著者
亀野 淳
出版者
Hokkaido Sociological Association
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-15, 2005

本稿は日本的雇用システムの変化が若年雇用や学歴・学校歴に及ぼす影響について考察したものである。<BR>日本的雇用システムの変化は,そのメリットを否定したわけではなく,むしろメリットを維持するための修正とみるべきである。変化の方向性としては,新規学卒者の採用人数の絞込み,遅い選抜方法の見直し,人材育成における対象者の絞込みや自己啓発への期待などがあげられる。新規学卒者の採用人数の絞込みは,単純に若年者の雇用環境の悪化だけではなく学歴や学校歴による格差が大きくなると見込まれる。また遅い選抜方法の見直しは,選考基準として学校歴がより重視される傾向になると見込まれる。さらに人材育成における対象者の絞込みや自己啓発への期待は,ビジネススクールなどの専門職大学院の対する社会的ニーズは高まると予想されるが,大卒者の相対的地位の低下を招き新たな若年者の雇用問題を発生させるおそれもある。<BR>このように日本的雇用システムの変化は,若年者の雇用環境の悪化や学歴・学校歴による格差を拡大させるおそれがある。したがって今後は正規社員と非正規社員の処遇格差の是正や非正規社員に対する人材育成やマネジメントの必要性が高まる。
著者
竹内 治彦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.73-99, 1990

社会史の流行がとりざたされるようになってから10年以上の歳月が過ぎようとしている.また近年,歴史的社会学(Historical Sociology)等の名称をかかげた雑誌が,とくに英語圏で発刊されている.それらに共通しているのは,歴史家サイドが,社会学ないし社会科学一般のもつ理論性や一般化に興味をもち,歴史学の可能性を拡げてゆこうとしていることである.ブローデル等の主張するような,歴史学を歴史的社会科学として再興しようとする姿勢がそれである.このような問題関心につきうごかされた歴史学の諸研究の業績は豊かなものであり,一定の影響力をもつものに成長を遂げているように思われる.これに対し,社会学のサイドでは歴史的な資料活用の可能性をめぐっての研究は残念ながら大きな潮流をなしているとはいいがたい.しかしながら,その研究がまったく途絶えているといえるものでもないし,近年,歴史学サイドの社会史の活動に触発されて,新しいアプローチを模索する研究も進んでいると考える.本稿では,そのような歴史社会学的研究を参照しながら,社会学に歴史的な観点を導入することによるメリットについて考えてみたい.そのさい,歴史社会学的な研究を,研究対象の拡がりにしたがって,文化論的アプローチに区分する.さらに,この四つのアプローチのうち,歴史社会学の可能性をめぐる重点が,段階論的アプローチと文化論的アプローチの対比にあると主張し,そのうちでも文化論的アプローチのもつ二つの利点を強調してみたい.それは一つには,生活主体の側から,社会の歴史を再構成する可能性をもっていることであり,またもう一つには,かって「近代化論の再興」が議論されたさいに問題となった伝統と近代の問題にたいし,文化論的アプローチが一つの解決を与えてゆく可能性をもっていることである.
著者
文野 洋
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.71-81, 2007

This study investigated narrative styles and narrative relationships that were interactionally accomplished by a researcher and participants by conducting participant observation and interviews with 10 participants in an ecotour which contributes to the sustainability of a local community and its environment. Results indicated that two interviewer-interviewee relationships, "inquirer-respondent" and "tour-participants," different from each other in terms of their narrative styles and the visualization of co-membership, were accomplished during the interviews. They correspond to the two general concepts of narrative relationships: dialogic and coexistent (Yamada, 2004), respectively. This study also revealed that there was another important relationship, the "narrating-hearing experience," which is intermediate between the other two relationships. These findings imply the possibility that participatory research to examine the joint narrative of ecotours contributes to the practice of environmental education.