- 著者
-
村田 浩一
- 出版者
- 公益社団法人 日本獣医師会
- 雑誌
- 日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.11, pp.811-813, 1988-11-20 (Released:2011-06-17)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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8
7
神戸市近郊で保護された傷病野生イノシシ17頭について, ラテックス凝集 (LA) 反応によるトキソプラズマ (Tp) 抗体保有状況の調査を行った. 17頭中9頭が陽性 (32≤) であった. さらに, Tp抗体価128倍を示した5個体について, 免疫グロブリンの分画を行い各分画の抗体価を測した.生後2日齢および20日齢の個体のTp抗体は, IgGを示す単峰性のピークであることから, 母体よりの移行抗体であると考えられ, 母体の感染が凝われた. IgMとIgGを示す2峰性のピークをもつ成獣は, Tp感染の初期の状態にあると考えられた.これらの結果から, 野生下のイノシシも広範にTp感染を受けていることが示唆され, 野生動物との接触ならびに捕獲, 摂食については十分な配慮が必要であると思考された.