著者
伊達 善夫 越川 敏樹 森 忠洋
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
pp.7-11, 1985 (Released:2011-03-05)
著者
鎌田 泰斗 坂元 愛 山田 新太郎 関島 恒夫
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.3-13, 2020 (Released:2020-02-14)
参考文献数
31

シベリアシマリスTamias sibiricus(以下,シマリスとする)には同種内に年周期的に冬眠する個体と冬眠をしない個体が存在していることから,冬眠調節メカニズムを解明する実験材料として,非常に高い潜在能力を有していると考えられる.しかしながら,実験室条件下における繁殖プロトコルは未だに確立されておらず,計画的な繁殖成功の報告もないことから,モデル動物化を進めるにあたり大きな障壁となっている.本研究では,実験室条件下における雌の発情特性を明らかにすることを目的に掲げ,はじめに,雌の発情パターンを明らかにし,冬眠タイプと非冬眠タイプ間において繁殖期の長さや,この期間に特異的に観察される鳴き声(発情鳴き)に差異があるかどうかを比較した.次に,発情鳴きが認められた期間において交配実験を実施したところ交尾行動が観察されたことから,発情鳴き状況に応じた膣スメア細胞診をすることにより,発情鳴きの発情周期上の意義を明らかにした.結果として,雌のシマリスは,実験室条件下において年1回の繁殖期を有しており,発情鳴きは約11日周期で繁殖期間中に4から5回ほど認められた.さらに,発情鳴きが膣スメア像における角化無核細胞の増加と密接に関連していたことから,発情鳴きは発情周期上における排卵日を示す重要なシグナルとなっていることが示された.冬眠タイプと非冬眠タイプ間において,繁殖期の長さや発情鳴きのパターンについては明瞭な差異は認められず,共通した発情特性を示すことが明らかとなった.さらに,本研究では,冬眠タイプと非冬眠タイプ間の異型交配を試みたところ,6例のF1世代の作出に成功した.今後,さらに異型交配を進展していくことで,冬眠の遺伝形式の解明や連鎖解析による冬眠の調節メカニズムに関与する遺伝子の同定が期待される.

1 0 0 0 真相

著者
真相社
出版者
真相社
巻号頁・発行日
vol.5(4), no.40, 1950-04
著者
前田 まゆみ
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.855-864, 2005

本研究は, 米国で多く問われているmedical malpractice crisisを前提に踏まえ, 日本での医療訴訟の増加を危惧し, その解決策のポイントをさぐるため「医療訴訟の系統的分類」の構築を目的とした.特に, 近年注目されている心身医学領域を中心に調査した.判例の分析から, 一系類型として医療過誤判例の法的争点に関わる分類と, 二系類型として心身医学領域の事案内容による分類を行った.これをもとに, 判例分類表を作成し, 問題点やポイントがわかるシステムとした.また, 判例の勝訴数や, 分類から導き出される訴訟回避のポイントを提案し, 医療側の倫理的な視点として検討を試みた.
著者
篠永 哲 岩佐 光啓
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.295-298, 1983-12-15 (Released:2016-09-02)
被引用文献数
1 2

アエバエ科, マキバイエバエ属のハエは, 加納・篠永(1977)によって日本から6種と1亜種が記録されている。著者らは, これら日本産の標本と南西諸島からニューギニアに至る各地の標本について再検討した結果, M. tarsalis tarsalis (Malloch)と同定されていた種は新種と認められた。M. tarsalis tarsalisは, Vockeroth (1972)によってM. laevis (Stein)のsynonymとされている。本新種は, laevisに類似しているが, 背側板剛毛のまわりに1本ないし2本の小剛毛を有すること, 雄の生殖器の内狭子の先端に切れ込みがあること, 雄の小楯板の側面の短剛毛列を欠くことなどによりlaevisと区別さりる。laevisは, 広く東南アジア, ニューギニアなどに分布し, 日本では南西諸島, 九州南部に生息している。新種に分布している。成虫は, 主に放牧地の新鮮な牛糞上にみられる。日本産マキバイエバエ属の検索表をつけ加えた。
著者
Osamu EZAKI Mayumi TAKAHASHI Takashi SHIGEMATSU Kyoko SHIMAMURA Junji KIMURA Haruo EZAKI Takahiko GOTOH
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.759-772, 1999 (Released:2009-04-28)
参考文献数
30
被引用文献数
48 61

Although important roles of dietary n-3 fatty acids in the prevention of coronary heart disease (CHD) have been suggested, long-term effects of dietary α-linolenic acid (ALA, 18:3n-3) have not yet been established under controlled conditions. We tested whether a moderate increase of dietary ALA affects fatty acids composition in serum and the risk factors of CHD. Oxidized LDL (OxLDL) was directly measured by ELISA using antibody specific to OxLDL. By merely replacing soybean cooking oil (SO) with perilla oil (PO) (i.e., increasing 3g/d of ALA), the n-6/n-3 ratio in the diet was changed from 4:1 to 1:1. Twenty Japanese elderly subjects were initially given a SO diet for at least 6 mo (baseline period), a PO diet for 10 mo (intervention period), and then returned to the previous SO diet (washout period). ALA in the total serum lipid increased from 0.8 to 1.6% after 3 mo on the PO diet, but EPA and DHA increased in a later time, at 10 mo after the PO diet, from 2.5 to 3.6% and 5.3 to 6.4%, respectively (p<0.05), and then returned to baseline in the washout period. In spite of increases of serum n-3 fatty acids, the OxLDL concentration did not change significantly when given the PO diet. Body weight, total serum cholesterol, triacylglycerol, glucose, insulin and HbA1c concentrations, platelet count and aggregation function, prothrombin time, partial thromboplastin time, fibrinogen and PAT-1 concentration, and other routine blood analysis did not change significantly when given the PO diet. These data indicate that, even in elderly subjects, a 3g/d increase of dietary ALA could increase serum EPA and DHA in 10 mo without any major adverse effects.
著者
松崎 寛
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.26-35, 1999-12-30 (Released:2017-08-31)
被引用文献数
1

From the viewpoint of contrastive analysis and error analysis, a great deal of effort has been made on the problems of acquisition of Japanese pronunciation by Korean speakers. The aim of these studies concern To whom / When / What we should instruct, with the focus on development of syllabus, curriculum, and teaching materials. What seems to be lacking, however, are concrete proposals for ways of instruction. Since these studies can not directly answer the question about How we can have more effective and efficient instruction in the classroom, it is imperative that we collect a large amount of data during actual classroom teaching.
著者
不二良洞 編
出版者
文栄堂
巻号頁・発行日
vol.上, 1893
著者
内田 徹 丸山 剛史
出版者
東京福祉大学・大学院
雑誌
東京福祉大学・大学院紀要 = Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare (ISSN:18837565)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.123-130, 2015-03

本研究の目的は、旧学制下群馬県における小学校教員検定制度の形成過程を、詳細に明らかにすることである。資料として群馬県立文書館所蔵文書を主に用いた。分析に際して、1)出願・検定手続きの方法、2)試験の時期・実施回数および試験会場、3)検定の方法あるいは判定基準、4)手数料の有無および金額の4点に着目した。検討の結果、文書館所蔵文書から新たに4つの関係規則を見つけ出すことができ、群馬県では「教育令施行規程」および「公立小学教員学力試験法」、「小学校教員免許状授与規則」、「小学校教員学力験定試験細則」および「小学校授業生規則」、「小学校教員検定等ニ関スル細則」を経て、1894年の細則全部改正において1900年9月以前の最終形態に至ったことが明らかになった。その過程では、検定受験者の質低下が報告され、その後、検定施行回数が削減されたが、合格判定基準は隣接する栃木県より低く設定されていたこと、などが明らかになった。
著者
神野 智史 金崎 真聡 松井 隆太郎 岸本 泰明 小田 啓二 山内 知也 上坂 充 桐山 博光 福田 祐仁
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 = Journal of plasma and fusion research (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.483-489, 2019-10

レーザー駆動イオン加速技術において,ミクロンサイズの水素クラスターのクーロン爆発を利用して,高繰 り返しで,multi-MeV の純陽子線を発生させる方法を提案した.本研究において,クライオスタットで冷却した 高圧水素ガスをパルスバルブに接続した円錐ノズルを介して真空中に噴射することによりミクロンサイズの水素 クラスターターゲットを発生させる装置を開発した.水素クラスターのサイズ分布は,散乱光の角度分布から Mie 散乱理論に基づき,Tikhonov 正則化法を利用して数学的に見積もった.25 K,6 MPa の状態の水素を噴射し た場合,クラスターの最大サイズは 2.15±0.1 μm であると見積もられた.その上で,J-KAREN-P 施設において水 素クラスターをターゲットとした 0.1 Hz 高繰り返し陽子加速の実証実験を行った.トムソンパラボラスペクトロ メーターを用いたエネルギー測定では,最大 7 MeV の純陽子線を観測した.高出力レーザーパルスとミクロンサ イズ水素クラスターの相互作用過程に関する三次元 Particle-in-Cell(PIC)シミュレーションにおいては,レー ザー伝搬方向に加速される 300 MeV におよぶ高指向性の準単色陽子発生が予測され,本手法は,将来的に高繰り 返しの高エネルギー高純度陽子源の有力候補になる可能性を秘めている.
著者
菊地 達夫
出版者
北翔大学
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 = Bulletin of Northern Regions Research Center for Human Service Studies (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-6, 2003-10-01

本研究では,学校教育におけるアイヌ文化学習の実践をみながら,児童の反応をもとに学習意義を明らかにする。具体的には,アイヌ文化学習の実施状況について,先行研究に依拠しながら整理する。次に,小学校総合的な学習の時間における教育実践を取り上げ,アイヌ文化学習の導入の可能性について考察する。さらに,児童の反応を分析しながら,アイヌ文化学習の意義を浮き彫りとしたい。アイヌ文化学習の実践は,その居住が多い地域で芽生え,それ以降,行政機関(北海道教育委員会・札幌市教育委員会)の後押しがありながらも,なかなか浸透する姿勢がみえない。小学校の教育実践では,指導教諭の熱心な働きかけにより,多様な文化理解のアプローチができることを確認できた。また,それを受講した児童は,4つの観点で良好な評価を下した。
著者
杉浦 義典 杉浦 知子 丹野 義彦
出版者
信州大学人文学部
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.33-46, 2006-03-15

This study examined the psychometric properties of the scales intended to measure constructs related to Morita Therapy. Such scales are expected to be useful for empirical comparison of Morita Therapy with different but similar interventions (e.g., cognitive behavior therapy). Two scales were completed by college students: Self Report Morita -Neuroticism Inventory (SRMNI) and Self and Anxiety Questionnaire (SAQ). SRMNI is intended to measure vulnerability to neurosis (anxiety disorders); SAQ is intended to measure beliefs about anxiety, which is relevant to development, maintenance, and treatment of anxiety. Correlations with personality traits, anxiety, and depression revealed the psychometric properties of the subscales of each inventory. Morita-Neuroticism of SRMNI reflected per. 森田療法で仮定される病理学的要因や治療における変化プロセスを捉えることを目的とした尺度の心理測定的性質を検討した。このような尺度は森田療法を認知行動療法など他の心理療法と実証的に比較するために有用である。具体的には,神経症(不安障害)の素因とされる森田神経質を測定する神経質自己調査票,および「とらわれ」や「あるがまま」といった概念と密接にかかわる不安への態度を測定する自己と不安の質問紙を取り上げた。大学生データをもとに,他のパーソナリティ特性や不安や抑うつ症状との関連を検討した。神経質自己調査票の下位尺度である神経質傾向度は完全主義的傾向を反映しており,いわゆる神経症傾向(ネガティブ情動)とは異なった側面を捉えていた。一方,幼弱性という傾向が症状と一貫した関連を示した。幼弱性は,自己中心性や依存性を反映する。一方,自己と不安の質問紙については,不安感や不安を感じる自己を受容できる傾向および問題に対処する効力感が,特性不安などと負の相関を示した。神経質自己調査票の神経質傾向度や理知-感覚傾向度,自己と不安の質問紙の感情制御欲求は本研究では症状との関連が見いだされなかったが,理論的に有用な次元であると考えられた。それぞれの尺度は一定の妥当性を示したため,森田療法の関連概念を測定する研究は今後も継続する価値があると考えられる。しかし,尺度の項目など今後の洗練が必要であろう。