著者
矢吹 信喜 町中 啓樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.87-94, 2005

我々は, 以前から鋼桁橋を対象としたプロダクトモデルの構築と, ヴァーチャルリアリティ技術を用いた鋼桁橋の設計システム (VR-CAD) の開発を行っている. 以前構築した鋼桁橋のプロダクトモデルは, フランジやウェブ等の各要素をオブジェクトとして定義できないことや接合に関する情報を定義できないという問題があった. また, VR-CADにおいては, マウス操作による部材の選択や, 視点移動ができず操作性に問題があった. 本研究では, これらの問題を改善するために鋼桁橋のプロダクトモデルの再構築を行い, VR-CADをJava 3Dを用いて開発することで操作性の向上を図った. さらに, VR-CADの視覚的効果に関するアンケート調査を行った.
著者
菊池 司 工藤 芳彰 岡崎 章 木嶋 彰 古屋 繁
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.35-44, 2004
被引用文献数
1

デザインの対象が「モノ」から「コト」への移行がいわれて久しい昨今,ユーザが製品や提供される環境を利用していくなかでの全体的な経験までを視野に入れた「Experience Design」,つまり経験を提供するデザイン,あるいは経験そのものをデザインの対象とするという視点に立ったデザインの必要性が言われている.しかしながら,「Experience Design」の意味する本質は見えにくく,経験をデザインできるのかという疑問があるのも事実である.そこで本論文では,「Experience Design」という言葉が意味するものは何かを研究事例などを通して探り,新しい領域へと広がっていくデザイン研究,および実践のあり方を検討するものである.
著者
吉川 敏子 吉川 真司 小山田 宏一 鷺森 浩幸 田中 俊明 坂井 秀弥 藤本 悠
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2019年度は3年間の補助事業の2年目として、昨年度の成果を踏まえ、概ね4つの方面での成果を得た。まず1つめは、当初より予定していた朝鮮半島の牧の故地を巡見し、韓国の研究者と交流したことである。韓国における古代牧の研究自体がまだ始まったばかりであり、今後、国際的な視野を広げつつ本研究課題を継続的に行っていく上での課題を得た。2つめは、平安時代の勅旨牧設置4カ国のうち、信濃国と上野国の古代牧推定地を巡見し、昨年度巡見した甲斐国との比較検討ができたことである。上野の場合は、榛名山噴火の火山灰降下により、通常は遺らない古墳時代の地表面の人為的痕跡が調査されてきたが、現地に立ち、地形を実見しながら牧の景観復元について学べたことは、これを畿内の古代牧に置き換えて検討する際に、両地域の相違点も含めて大いに参考となるとの手応えを得た。また、信濃国望月牧では実際に土塁の痕跡を地表にとどめており、具体的に畿内牧の故地を検討する際には、地中に埋もれたものも含め、留意すべき遺構であることを注意喚起された。3つめは、昨年度に続き、個別具体的な畿内の古代牧についての検討を進められたことである。年度中に、研究代表者による河内国辛嶋牧、研究協力者である山中章による大和国広瀬牧・伊賀国薦生牧についての研究論文を発表し、本年度の研究会において報告と検討を行った摂津国鳥養牧、同垂水牧、河内国楠葉についても、近年中に成果を公表できると考えている。4つめは、本年度より、古代の馬を研究する考古学のグループとの情報交換を積極的に行える関係を築いたことである。本科研補助事業の研究は、現在のところ文献史学と地理学に比重がかかっているが、考古学を基軸とする研究会との研究協力により、古代の牧と馬の双方向から、古代社会における馬の生産と利用の具体相の解明を加速させられると考える。
著者
香川 正幸 吉田 悠鳥 鈴木 哲 栗田 明 松井 岳巳
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.85-94, 2010

電波防護指針に準拠した小電力24 GHzマイクロ波レーダーを使用して,高齢者を対象とした非接触の呼吸・心拍見守りシステムを開発した.寝具用マットレスの下部にレーダー装置を設置し,呼吸・心拍に伴う体表面の微振動を計測するシステムであり,精度を向上するため2つのレーダー出力信号を組み合わせる特徴をもつ.最大の課題は,目的とする微弱な呼吸・心拍信号を四肢などの不規則な体動信号から分離抽出することであった.呼吸信号最大値および心拍信号最大値を事前に設定し,その最大値より大きい信号を体動ノイズと判定し振幅減少するAutomatic Gain Control方式をFFT周波数解析の前処理として導入した.また,レーダー信号の出力電力強度から体動の継続を判定し,体動が継続していない時間帯の呼吸・心拍数をより信頼性の高い情報として区別することにより,全体として体動に強い高精度計測が可能となった.本システムを実際に特別養護老人ホームで評価し,非接触見守りシステムの有用性を確認した.高齢者の介護では,在宅の場合も施設介護の場合も高齢者の状態変化の早期検出と介護者の身体的精神的負荷の軽減が求められており,本システムは高齢者安否確認システムの新しい方法として期待される.
著者
大高 明史 井上 忍 宮崎 葉子
出版者
日本陸水學會
雑誌
陸水學雜誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.241-254, 2010-12-25
参考文献数
31
被引用文献数
1

青森県・津軽十二湖湖沼群の越口の池水系は,湧水から始まり湖沼と河川が連続する短い水系で,水温の年間変動幅は流程に沿って顕著に増幅する。この水系の河川で,水温がヤマトヨコエビ(アゴナガヨコエビ科サワヨコエビ属)の分布や生活史に与える影響を調べた。ヤマトヨコエビは,水温が通年約10℃に保たれている源頭部の2湖沼とそれに流出入する2河川では通年繁殖が見られ,一方,水系の中ほどに位置する3河川では繁殖が冬季に限定されていた。さらに,下流側の2河川には分布しないことが分かった。現地調査と室内実験から,ヤマトヨコエビの生息や繁殖期間の違いには,生存と繁殖に関わる,いずれも高温で抑制される2種類の温度条件が関係していると推測された。ヤマトヨコエビは水温が約25 ℃以上にならず,かつ約12 ℃以下になる水域に生息可能で,このうち,夏期の水温が約12 ℃を越える場所では低水温期に繁殖が同調し,常に約12℃を下回る場所では繁殖が通年起こると考えられる。国内3種のサワヨコエビ属はいずれも湧水域を中心に分布するが,早期の繁殖と高い高温耐性を伴った柔軟な生活史変異を持つヤマトヨコエビは,この中で最も分散能力の高い種類だと考えられる。
著者
鈴木 譽久 浅野 賢二 間宮 昇 渡部 浩志 堀 吉宏 内原 可治
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.701-705, 1998
被引用文献数
1

We have investigated a clock generated from a wobbled groove for higher density magneto-optical disk. Neither the readout signal nor the recording signal needs to include a clock element, because a clock derived from the wobbled groove is used for recording and readout. Therefore this clock does not depend on the quality of the readout signal. For this reason, a clock generated from the wobbled groove is effective for higher density recording.
著者
松浦 茂樹
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.51-72, 2019-08-01 (Released:2020-11-02)
参考文献数
13

江戸時代,「ヒト」としての「黒鍬」は,幕府職制としての「黒鍬」と,川除普請や新田開発を行った土工のプロとしての「黒鍬」がいた。彼らは直接的には関係がない。天保14年(1843)に行われた印旛沼開削普請で登場した「江戸黒鍬」は,筋骨隆々で全身に刺青が描かれ,その働きは他の人夫と比べ抜群であった。彼らは,隅田川浚渫に従事していたのだろう。江戸時代後期,利根川沿いの各地にも「黒鍬」はいた。彼らは,肉体労働を行うとともに技能者として土工現場を指導していた。一方,出稼ぎの黒鍬集団の地としては尾張知多半島が有名であるが,畿内そして関東にも進出していた。 明治に入ると,鉄道などの社会インフラ整備が進められていったが,大規模工事を担う新たな土工のプロが出現した。職業分類では「土方」と整理されたが,「黒鍬」と「俠客」の中から育っていった。「俠客」は,大勢の人夫をまとめる力をもつ者として参入してきたのである。なお,土を掘削したり運んだり基礎を固める作業を意味する用語「土工」も,earth work を訳したものとして誕生した。
著者
村上 弘之
出版者
上武大学
雑誌
上武大学看護学部紀要 (ISSN:1880747X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-14, 2007-09

近年,麻疹や風疹などの小児ウイルス感染症や結核などの集団感染事例が高校・大学等の教育機関だけでなく,医療機関では院内感染として問題になっている.臨地実習が看護教育上欠かすことができない看護学生は,臨地実習施設が病院だけでなく地域施設などにも及ぶことから何らかの感染を受ける危険が高い.また,患者に感染させる危険も高い.現在の看護学生が属する10歳代後半から20歳代若年者集団には,小児ウイルス感染症や結核などに対する感受性が高い者が多く含まれている.これまで,医学や看護を学ぶ学生にはB型肝炎感染予防対策が中心であり,空気感染や飛沫感染によって伝播するウイルス感染症や結核に関する対策は少なかった.看護学生の属する若年者の感染症に対する感受性を考慮し,臨地実習では学生の安全だけでなく患者の安全を厳守するという医療安全,学校内では集団感染発生に対する危機管理上必要な対策が求められている.
著者
岡和田 愛実 金子 文成
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.689-696, 2019-07-15

はじめに ヒトは身体や外界からの情報を固有感覚や皮膚感覚,視覚から得ている.運動を実行すると,それらの運動の感覚が入力され,知覚することができる.筋紡錘への刺激である振動刺激や皮膚を伸張させる皮膚刺激などを行うことで,実際には運動が生じていないにもかかわらず運動を認知する.このように,感覚刺激により,安静にしているにもかかわらずあたかも自分自身の四肢などが運動しているように知覚することを運動錯覚という1).筆者らは,視覚刺激を用いて運動錯覚を誘導する視覚誘導性運動錯覚(kinesthetic illusion induced by visual stimulation:KINVIS)について研究を行ってきた.そこで開発されてきたシステムは,理工学的には仮想現実技術を応用したものである.また,運動の認知以前に映像内の仮想身体像に身体所有感を生じることから,脳内の身体認知システムに対する刺激方法であると言うことができる.さらに生理学的には,ニューロモデュレーション効果を発揮する刺激である. われわれは,日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)“未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業(ニューロリハプロジェクト)”の研究開発支援を受け,脳卒中に代表される中枢神経系疾患に起因する感覚運動麻痺の回復を図るための研究開発に取り組んできた.KINVISを誘導する臨床システムであるKiNvisTMは,そのプロジェクトで開発されたものである.このKiNvisTMを使用し,現在は脳卒中片麻痺患者を対象としたKiNvis療法の効果を検証している.
著者
Akiko Takatsuki-Hira Masahiro Kaketani Kohei Shimizu Takahito Tamura Takeshi Nakamura Yurika Toyama Takayuki Yoneyama Osamu Takeichi
出版者
Nihon University School of Dentistry
雑誌
Journal of Oral Science (ISSN:13434934)
巻号頁・発行日
pp.20-0543, (Released:2021-02-17)
参考文献数
40

Purpose: This study aimed to examine novel techniques using prototype endodontic obturators to obturate a resin-based sealer.Methods: Powder-liquid ratios of MetaSEAL Soft were changed to obtain suitable root canal sealing, and the physical properties for various powder-liquid ratios were analyzed according to ISO-6876. Tensile bond strength was also examined. Prototype endodontic obturators with a combination of thread numbers and pitch angles were analyzed for sealing ability after MetaSEAL Soft was obturated in simulated root canals.Results: Powder-liquid ratios of 1.0:1, 1.1:1, 1.2:1, and 1.3:1 showed suitable physical properties; however, flow for 1.4:1 was below a standard value. Tensile bond strength increased gradually when the powder-liquid ratio changed from 1.0:1 to 1.3:1, and 1.3:1 and 1.4:1 showed the highest and lowest bond strengths, respectively. Sealing ability increased when pitch angles of the obturators were 5°, 8°, and 11°; 11° showed the best results. Similarly, sealing ability increased when the thread number was 12, 17, and 22 pitches; 22 showed the best results.Conclusion: These findings suggest that the prototype endodontic obturator can be useful for obturating MetaSEAL Soft, and a powder-liquid ratio of 1.3:1 MetaSEAL Soft may be the most suitable for achieving excellent sealing.
著者
谷川 智穂 中塚 雅也
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集
巻号頁・発行日
vol.34, pp.127-132, 2020

<p>日本の農山村地域においては,人口流出などによる高齢化や担い手不足による地域経済力の低下や空き家の増加などの問題が顕著に生じている。一方で田園回帰と言われるように,若者を中心とした農山村地域への関心の高まりが指摘され,過疎と呼ばれる地域への移住や起業の動きも少なからず発生している。本研究では,移住者による起業の立地条件を,周辺人口および交通アクセス性の面から分析し,一般的に起業に有利でない場所でも起業が発生していることを明らかにし,そういった場所における起業促進の可能性を指摘した。 </p>
著者
鳥越 泰 市野 隆英 中野 昌信
出版者
社団法人 腐食防食協会
雑誌
防食技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.343-347, 1979
被引用文献数
2

In view of increasing trend of applying water cooling to electric machines, investigation has been made on corrosion of the copper pipe that is comprised in the internally water cooled power cable. Practical tests on corrosion of the copper pipe by flowing pure water were carried out using actual power cable under practical use conditions with regard to conductivity, temperature, and oxygen content of water, and flow velocity. The ranges of flow velocity were chosen to be much wider than could be encountered in the actual cooling system. Corrosion quantity of the copper pipe was determined from analyzed data on ion exchange resin and filter. The result of two times corrosion tests made about one year, in state where water temperature are below 80&deg;C and flow velocity are below 3m/s, are as fellows. (1) Corrosion rate of the copper pipe reached 2&mu;/year, but the traces of pitting corrosion was not detected. (2) By electrolytic reduction, predominant component of black corrosion products on the copper pipe surface was identified with CuO. (3) Corrosion products were found to have considerable effect on stifling corrosion rate.
著者
農林省 編
出版者
朝陽会
巻号頁・発行日
vol.第二十四巻, 1934

1 0 0 0 刀匠一代

著者
宮入昭平著
出版者
新人物往来社
巻号頁・発行日
1971
著者
野田 公夫
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.47-56, 1997-09-25 (Released:2011-09-05)

1) East Asia and East Europe are two major areas where small scale farmers had been created by dividing large scale land ownership.2) In East Europe where the large scale farm management had been dominant, the land reform had destroyed the traditional farm management and productivity and it had necessitated the other adjustments of creating group farming just after the land reform. But in East Asia where small scale management had been prevailing, the small scale land ownership created by land reform has become prevailing as own land farming system.3) It was Japan that the land reform had functioned most efficiently as the policy to enforce the small scale management among East Asia. It was due to the conditions of (1) the managerial and political growth of the small scale farmers group, (2) appearance of agricultural policy makers who had aimed to implement the land reform, and (3) combination of land reform plan and productivity enhancement scheme under the war time regime.
著者
江原 暉将 安藤 彰男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.316-319, 2001-05-01
参考文献数
4

聴覚障害者向け字幕放送の拡充を目指した研究開発の状況を紹介する.通信・放送機構では,オフラインでの字幕制作を対象に,字幕原稿の自動要約技術,音声と字幕との自動同期技術,字幕表示を適切に行う自動字幕画面制作技術,これらを統合化するシステム技術について研究している.NHKでは,ニュース番組に対する字幕放送を実現するため,音声認識技術を利用した字幕制作システムを開発し,平成12年3月27日から,このシステムを利用して,「ニュース7」の字幕放送を開始した.本稿では,これらの研究内容について解説する.