著者
三村 務 前田 和宏 辻坊 裕 佐竹 幹雄 藤田 孝夫
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.1508-1512, 1982-04-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
11
被引用文献数
5 5

Octopus melanin obtained from ink bags of Octopus vulgaris CUVIER was found to inhibit gastric secretion in rats in the same way as that from Ommastrephes bartrami LESUEL. The molecular weight of this melanin fraction (which has an indole skeleton) was estimated to be over 200000 by gel filtration on Sephadex G-200, and the Octopus melanin fraction (Fr. OM) released several kinds of proteins in the presence of SDS. The chemical composition of Fr. OM was melanin pigment 79%, protein 17.5% and sugar 1.7%, so Fr. OM was considered to be a melanoprotein. Fr. OM significantly reduced gastric secretion in rats at the dose of 1 mg/kg, i.p., and also prevented both ulcer formation in pylorusligated rats and aspirin-induced ulcer.
著者
堅田 香緒里
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.21-33, 2018-03-30 (Released:2019-03-13)
参考文献数
43

本稿では、私的領域=家庭内で女が一般に担ってきた家事やケアといった不払い労働/再生産労働との関わりから、ベーシックインカムという政策構想について検討する。 第一に、従来の福祉政策が前提/維持してきた標準家族という政策単位に代わって、近年注目されているケアユニットについて概観し、第二に、そうした新たな政策単位に基づいて提案されている政策構想―ケア提供者手当―を取り上げ、それが家事やケア等の不払い労働に対して持ち得る含意と課題を検討する。第三に、そもそも家事やケアのような不払い労働の範囲は同定可能なのかどうかをめぐり、不払い労働の測定ないし経済的評価をめぐる議論を再検討する。第四に、ケア提供者手当の諸課題を克服し得る政策構想の一つとしてベーシックインカムを検討し、最後に、それが依存とケアを中心に据えた社会正義にかなうものであることを論じる。
著者
北岡 志保
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.168-172, 2018 (Released:2019-11-01)
参考文献数
16

適度なストレスは生体の適応反応を誘導する。一方,ストレスの遷延化は精神疾患のリスク因子となる。このようなストレスによる情動変容のメカニズムには不明な点が多い。近年ストレスによる情動変容における炎症様反応の重要性が確立され,中枢および末梢での炎症様反応が調べられている。脳内では,反復ストレスによる前頭前皮質のドパミン系の抑制にミクログリア由来の炎症関連分子が関与し,反復ストレスによりミクログリアは活性化される。末梢では,ストレスによる内分泌応答は骨髄系細胞を活性化し血中の炎症性サイトカインを上昇させ,ストレスによる交感神経の活性化は血中の好中球・単球を増加させる。さらに,末梢の変化がミクログリアの活性化に関与する可能性が示唆されている。これらの知見は,中枢‐末梢連関が炎症の悪循環を形成することを示唆しており,ストレスによる炎症様反応を標的とした新規抗うつ薬の開発を期待させる。
著者
原田 寿郎 上杉 三郎
出版者
JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.262-271, 1996-09-25 (Released:2009-05-22)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

コーンカロリーメーターを用い,難燃薬剤で処理された1類合板及びラワン材の発熱速度及び発煙量を明らかにするとともに,現行の防火試験方法のひとつである表面試験結果との比較を行った。難燃処理に使用した薬剤はリン酸一アンモニウム,リン酸ニアンモニウム,臭化アンモニウム,ホウ砂・ホウ酸,スルファミン酸アンモニウム,スルファミン酸グアニジン,塩化ナトリウムであった。コーンカロリーメーター試験により,処理薬剤の種類と注入量から燃焼性状を予測することが可能であることがわかった。また,表面試験の指標のうち発煙係数を除く指標についてはコーンカロリーメーター試験の結果と相関があることが明らかとなった。
著者
國島 広之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.2367-2372, 2017-11-10 (Released:2018-11-10)
参考文献数
22

不明熱を含めた発熱時におけるウイルス感染症では,プライマリ・ケア領域ではEBウイルス(Epstein-Barr virus:EBV)感染症とサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染症がしばしばみられる.EBVによる初感染では,発熱,リンパ節腫脹,扁桃腫大,脾腫を伴い,末梢血に異型リンパ球がみられる.ペニシリン系薬で発疹がみられることから,溶連菌性扁桃腺炎との鑑別が重要となる.CMV感染症も近年の抗体陰性者の増加に伴い,感受性者が増加していることから,丁寧な評価が必要である.
著者
伊加 真士 清水 一好 川出 健嗣 金澤 伴幸 西谷 恭子 森松 博史
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-6, 2016-01-15 (Released:2016-02-12)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

スガマデクスは安全・迅速にロクロニウムを拮抗できる薬剤として広く使用されている.今回われわれは筋弛緩モニターを使用し,投与基準どおりにスガマデクスを使用したにもかかわらず,術後に再クラーレ化が疑われた症例を経験した.症例は78歳の男性で,胃癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除術が施行された.術中およびスガマデクス投与前にTOFウォッチを使用し,TOFカウント2を確認後,スガマデクスを3.6mg/kg投与し抜管した.その約70分後に著明な酸素化の悪化と四肢の体動低下を認め,ネオスチグミン投与により酸素化・体動の改善を得た.投与基準どおりのスガマデクス使用でも再クラーレ化の可能性は否定できないため,抜管後の厳重な呼吸の観察が重要である.
著者
伊藤 渉 沖野 峻也 齋藤 篤志 菖蒲 幸宏 渡部 颯大
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-05-11

1.動機および目的信夫山は福島市民にとって重要なスポットである。信夫山は福島盆地の中央に孤立している珍しい地形を持つが,その成因についてさまざまな議論があり,具体的なことはよくわかっていない。地理的・文化的に重要な信夫山について,市内の学校に通う者が調査し明らかにすることは郷土を認識・理解する上で重要だと考え,研究を開始した。2.研究仮説文献から得られた信夫山の地質情報及び成因として次のような説が挙げられる。・信夫山は東西で地質が異なり,西側は火砕流堆積物,東側は第三紀の堆積岩層から成り立っている。・信夫山は海底で形成された第三紀の海成層が隆起し,流紋岩の貫入を受け硬化した。この海成層は凝灰岩によってできており,信夫山の西側でより硬くなっている。・信夫山の表面には流紋岩が覆いかぶさっている。このように,信夫山の形成過程は諸説存在する。本研究では,どの説が有力かの検討も含め,信夫山がどのようにできたのか考察する。3.研究方法3-1露頭の観察我々は信夫山に登り,12箇所の露頭の観察を行うとともに,付近の転石を採取した。その際の露頭観察地点については図に示す。3-2偏光顕微鏡による岩石薄片の観察採取した転石の一部から岩石薄片を作成した。各露頭から作成し,観察可能な薄片を2つ得ることができた。それ以外の露頭の岩石は,非常にもろく,薄片を作成することが困難であった。3-3走査型電子顕微鏡(SEM)による観察走査型電子顕微鏡を用いて,岩石の表面を観察した。岩石は薄片を作成するこのできた露頭3及び4の岩石薄片を観察した。撮影したSEM画像上でそれぞれの岩石を構成する粒子の大きさを測定した。3-4 XRD装置を用いた鉱物同定西側と東側とが異なる岩石で出来ているのかを調べるため, X線回折(XRD)装置を用いて岩石を構成する鉱物の鑑定を行った。使用した岩石は地点1・2・9・11である。4.研究結果4-1 露頭観察の結果地点1・2・3・7の岩石は,いずれも非常に硬く,ハンマーで叩くと火花が発生した。表面は灰色をしていた。また,いずれも大きな割れ目があった。風化の影響と思われる。また,大きな割れ目があった。地点4・5・6・10・11・12の岩石は手で割ることができるほど脆かった。色はオレンジ色が中心であり,場所によっては赤橙の曲線状の縞模様が観察された。構成する粒子はいずれも泥質でかなり細かい。4-2 薄片観察の結果地点3の岩石を観察した。これらの岩石は,強く偏光した無色鉱物が多くみられた。それらの無色鉱物は表面では観察されず,断面でしか観察されなかった。また,いずれも角が多く,石英がちぎれていると思われる。地点4の岩石は砕屑粒子で構成されていた。大きさは約5μm程度であった。全体的にオレンジ色であり,細かい層構造であるラミナが見られた。幅は約1~2mmであった。4-3 SEMの結果地点3,4の岩石の写真のいずれも数μm程度の小さな尖った粒子で構成されていた。これらの粒子のうち,無作為に選んだ粒子を測長した。その結果,2つの露頭の岩石を構成する砕屑粒子のサイズには違いがないということがわかる。4-4 XRDの結果地点1・2の岩石は少量の長石を含んでいるが,全ての地点の岩石において主成分は石英であることが明らかになった。5.考察今回の研究で新たにわかったことは以下の3点である。ア)信夫山の東西で岩石の硬さ,色が異なる。イ)信夫山の岩石は凝灰岩で,構成粒子はほとんど石英である。ウ)信夫山の西側でカリ長石が見つかった。イの結果からこのカリ長石が熱水によるものではないかと推測した。また,ア・イ・ウの結果より,信夫山の岩石はもともと同じ凝灰岩で構成されていたものの,西側に熱水が貫入し石英・カリ長石が晶出したと考えた。これは信夫山が凝灰岩で構成されているという仮説を支持するものとなる。6.まとめ今回の研究では,既存の地質調査の真偽を確かめながら,信夫山の形成過程についての推定を行った。信夫山の東西の岩質の違うこと,西側に熱水が貫入したことが原因らしいことが本研究では明らかになった。このことをはっきりさせるためにも,今後は福島盆地全体の調査を行っていく必要がある。
著者
青木 勝也 杉多 良文 吉野 薫 谷風 三郎 西島 栄治 津川 力
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1086-1089, 2000-12-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
6

Penaが発表したtotal urogenital mobilizationは総排泄腔長が3.0cm以下の総排泄腔遺残症に対して施行される根治術で, 合併症が少なく, ほぼ正常に近い外観が得られると報告された.今回我々は総排泄腔遺残症の1例に対してtotal urogenital mobilizationを行い満足のいく結果を得たのでその手技を報告する.症例は9カ月女児.posterior sagittal approachにて総排泄腔後面に到達したあと, 総排泄腔より直腸を分離し膣と尿道を一体として受動せしめ会陰部に開口させ, 最後に肛門形成を行った.術後1年が経過して膣狭窄, 排尿障害などの合併症はなく, 外観的に正常に近い状態が得られている.total urogenital mobilizationは総排泄腔遺残症の患児に対して手術時間の短縮, 尿道膣瘻, 膣狭窄などの合併症の軽減が期待でき, 外尿道口と膣口が近接することからより正常に近い外観が得られる優れた手術法であると考えられた.
著者
齊藤 靖博 沖田 耕一 Saito Yasuhiro Okita Koichi
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料: 第6回スペースデブリワークショップ講演資料集 = JAXA Special Publication: Proceedings of the 6th Space Debris Workshop (ISSN:1349113X)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-14-013, pp.145-152, 2015-03-27

第6回スペースデブリワークショップ (2014年12月17日-19日. 宇宙航空研究開発機構調布航空宇宙センター(JAXA)(CAC)), 調布市, 東京
著者
田中 寛一
出版者
関西大学仏文学会
雑誌
仏語仏文学 (ISSN:02880067)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.33-46, 1990-12-20