著者
神田 文義 服部 祐介 中橋 満 堀内 満水雄
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.443-444, 2004-06

53歳男.自慰目的で尿道口より径6mmのビニールチューブを3m挿入し,1m引き抜いた時点で,抜去不能となった.尿道を自己切開し,異物抜去を試みたがうまくいかなかった.翌日,尿漏,陰嚢腫大,発熱を主訴に受診した.膀胱高位切開による膀胱尿道異物除去術,尿道修復術を施行した.チューブが前立腺尿道部にはまりこみ,出血が著明であったので,尿道にバルーンカテーテルを留置,縫合した.膀胱瘻を造設し,膀胱前腔と陰嚢会陰皮下にドレーンを留置した.経過は順調で,術後21日目に尿道カテーテルを抜去し,術後24日目には膀胱瘻を抜去した.排尿状態は良好であったWe report a rare case of vesico-urethral foreign body with urinary fistula. On March 12, 2002, a 53-year-old single men inserted a 3 m vinyl tube 6 mm in diameter into his urethra by himself for the purpose of masturbation, but he could not remove the tube. He cut his urethra by himself and tried to remove the tube. The next day he was admitted to our hospital, with complaints of urinary fistula and fever. Open surgical removal of foreign body, cystostomy and repair of bulbous portion of the urethra were performed. At 24 days postoperatively the cystostomy and urethral catheter were removed and urination became smooth.
著者
三輪 哲
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.345-356, 2009-09-30 (Released:2010-03-30)
参考文献数
8
被引用文献数
12
著者
三浦 直子
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 = Journal of law, politics and sociology (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.431-454, 2017-01

有末賢教授退職記念号1. はじめに2. 学問的に妥当な範囲画定の探究3. 学校制度とハビトゥス4. 創造者のハビトゥス5. おわりに : 理論と方法論の相互作用としての反省的社会学
著者
松本 敏治 菊地 一文
出版者
植草学園大学
雑誌
植草学園大学研究紀要 = Bulletin of Education and Health Science, Uekusa-Gakuen University (ISSN:18835988)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.5-15, 2019-03-31

松本・崎原・菊地・佐藤(2014)は,「自閉症は方言を話さない」とする印象が全国で普遍的であることを報告している。しかしながら,共通語を使用してきた ASD が学齢期あるいは青年期において方言を使用するようになる事例が存在するとの報告が教員・保護者からあった。該当する 5 事例について,方言使用開始時期および対人的認知スキルに関する 55 項目についての質問紙を実施した。方言使用開始時期は,7 歳, 9 歳,16 歳,16 歳,18 歳で事例によって差がみられた。獲得されているとされた対人的認知スキルのうち,方言使用開始前後の時期に獲得されたとする項目数の割合は,26%〜 97%であった。また,それ以前に獲得されていた項目数と方言使用開始時期に獲得された項目数の割合を領域別で求めたところ,意図理解および会話の領域での伸びが顕著であった。これらの結果にもとづいて,ASD の方言使用と対人認知の関連について議論した。
著者
Michiko NOHARA Mikio MOMOEDA Toshiro KUBOTA Masao NAKABAYASHI
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
Industrial Health (ISSN:00198366)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.228-234, 2011 (Released:2011-04-14)
参考文献数
22
被引用文献数
27 70

Women’s employment in Japan has increased substantially in recent decades, however little large scale research has been done on the impact of various types of working conditions on women’s health. The aim of this study was to assess the menstrual cycle and menstrual pain problems of female workers and to investigate the factors that relate to them. The questionnaire was distributed to 8,150 women and 2,166 responded (26.6%). An anonymous self-administered questionnaire was used to get information about demographics, menstrual cycle status, the degree of menstrual pain, and employment and environmental factors. Irregular cycle menstruation was experienced in 17.1% of responded workers. We discovered the relationship between irregular menstrual cycles and stress, smell of cigarettes, age and smoking habits. Some degree of menstrual pain was experienced in 77.6% of responded workers. This study showed the relationship between menstrual pain and stress, high temperature and humidity, age, BMI, and number of births. In conclusion, we found that stress is thought to be an important factor related with menstrual cycle irregularities and menstrual pain among Japanese female workers.
著者
山口 一男
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.552-565, 2003-03-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
9
被引用文献数
4 1

2001年日本社会学会のシンポジウムにおけるパネル討論での発表と議論を土台にしてそれをさらに拡大し, 「社会調査の困難」について米国で社会研究を行うものの立場から筆者が重要と考える以下の5つの問題に焦点をあてて論じる. (1) 「社会調査の困難」という概念について, (2) パネル調査の必要性と社会調査の目的との関連について, (3) 不完全情報の取り扱いについて, (4) 調査対象者の協力を得るということについて, (5) 調査対象者のインフォームドコンセントと人権保護について.
著者
糟谷 大河 有馬 裕介 百原 新
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Insitute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.12, pp.187-192, 2019-02-28

大阪府泉佐野市の大阪層群最下部の炭質層,および同枚方市の大阪層群上部,Ma8海成粘土層より産出した3点の子嚢菌類の化石について,形態的特徴を観察した.その結果,子座および子嚢殻の形態的特徴に基づき,これらは現生の分類群であるクロコブタケ属との類似性が示された.また,これら3点の化石の子嚢殻と子嚢胞子の形態にはそれぞれ違いが認められ,これらは異なる分類群である可能性が示唆された.

10 0 0 0 OA HPVワクチン

著者
川名 敬
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.79-86, 2012-06-25 (Released:2013-05-09)
参考文献数
26

ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸癌や尖圭コンジローマの原因となりうるウイルスである.この10年の間にHPV感染を予防できるHPVワクチンが開発され,大規模臨床試験によって多くのHPV関連疾患に対する予防効果が全世界的に証明された.HPV関連疾患で最も重要なものは子宮頸癌である.子宮頸癌の罹患率のピークは20年間で20才近く若年化し現在は2545才がピークである.がんを予防できるワクチンという観点から極めて重要な意義を持つ.ただし子宮頸癌予防に関してはその限界も理解しておく必要がある.一方,尖圭コンジローマの予防については,海外では既にpopulation impactが現れてきている.尖圭コンジローマが近い将来社会から撲滅されることも夢ではない.本稿ではHPVワクチンをレビューしたい.
著者
加藤 孝宣 脇田 隆字
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.287-295, 2005 (Released:2006-03-23)
参考文献数
43
被引用文献数
5 7

C型肝炎ウイルス(HCV)は,1989年カイロン社の研究グループにより発見された.日本では200万人,世界中で17000万人にのぼる感染者が存在し,インターフェロンを中心とした治療が行われているがその効果は未だ不十分である.これまでHCVには良いウイルス培養系と実験用の感染小動物が存在しないことがHCVの基礎研究の妨げになってきた.我々はHCVによる劇症肝炎患者からHCV株を分離し,その株が他の慢性肝炎患者由来の株に比べ,効率的に増殖できることを明らかにしてきた.さらにこの株を用いることにより培養細胞中での感染性HCV粒子生成に成功した.この感染性HCV粒子は培養細胞だけでなくチンパンジーにも感染可能であった.この系を用いることにより,HCVの感染から分泌まですべてのステップが培養細胞内で観察可能であり,ウイルスの複製機構の解明や抗ウイルス薬の開発に有用であると考えられる.
著者
鈴木 泉 山本 正悟 塩山 陽子 藤田 博己
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第57回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.59, 2005 (Released:2005-10-17)

陸生ヘビ類へのマダニ寄生例に関する報告は少ない.そこで,宮崎県宮崎市内の1地域(K渓谷)でヘビ類を捕獲し,その種類と寄生マダニについて調査した.ヘビ類捕獲時に触診法と視診法でマダニ寄生が確認された場合には,飽血までヘビ類を飼育してマダニを採取した.また,マダニ付着を認めない場合も,許される範囲で約2週間飼育し,寄生の有無を確認した. 調査地域ではシマヘビ,ヤマカガシ,アオダイショウを主体に7種類のヘビの棲息が観察されている.今回,ヤマカガシ,マムシ,アオダイショウでマダニ寄生が認められたが,寄生種はタカサゴキララマダニ若虫のみで,成虫や幼虫の寄生は確認されなかった.また,フラッグスィープ法で行なった同地域のマダニ相の調査では,チマダニ属が優勢で,タカサゴキララマダニの採取例は希であった. 以上の結果から,ヘビがタカサゴキララマダニの生活環の中の一部に含まれていること,ヘビ捕獲法がマダニ相の調査に有用なことが示された.
出版者
国立国会図書館
巻号頁・発行日
no.(198), 2015-02
著者
米山 喜久治
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.91-117, 2014-06-10

明治以降日本の大学制度と研究,教育は,欧米からの輸入(技術移転)に基づくものであった。この流れの中に1930年代文化的成熟として「学問は模倣ではなく,建設するものである」という「学問観」を核に横につながる研究者集団が誕生した。登山と探検を志す今西錦司とそのグループである。自然学者今西錦司は,京都の町衆の伝統文化に育った都市の民であり同時に自然の子であった。知りたいと思う色も匂いもある生きた自然,現場を前にするとき輸入「学説」も1つの素材に過ぎない。命ある世界に直接向かい合うとき必要なのが「五感,直観」と「方法論」である。幾多の登山,探検のパイオニアワークによってグループ内に共同研究(チームワーク)のノウハウと方法論が開発,共有された。その「副産物」が川喜田二郎の「KJ法」と梅棹忠夫の「知的生産の技術」として体系化され公開された。この2つは1970年代に始まる日本の情報化社会に大きなインパクトを与えた。特にKJ法は,フィールドワークによるオリジナル・データをまとめる研究方法論から「発想の技法」,「情報処理」さらには「管理」の手法として普及した。