連も認められなかった. 今回の検討では血清マグネシウム値の著明な異常は認められず, 臨床的にもマグネシウム異常に関連した症状はみられなかった. しかし, 緩和ケア病棟の患者はマグネシウム異常をきたしやすい状態であり, かつマグネシウム異常に伴う症状はがんの進行時にみられる症状と類似している. そのため, 特に終末期でそのような症状を呈した場合, 血清マグネシウム値の異常についても留意する必要があると考えられた.
著者
柏崎 礼生 高井 昌彰
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.404-413, 2013-01-15

ハイビジョン機器などの普及により高精細映像のストリーミングが可能となった. 大きなトラフィック要求を発生させるコンテンツを複数拠点で相互配送する場 合,クロストラフィックの発生によりパケット損失が起こり,映像品質の劣化 が問題となる.本論文では小中規模のマルチホーム環境に適用可能な,離散イ ベント型シミュレータを用いた適応的トラフィックエンジニアリング手法を提 案する.提案手法はネットワークの送信元と送付先の組合せからなる経路 の組合せに対して,ネットワーク情報の実測値をもとに漸進的な探索処理 を行い,実時間で準最適な経路を適用する手法である.クラウドコンピューティ ング環境の普及により強大な計算機資源を利用することが可能となったが, 本提案手法はこれを利用して高速な経路の組合せ評価を実現する.本提案 手法の実時間対応性とトラフィック負荷分散をシミュレータを用いて評価し, その有効性を示す.
著者
梅宮 弘道 大高 敏男
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.56, no.532, pp.3860-3868, 1990-12-25
被引用文献数
3

A theoretical analysis of a snow-melt road has been performed using a method of imaging line sources. The results showed that: (1) The snow-melt road proposed in this report is assumed to be a uniform concrete road which has a deep heat storage zone 2.9m under the road. (2) The heat loss through the road shoulder can be eliminated by a thermal insulator buried in the shoulder 50cm deep. (3) The power of the proposed type of heat storage is far superior to the standard one. Over 5 days, the surface heat flux of this road is larger than the standard one. (4) The optimal relation between the pitch, the depth of the buried heat transfer pipes and the temperature of water used are shown in the figures. A thermal design process is proposed.
著者
宇田川 耕一
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.248-253, 2008-03-14

プロジェクト全体の意思決定者として,オーケストラの指揮者が果たしている役割について考察する.ここでの「プロジェクトマネジャー」は,プロジェクトの計画・実行について責任を持つ職能という意味で用いている.とりわけ、オーケストラのもっ責任型組織としての特性に注目したい.プロジェクト内の問題の認識と課題解決の仕組みを解明する,有効なアプローチとなりうるのではないだろうか.ここではオーケストラをプロジェクトチームの一形態として考察を進める,プロジェクト人的資源マネジメントの例として,オーケストラを取り上げることには,以下の3つのキーワードからみて意義があると考えるからである.1.プロジェクト内の意思決定の仕組み,2.プロジェクトにおける階層組織の構成,3.責任の明確化と分担.