著者
相川 聖 高井 秀明 大久保 瞳 山崎 博和
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.3041-3048, 2020

Self-regulation of learning theory is a theory related to high-quality practice for athletes. Self-regulation of learning theory is a process in which the forethought phase, the performance phase, and the self-reflection phase circulate (Zimmerman, 2014). In addition, since athletes with a high level of performance accomplish self-regulation (eg Anshel & Poter, 1996; Toering et al., 2009; Ikudome et al., 2016), self-regulation of learning is considered to contribute to the improvement of athlete performance and the quality of practice. The purpose of this study was to conduct a psychological seminar to promote self-regulation of learning for university student athletes. The subjects were 14 members belonging to the University A trampoline club. In this study, we conducted five psychological seminars based on the self-regulation of learning theory, and asked for answers to the self-regulation of learning in sports scale before and after intervention. As a result, “evaluation and reflection” improved before and after the intervention. In addition, we examined the contents entered by the subjects at each seminar, and obtained suggestions for future support. The support provided in this study increased the opportunities to reflect on the practice, indicating that the athlete was able to learn to reflect and evaluate they practice appropriately. Even in the case of seminar-type support, it is consider that support can be provided according to the athlete by grasping the individual characteristics of the athlete and the progress of the work.
著者
小田 格
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.223-254, 2018-09-30

本稿は,中華人民共和国上海市の上海語テレビ放送をめぐる政策の実態を明らかにし,その今後を展望するものである。そして,こうした目的の下,同市における言語政策の枠組みや言語の使用状況,上海語放送の歴史及び現状などを確認したうえで,これらの情報に検討を加え,もって次のような結論を導き出した。すなわち,同市では1980年代から上海語テレビ放送が実施されており,1990年代中盤には上海語のドラマが一世を風靡したが,しかしそれゆえ当局が規制に乗り出し,その後は不安定な状況が続いてきた。一方,ポスト標準中国語普及時代に入った同市にあっては,言語政策に関する新たなコンセプトが掲げられ,これに関連する各種施策も認められるものの,諸般の事情に鑑みるならば,上海語テレビ放送の拡大は想定しがたいところである。ただし,同国の言語政策の今後を占う意味においても,時代の先端を行く同市の動向には,引き続き注視すべきである。
著者
中山 勉
雑誌
日本獣医生命科学大学研究報告 (ISSN:18827314)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.1-7, 2013-12

茶カテキン類の,(-)-epicatechin (EC),(-)-epigallocatechin (EGC),(-)-epicatechin gallate(ECg),(-)-epigallocatechin gallate (EGCg)について,リン脂質二重層やタンパク質との相互作用を,HPLCやQCMなどの方法を用いて解析した。その結果,リン脂質とタンパク質の両者に対して,ECgとEGCgなどのガレート型カテキン類がECやEGCなどの非ガレート型カテキン類よりも高い親和性を示すことが明らかになった。これにはガロイル基の存在による疎水結合が大きな役割を果たしていると考えられる。ECgやEGCgなどのガレート型カテキン類とリン脂質との相互作用に関して,固体および溶液NMR法によりさらに詳しい解析を行った。その結果,これらのカテキン類はリン脂質膜を構成するホスファチジルコリンのγ-メチル基の近傍に存在し,疎水性相互作用を行っている可能性が示唆された。以上の相互作用はカテキン類の味質にも深く関連していることが明らかになった。
著者
藤原 一毅 常川 真央 合田 憲人 山地 一禎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.11, pp.1-8, 2020-08-27

オープンサイエンスの普及にともない,公開された研究成果を第三者が容易に再現・再利用できるシステムが各所で開発されている.一口に「研究成果の再現・再利用」と言っても,対象ユーザー(汎用的なもの/特定の研究分野に特化したもの)や再現すべき事物(データ来歴を保証する/計算精度を保証する/etc)の点で各システムは性格を異にし,それぞれに特化したデータモデルを持っている.国立情報学研究所(NII)では,研究データ管理サービス NII Research Data Cloud(RDC)の一環として,研究成果の再現・再利用をサポートするデータ解析サービスを構想している.本サービスは,研究データ管理計画やデータリポジトリなどの関連システムと統合された一体的なユーザー体験の提供を目指している.その中で,関連システムとの連携にどのようなデータモデルを用いるべきかは,データ解析サービスが何を/誰を対象とするのかとも密接に関わる問題であり,サービスの将来像を踏まえて俯瞰的に検討するべき課題である.本稿では,研究再現性をサポートする既存システムの設計をサーベイするとともに,NII RDC データ解析サービスが持つべきデータモデルに関する検討内容を報告する.
著者
常川 真央 朝岡 誠 大波 純一 河合 将志 林 正治 南山 泰之 藤原 一毅 込山 悠介
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.10, pp.1-11, 2020-08-27

学術機関における IT センターや図書館が提供するリサーチデータマネージメント (RDM) サービスは,の研究活動を支援するサービスであり,研究データのライフサイクルを形成できるように設計されていることが重要である.特に,RDMサービスは,研究者の研究活動に密着したサービスであり,従来の論文検索サービスのように,研究者に直接提供されるサービスだけでなく,研究者に間接的に提供される研究支援サービスとの高度な連携も必要になる.そのためには,RDM サービスに関連するシステムの開発担当者が共通のユーザーストーリーを有し,円滑に連携できるように機能を設計する必要がある.そこで,本研究では RDM サービスの事例研究として,ユーザーの研究活動の適合性という観点から筆者らが開発する研究データ基盤である NII Research Data Cloud (NII RDC) のシステム機能要件を検討した.検討にあたってはユーザー中心設計の理念に則り,(1) NII RDC が想定するユーザーストーリーの集約 (2) ペルソナマーケティング (3) ユーザーストーリーマッピングを実行した.その結果,RDM サービスのシステム機能要件として,研究計画に沿った研究データ環境の構成や,研究終了後の研究データ公開プロセスに関する機能について,単純にシステム間の接続だけでなく,キュレーションの業務プロセスの共有など,高度な支援が必要であることが分かった.今後の展望としては,NII RDC の基盤間連携にあたり相互運用性を高めるための API や共通データモデルの策定などを検討したい.
著者
田辺 浩介 松田 朝彦
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.9, pp.1-6, 2020-08-27

物質・材料研究機構では,マテリアルズ・インフォマティクスの実現に向けた研究データ公開基盤として,材料データリポジトリ "Materials Data Repository" を開発した.Materials Data Repository は,既存の機関リポジトリの扱う文献情報に加えて,材料科学特有の研究データの保存と公開を行うためのアプリケーションである.本発表では,Materials Data Repository の備える機能,開発過程におけるメタデータ項目やデータ公開のワークフローの検討内容,ならびに本格的なデータ駆動型材料研究に向けた Materials Data Repository の将来像について述べる.
著者
横山 重俊 浜元 信州 長久 勝 藤原 一毅 政谷 好伸 竹房 あつ子 合田 憲人
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.8, pp.1-7, 2020-08-27

データ駆動型科学研究分野で研究データの再利用を進めるためには,研究データの公開だけではなく,論文成果につながる実験結果にたどり着くまでの実験プロセス(実験手順や実験環境構築手順)を公開し共有する必要がある.これらが揃うことで,第三者である別の研究者がいつでも研究データを再利用し,研究の再現検証が可能となる.さらに,そのオリジナル研究に加えて自らの研究を派生させることがスムーズにできるようになる.本稿では,その実験プロセスをコミュニティで共有する方式に関する検討内容と今回提案する方式について述べ,その実装例および研究再現例についても報告する.
著者
松本 直人 大西 亮吉 阿部 博
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.6, pp.1-6, 2020-08-27

近年,携帯電話網を通じたデバイスの常時接続が増加している.しかし携帯電話網では,デバイス通信に用いる IP アドレスを地域毎に細かく管理していない.このため全国に展開する大量のデバイスがサーバ接続した時,一般的なサーバ負荷分散処理を経由すると,多数のサーバに地域毎のデータが分散してしまう問題がある.本稿ではデバイス通信時のサーバリクエストにエリア属性を付与することにより,地域に閉じたデータ処理へ集約する仕組みについて考察する.
著者
藤原 晴 敷田 幹文
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.5, pp.1-6, 2020-08-27

昨今の社会情勢によりビデオ会議ツールの需要が増加し会社の会議や学校の授業などで利用されている.そんななか急速なビデオ会議の導入に伴い,ネットワーク環境の整っていない利用者がパケットロス等によって円滑なビデオ会議ツールの利用が困難になる.また,ビデオ会議ツールには数多くの種類が存在し帯域要件も示されているが提供元の違いにより指標が統一されていないという課題がある.そこで,本研究ではZoom,Webex,Google Meet のトラフィック量を機能とデータの送受信条件ごとに分析し比較を行うことで各ツールのトラフィック制御傾向の特徴を示した.加えて,帯域制限を行った際の音声データを聞き取り可能であるか調査を行うことで,大規模なツール利用においての各ツールの有用性とデータ処理の違いを示した.
著者
宮平 賢 河野 真治
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.4, pp.1-6, 2020-08-27

情報技術の普及に伴い情報系の学生が課題や演習を行う学習環境が必要である.この学習環境では,課題や演習によっては並列処理により,CPU より GPU が必要となる場合がある.このような学習環境を複数の学生に提供する方法として,VM やコンテナがある.しかし,琉球大学工学部で運用している VM 貸出サービスでは,GPU を共有に対応していない.そこで,コンテナを利用することができる Docker と Singularity を用いて,オンプレミス環境でコンテナ貸出サービスを提供する.また,PC 上からコンテナへの操作を可能にするために Kubernetes でのコンテナ作成にも対応する.コンテナ貸出サービスは LDAP で管理された学生のアカウントを使用することで,適切にコンテナの管理を行う.本稿ではサービスを実装する上で必要な技術概要を延べ,サービスの設計・実装を行う.
著者
寺阪 昭信 テラサカ アキノブ
雑誌
流通經濟大學論集
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.21-38, 2004-03

前回の論文(スポーツと都市2 38巻号3号)では,主として1998年フランス大会のキャンプ地のあり方と開催都市における競技場の立地を見たが,それに引き続いて今回はドイツ(1974,2006年),イタリア,スペインの諸都市について考察し,2004年のヨーロッパ選手権,およびここ10年間のヨーロッパチャンピオンズリーグが行われた都市を検討することによって,ヨーロッパにおけるサッカー都市とはどこかについて考察することにした。前回の論文と対応させるために,やや小さいが都市についての地図は全て,10万分の1に統一してある。
著者
佐藤 直行
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.32, 2017-11-01
著者
薛 化元
雑誌
中京法学 = Chukyo Hogaku
巻号頁・発行日
vol.51, no.2.3, pp.155-176, 2017-03-10
著者
山折 哲雄
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.93-103, 1996-12-27

仏教の説話文学に登場する「捨身飼虎」の物語は、インドでつくられ、中国の千仏洞の壁画に描かれ、やがて日本の法隆寺にある厨子の側壁に再現されることになった。しかしこの絵はその残酷なシーンのためか、わが国では、その後しだいに敬遠され忌避されるようになった。ところが中世になって、三匹の野生の虎に見守られて瞑想する僧の絵がつくられることになる。「華厳絵巻」のなかに出てくる七世紀の韓国僧・元暁にかんする一シーンがそれだ。この絵巻をつくる上で大きな役割をはたしたのが明恵(一一七三~一二三二)であるが、そのかれにも、小動物や小鳥たちに囲まれて瞑想にふけっている肖像画がある。明恵の伝記によると、かれは若いころ「捨身飼虎」図に惹かれ、そのように生きようと願うが、やがて成長し、動物たちとの共存の生活を夢見るようになったのである。「捨身飼虎」の犠牲のテーマは、日本ではどうも定着しなかったようだ。
著者
相内 眞子 幅崎 麻紀子
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 = Human welfare studies (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-15, 2011

小論は、ネパールを事例に、内戦を、既存のジェンダー構造を転換し、女性の政治参画を生み出す転換点として捉え、これまで政治と遠い世界に生きてきた女性たちを政治運動に駆り立てた要因について、その理由を女性議員のライフヒストリーをもとに探るものである。ネパールは、内戦を経て王政を廃止し、民主制の共和国として再建された。クォータ制を採用した選挙制度の下、国会における女性議員比率はアジア諸国で最も高い。女性の政治的地位の大きな変化はどのようにもたらされたものなのか、あるいは「ジェンダー平等」は遂行されたといえるのか。本研究は、ネパールの政治史を概観し、次に内戦後の政憲議会議員として選出された女性に密着し、政治活動を展開するに至った経緯、政治活動を可能にした資源、政治活動による生活の変化、そして、女性たちにとっての内戦と政治活動の結びつき等について聞き取り調査を実施し、その結果を論述したものである。女性たちは、内戦やローカル社会での様々な活動を経て、現在、国会議員に上り詰めたこと、政治活動を行う現在においてもなお、ジェンダーに基づく差別の存在を感じていること、そして、それを改善するために、政党の壁を越えた女性政治家のグループを構築していることがわかった。本研究は、平成22年度科学研究費補助金・基盤研究(C)による共同研究であり、2010年8月に開催されたAPSA/JAWS研究会(アメリカ・ワシントン市)にて報告された論文を改訂したものである。