著者
高重 久美
雑誌
文学史研究 (ISSN:03899772)
巻号頁・発行日
no.41, pp.17-29, 2000-12

「秋夕風」に関して、「秋夕風」題で初めて歌を詠んだ「六人党」の源頼実と、そのことを強く意識していた源俊頗のことが思い浮かぶ。彼らは清新かつ印象群明な傾向の強い歌を詠んでいる。その理由として、頼実の場合には漢詩文を能くしたことも言えようが、俊頼との間に共通するのはむしろ、管弦者であった俊頼の父経信にも言える、音に対する敏感さ、聴覚の鋭さであり、それは頼実が資通、定頼、敦貞親王ら音楽の才に恵まれた管紘者を周辺に持つ芸術性豊かな環境にあったことが大きいことを、かつて述べたことがある。……
著者
原田 修 桑田 実 山本 統平
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.261-265, 2007-06-15 (Released:2007-10-04)
参考文献数
13
被引用文献数
3 8

開発した高圧熱水抽出装置を用いてイワシ鱗からゼラチンの抽出を行い,ゼラチンの抽出挙動および抽出ゼラチンの性状について検討した.本方法による抽出では抽出管のフィルターに目詰まりは認められず安定した抽出を水だけで行うことができた.抽出管出口温度が温度領域143-153℃以上において加水分解反応が顕著になり,抽出管入口温度225℃ 8分間(抽出管出口温度156-202℃)の抽出でほとんどのイワシ鱗コラーゲンが溶出することが分かった.抽出物中のタンパク質はほぼゼラチンであり,数パーセントのアパタイトと考えられる灰分が含まれていた.またアミノ酸の顕著な熱分解は認められなかった.抽出されたゼラチンの分子量はGPC曲線のピーク地点で443kDa付近から6.5kDa付近となっており,抽出温度が高くなるほど低くなった.入口温度225℃で400-1000mLの画分では,分子量分布の狭いペプチド領域のゼラチンが得られた.
著者
村上 京子
出版者
名古屋大学留学生センター
雑誌
名古屋大学留学生センター紀要 (ISSN:13486616)
巻号頁・発行日
no.10, pp.13-22, 2012

日本の工場で働く日系ブラジル人など就労外国人には,在日期間が10年以上と長くなっても日本語の読み書きがほとんどできない人も多い。しかし,従来の日本語能力を測る試験は日本語によって出題されるため,質問文が読めない人は受験することができなかった。そこで,就労外国人が母語で受けられるように多言語で,また生活に密着した内容による日本語の読み書き能力判定試験問題を作成し,工場などで実施した。その結果,問題数が少ないにもかかわらず,信頼性は十分な水準にあることが確認された。また,マニュアルが整備されているため,テスターによる判定のゆれはほとんど見られなかった。判定結果は,工場内などの日本語教室でプレイスメント・テストとして活用されている。今後,外国人を雇っている企業や商工会議所,ハローワークなどとも連携し,処遇や就職の際の参考資料として活用していけるように拡充・普及を図っていきたい。
著者
衣川 隆生 衣川 隆生
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文芸言語研究 言語篇 (ISSN:03877515)
巻号頁・発行日
no.43, pp.71-85, 2003

1990年の出入国管理及び難民認定法の改正、施行以降、就労を目的として滞在する外国人(以下、就労外国人と呼ぶ)は増加の一途をたどっており、2002年の国勢調査によると、その数は694,916人に達している。このような就労外国人の増加に伴い、労働、福祉、医療、住宅、教育、文化など、彼等に関わる数多くの問題の解決を図る第一歩として、豊田市保見団地に存在する外国人住民の日本語文字(ひらがな、かたかな、漢字)による読み書き能力の実態を明らかにし、実態に即した日本語教育および社会教育プログラムを開発することを目的として行われたものである。本稿では、このうち、2000年12月から実施された横断的調査の結果から書字能力調査を取り上げ、就労外国人における一般的傾向を把握するとともに、先行研究で示唆された可能性を再検討することを目的としている。分析の結果、1)カタカナによる姓名書字に関しては約半数の人が可能であるが、その他の表記では2割強の人しか自分の姓名の全部を正確には書けない、2)住所に関してはどの表記でも、2割以下の人しか書字できず、来日時期、職業に関しては、1割以下の人しか書字できない、3)前回の調査時点1995年から、2001年の調査時点までの就労外国人における書字能力は、変化していない、という結果が得られた。本稿の最後では、調査結果に基づき、今後の課題を議論する。 ...
著者
武上 幸之助
出版者
拓殖大学経営経理研究所
雑誌
拓殖大学経営経理研究 = Takushoku University, the researches in management and accounting (ISSN:13490281)
巻号頁・発行日
no.115, pp.125-130, 2019-03

今後の通貨貿易の問題提起①貿易通貨選択と国際通貨体制戦後,世界貿易取引制度の原型は,合衆国の連邦成立期の州際取引にある。各州経済制度を連邦制度として取引保証するために,各州が連邦制度を認証する過程が必要であった。建国当時は一地域通貨であった合衆国ドルは,連邦通貨として各州議会の認証を受け制度保証されたが,通貨発行原資や金融,流通制度にも厳格な取り決めが行われたのは,経済取引保証制度(金本位制度)という通貨機能の統制についての認識が重要視されたためである。戦後の復興経済を支え,永らく継続したブレトンウッズ協定をくつ返し,金兌換停止(ニクソンショック)と,それに伴うOPECとの対立は石油危機としてドル貿易制度のリスクを極大化した側面であり,ドル信用一極集中であった国際通貨制度がドル信用の低下により大きく毀損したリスクエポックであった。②為替政策と貿易決済制度合衆国の一国通貨であるドルが強制通用力を持つ国際通貨として貿易各国の国富資産(外貨準備高)に計上され,ドル制度保証としてのIMF 制度により各国GDP成長率として信用経済指標として位置づけされる。ドル本位に位置付けられた各国通貨はドル為替相場を通じて貿易取引決済を行うことが実勢としてルーティン化されてくる。これは国際重要商品の殆どがドル決済でしか取引できず,合衆国が認証したコルレス銀行決済でしか取引できない事からも証左される。日本円は,貨幣法による国内にて強制通用力を持つ専用通貨であり,合衆国ドルは日本外為法による海外送金決済為替,貿易通貨として強制通用力を持つ。外為法改正により原則規制から自由化に至ったが,貿易取引の今尚,60%強が合衆国ドル決済であり,円建て決済は企業内貿易取引,円借款,ODAなどに限定されている。③為替調整と円高デフレ平成時期のステルス不況は,プラザ合意以降の円高容認と,それに続く産業空洞とデフレ,著しい需要不足が主因とされる。凡そ50%高にも及ぶ為替水準訂正によって受けた日本の貿易赤字(円高輸出減を円安輸入増と相殺しても),失われた国富(外貨準備高)は多大であり,世界各国の為替通貨が低水準である中,現時点でも日本円の独歩高となり,経済実態とは乖離した為替水準となり水準訂正改善の見込みもない。④国際地域通貨と三極化問題合衆国ドルのもう一つの特性は各州独自の地域通貨であった所以から生じる。通貨統一連合が早期から,国際地域通貨「AMERO」を構想し,NAFTA経済ブロックでの共通通貨として新ドル創設が図られており,ブロック外への従来ドル流通が想定されている。国際地域通貨統合の動きは,EUにおける€ 統一,中国AIIBにおける東アジア共同体構想での共通通貨(RMB)等でも象徴される将来の通貨統合を目指すグローバル動向であり,来たるべき今後の貿易通貨交渉の焦点でもある。合衆国一極のドル信用経済体制はすでに低下しており,やがて地域通貨主軸へ分散,国際通貨グローバル競争の中で,貿易体制は,決済面で複数の強国を基軸とした国際地域通貨の時代を迎えるだろう。
著者
西原 克成 荘司 延三 崎谷 博征
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第35回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.62, 2007 (Released:2007-10-12)

人類に特有の自己免疫病と呼ばれる「わけのわからない免疫病」は、文明国では、今日では極くありふれた病気となっている。これらは、以前は、成人で日和見感染症、小児で自家中毒症と呼ばれたものが慢性化した疾患である。ともに自身の喉や口腔や腸管内の常在性細菌やウィルスが種々の器官等の細胞内に感染を生じて発症する。人類のみに可能な口呼吸習癖者や、腸を冷やしたり暴飲暴食した時、骨休め不足で過労の時や歯周病の歯で咀嚼した時、太陽光線不足の時にワ氏扁桃リンパ輪や腸扁桃のM細胞や歯根膜の細網内皮造血系から白血球に取り込まれた腸内細菌が血流やリンパ流に乗って体中を巡る。白血球内の細菌は最初に鰓器由来の、ホルモンによる制御システムの脳下垂体・副腎系の細胞に血行性に播種される。皮下組織の細胞が腸内細菌やウィルス等によって細胞内感染症に陥ったのがアトピー性皮膚炎である。身体が受けるエネルギーが不適当でも、身体の使い方が不適でも、ヒトは容易に腸内細菌の不顕性の細胞内感染症を発症する。これにより感染した細胞内の糸粒体が障害され荒廃する。ステロイドホルモン剤の標的器官が糸粒体である。これはATPを産生して消炎を促すが、ウィルスや細菌は消化しない。文明化により、先に示した五つの複合要因により細胞内感染症を生じ、細胞内の糸粒体の形態と機能が荒廃したのがわけのわからない免疫病の実相である。複合原因が解析出来なかったために、原因不明の自己免疫病とされたが、複合要因をすべて取り除き、腸内を整えれば予防も治療も可能である。乳幼児から高齢者に至るまでの治験症例を示す。複合要因の除去により完治する事がこれらが真の原因であることのエビエンスである。

1 0 0 0 OA [鳥類図譜]

出版者
巻号頁・発行日
vol.一, 1700
著者
西原 克成
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.940-942, 1996-12-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
19
著者
西原 克成
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.2-11, 1995-05-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
松本 良 薬袋 佳孝
出版者
The Sedimentological Society of Japan
雑誌
堆積学研究会報 (ISSN:18844715)
巻号頁・発行日
vol.21, no.21, pp.1-9, 1985-03-01 (Released:2010-05-27)
参考文献数
15

Manganese content of the deep sea sediments increases with decreasing the rate of sedimentation. This is interpreted as dilution of hydrogenous manganese, which accumulates at constant rate, by various amounts of terrigenous, biogenic and volcaniclastic materials. Deep sea sediments on and around the East Pacific Rise show strong negastive Ceanomaly, while brown clay and blue clay in the West, North and South Pacific show normal REE pattern.On the basis of the relation between Mn content and sedimentation rate, and the REE patterns (Ce anormaly and La/Yb ratio), deep sea sediments are classified into four types. They are 1) Type I, which deposits near land and is characterized by abundant terrigenous suites, 2) Type II, which deposits on abyssal plain very far from land and spreading center, 3) Type III, which deposits on and around active spreading ridge and is characterized by hydrothermal and volcaniclastic materials, and 4) Type IV, which deposits around active spreading ridge near land. Type IV is a mixed type of Type I and Type III.