著者
甲斐達朗
雑誌
治療学
巻号頁・発行日
vol.36, pp.85-88, 2002
被引用文献数
1
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.348, pp.80-85, 2011-11

基準価額が下がっている今は安値で投信を仕込む絶好機でもある。通貨選択型投信に見切りをつけ、有望な投資投信を先回りしてしこめればもうけのチャンスもあるはず。そこで、ファンドアナリストの吉井さんに有望な投信を選んでもらった。狙いはやはり新興国だ。 積極的に上昇益を狙うなら株式、安定的な収益を求めるなら債券、という構図は新興国においても変わらない。
著者
田村 謙太郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.122-125, 2017-01-15

筆者は現在、都内の「外国人向け診療所」という変わった職場に勤務しています。 信州大学医学部を卒業後、横須賀米海軍基地でインターン研修を1年、その後、横須賀共済病院で初期研修を2年やりました。米国での臨床研修に興味があったので、その準備期間として外国人診療を続けられるという意味で、今の診療所に勤め始めました。腰かけのつもりが結局そのまま居続けてしまった、というのが正直なところです。 これから、「東京オリンピック」の開催などで、ますます外国人の患者さんを診察する機会も増えてくると思います。そこで今回は、英語が苦手な先生方に、外国人診療のコツをお伝えしたいと思います。
著者
中野 秀樹 岡崎 誠 岡本 浩明
出版者
遠洋水産研究所
雑誌
遠洋水産研究所研究報告 (ISSN:03867285)
巻号頁・発行日
no.34, pp.43-62, 1997-03
被引用文献数
4

まぐろはえなわ漁業で漁獲される魚類の漁獲深度は,漁具の漁獲効率,魚類の生息深度を評価するために有効である。特に日本のまぐろはえなわ漁業は歴史的にその漁具深度を深くしているので,浅縄および深縄の漁獲効率を比較することは,魚種に対する歴史的な漁獲効率の変化を定量的に評価するための基礎的な資料となる。本研究では,まぐろはえなわの枝縄別漁獲資料から,魚種の漁獲水深を推定し,あわせて敷設水深の異なる漁具の漁獲効率についても比較した。まぐろはえなわ操業の枝縄別漁獲資料は1992年から1995年までの間に太平洋の3つの海域から収集された。魚類の深度別釣獲率を懸垂曲線の当てはめにより推定し,魚類を水深が深くなるほど釣獲率が増加するもの,水深が増すと釣獲率が減少するもの,釣獲率が深度で変化しないものの3つのグループに大別した。ビンナガ(Thunnus alalunga),メバチ(T. obesus),アカマンボウ(Lampris guttatus),ミズウオ(Alepisaurus ferox),ヒレジロマンザイウオ(Taractichthys steindachneri)は釣獲率が深度とともに増加した。一方,カツオ(Katsuwonus pelamis),マカジキ(Tetrapturus audax),クロカジキ(Makaira mazara),バショウカジキ(Istiophorus platypterus),フウライカジキ(T. angustirostris),シイラ(Coryphaena hippurus),カマスサワラ(Acanthocybium solandri),クロタチカマス(Gempylus serpens),ヨゴレ(Carcharhinus longimanus)は水深が深くなると釣獲率が減少した。キハダ(T. albacares),メカジキ(Xiphiasgladius),アブラソコムツ(Lepidocybium flavobrunneum),アオザメ(Isurus oxyrinchus),ヨシキリザメ(Prionace glauca)は釣獲率に水深に伴う顕著な変化が認められなかった。また,東太平洋の調査海域と他の海域間で釣獲率が高くなる深度に違いがみられ,ビンナガ,メバチ,サワラ,アカマンボウ,アオザメなどで釣獲率の高い深度が他の海域より浅くなる傾向が観察された。まぐろはえなわの浅縄と深縄の操業ごとの釣獲率の平均値を魚種ごとに比較した結果,22種のうち13種で平均値間に統計的に有意な差が認められた。深い水深で釣獲率が高い種類の浅い枝縄との釣獲率の比は,1.51~20.6の値を示した(ビンナガ1.51-2.15,メバチ2.14-3.14,アカマンボウ20.6,ミズウオ1.63,ヒレジロマンザイウオ6.76,ハチワレ2.67)。一方,浅い深度で釣獲率の高い種類の比の値は0.4~0.92の範囲であった(マカジキ0.4-0.64,クロカジキ0.75,バショウカジキ0.92,フウライカジキ0.42-0.74,シイラ0.46,クロタチカマス0.72)。
著者
太田 恵 小川 智美 遠藤 正樹 森島 健
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100446, 2013

【目的】近年の学生の一部には、教育上無視できないコミュニケーションスキルやソーシャルスキルの低さが認められる。それらの能力不足は、臨床実習で不合格になる要因になり得るが、学力とは必ずしも相関しないため、学科試験だけで見抜くことは難しい。そこで本研究では、入学試験時における面接試験の成績とその後の臨床実習の成績との関係を明確にし、入学直後からの学生指導の可能性を検討した。【対象と方法】平成18年度から21年度までに当校に入学した者のうち、臨床実習より以前に退学した者および現在の在校生を除外した190名(男性136名、女性54名、平均年齢25.9±6.3歳)を解析対象とした。当校では、入学試験において、口頭試問および集団面接の二種類の面接試験を実施している。前者は、3名から4名の受験者に対し、試験官である教員が一人ずつに質疑を行う形式である。一方後者は、8名から10名の受験生がグループになり、他の受験生と提示された課題を進めていく形式で、他者との関わりを見るものである。それぞれ3名から5名の教員が試験官となり、服装・言葉使い・積極性・適正・対人適応等の観点から 1点(非常に悪い)から4点(非常に良い)の段階評価を行なった。複数回受験している者に関しては、最後の試験の成績を採用した。全試験官の評定がいずれも3点以上だった群85名(入試高位群: 男性56名、女性29名、平均年齢24.4±5.3歳)と2点以下の評定が付いた群105名(入試低位群: 男性80名、女性25名、平均年齢27. 2±6.8歳)に分けた。各群において、臨床実習で合格した者(実習合格者)、学生自ら臨床実習を中止した者(実習中止者)、臨床実習指導者の判断で不合格となった者(実習不合格者)について、それぞれオッズ比を算出し、Fisher直接確率検定を用いて解析した。有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本校は倫理委員会設置しておらず、同等の権利を持つ組織の承認を得て実施した。尚、個人を特定するようなデータは含まれていない。【結果】入試高位群は、実習合格者68名、実習中止者6名、実習不合格者11名であった。それに対して入試低位群は、実習合格者69名、実習中止者5名、実習不合格者31名であった。実習中止者については群間で有意差はなかったが、実習不合格者については、入試低位群は入試高位群と比較しオッズ比2.777(95%信頼区間1.292-5.969) と高値を示した。また実習合格者137名のうち、いずれの形式の面接でも3点以上だった者が68名(男性42名、女性26名、平均年齢24.7±4.9歳)、口頭試問のみ2点以下だった者が10名(男性5名、女性5名、平均年齢25.3±6.5歳)、集団面接のみ2点以下だった者が34名(男性25名、女性9名、平均年齢26.2±4.8歳)、いずれの形式の面接でも2点以下だった者が25名(男性20名、女性5名、平均年齢28.0±8.3歳)であった。しかし、実習不合格者42名では、いずれの形式の面接でも3点以上だった者が11名(男性9名、女性2名、平均年齢22.5±5.0歳)と少なく、口頭試問のみ2点以下だった者が4名(男性2名、女性2名、平均年齢27.8±10.4歳)、集団面接のみ2点以下だった者が12名(男性12名、女性0名、平均年齢27.7±8.5歳)、いずれの形式の面接でも2点以下だった者が15名(男性11名、女性4名、平均年齢29.0±6.7歳)と多かった。【考察】臨床実習では、理学療法士になるために必要な知識や技術は勿論だが、医療従事者や社会人としての姿勢や資質も要求される。本研究により、面接試験で成績不良だった学生には実習不合格者が多いことが示された。このことから、入学試験時の面接試験は、学生の臨床実習における問題点を早期に把握する上で有効な手段だといえる。また入学試験で一般的に行われている口頭試問だけでなく、集団面接を合わせて実施することにより、問題点をより明確に抽出できると考える。今後は学生の問題点を早期に把握するだけでなく、臨床実習を念頭に置き、入学当初からどのような学内教育に取り組んでいくのが有効なのか、検討していきたい。【理学療法学研究としての意義】 入学試験において面接試験を実施して教員が評価することで、学力以外の問題点に対しても、臨床実習に向けてより早期から指導をすることが可能になると考える。
著者
佐藤 和紀 齋藤 玲 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.43-53, 2018-07-10 (Released:2018-07-10)
参考文献数
20

本研究では,メディア・リテラシー教育実践の継続,メディア接触,教師経験が,小学校教師のメディア・リテラシーに与える影響を調べることを目的とした.教師向けのメディア・リテラシーを育成するためのトレーニングプログラム(佐藤ほか2015,2016)を受講した若手教師とベテラン教師を対象に追跡調査を実施した.その結果,研究の目的1:トレーニングプログラム後のメディア・リテラシー教育の授業実践が教師のメディア・リテラシーに影響を与えていた,研究の目的2:トレーニングプログラム後のメディア接触が教師のメディア・リテラシーに影響を与えていた,研究の目的3:教師経験がメディア・リテラシー教育の授業設計に影響を与えていた,という3点が明らかになった.
著者
Jiaqi Li Yoshihiro Kokubo Ahmed Arafa Haytham A. Sheerah Makoto Watanabe Yoko M. Nakao Kyoko Honda-Kohmo Rena Kashima Yukie Sakai Emi Watanabe Masayuki Teramoto Tomoharu Dohi Masatoshi Koga
出版者
Japan Atherosclerosis Society
雑誌
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (ISSN:13403478)
巻号頁・発行日
pp.63317, (Released:2022-01-15)
参考文献数
25
被引用文献数
6

Aims: This study aimed to investigate the association of mild hypertensive retinopathy with cardiovascular disease (CVD) risk. Methods: A total of 7,027 residents aged 30–79 years without a history of CVD participated in the annual health checkups and retinal photography assessments. Retinal microvascular abnormalities were graded using the standard protocols and classified according to the Keith–Wagener–Barker classification. Mild hypertensive retinopathy was defined as grades 1 and 2. Cox proportional hazard model was used to calculate hazard ratios (HRs) and 95% confidence intervals (CIs) for total CVD and its subtypes according to the presence and absence of mild hypertensive retinopathy. Results: During a median follow-up of 17 years, 351 incident stroke and 247 coronary heart disease (CHD) cases were diagnosed. After adjustment for traditional cardiovascular risk factors, mild hypertensive retinopathy was positively associated with risk of CVD (multivariable HR=1.24; 95% CI, 1.04–1.49) and stroke (1.28; 1.01–1.62) but not with risk of CHD (1.19; 0.89–1.58). Generalized arteriolar narrowing and enhanced arteriolar wall reflex were positively associated with CVD risk, the multivariable HR (95% CI) was 1.24 (1.00– 1.54)and 1.33 (1.02–1.74), respectively. Moreover, mild hypertensive retinopathy was positively associated with stroke risk in normotensive participants. Conclusion: Mild hypertensive retinopathy was positively associated with CVD and stroke risk in the urban Japanese population. Especially, generalized arteriolar narrowing and enhanced arteriolar wall reflex were positively associated with CVD risk. These findings suggested that retinal photography could be helpful for cardiovascular risk stratification in the primary cardiovascular prevention.
著者
土肥 伊都子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.PS-002-PS-002, 2020

<p>土肥(2006;2009)は,男女大学生に,男女3人ずつの飲み会で,酒代の合計12,000円の場合の,男女別の支払い額を決定させる実験を行った。本研究は,これらと同一内容をGoogle Formで作成し,女性266名,男性91名の大学生に対して,インターネット上で回答させ,比較検討したものである。実験の結果,第一に,女性より男性の支払い額を高くすべきというジェンダー・ステレオタイプに沿った判断が,第二に,男性であれ女性であれ,酒をよく飲むほど支払い額もそれに応じて高くすべきという判断が,以前と同様に認められた。ただし,第二の判断の傾向が,今回,より強まった。すなわち,多くのケースで,女性の支払い額が男性の支払い額に近づく傾向がみられた。第三に,女性性優位型の女性が,男性より女性の方がより多く支払うべきと判断する傾向が,前回とは異なり今回は見られなかった。男性が多く支払うことを良しとしない傾向が強まるということは,将来の夫婦関係において,夫の稼得責任を妻が期待しなくなること,ひいては「男は仕事,女は家庭」というジェンダーを変えていくことにつながる可能性があると考察した。</p>

1 0 0 0 OA 薩摩風土記

出版者
韻勝閣主人写
巻号頁・発行日
vol.[1], 1834
著者
宮西 孝則
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.414-420, 2016

2015年10月29日~11月1日の4日間にかけてTokyo Paper 2015が東京大学にて開催された。本学会は,第9回国際製紙及び塗工化学シンポジウム(IPCCS)と国際紙物性会議(IPPC)との共同開催である。<br>IPCCSは,スウェーデンとカナダのコロイド化学,界面化学の研究者が中心となって約3年毎にスウェーデンとカナダで交互開催されてきた。IPPCは紙物性に関する国際会議であり,IPCCSとIPPCの共同開催は,2012年に次いで2回目である。参加総数は148名で,そのうち海外からの参加者が60%であった。研究発表の割合は海外の研究者が75%に達し,近年国内で開催された紙パルプ研究に関する国際会議では最大規模であった。主な参加国はスウェーデン,カナダ,フィンランド,中国,フランス,韓国,オーストリア,タイ,ノルウェー,ドイツで,米国,英国,オーストラリア,スイス,ルーマニア,ブラジルからの参加もあり,日本を含めて17か国の国際会議となった。<br>日本からは,東京大学,京都大学,九州大学,筑波大学,東京農工大学,高知大学,東京家政大学,慶應義塾大学,王子ホールディングス,日本製紙,北越紀州製紙,大王製紙,荒川化学工業,栗田工業,星光化学が貴重な研究成果を発表し,活発に質疑応答を行った。開会式では,実行委員長である東京大学大学院磯貝明教授が開会挨拶を述べ,続いて紙パルプ技術協会が日本の紙パルプ産業の現状について特別講演を行った。開会式終了後,参加者は2会場に分かれ,IPCCSは東大キャンパス弥生講堂一条ホールにて,IPPCは中島ホールにて口頭発表を行った。全部で78件の口頭発表と28件のポスター発表があった。IPCCSの発表はナノセルロースが多く,大きな関心を集めた。
著者
高橋 正雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1200, 2006-12-10

1921年(大正10年),島崎藤村が49歳の時に発表した『ある女の生涯』は,その前年に東京の精神病院で死亡した長姉そのをモデルにした小説である.藤村の長姉は,統合失調症を思わせる病のために根岸病院に入院し,65歳で亡くなるのだが,『ある女の生涯』にはこの長姉が示したであろうさまざまな精神症状が描かれている.なかでも印象的なのは対話性幻聴を思わせる表現で,この作品には,主人公おげんの内面に関する次のような描写がみられる.「おげんの内部にいる二人の人がいつの間にか頭を持ち上げた.その二人の人が問答を始めた.一人が何か独語を言えば,今一人がそれに相槌を打った」. 藤村は対話性幻聴を思わせる会話を,おげんの内面に定位させる形で描いているのである.しかも,おげんの内部にいるという二人の間では,「熊吉はどうした.熊吉はいないか」「いる」「いや,いない」「いや,いる」とか,「しッー黙れ」「黙らん」「なぜ,黙らんか」「なぜでも,黙らん」といった,対立的・論争的な会話が交わされている.こうした対立性・論争性は対話性幻聴の特徴であって,そうした特徴を藤村は「同じ人が裂けて,闘おうとした」と表現しているが,『ある女の生涯』には,このほかにも対話性幻聴を思わせる次のような会話が描かれている.「俺はこんなところへ来るような病人とは違うぞい.どうして俺をこんなところへ入れたか」「さあ,俺にも分からん」(中略)「お玉はどうした」「あれは俺を欺して連れて来ておいて」「みんなで寄ってたかって俺を狂人にして,こんなところへ入れてしまった」.
著者
浮田 裕
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育学会年会物理教育研究大会予稿集
巻号頁・発行日
no.25, pp.29-30, 2008-08-04

「数学・理科甲子園」は,兵庫県教育委員会の主催で県内の高校生3人が1チームとなり,数学,理科,科学技術等の知識,技能を用いて,日常生活と関連づけながら科学的に問題を解決するとともに,論理的に説明することによるプレゼンテーション等を行い,互いに切磋琢磨することにより,科学技術等に対する興味・関心,意欲・能力を高めることを目的としている。今回は,特に大会役員として取り組んだ2006年度の本戦(Bブロック)の理科実験(紙の構造物工作による強度の競技)と2007年度の決勝戦(天井の高さの測定)について報告する。
著者
水元 芳 パンチャランティ ノングラック パラディパッセン マンダナ スミタシリ スティラック
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.161-168, 2006

本研究は、近年増加する高血圧症が取り組むべき課題として掲げられるタイにおいて、異なる社会経済的階層人口が混在するナコンパトム県プトモントン地区での高血圧症と生活習慣に起因するリスク因子の究明を試みたものである。40歳以上の女性224名を対象とした症例対象研究であり、データは質問票を用いた面接法で収集された。<br>調査対象地区において、高血圧と最も関係の深い因子は肥満であった(OR=2.05, 95% CI=1.62-3.63)。糖尿病もまた同地区における高血圧のリスク因子であり(OR=2.42、95% CI=1.08-5.43)、肥満者で糖尿病を有する対象者が高血圧症を併発するリスクは通常の約4倍も高くなることが認められた(OR=4.10, 95% CI=1.17-15.72)。タイでは、一般的に塩分の過剰摂取が近年の高血圧症増加の主要な原因と考えられている、しかし、本研究結果では、高血圧症の有無と塩分摂取量の間に有意な関係は認められず、今後この対象地域で高血圧症対策のプログラムを展開させる際には体重コントロールを重点的に行うことが効果的であり、生活習慣病予防対策を講じる際には地域の人々の生活習慣に係る特性を踏まえたプログラム作成が効果的であることを示唆している。
著者
千野直一
雑誌
日医雑誌
巻号頁・発行日
vol.134, pp.2396-2397, 2006
被引用文献数
1
著者
大黒 倫也
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.635-643, 2007-11

【背景】現在,脊椎・脊髄手術や胸腹部大動脈瘤手術中の脊髄機能モニタリングとして運動誘発電位(motor evoked potential;MEP)測定が広く行われているが,MEPは各種麻酔薬や筋弛緩薬の影響を受けやすく,術中のMEP導出やその解釈には麻酔に使用する薬物の影響を熟知する必要がある.ミダゾラムは周術期に前投薬や麻酔導入薬として頻用されている比較的新しいベンゾジアゼピン系薬剤であるが,MEPに対する影響については確立されていない.単発経頭蓋的電気刺激で誘発されるMEPに対するミダゾラムの影響については報告間で結果が一定しない.また,連発経頭蓋的刺激によるMEPに対する影響については報告がない.今回,申請者らはMEPにほとんど影響がないとされているケタミン麻酔下にミダゾラムを投与し,経頭蓋的5連電気刺激により前脛骨筋とひらめ筋に誘発される筋電図(MEP)に対する作用を調べた.また,膝窩部脛骨神経刺激でひらめ筋に誘発される筋電図(H波・M波)を記録することにより,ミダゾラムの運動路における作用部位についても検討した.【方法】特発性側湾症に対する後方固定手術に際し,術中脊髄機能モニタリングが必要とされ,本研究に対してインフォームドコンセントが得られた患者6名を対象とした.麻酔前投薬は投与せず,ケタミン2mg/kg,亜酸化窒素(60%)とスキサメトニウム1mg/kgにて麻酔導入し,その後は亜酸化窒素を中止してデータ取得終了まではケタミンを2mg/kg/hrで持続静注した.呼気中亜酸化窒素濃度が5%未満になったところで,MEP,H波,M波の記録およびミダゾラムの静脈内投与を開始した.経頭蓋的電気刺激および脛骨神経刺激はそれぞれDigitimer社製MultiPulse Stimulator D185と日本光電社製ニューロパックΣを用い,誘発筋電図の記録はともに日本光電社製ニューロパックΣを用いた.経頭蓋的電気刺激用皿電極は国際10-20法のC3,C4の位置に貼付し,刺激設定は刺激強度600V,0.05ms矩形波,刺激間隔2ms,5連刺激とした.脛骨神経刺激は皿電極を用いて膝窩部で行い,1msの矩形波を用いて頻度0.3Hzで刺激した.M波記録時は最大上刺激で刺激を行い,H波記録時は最大振幅が得られる刺激強度で刺激を行った.MEPの導出は両側前脛骨筋と片側ひらめ筋の体表上から,H波・M波の導出は片側ひらめ筋の体表上からシールド付皿電極を用いて行った.データ取得時の周波数帯域は20Hz〜3kHzとした.MEP,H波,M波の記録は(1)ケタミン麻酔下ミダゾラム投与前(コントロール),(2)ミダゾラム0.1mg/kg投与5分後,(3)ミダゾラム0.1mg/kg追加投与5分後,(4)フルマゼニル(ベンゾジアゼピンレセプター拮抗薬)0.2mg投与5分後の4時点にて行い,それぞれ立ち上がり潜時と振幅を測定した.全てのデータはmean±S.E.で表した.統計処理はpaired t-testを用い,p<0.05をもって有意差ありとした.データ取得後はケタミンを中止し,プロポフォールの持続静注とフェンタニル静注で麻酔を維持した.【結果】患者の年齢は14.0±0.8歳,身長は159.0±2.9cm,体重は45.2±1.9kg,男女3人ずつであった.MEPの立ち上がり潜時はミダゾラム,フルマゼニル投与の前後で有意差は認められなかったが,振幅はミダゾラム0.1mg/kg,0.2mg/kg投与後ではそれぞれコントロールの47.2±7.1%,36,6±6.3%に有意に減少した.フルマゼニル0.2mg投与後ではコントロール値の68.8±10.3%に回復した.一方,M波とH波に関しては,立ち上がり潜時・振幅ともミダゾラム,フルマゼニルによって有意な変化は認められなかった.【考察】ミダゾラムは経頭蓋的5連電気刺激で前脛骨筋及びひらめ筋に誘発されるMEPの立ち上がり潜時を遅延させることなく,振幅のみを抑制した.その影響はフルマゼニルによって拮抗されることからベンゾジアゼピン受容体を介する作用であることが確認された.また,ミダゾラムはM波には影響しないことから,2次運動ニューロンの伝導,神経筋接合部や筋肉には影響しないことが明らかとなった.さらにミダゾラムは今回の投与量ではH波にも有意な影響を及ぼさないことから,脊髄前角細胞の活動性を含む脊髄反射弓全体の活動性には影響は少ないものと考えられる.以上のことから,ミダゾラムは2次運動ニューロンではなく,1次運動ニューロンの興奮性あるいは1次運動ニューロンから2次運動ニューロンへのシナプス伝達を抑制することによってMEPの振幅を減少させることが示唆された.