著者
織田 弥生
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.426-435, 2005-12-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
32
被引用文献数
2 4

The purpose of this study is to investigate the influences of premenstrual syndrome (PMS) on daily psychological states and salivary cortisol level. First, 42 women recorded their PMS symptoms and basal body temperatures every day for approximately two menstrual cycles. Based on these prospective records of PMS symptoms, participants were divided into two groups: Normal group (n=22) and PMS group (n=17). There were no significant differences between the two groups in age, height, weight, age at menarche, menstrual cycle length, menstrual period, depression score, and stressor score. Next, 14 women (7 Normal group, 7 PMS group) were selected and they were measured twice, once during the premenstrual phase and once during the postmenstrual phase of their cycles. Each day, they took saliva samples and recorded their psychological states six times (from waking to going to bed) per day at their homes. Results showed that the fear score in PMS group was high in the premenstrual phase, whereas salivary cortisol level in PMS group was low in the same phase compared to the Normal group. These results suggested the possibility of dysregulation of the stress system in women with PMS.
著者
江森 健太郎 北脇 裕士
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.41, pp.14, 2019

<p>ベトナムは地理的にアジアの宝石が豊な国々に囲まれているにもかかわらず、1980 年代まで商業的な宝石採掘は行われていなかった。1983 年にハノイから北東 150 km の Yen Bai 地区 Luc Yen で地質学者がルビーとスピネルを発見し、系統的な調査が開始された。そして、1987 年にベトナムの地質調査所が同地区にルビー鉱床を発見、1990 年にハノイ南西 300 km の Qui Chaw でも上質のルビーが発見され、話題となった。</p><p>ベトナム産ルビーは品質の良いものはミャンマー産に匹敵しており、正確な原産地鑑別は鑑別機関にとって重要な課題である。また他の色のサファイアは市場性が低く、その宝石学的特性はあまり知られていない。そこで今回は、これらのベトナム Luc Yen 産のルビー、サファイアを新たに入手し、調査を行ったので、その結果を報告する。</p><p>本研究には 2016 年~2017 年にかけてベトナム Luc Yen のマーケットで入手したコランダム 64 個(0.16 ~ 1.70 ct)を用いた。入手時には Luc Yen、An Phu、Chau Binh と区別されていたが、本研究では広義に Luc Yen と一括した。これらについて一般的な宝石鑑別手法に加え、FTIR、紫外可視分光光度計による分光検査、LA-ICP-MS による微量元素測定を行った。特に筆者らが 2015 年宝石学会(日本)で行った微量元素測定と三次元プロットの手法についてアップデートを試みた。</p><p>先行研究では、ベトナム産を含むマーブル起源のルビー(ベトナム、ミャンマー、タンザニア)の識別には Mg-V-Fe の三次元プロットが有効であるとしていたが、今回分析を行ったサンプルには、ミャンマー産のルビーとオーバーラップするサンプルが多く存在した。そのため本研究においては新たに V-Cr-Fe の三次元プロットやオーバーラップする部分に対するロジスティック回帰分析を駆使することでミャンマー産ルビーとのオーバーラップを解消し、原産地鑑別の精度を向上させることができた。また、ブルー系のサファイアについても、V-Fe-Ga の三次元プロットを新たに使用することでベトナム Luc Yen 産のサファイアを他産地と明確に分離することができ、同様に産地鑑別の精度上昇に寄与できることがわかった。</p>
著者
小川 日出丸
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.40, pp.14, 2018

<p>宝石質ブルーサファイアの産地はいくつかあるが、もっとも重要な産地のひとつとしてインドシナ地域がある。</p><p>タイ、カンボジアそしてベトナムでは 12~6Ma と 3~0.5Ma をピークに玄武岩活動が活発化したとされている。前期には多量のソレアイト玄武岩の噴出が広域でおこり、溶岩台地が形成された。後期ではアルカリ玄武岩の噴出が限定的小規模な地域でみられた。重要なことに、このアルカリ玄武岩によってルビーサファイアが地表に運ばれたことである。</p><p>その後、長年にわたって玄武岩の風化・漂流作用により、山地、平野部や河川に玄武岩に包まれていたルビーサファイアが残留・漂砂・体積されていった。現在、インドシナ各地にルビーサファイアの宝石鉱床の存在が報告されている。</p><p>カンボジアではルビーサファイアの宝石産地として首都プノンペン西方のチャムノップ、北方のパムテメイ、プノンチョンなどがあるが、最も著名な産地としてパイリンがあげられる。</p><p>パイリンは、プノンペンの北西約 400kmほどの距離にあるタイ国境の地域である。街中心からタイ国境までは 10kmあまりで、国境地帯は山地地帯となっている。</p><p>20 世紀末の内戦時は、宝石という財源をおさえるため、ポルポト派が最後まで存在していた地域のひとつである。そして国境をまたいで、タイの宝石産地であるチャンタブリ~トラートに隣接している。パイリンでは宝石の採掘場として以下の形態がみられた。</p><p>①国境地帯の山地</p><p>②火山岩が露頭する独立丘陵</p><p>③平野部の田園地帯</p><p>④南部の山地より流れ出る大小の河川</p><p>一部の鉱区では動力機器を使用した採掘も存在するが、多くはスコップや棒を使用した人力に頼った小規模なものが多い。手工業採掘は深度5m以浅の採掘のみ許可という規則があるため、深い縦穴は見られなかった。</p><p>パイリン産ブルーサファイアの濃色石には通常、加熱処理による色の改善(明るい色調へ)がおこなわれている。そこで今回、現地で入手した試料に加熱処理を施して色の変化と、紫外可視、赤外部の分光スペクトルの変化について観察した。</p><p>青色は Fe<sup>2+</sup>-Ti<sup>4+</sup>によるが、パイリン産は Fe-rich のため Fe<sup>3+</sup>、 Fe<sup>2+</sup>-Fe<sup>3+</sup>、 Fe<sup>3+</sup>-Fe<sup>3+</sup>による吸収が大きく、これらが暗色の原因といえる。また通常光と異常光方向の色調の差が大きいのが特徴である。加熱処理による淡色化に伴い、透過率や吸収ピークに変化がみられた。赤外領域では、 OH 吸収がほぼ消失した。</p><p>それらの結果と、パイリンの採掘状況について報告する。</p>
著者
山崎 淳司
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1, 2005

<Br> コランダム(corundum)は、α-Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の主化学組成と構造型をもつ鉱物種名であり、微量のクロム、チタン、鉄が固溶することによって発色したルビー、サファイアなどは変種名である。コランダムが宝石として用いられるには、透明性とある程度の大きさが求められる。しかし、生成条件の関係から乳白色で産出するいわゆる「ギウダ」や、生成過程で混入した不純物種によって色の質が落ちるコランダムを加熱処理して、透明度や色調を向上させたものが、一部で流通している様である。この加熱処理は、宝石としてのコランダムの流通量が増えるなどの利点はあるが、加熱処理物と非加熱処理物とが流通過程で混在していることが問題にもなっている。<Br> 今回の講演では、コランダム型構造を有する物質の結晶化学的特徴を紹介し、コランダムに各種遷移金属元素をドープし、加熱処理した場合の発色機構について、主に顕微ラマン分光、カソードルミネッセンス スペクトルなど分光学的測定法を用いて得られる知見について紹介する。
著者
北脇 裕士 江森 健太郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

コランダム(ルビー、サファイア)の原産地鑑別は、個々の結晶が産出した地理的地域を限定するために、その地域がどのような地質環境さらには地球テクトニクスから由来したかを判定するためのバックグランドが必要となる。そして試料の詳細な内部特徴の観察、標準的な宝石学的特性の取得が基本となり、紫外-可視分光分析、赤外分光(FTIR)分析、顕微ラマン分光分析、蛍光X線分析さらにはLA-ICP-MSによる微量元素の分析が行われる。 <br>原産地鑑別における地理的地域の結論は、それを行う宝石鑑別ラボの意見であり、その宝石の出所を証明するものではない。同様な地質環境から産出する異なった地域の宝石は原産地鑑別が困難もしくは不可能なこともある。原産地の結論は、検査時点での継続的研究の成果および文献下された情報に基づいて引き出されたもので、検査された宝石の最も可能性の高いとされる地理的地域を記述することとなる。
著者
橘 省吾
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.38, 2016

太陽系は今から 45 億 6700 万年前に誕生 した.太陽系のもととなった元素は,ビッ グバンで誕生した水素,ヘリウムを除いて, 恒星内部の核融合反応でつくられる.恒星 内部でつくられた金属元素は,進化末期の 恒星からの質量放出風の中で塵として凝縮 し,星間空間へと放出される.このような 塵が次世代の恒星や惑星の材料となる. <br>進化末期の恒星が放出するガスの中や, 誕生直後の恒星の周囲の原始惑星系円盤 (惑星を産む母胎となる)に存在する塵の 正体は赤外線天文観測で調べられている. <br>塵による特定波長の赤外線の放射や吸収 の特徴から,かんらん石や輝石,コランダ ムといった鉱物,非晶質ケイ酸塩,非晶質 炭素,芳香族炭化水素などの存在が報告さ れている.ペリドットやルビー,サファイ アが宇宙には塵として存在する. <br>このような塵が宇宙を旅し,太陽系に持 ち込まれた証拠が隕石のなかに見つかって いる.隕石の中には,太陽系の平均的同位 体組成とは大きく異なる微粒子が存在する. 同位体組成の大きな違いは太陽系での物理 化学反応では説明できないため,これらの 粒子は太陽系ができる前に銀河系内の恒星 の放出するガスの中でつくられ,その恒星 での元素合成(核融合)を反映した同位体 組成を保っているものと考えられている.<br>これらの微粒子は先太陽系(プレソーラー) 粒子とよばれ,太陽系の材料そのものだと 考えられている.最大でも 100 ppm 程度の 量ではあるが,ケイ酸塩,酸化物,炭化物, 窒化物,ダイアモンドなどのプレソーラー 粒子が見つかっている(プレソーラーコラ ンダム粒子(約 1 マイクロメートル)の電 子顕微鏡写真を以下に示す). <br>また,隕石には誕生直後の太陽系で高温 のガスからつくられた塵やその集合体も含 まれる.難揮発性包有物とよばれる太陽系 最古の固体物質はカルシウムやアルミニウ ムといった難揮発性元素に富む鉱物の集合 体である.また,鉄に乏しいかんらん石の集合体も存在する. <br>我々の研究室では宇宙での塵の形成を実 験室で再現し,塵をつくりだす実験をおこ なっている.進化末期の恒星の周囲や誕生 直後の太陽系の高温・低圧環境を実験室に つくりだし,鉱物の晶出過程を調べている. 実験室でおこなう天文学である.以下に真 空赤外炉の写真およびガスから凝縮したフォルステライト微粒子(スケールバーは 1 マイクロメートル)の電子顕微鏡写真を示 す. <br> プレソーラー粒子は太陽系の材料の形成 プロセスを,難揮発性包有物やかんらん石 集合体は太陽系初期の高温鉱物形成プロセ スを知る手がかりとなる.これらの固体物 質は前述のとおり,隕石に含まれる.隕石 は宇宙から来た石であるが,実は隕石が本 当にどこから来たのかについてははっきり とはわかっていなかった.それに決着を付 けたのは,2010 年に小惑星イトカワの表面 粒子を回収し,帰還した探査機「はやぶさ」であった.地球に豊富に存在する普通コン ドライトとよばれる隕石が小惑星を起源と するということが証明されたのだ. <br>しかし,炭素質コンドライトとよばれ, 鉱物だけでなく,水(含水鉱物として)や 有機物を含み,海や生命の材料を地球にも たらした可能性のある隕石がどこから来た のかについてはわかっていない.また,水 や有機物が鉱物を主とする天体でどのよう に進化したのかについてもはっきりとした 結論は出ていない.これらの問題は炭素質コンドライトのもととなったと考えられる 天体に行けば,解決の糸口がつかめるはず である.太陽系の起源と進化,海や生命材 料の進化の場をさぐることを目的に,2014 年 12 月に探査機「はやぶさ 2」が小惑星リュウグウへと旅立った.リュウグウは C 型 小惑星に分類され,炭素質コンドライトの 母天体である可能性が高い.2020 年末から 始まるリュウグウサンプルの分析で私たち がなにを解き明かそうとするのかについて もお話ししたい.
著者
中嶋 彩乃 古屋 正貴
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.51, 2018

<p>2016 年7月に開催された中国国内最大の中国人バイヤー向け石の博覧会「中国昆明泛亜石博覧会」に招待され出展し、雲南省昆明近郊から産出する宝石・鉱物及び石材に触れる機会を得た。雲南省ではルビー・サファイア・エメラルドをはじめとし、多数の宝石や鉱物が産出されており、大理石等の石材も数多く産出されている。</p><p>会場では日本ではあまりなじみのない中国産の宝石・鉱物・石材が多数出展され、その中に石林彩玉や黄龍玉と呼ばれていた宝石があった。石林彩玉は産地を訪れる機会も得られ、調査を行った。</p><p>石林彩玉と呼ばれる宝石は、中国雲南省昆明市石林県イ族自治県から産出する赤、橙、黄色、暗緑色で不透明のアゲートである。特徴的なのはその名前の通り、色鮮やかなスポットが複雑に入り組んだ外観をしていることである。(図1)その天然の模様を活かしたカットが施され、流通している。その色の原因となっているのはニッケル、コバルト、クロム、マンガン、銅、鉄などの微量元素で、赤色や黄色が強い部位では鉄が微量元素として検出され、また、暗緑色の部位ではクロムが検出され、それらが色の原因となっていることが考えられる。</p><p>黄龍玉と呼ばれる宝石も、めのうであるがこちらは半透明黄色のカルセドニーである。雲南省保山市龍陵県小黒山を代表的な産地とするこの宝石は、石林彩玉のようなカラフルなものとは違い、黄色の濃淡の模様がたまに見られるだけである。こちらは彫刻に用いられたり、半透明の風合いや模様を生かしてカットされる(図 2)。微量元素としては鉄が検出されるのみでそれが黄色の原因となっていることが推測される。</p><p>黄龍玉は黄色を貴ぶ中国の玉文化の中で、現在翡翠に次ぐ石とされ、黄龍玉専門のオークションも開催され、多数のコレクターを有する。</p><p>また石林彩玉は、雲南省が積極的なプロモーションを行っており、全国で展開されている。</p><p>そのため、これらについて知識を持っておくことも必要と考えられる。</p>
著者
板倉 明子
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, 1988

原子的に充分均一かつ平坦な結晶表面に物理吸着した気体分子の系は,単分子層以下で擬似的に2次元の相として見ることができる.グラファイト表面上に物理吸着したKr,Xeなどの希ガスの系については圧力10^<-4>~0^0Torr,温度50K~100Kの範囲での相図が発表されている。しかし代表的な実験手段である吸着平衡圧力の測定による方法では,大きな面積の吸着下地が必要なため吸着媒がグラファイトなどに限られている.また電子線回折,電子分光法などの手段は測定に高真空が必要なため,気相の圧力が制限されるほか電子励起脱離の影響も無視できない.これらの実験的な制約から,現状では種々の系に対して異なる手法を用いており,それらの結果を直接比較することはできていない.偏光解析法は,測定を行う気相の圧力に制限がない,試料に与える影響が少ない,100分の1層程度の吸着にも敏感である,などの利点がある.偏光解析法を実験手段として用いることにより,種々の下地に対する物理吸着層のふるまいを広い圧力範囲にわたって直接比較することができる.本研究ではAg(111)面に吸着したXeの2次元の相図を偏光解析法によって求めようと試み,偏光解析系と試料ホルダー,クライオスタットから構成される真空実験装置を設計,製作した.試料汚染をさけるため装置の到達圧力は10^<-10>Torr以下とし,試料温度は20K~600Kまで連続的に可変,吸着等温線を求める20K~150Kの範囲では0.01Kの精度で制御できる.偏光解析の系は反射型のPCSA系で測定は手動消光による4Zone法,光源はHe-Neレーザ-(6328Å)を用いた.位相差(△)と振巾比(tanΨ)の測定精度は偏光子,検光子での消光位置の再現性から,それぞれ±0.1°,±0.15°である.△の変化量は吸着量にほぼ比例することがわかっているので,この装置で(相対的な)吸着量が測定できる.予備実験として吸着平衡圧と△とで求めた吸着等温線が,Xeの吸着層の2次元凝縮に起因する階段状のステップを示すことを確認した.
著者
吉田 功
出版者
島根大学教育学部
雑誌
島根大学教育学部紀要 人文・社会科学 (ISSN:02872501)
巻号頁・発行日
no.3, pp.29-41, 1970-02

「詩は音楽的になり,音楽は詩的になった」とは,ロマン派芸術の特徴として,よくいわれている言葉である。リートは,これらの特徴を端的に表現し,又,これらの特徴を持ち得たロマン主義によって開花した。このリートを分析してみると,今述べてきたような特徴が如何に主な要素として構成されているか,又,これらの要素が詩人や作曲者にどのように把握されているかを知ることができる。又,そうすることによって,ロマン派芸術の一端を見ることができるといえるであろう。この小論は以上のことを中心に,シューマンの歌曲作品,《リーダークライス Op.39》を題材として,詩と音楽を見たものである。又,この小論は前半を,詩人と作曲者の結びつきからみた当作品,後半をこの作品中最も良く知られた《月夜》についての分析という順序で述べることにする。

1 0 0 0 OA 徳川文芸類聚

著者
国書刊行会 編
出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第十一, 1916
著者
野々垣 文成
出版者
名古屋柳城短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13427997)
巻号頁・発行日
no.39, pp.3-16, 2017-12-20

声楽の分野では演奏が全てである。その演奏の助けとして歌手とピアニストの為の演奏法の解釈、分析が必要であり重要となってくる。現在、声楽の分野ではそのような文献がまだ不十分である。特にその中でもドイツ歌曲の分野では世界で最も優れている詩人の作品に才能ある作曲家が曲をつけていることでも知られている。筆者自身ドイツ歌曲専門の歌手であるため、ドイツ語圏の最高の芸術作品であるドイツ歌曲の演奏法と解釈に注目している。
著者
今西 武 此松 昌彦
出版者
和歌山大学災害科学教育研究センター
雑誌
和歌山大学災害科学教育研究センター研究報告 = Research reports of the Center for Education and Research of Disaster Science, Wakayama University (ISSN:2432762X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.32-37, 2019-02

本稿では筆者らの開発した防災教育プログラムを和歌山県橋本市立あやの台小学校の防災キャンプで使用した実践の記録であり,教師の観察からの防災教育プログラムの評価を得たので報告する.災害を心に感じてもらうDVD映像「3.11メッセージ」の上映,災害時にトイレに重要性を気づかせる「マイトイレ」プログラム,間仕切り設営訓練プログラム,避難所運営の災害図上訓練,備蓄食料の試食体験,暗闇を体験するダーク&ライトを小学6年生に体験してもらった.この結果,小学生6年生でも十分な取り組みが見られ,児童にも有効なプログラムであることを確認できた.
著者
海老澤 模奈人
出版者
東京工芸大学工学部
雑誌
東京工芸大学工学部紀要 = The Academic Reports, the Faculty of Engineering, Tokyo Polytechnic University (ISSN:03876055)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.27-44, 2018-06-30

本稿は、1920年代のドイツにおいて、集合住宅の住戸平面の研究を科学的な分析に基づいて行った建築家アレクサンダー・クラインを対象とする。前半では、1920年代後半に彼がドイツの建築雑誌に発表した一連の住戸平面研究の成果を整理し、解説した。さらに同時期の日本におけ るクラインの受容の一面についても言及した。後半では、クラインがドイツ で設計した大規模ジードルク(住宅団地)である大ジードルンク・バート・ デュレンベルクを取り上げ、当時の雑誌記事などの資料をもとに、建築の特徴を明らかにすることを試みた。また、クラインの住戸平面研究と実際 に建設されたジードルンクの住戸との関係を検討した。さらに建設後から現在に至るジードルンクの変遷についても補足した。This paper discusses Alexander Klein's research on dwelling unit plan and his largest project of housing estate, Gross-Siedlung (large housing estate) Bad Dürrenberg, near Leipzig in Germany.Alexander Klein (1879-1961), a Russian-born architect, dealt with study to improve residential environment in small dwellings in Germany during Weimar period. He developed the graphical methods to evaluate plan of dwelling unit objectively, for example the diagram to analyze the motion of dweller in rooms and so on. His studies were published in many German architectural journals in the late 1920s and introduced also in Japanese architectural journals in 1930.In 1928 Klein designed the large housing estate consisting of 1000 dwellings in Bad Dürrenberg. In this project he designed six types of dwelling units which reflected his studies and had such characteristics as functional layout of rooms with original furniture, improvement in dark entrance room, widening of room by use of balcony and so on. Although all of the Klein's planning had not completely realized, the apartment blocks by Klein have been maintained until now and accept inhabitants as before.