著者
田口 菜月 升川 研人 青山 真帆 森田 達也 木澤 義之 恒藤 暁 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.193-200, 2023 (Released:2023-08-30)
参考文献数
15

【目的】緩和ケア病棟の質改善活動の実態と遺族調査のアウトカムとの関連を明らかにする.【方法】J-HOPE4に参加した187施設にアンケート調査を実施し,質改善活動実施状況と,施設を利用した遺族の全般的満足度,ケアの構造・プロセスの評価(CES),望ましい死の達成度(GDI),複雑性悲嘆(BGQ),抑うつ(PHQ-9)との関連を検討した.【結果】日本ホスピス緩和ケア協会の自施設評価共有プログラムへの参加,多職種カンファレンスの開催頻度・カンファレンス参加職種数が多い施設で全般的満足度やGDIが有意に高かった.遺族ケアを実施している施設で全般的満足度,CESが有意に高かった.遺族への電話を実施している施設でBGQが有意に低く,葬儀や通夜への参列を実施している施設でPHQ-9が有意に低かった.【結論】質改善活動を積極的に実施している施設では,緩和ケアの質が高く遺族の悲嘆や抑うつを軽減する可能性がある.
著者
龜山 千里 岡山 久代
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.410-416, 2020 (Released:2020-12-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究は,NICU入院児における児童虐待のリスク要因を明らかにすることを目的とした.対象は2013年1月から2016年12月の4年間に当院を退院した児748名とした.退院後の虐待の有無と「児童虐待アセスメント・ツール」のパラメータを後方視的に検討した.児のリスク要因では男児(OR=9.28,95% CI:1.18-72.84),親のリスク要因では多産または間隔の詰まった妊娠(OR=37.89,CI:5.19〜276.81),適切な支援を求めることができない(OR=20.95,CI:1.08-407.66)であった.以上より,この3要因が虐待のリスク要因として検討できる可能性が示唆された.
著者
新井 啓 川上 芳明 大澤 哲雄 波田野 彰彦 糸井 俊之 水澤 隆樹 筒井 寿基 谷川 俊貴 高橋 公太
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.525-528, 2003-05-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
19

症例は, 28歳男性および30歳男性の兄弟. 弟は左精巣の腫脹を主訴に受診し精巣腫瘍を疑われ手術となった. 術中, 子宮・卵管の遺残を認めたため, 交叉性精巣転移を伴うミュラー管遺残症候群に精巣腫瘍を合併したものと診断された. 兄は不妊症を主訴に受診し精巣の生検の際, 子宮・卵管の遺残を認め, 交叉性精巣転移を伴うミュラー管遺残症候群と診断された.
著者
鈴木 達治郎 武井 摂夫 城山 英明
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.275-284, 2004-10-29 (Released:2007-12-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

昨今の原子力に係る不適切な取扱い等に鑑み、国内の原子力安全規制においては電気事業法の改正、国の業務の一部を担う機関である「独立行政法人原子力安全基盤機構」の発足など、新しい規制制度が運用され始め、施設の検査等において民間の第三者機関による規格設定制度や認証・認定制度が着目されている。米国、仏国等においては既に原子炉の供用期間中検査や溶接検査等において当該制度の導入が異なった方式で図られており、一定の実績を上げている。本研究においては、原子力関連施設の安全規制における第三者機関の役割に関して日仏米の比較分析を行い、日本における今後の制度設計に関する示唆を得る。
著者
坂本 佑樹 高橋 達二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1D21in, 2015 (Released:2018-07-30)

近年の動画解析技術の進歩から現実の動物の群れの中にスケールフリー相関、相転移等の概念が新たに発見された。しかしながら、群れらしさを示すと思われるスケールフリー相関を自在に調整する手法は未だ明らかにされていない。本研究では二種類の近傍を切り替える群れのMTIモデルをベースに、スケールフリー相関の傾きを調整する手法を新たに提案する。また、その傾き係数と「群れらしさ」知覚との関係を実験的に検討する。
著者
高橋 眞由美 清水 孝彦
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

コエンザイムQ(CoQ)は抗老化作用が期待される栄養補助食品の1つであるが、その作用や効果については科学的に充分に検証されていない。そこでマウスを用いて解析した結果、加齢に伴って脳のミトコンドリア機能が低下したマウスに水溶性CoQ10を飲水投与したところ、CoQは脳関門を通過して脳細胞のミトコンドリアに到達し、ミトコンドリア機能を若齢マウスレベルに回復させることが判明した。またCoQ合成酵素をコードしている遺伝子のひとつであるclk-1がミトコンドリア機能の調節を介して寿命に影響を与えている可能性を明らかにした。
著者
大場 秀章
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ベンケイソウ科の分類体系の確立の上で、Berger(1930)のマンネングサ亜科の位置づけが最も重要であることがOhba(1978,1995)や‘t Hart(1995)の形態形質に基づく解析及びvan Ham(1995),van Ham & ‘t Hart(1999),Mort et al.(2001)の分子系統解析の結果指摘されている。マンネングサ亜科の多様化のひとつの中心であるアジア産の所属について初めて分子遺伝学的な解析を行ない、その結果にもとづく論文をSystematic Botany 29(3)(2004)に発表した。さらに、その後明らかになった東アジア特産属Kungiaの分子遺伝学的位置について、ハンブルクで行われた国際多肉植物学会で口述発表した。それらの成果は、まもなく刊行されるK.Kubitzki (ed.), The Families and Genera of Vascular Plantsに、J.Thiedeが書くことになっている。本研究によってベンケイソウ科は単系統群であり、クラスラ亜科とベンケイソウ亜科に2分され、リュウキュウベンケイソウ群を分った後に、東アジアに分布の中心をもつHylotelephium, Orostachysなどの属を含む一群が分れ、残りの一群から新旧両世界に分布する多様な属が派生分化したことが支持されることが判明した。分子系統樹を反映した分類体系を構築する過程で、イワレンゲ属Orostachysは3つの単系統群の複合産物であることが判明した。その1群はKungiaとして、独立の属とすることが適切である。他の2群のうちの1群はベンケイソウ属Hylotelephiumと単系統群となることが判った。この群にOrostachysのタイプを含むため、タイプを変更してOrostachysという属名を保留するか、発表年の新しいHylotelephiumをOrostachysの異名とするか、しなくてはならなくなり、国際植物分類学会連合誌Taxonにタイプ種の変更をともなう提案として発表を準備している。
著者
金指 美帆
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.26-31, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
29

物理療法の標的器官の1つである骨格筋は,廃用や加齢,疾患等により萎縮を呈する一方で,電気刺激による筋萎縮予防・治療効果が広く認められている.しかし,その作用機序については健常な骨格筋を対象に検証されたものが多く,病態下にある萎縮骨格筋への刺激応答性については科学的根拠が不足している.電気刺激の治療効果を最大限に引き出すためには,標的となる組織・細胞で生じる応答を解明し,適切な刺激条件・方法で介入することが求められる.加齢や廃用,がん悪液質や糖尿病などの病態によりタンパク質合成抵抗性が惹起されることから,病態に応じて電気刺激の至適条件を見直し,治療戦略を再考する必要があるのではないだろうか.本稿では,廃用性筋萎縮に対する電気刺激の効果及び作用メカニズムについて,主に基礎研究による知見をもとに概説するとともに,今後の電気刺激療法の展望について考察する.
著者
北野 晴人
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.486-493, 2015-12-15 (Released:2016-07-01)
参考文献数
11

2015 年に明るみに出た独大手自動車メーカーによる不正な排ガス規制逃れは,企業としてのコンプライアンス問題としてだけでなく,その製造物(自動車)の性能に関する虚偽によって地球環境に対して影響を及ぼす大きな問題である.過去,多くの企業不正が問題となってきたが,とりわけ製造業分野における製造物関連の不正行為については,それが地球環境や社会基盤の安全性,場合によっては人命に関わるという意味で重大な社会性を帯びている.安全に関する技術的な研究開発が進展していく一方で,こうした人間の意図的な不正行為の防止・抑止という課題に対しては技術論だけで解決できないことは明らかであろう.本稿では,一連の製造物に関する企業不正は,情報セキュリティの視点から「情報の完全性に対する侵害」と捉えられることから,それを引き起こす人間の心理,組織風土等に着目し,不正を抑止するための方策について考察する.
著者
飯田 隆人 清水 敦彦
出版者
一般社団法人 日本風力エネルギー学会
雑誌
風力エネルギー学会 論文集 (ISSN:24363952)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.19-27, 2022 (Released:2022-12-17)

Local community acceptance is of great importance to successfully realize offshore wind farm projects. This paper determines the influence factors to explain community acceptance. The factor analysis and the optimization of the multiple regression models provide eight optimum factors as follows: impression of the existing onshore wind farm and its projection to the offshore project, economic prosperity, reputation, global protection, local protection, interest in the project, tradition and culture, and evaluation of the nuclear power generation. In addition, local residents are clustered based on these factors, and their attitudes to offshore wind farm projects are discussed.
著者
都築 伸幸
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.359-365, 2006-08-20 (Released:2014-02-15)
被引用文献数
1 1