著者
森下 皓文 森尾 学 山口 篤季 十河 泰弘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2E5GS605, 2023 (Released:2023-07-10)

言語モデルは高い言語理解能力を持つ一方で,論理的な推論は苦手であることが分かってきている.この課題に対して近年,自動で生成した大量の演繹推論事例(演繹コーパス)の学習によって演繹推論能力を強化するアプローチが提案されており,一定の効果が確認されている.一方で,演繹コーパスでの学習が演繹推論能力のどのような側面の強化に寄与しているかについては,未だ明らかでない.「側面」とは例えば,多様な演繹規則の習得・ステップ数の多い演繹の実行,等である.この調査は演繹推論能力向上に向けた今後の方向性を定める上で不可欠である. そこで本研究は,この調査を行う.各側面を切り分けて分析するため,特定の側面のみを強調した調査用のアブレーション・コーパスを(全ての側面について)生成し,そのコーパスでの学習が言語モデルの演繹推論能力を向上させるかどうかを確認する.更に,これら調査結果を基に,各側面強化のための今後の方向性を議論する.最後に,後続研究のためコーパス・ソースコード・学習済みモデルを公開する.
著者
山口 健太郎 園田 眞理子 三浦 研 中嶋 友美
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.131-142, 2022 (Released:2022-05-10)

本研究では,住宅型ホスピスを対象に家族の語りから,平常時およびCOVID-19下における家族の場の形成過程について明らかにする。調査方法は家族,管理者に対するインタビュー調査および管理者に対するアンケート調査である。以下に結果をまとめる。(1)平常時において家族は時間と空間の共有を通して,環境に対してなじみ,住宅型ホスピスの部屋を自宅にある入居者自身の部屋の延長上として捉えていた。(2)住宅型ホスピスではCOVID-19下においても家族の訪問や看取り時の家族の立会いが行われていた。(3)COVID-19下における看取りの事例から,短期間の入居であっても住宅型ホスピスの中に家族の場が形成されていた。
著者
小圷 知明 小野田 祥人 大柳 琢 相澤 俊峰
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.110-118, 2022-02-20 (Released:2022-02-20)
参考文献数
12

はじめに:化膿性脊椎炎重症例に対して,敗血症診療ガイドラインを遵守するとともに,明確な目的・適切なタイミングを意識した整形外科的治療介入を行った.診療の実際と治療成績を調査した.対象と方法:2008年4月以降10年間に東北大学病院高度救命救急センターで治療した,椎体周囲・硬膜外腔に膿瘍を形成した化膿性脊椎炎重症例27例を対象とした.電子カルテから診断・治療内容,画像所見,ガイドライン遵守の有無,転帰等を調査した.結果:全例でガイドラインを遵守した初期対応が行われ,1例を除き起炎菌を同定した.穿刺・ドレナージ術を25例(93%),手術を18例(67%)に行い,1例が死亡,26例が生存退院(自宅退院5例,転院21例)した.結語:敗血症診療ガイドラインに基づいた初期対応に整形外科的治療介入を加えた当施設の包括的治療戦略を呈示し,その結果を報告した.
著者
入江 康仁 新美 浩史
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.757-762, 2017-12-31 (Released:2017-12-31)
参考文献数
8

化膿性脊椎炎は一般的に臨床診断や画像診断が困難で,不明熱などとして見過ごされやすく再発率も高いことから,救急総合診療における重要な鑑別疾患の一つである。2015年度にMRI が診断に有用であった3例の化膿性脊椎炎を経験したため,早期診断におけるMRIの有用性について考察した。本疾患は血行性感染が多く,椎体内の動脈は軟骨終板直下で血管網を形成し,病原体が留まりやすく感染の好発部位である。そのため軟骨終板直下から感染が始まり,炎症は椎体から椎間板を経て隣接した椎体に波及し,やがて椎間板が狭小化する。そして前縦靭帯下,さらに靭帯を越えて進展し傍椎体膿瘍や蜂窩織炎を形成する。単純MRIは早期診断が可能であるが,症例2や3のような炎症初期では特異度は劣るため椎体や椎間板などに形状変化が現れる前の化膿性脊椎炎を診断することが困難である。しかし,造影MRIでは炎症初期でも感染巣に造影効果が得られるためより早期の診断に有用である。
著者
鶴田 禎二
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.45-58, 1978-01-01 (Released:2010-10-21)
著者
野村 直之
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.2(1998-NL-129), pp.1-8, 1999-01-20

ConceptBaseはヴェクトル空間法と転値ファイルによる類似文書検索をコアにもつシステム。高速性と高精度を達成するために、複合語句(Concept)間の部分マッチング、関連語抽出の近似処理、などの独自の工夫を施している。その概要とともに、対象とする文書空間のスケール拡大のための新しいソリューションとして、自動分類機能と、複数文書の鳥瞰ビューを提供する最新の自動要約機能を紹介する。
著者
周 紀瑩
出版者
国立音楽大学大学院
雑誌
音楽研究 : 大学院研究年報 = Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music (ISSN:02894807)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.295-310, 2022-03-31

研究の背景日本と中国の初等教育では,音楽の学習に必要なものとして,古くから読譜を取り入れてきた共通の歴史がある。日中の両国において,読譜は,音楽活動を充実させる上で重要な役割を果たしており,読譜に関する内容の充実は,両国において古くて新しい課題である。日中両国の読譜に関する内容は,絵譜の使用に代表される共通の学習方法と,数字譜のように,中国の音楽文化に根ざした学習方法がある。したがって,日本と中国における読譜に関する内容を比較することは,双方の音楽教科書をはじめ,実際の読譜指導の改善・充実に向けた示唆を得ることが期待できる。研究の目的と方法本研究の目的は,日中両国の読譜に関する基本的な考え方,小学校音楽教科書における読譜に関する内容と方法を比較し,両国の読譜に関する現状と課題を明らかにする。そのために,本研究では,日本と中国の小学校音楽科教育課程における読譜の考え方を明らかにした上で,日中両国の小学校音楽教科書を対象とし,読譜に関する表記を丁寧に分析した。結論本論では,日本と中国の小学校音楽教育課程の基準と現行の小学校音楽教科書を研究対象に,両国の小学校音楽科における読譜に関する内容を比較して分析した。その結果,明らかになったのは次の点である。日本の学習指導要領では「相対的な音程感覚を育てるために,適宜,移動ド唱法を用いること。」,中国の音楽課程標準では「五線譜の指導には,首調唱名法を使うことを提唱する」のように,教育方針は異なるが,類似点がみられる。それは,日本と中国の小学校の音楽授業は,それぞれの楽譜の表記方法を用いて授業を行われているが,児童に相対的な音楽感覚を育成するために,両国とも移動ド唱法が使用されているという点である。また,日本では多くの学校で五線譜を用いて授業が行われており,器楽の学習内容以外は,全て階名を用いて授業を行う教師もみられる。さらに,特に地方の児童は,イ短調が分からないままに,中学校に進学してしまった児童も多いという状況がよくみられるという教師の証言もある。そのため,児童がハ長調の楽譜しか読めないので,移動ドとしての意味があまりないと推察される。一方,近年の中国では,数字譜から五線譜へ移行する傾向が強くなり,特に専門教育に向けての音楽教室では,五線譜で授業を行うようになってきている。それに伴い,五線譜教育を扱うことを望む声が社会的にも高まってきている。中国では,五線譜の場合,数字譜とは違い,固定ドで読むことが一般的になっている。したがって,数字譜の学習が五線譜につながらないという問題がみられる。以上のことにより,日本と中国の小学校音楽科における読譜の指導内容では,多方面から検討していく必要があると思う。そのため,今後は,日本と中国の小学校音楽科教育における読譜に関する指導法について,実際の指導場面の検討などを通して考察を深めていきたい。
著者
吉田 栄人 水上 浩明 伊従 光洋 山本 祐太朗 小川 良平 水野 哲志
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

ワクシニアウイルスワクチン株LC16m8deltaとアデノ随伴ウイルスAAVよりなる独自のワクチンプラットフォーム(LC16m8delta/AAV)を技術基盤とし、三日熱ワクチンを開発する。三日熱マラリア原虫の感染防御・伝播阻止標的抗原遺伝子を導入したLC16m8delta/AAVワクチンを作製。動物免疫-感染チャレンジ実験(マウスモデル)および感染者血液を用いた人工膜蚊吸血実験を実施し,3年間のマイルストーンとして感染防御効果>90%、伝播阻止効果>90%の数値目標を設定するアウトブレイクが危惧される新興・再興感染症に対しても,汎用的な純国産ワクチンプラットフォームを提案する。

1 0 0 0 OA Weak robots

著者
Michio Okada
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
JSAP Review (ISSN:24370061)
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.220409, 2022 (Released:2022-10-04)
参考文献数
11

Considering that advanced autonomous robots and autonomous driving systems also have numerous weaknesses and imperfections, why not expose such weaknesses moderately instead of hiding them? In this article, we will discuss how humans and robots may coexist in the future, introducing the concept of “weak robots,” such as Sociable Trash Box that cannot pick up trash by themselves, but do so with the help of children, and conversational robots that sometimes forget important words when telling children old stories.

1 0 0 0 讀書餘録

著者
桑木嚴翼著
出版者
河出書房
巻号頁・発行日
1940
著者
小山精一郎著
出版者
世界思潮研究会
巻号頁・発行日
1922
著者
小林 茂 徳井 直生 小林 大祐 図師 雅人 森下 静香 岡部 太郎 藤井 克英 後安 美紀 大井 卓也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4B3GS1104, 2023 (Released:2023-07-10)

障害のある人の文化芸術活動における人工知能技術の活用から見えてきた可能性と課題に関して報告する。奈良市のコミュニティ・アートセンター「たんぽぽの家アートセンターHANA」では、身体障害や知的障害のある人々が絵画、詩、演劇など多様な文化芸術活動を行っている。そうしたアーティストたちに共通する課題が、障害の重度化や加齢などにより心身の状態が悪化していく中における創造的な活動や新たな挑戦の継続である。例えば同施設に在籍していた武田佳子は、徐々に身体機能が失われるにつれ、画材や技法を変えながら制作を継続してきた。ここで着目したのがサポーターである。サポーターはアーティストたちの制作活動を支援する人々で、単なる支援に留まらずアーティストに一体化しているかのように見える場面も多数観察された。作品を素材とする画像生成や自助具的なツール制作などの試行を経て、本プロジェクトでは新たなサポーターとしての人工知能に着目した。DALL·E miniやStable Diffusionなどの画像生成技術を活用して取り組んだ活動から見えてきた「表現活動に寄りそう他者としての人工知能」の可能性と課題について報告する。
著者
神田 錬蔵
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.32, pp.122-133, 1963 (Released:2016-05-23)