著者
近藤 有紀 葛西 敦子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Hirosaki University (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.123, pp.165-173, 2020-03

本研究は,大学生の中でも今までに一回もたばこを吸ったことがないと自己申告した非喫煙者(以下;非喫煙大学生)を対象に質問紙調査を実施し,非喫煙大学生が喫煙者やたばこに対し抱く嫌悪意識に関する要因を明らかにすることを目的とした。370名(男性112名,女性258名)から回答を得た。①370名のうち38名(10.3%)がたばこの『煙』,87名(23.5%)がたばこの『におい』が気になると回答していた。②たばこの『煙』を嫌だと「感じる」者は311名(84.1%),たばこの『におい』を嫌だと「感じる」者は301名(81.4%)であった。③非喫煙大学生が喫煙者やたばこに対し嫌悪意識を抱く要因に関する因子として,第1因子「喫煙者への負のイメージ」,第2因子「人的背景」,第3因子「周囲への影響」,第4因子「においの影響」,第5因子「マナー違反」の5因子が抽出された。本研究で,非喫煙大学生は,たばこの『煙』や『におい』に嫌悪意識を抱いている者が9割以上おり,特にたばこの『におい』に嫌悪意識を抱いていることが明らかとなった。
著者
長谷川 隆史 佐熊 晃太 西 啓太 小無田 彰仁 東 登志夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.137-141, 2021 (Released:2021-02-24)
参考文献数
17

[目的]本研究の目的は,痛みに対する破局的思考が強い脊椎圧迫骨折患者への有効な介入方法を検討することである.[対象と方法]対象は脊椎圧迫骨折と診断され,当院に入院した高齢男性であった.成功体験を強調した介入を行い,痛みの程度(NRS),痛みに対する破局的思考(PCS),不安抑うつ状態(HADS),日常生活動作能力(mFIM),活動量を評価した.[結果]入院時PCSの合計点は44点と高値を示したが,成功体験を強調した介入を実施することで,32点に改善し,その他の痛み関連因子も改善し,mFIMも37点改善した.[結語]痛みが強い脊椎圧迫骨折患者に対し,入院早期から多職種協働で成功体験を強調した介入を実施することで,PCSを改善させ,痛みの遷延化を防止できる可能性が示唆された.
著者
渡辺 研 日比野 啓一 本田 富義 熊谷 禎晃 森 一耕
出版者
愛知県環境調査センター
雑誌
愛知県環境調査センター所報 = Bulletin of Aichi Environmental Research Center (ISSN:21864624)
巻号頁・発行日
no.45, pp.19-24, 2018-03

2011年3月,東京電力福島第一原発事故により,人工放射性核種が環境中に放出された。愛知県が実施している環境放射能水準調査においても,土壌,大気浮遊じん及び降下物から,自然放射性核種と比較して十分低い放射能濃度ではあるが,人工放射性核種の134Csや131Iが検出され,事故由来物質の本県への到達が推定された。今回,本県内における環境放射能レベルを把握し,原発事故の影響を評価するために,2013年度から2016年度にかけて,県内全域を網羅し,かつ環境放射能水準調査の地点を含む計24地点の土壌調査を実施した。その結果,本県東部に位置する東三河地域の調査地点において,自然放射性核種と比較して十分低い放射能濃度ではあるが,原発事故由来と推定される人工放射性核種を検出し,さらに,その地理的な分布状況を把握した。この人工放射性核種が検出された領域は,WSPEEDIによる137Csの積算沈着量の試算結果が示す領域とよく整合していた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.9, no.17, pp.88-90, 2010-10-19

そもそも叱る目的とは何か。部下に嫌われるリスクを負ってまで、なぜ叱らなくてはならないのかを確認しておこう。『絶妙な「叱り方』の技術』の著者で、財団法人日本コミュニケーション能力認定協会の会長、藤崎雄三さんはこう語る。「まず問いかけてほしいのは、企業は自分にどんな役割を求めているか、ということ。部下に好かれることではないだろう。
著者
仁平 義明
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

ハシボソガラス(Corvus corone)が自動車にクルミをひかせて割り、子葉部分を摂食する行動(車利用行動)の学習について研究を行なった。仙台市川内地区での連続的な観察からは、この行動には次のような要素についてバリエーションがあることが明らかになった:(1)クルミの性質と調達方法(花肉のついた青いクルミを木から直接とる、埋めて貯蔵しておいた核果だけのものを取り出すなど)、(2)クルミを道路にセットする方法(赤信号で停車した車の直前に出ていったクルミを置く、車の通りそうなルートへらかじめクルミを置く、など)、(3)場所、時刻、交通量などのいわゆるTPO条件、(4)待ち時間、(5)置き直しなどの修正行動など。こうした行動には同じ個体の中で柔軟な変化が見られることから、多項的な知識構造であるスキーマの学習がされたと考えた方がよいと思われた。また、認知心理学的なスキーマ論からは、車利用行動の学習についても、スキーマ形成のほかに、変数の制約範囲の変更や変数の付加などによる行動の効率化(チューニング)と、スキーマに基づく一回一回の行動の結果に関するデータ蓄積という下位の学習を区別すべきであると考えられた。さらに北海道、東北地域の広域的な質問紙調査からは、車利用行動は宮城県以外にもいくつかのみでみられる行動であることが確認された。また、その発生時期からは、ハシボソガラスの車利用行動は各県独立にしかも同じような時期に発生した行動であると考えた方がよいと思われた。
著者
藤田 宏美 清水 友里 大塚 譲 上田 悦子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.469-478, 2016 (Released:2016-08-23)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Class practice and opinion on food safety education including that of genetically modified food was carried out based on a survey of high school home economics teachers in T prefecture. More than 90% of the teachers surveyed had taught food safety classes which included classes on food safety and genetically modified food. 38% of the teachers did not regard GM food as unsafe. Those teachers considered the advantages and disadvantages from a neutral viewpoint. The teachers who regarded GM food as unsafe felt the same way about food additives. They were also of the opinion that students became aware of the possible harmful effects of genetically modified food following a class on the subject. Teachers wanted to have up to date information on genetically modified food and wanted to conduct DNA recombination experiments in class. It is necessary to have the opportunity to learn about genetic information and genetic experiments for home economy teachers. It is also essential to develop good teaching materials about genetically modified food.
著者
山崎 史織 山岸 晶子
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.19-28, 2009-01-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
16

近年,里山・雑木林は管理されずに放置されているところが多いため,その林床の多くは藪の状態を呈している。市川市北国分にある小塚山公園の雑木林は1977年に植生調査されて以来,またはそれ以前から伐採や下刈りなどの管理がなされていない。この雑木林は1977年にA~Jの10地点で調査されているが,本調査ではB ,E,G,1の4地点の林分に出現する高木およびその林床に生ずる高木の稚樹や潅木等をマッピングし,樹高や胸高直径などの測定を行った。また,林床の地表30cmでの相対照度(%)を測定し,高木稚樹の分布との関係を考察した。その結果林床の相対照度は大半の場所で1%以下であったが,そのような光環境下で1977年当時にはほとんど出現していなかった常緑の低木・潅木や高木の照葉樹の稚樹が多く出現した。特に種子の供給源となる母樹の存在もあってシラカシ(Quercus myrsinaefolia)の稚樹が最も多く,次にシロダモ(Neolitsea sericea),タブノキ(Machillus thunbeygii)が多く見られた。シラカシとタブノキの稚樹では明るさに対する出現ピークに有意な差が認められ,タブノキはシラカシよりもやや明るいところに多く出現した。この雑木林はこのまま放置されれば,落葉広葉樹の雑木林からシラカシを優占種とする照葉樹林に遷移することが予想された。。