著者
落合 博之 登尾 浩助 太田 和宏 北浦 健生 北 宜裕 加藤 高寛
出版者
土壌物理学会
雑誌
土壌の物理性 (ISSN:03876012)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.13-17, 2011 (Released:2021-08-30)
参考文献数
8

土壌への熱水の浸透が均一でない圃場における研究では,温度分布の状況把握が行われていない.本研究ではサーモグラフィーを用いて熱水土壌消毒後のハウス内での熱水散布時における地表面温度分布について調べた.同時にセンサー埋設での埋め戻しによる土壌状態の変化によって起こる土壌中の水分移動の影響を温度変化を指標として評価した.熱水散布後,ハウス内全域で地表面温度分布がほぼ一様であることがわかり,これまで行ってきた 1 点での温度測定がハウス内全体の代表値となりうることがわかった.また,センサー埋設のために掘った穴の埋め戻し部表面では,熱水の浸透の影響と耕盤層破壊の影響で他の場所より温度が高くなった.このことより,埋め戻し部から選択的に熱水が浸透して深層土壌で不均一になることがわかり,不適切な埋め戻しが土壌水分量や地温の測定値に大きく影響する可能性があることがわかった.
著者
藤浪 理恵子
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.47-52, 2019 (Released:2020-03-31)
参考文献数
41

維管束植物の根頂端分裂組織(RAM)の構造は,種子植物でみられる開放型や閉鎖型,シダ植物大葉類の1つの頂端細胞をもつものなど,多様性に富む.根の多様性がどのように獲得されてきたのか,根の進化過程を解明するために,現生の維管束植物で原始的なグループと考えられているシダ植物小葉類のRAM構造を明らかにすることとした.小葉類はイワヒバ科,ミズニラ科,ヒカゲノカズラ科から構成され,それらのRAMは4つの構造に分けられることが示唆された.ヒカゲノカズラ科は2タイプのRAM構造をもち,1つは始原細胞群が中央で共通し,被子植物の開放型に似た構造をもつタイプ(type I),2つ目は原表皮の始原細胞群が1細胞層で,その他の組織の始原細胞群と区別されるタイプ(type II)であった.ミズニラ科はtype IIと似たRAM構造であるが,原表皮と根冠の始原細胞群が共通する点でtype IIと区別された(type III).そして,イワヒバ科のRAMは1つの頂端細胞をもつことから頂端細胞型とした.細胞分裂動態解析から,type Iのヒカゲノカズラは種子植物の静止中心(quiescent center, QC)の分裂動態によく似たQC様領域をもつことが明らかとなった.一方,type II, type III, 頂端細胞型のRAMにはQC様領域はなく,真葉類とは異なる特徴を示した.小葉類のRAM構造は多様に進化しており,真葉類との比較が可能であると推測される.本稿では,維管束植物の根の形態進化について,現生の小葉類のRAM構造と分裂動態から議論する.
著者
伊藤 晶 糸山 享 小松 貢一
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.56, pp.155-156, 2005-12-05 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5
被引用文献数
2

2004年6月に熱水土壌消毒を実施し, ホウレンソウケナガコナダニに対する防除効果を調査した. 消毒直後の土壌中のコナダニ密度は0頭/100cm3まで減少していたが, 消毒後1作目にはホウレンソウへの加害が認められ, コナダニ密度も再び増加した. また, 消毒後の作付を重ねる度に加害株率は増加し, 3作目には19.0%となった. 熱水土壌消毒を防除体系に導入するためには, 消毒後の侵入や増殖の防止対策を確立していく必要がある.
著者
江上 周作 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.SWO-060, pp.04, 2023-08-24 (Released:2023-08-28)

現在の大規模言語モデル(LLM)には学習データに存在しない知識について誤った情報を作り出して提示する問題があり,幻覚(Hallucination)として知られている.一方,Web上にはすでに様々なファクトデータが知識グラフとして存在しており,この知識グラフをLLMと接続することでHallucinationをある程度抑制できると考えられる.本研究では,テキストから知識グラフに対するクエリ言語SPARQLを生成する手法についてのこれまでの背景を整理する.また,LLMを用いてテキストからSPARQLクエリを生成する予備的実験を行い,今後の可能性を議論する。
著者
古崎 晃司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.SWO-060, pp.05, 2023-08-24 (Released:2023-08-28)

Wikidata is a large-scale knowledge base which has more than one hundred million items. It is structuralized based on semantic web technologies such as RDF so that they are used as a Knowledge Graph. Wikidata is also linked to Wikipedia in various languages and provides language information for many languages, so it is expected to be used as a large-scale language resource. This paper discusses how Wikidata can be used as a large-scale language resource and introduces the linguistic information extracted from Wikidata.
著者
遠藤 佑一 大久保 賢一 五味 洋一 野口 美幸 高橋 尚美 竹井 清香 高橋 恵美 野呂 文行
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-30, 2008-03-30 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
10

研究の目的 本研究では、小学校の清掃場面において相互依存型集団随伴性マネージメントによる介入を行い、学級全体の清掃行動に及ぼす影響について検討することを目的とした。研究計画 ABABデザイン、ABデザイン、そして多層ベースラインデザインを組み合わせて用いた。場面 公立小学校の通常の学級において本研究を実施した。参加者 小学5年生の2つの学級の児童が本研究に参加した。2つの学級の児童数はそれぞれ23名、24名であった。介入 それぞれの清掃場所において、担当している児童を2つのグループに分け、残されていたゴミの数や大きさについて相互に評価を行った。評価得点の高いグループから好きな場所を次の清掃場所として選択することができ、順位に応じてシールが与えられた。さらに、学級全体の獲得得点が基準を超えた場合は、学級全体に対してバックアップ強化子が与えられた。行動の指標 清掃行動に従事していた人数の率、清掃場所の「きれい度」、そしてグループのメンバーが集合するまでの所要時間を測定した。結果 介入条件において清掃行動の従事率が増加し、「きれい度」が高まり、集合するまでの時間が短縮された。また、児童と教師の両方からプログラムに対する肯定的な評価が得られた。結論 通常学級における行動マネージメントに、相互依存型集団随伴性の適用が有効であった。また、手続きの社会的妥当性も示された。
著者
窪田 格太郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
機械学會論文集 (ISSN:21851123)
巻号頁・発行日
vol.2, no.7, pp.291-303, 1936-05-01 (Released:2008-03-28)
被引用文献数
1 1

羽根車の刻み円外側の輪廓線が円弧の場合と円漸開線の場合とに於て畫法で輪廓線を決定する代りに算式を用ふる方法を研究して、羽根車の回轉角の函数で表す輪廓線の方程式を求めた。羽根車の各部の適當な比例を定めて、輪廓線の向径及び直交軸座標の刻み円半径に対する比を算出して数式による設計を容易にした。
著者
Jahye KIM Hisakazu OHTANI Masayuki TSUJIMOTO Yasufumi SAWADA
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
Drug Metabolism and Pharmacokinetics (ISSN:13474367)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.167-174, 2009 (Released:2009-05-10)
参考文献数
41
被引用文献数
12

Concomitant administration of certain fluoroquinolone antimicrobials and nonsteroidal antiinflammatory agents (NSAIDs) induces serious convulsion in humans. There are differences in convulsive activity among fluoroquinolones and in the potentiation of fluoroquinolone-induced convulsion among NSAIDs, but a comprehensive, quantitative comparison has not been carried out. This study evaluates the inhibitory effects of twelve fluoroquinolones (ciprofloxacin, enoxacin, fleroxacin, gatifloxacin, levofloxacin, lomefloxacin, norfloxacin, ofloxacin, pazufloxacin, prulifloxacin, sparfloxacin, and tosufloxacin) alone or in the presence of an NSAID (4-biphenylacetic acid, diclofenac sodium, loxoprofen, lornoxicam or zaltoprofen) on the GABAA receptor binding of [3H]muscimol in an in vitro study using mice synaptic plasma membrane. The rank order of inhibitory effects of the fluoroquinolones was prulifloxacin ≈ norfloxacin > ciprofloxacin ≥ enoxacin > gatifloxacin ≥ ofloxacin ≈ tosufloxacin ≈ lomefloxacin > levofloxacin ≥ sparfloxacin ≥ pazufloxacin ≈ fleroxacin. 4-Biphenylacetic acid most potently enhanced the inhibitory effects of the fluoroquinolones, while zaltoprofen, loxoprofen, lornoxicam and diclofenac had essentially no effect. The clinical risk of convulsion for each combination was estimated using a pharmacodynamic model based on receptor occupancy using the in vitro data set obtained and pharmacokinetic parameters in humans collected from the literature. The combinations of 4-biphenylacetic acid with prulifloxacin and enoxacin were concluded to be the most hazardous.
著者
郭 舜
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.173-196, 2018-01-30