著者
松野 博明
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.14-23, 2021 (Released:2021-05-20)
参考文献数
42

COVID-19は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされた進行中の世界的流行病である.世界保健機関は2020年3月パンデミックを宣言し,現在世界では1億2400万件以上の症例が確認されている.最初の報告から約1年の間にCOVID-19の危険因子・治療法・ワクチンが発表されてきた.高齢・心血管疾患・糖尿病・呼吸器疾患・肥満・悪性腫瘍・高用量ステロイド投与などは,COVID-19の危険因子とされている.現在の薬ではCOVID-19を完全に治療することはできないが,一部の薬は症状を緩和し,病気の管理に役立つ可能性がある.候補には,レムデシビル,デキサメタゾン,IL6阻害剤,バリシチニブ,およびスパイクタンパク質に対するモノクローナル抗体等がある.ワクチンは,COVID-19のパンデミックを制御および阻止するための効率的な手段であり,世界中がワクチンの開発をすすめているが,SARS-CoV-2には幾つかの変異種が出現しはじめ,伝染性の増加・病原性の増加およびそれらに対するワクチンの有効性の低下の可能性も懸念されはじめている.
著者
森 美加 馬渕 麻由子 酒井 佳永 安田(鹿内) 裕恵 岩満 優美 飯嶋 優子 日高 利彦 亀田 秀人 川人 豊 元永 拓郎
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.132-145, 2013-07-15 (Released:2017-01-26)

女性が多数を占める疾患である関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis : 以下,RAとする)患者がどのような心理的支援を望んでいるのか,そのニーズを調査し,さらに,RA患者に対するサービスのあり方を検討し,ニーズに合わせた支援プログラムを提案することを目的として,2011年2月から8月,RAに罹患し医療機関にて治療を受けているRA患者で,研究参加に同意した20名(女性18名,男性2名)を対象として,調査票および面接による調査を行い,面接の逐語記録の文書データをグラウンデッドセオリーアプローチを参考にして分析した.その結果,電話相談,ホームページ,メール相談,個別心理相談,心理教育,セルフケアグループすべての支援に対してニーズがあり,特に電話相談(必要時),個別心理相談(通院先),心理教育のニーズは顕著であった.そこで,個別心理相談,心理教育を中心とした,チームによる包括的なケアシステムがRA患者のQOLを高めるためには有効なのではないかと考えられる.また,心理教育のテーマとしては,確定診断時においては,(1)病気の具体的な説明,(2)身体的ケア,(3)心理的ケア,(4)療養上の工夫が,生物学的製剤開始時においては,(1)効果と副作用を中心とした具体的説明,(2)自己注射について,(3)費用について,(4)生物学的製剤を使用する上での不安と期待についてが,家族向けとしては,(1)病気の説明,(2)RA患者の心理について,(3)家族へのケアが考えられる.さらに,不安の受容と変化を併せ持った心理療法的チームアプローチであるDBTを参考にした包括的ケアシステムの開発は,不安と安心の間で揺れ動くRA患者の心理的ケアのモデルとして有効であり,また,RA患者の長期的Quality of Lifeを最大にすることを治療目標とするT2T(Treat to Target)の有効性に繋がるのではないかと考えられる.
著者
島袋 宏俊 稲嶺 修 仲村 敏 宮城 正男 佐藤 正寛 石井 和雄
出版者
沖縄県畜産研究センター
雑誌
沖縄県畜産研究センター試験研究報告 (ISSN:18836496)
巻号頁・発行日
no.47, pp.29-36, 2009

琉球在来豚アグー(アグー)と他品種との識別(アグーの識別)の精度を向上させることを目的として、マイクロサテライトマーカー(MSマーカー)を用いて、沖縄県アグーブランド豚推進協議会(協議会)が登録認定したアグー171頭、また県内において飼養されている他品種35頭およびアグー交雑種60頭についてMSマーカーの遺伝的多型性を調査し、アグーの識別を行った結果、以下のとおりであった。1.現在、協議会がアグーの識別に利用している23個のMSマーカー(Aセット)を用いた結果、供試豚全体の対立遺伝子(アリル)数、ヘテロ接合度観察値(Ho)および多型情報含有値(PIC)の平均値はそれぞれは5.5、0.40、0.45で、遺伝的類似度0.26でアグーが識別可能である。2.新たに選抜した14MSマーカー(Bセット)を用いた結果、供試豚全体のアリル数、HoおよびPICの平均値はそれぞれは7.8、0.63、0.63で、遺伝的類似度0.13でアグーが識別可能である。3.アリルサイズが重ならないマーカー同士を混合(セット化)する場合としない場合との分析コストを比較すると、AセットおよびBセットはセット化した場合がセット化しない場合よりそれぞれ約50%および約40%低減できる。また、Aセット化とBセット化との分析コストを比較すると、Bセット化がAセット化に比べ約30%低減できる。以上のことから、アグーを識別する際、BセットはAセットより高精度に識別可能である。また、Bセット化はAセット化より効率的な分析が可能で、コストを低減できる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1602, pp.11-12, 2018-03-26

2017年秋に行われた東経110度CSの衛星基幹放送業務に関する認定申請の審査結果の公表時期が近付いている。総務省は今回の認定申請のスケジュールについて、2018年5月ごろに認定を行う考えを2017年9月開催の説明会で示している(本誌2017年10月2日号p.3-4に関連記事)…
著者
鎌田 浩作 石川 知一 竹島 由里子 柿本 正憲
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.183-184, 2016-03-10

近年、コンピューターグラフィックスの技術が向上したことにより、現実に近い表現が可能になっている。経年変化は現実に近いCGを制作するために重要な要素であり、経年変化の1つに金属による錆が挙げられる。錆は雨による水の付着、酸素量や流水の影響によって大きく変化し、モデルの形状と化学反応過程を考慮した錆の生成モデルは存在しない。本研究では、3D空間上で流体シミュレーションを行い3Dモデルと水の付着と流れを計算し、3Dモデルの表面上で進行する錆の様子をテクスチャ画像上で水の厚みと化学反応過程を考慮した錆の進行シミュレーションを行うことによって、現実で生成される錆に近い画像が得られることを確認する。

1 0 0 0 OA 実践道徳学

著者
能勢栄 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
vol.上, 1891
著者
是枝 亜子
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2008

本稿では、発展途上国における法中毒学に対して学術的支援を行う目的から、CQの法中毒学的研究として以下の3つの研究を行った。まず、急性CQ中毒死事例における組織中CQ濃度の定量(第VI章)においては、簡便な高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるCQ分析方法を考案し、その方法を用いてタンザニアでの急性CQ中毒死事例におけるCQの体組織分布を調べた(Yonemitsu et al., 2002; Yonemitsu et al., 2005)。また、急性CQ中毒マウスにおけるCQの組織内分布(第VII章)においては、CQに対するポリクローナル抗体を作製し、抗CQポリクローナル抗体を用いた免疫組織染色法によって急性CQ中毒モデルマウスの組織中におけるCQの分布状態を検索し、これをCQの急性毒性機序の理解を深める一助となる様に検討を行った(Koreeda et al., 2007a)。さらに、抗CQモノクローナル抗体(MAC)を用いた試料中CQ濃度の簡易半定量システムの開発(第VIII章)では、CQの簡易検出法を開発することを目的に、 CQに対するモノクローナル抗体を作製し、これを用いた半定量法を考案してその有用性について検討した。
著者
佐藤 明香 宇賀 麻由 植田 真司 矢野 修也 小川 弘子 三好 智子 難波 志穂子 大塚 文男
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.405-410, 2020-08-25 (Released:2021-03-15)
参考文献数
8

背景 : 本邦の臨床研修病院で研修医メンター制度が導入されてきているが, 制度の詳細や効果については明らかにされていない. 目的 : 当院で運用している研修医メンター制度を紹介し, 2018年度に本制度を利用した研修医 (メンティ) からのメンター制度に対する評価を明らかにする. 方法 : 制度を利用した研修医に無記名のwebアンケート調査を実施した. 結果 : 2018年度採用研修医の78.0% (32名) が本制度を利用した. 調査の回答率は87.5% (28名) で, 制度に対する満足度は高かった. 考察 : 今後はメンターも対象に,より詳細なアンケート調査を実施し, さらなる制度改善へとつなげたい.
著者
芝 順太郎 佐藤 正章 原 鉄人 平岡 希生 竹内 護
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.160-165, 2021-03-15 (Released:2021-04-22)
参考文献数
6

メンター制度の初期研修医への教育効果に関する報告は少ない.われわれは初期研修医教育として振り返りカンファレンス(DC;Debriefing Conference)を導入している.DCは初期臨床研修医が自ら振り返りたいと考えた症例を提示し,ファシリテーター役の上級医数名と初期研修医で行った.DCの内容は麻酔管理上の問題点および臨床能力の向上に必要なスキルに分類した.またDCからコミュニケーションに起因する事象が初期研修医にとって問題であることがわかった.コミュニケーションを促進する改善策としてメンター制度を導入し,メンター制度がDCに及ぼす影響を検討した.メンター制度の導入によってDCにおいて疼痛管理とコミュニケーションに関する報告は皆無になった.