著者
植竹 桃子 正地 里江
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.27, 2007

<目 的> わが国が抱える多くの課題の中で、少子化,女性の社会進出,循環型社会の構築に着目すると、核家族化した育児中の家庭における合理的かつ地球環境を配慮した衣生活を推進すること、の必要性は否定できない。本研究では、衣生活の中で洗濯に焦点をしぼり、育児中の家庭における洗濯の実態を把握し、問題・課題を明確化することとした。<BR><方 法>(1)調査対象:東京近郊に居住して、おむつを使用中の乳幼児を育てている母親7名(満22歳~36歳,平均30.9歳)。(2)調査方法:面接調査(基本的に調査対象者の自宅にて実施)。(3)調査内容:家事全般に対する姿勢,家庭洗濯のしかた,洗濯物の乾燥法,使用おむつの現状。<BR><結 果>(1)家庭洗濯はほぼ毎日行い、子供用品を中心につけ置洗い・下洗い,仕分け,漂白の手間もかける傾向にある。(2)乾燥機或いは浴室乾燥設備を所有しているのは7名中3名で、その使用は梅雨時や大物を乾かす時に限られている。基本的な乾燥法は屋外干しで、必要に応じて日常生活スペースへの屋内干しを行っている。(3)現在の使用おむつは全員が紙おむつで、紙おむつに対して何らかの問題点を感じながらも、紙おむつの便利さが魅力となっている。(4)布おむつに関しては、干し場等の乾燥に対する懸念よりも、一様に洗濯することへの大変さ,否定感が示された。以上より、育児中の家庭における洗濯に対する姿勢は、一般的な衣服と布おむつでは著しく異なることから、布おむつの使用を推奨する場合には、おむつに対する正しい知識・情報の提供が必要と考える。
著者
竹村 民千佳 服部 律子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
岐阜県立看護大学紀要 (ISSN:13462520)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.3-14, 2018-03

本研究の目的は、妊娠糖尿病妊産婦(以下、妊産婦とする)がセルフケア行動を習得することを目的とした支援マニュアルを考案し、助産師が多職種の支援を活かした実践を通して、助産師の支援のあり方を検討することである。 支援の現状把握を目的に、医療スタッフへ質問紙調査及び褥婦へ聞き取り調査を実施した。さらに現状調査の結果を踏まえ、多職種による学習会を開催し、支援マニュアル(以下、マニュアル)を作成した。最終的に、筆頭筆者が中心となり、妊産婦に対してマニュアルを活用した支援を行い、取り組み後の評価として医療スタッフへの質問紙調査及び褥婦への聞き取り調査を実施した。 医療スタッフ(44 名)への現状調査から、支援で困難であった経験は【多職種連携】という意見があり、褥婦(4 名)への聞き取り調査から【児に与える影響への不安】という発言を得た。不安を抱えた妊婦に対して、助産師が多職種の支援を活かした実践を行うために、妊娠期から産褥期における支援の目標や手順を示したマニュアルを作成した。マニュアルを活用した支援を、妊産婦(7 名)に実施した。5 名は経腟分娩、2 名は帝王切開で出産した。7 名全員、母児共に周産期合併症はみられず、出生体重2500g 以上の正期産児であった。医療スタッフ(36 名)の評価として、マニュアルの内容で良かった点は【時期別の保健指導内容が明確】等の意見があった。褥婦(7 名)からの評価として"助産師さんにいろいろ聞けたのと、話ができて良かった"等の発言を得た。 セルフケア行動の習得を目的としたマニュアルを用いた支援は、周産期合併症を予防し、産後も継続できるセルフケア行動を習得するために有効であったといえる。助産師は、多職種と妊産婦をつなぐ役割を持ち、妊娠と血糖コントロールを関連づけた支援を行うことが重要と考える。
著者
藤井 游惟
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.91-92, 2001-09-29

上代特殊仮名遣いオ段甲乙音は条件異音に過ぎず,上代日本語も現代と変わらぬ五母音であったことは,現代日本語オ段音の発音を分析すれば完全に説明できる。そしてその条件異音に過ぎぬものが上代において書き分けられているのは,記紀万葉(森博達氏のいう日本書紀α群を除く)等上代文献を記述していたのが,母語においてオ段甲乙に相当する母音を明確に聞き分ける朝鮮帰化人であったからである。現代日本語オ段母音/O/は[o]〜[〓]にかけての許容範囲を持っているが,よく分析すると(1)ア・ウ段音に接続する/O/は円唇化する,(2)オ段音を強調し明瞭に発音しようとする意識が働くと/O/は円唇化する,(3)低音で発音される/O/は円唇化する,という三つの円唇化法則がある。この円唇化した/o/は[o]であるが,非円唇の/o/はいわば「手抜き」の発音であり意図して発音される[〓]ではなく,子音との関係により(4)オ→コ(ゴ)→ヨ→ロ→ノ→ソ(ゾ)→ト(ド)→ホ→モ→ポ(ボ)の順で唇の開きが小さくなり,モ・ポ(ボ)などでは/o//o/の差は殆どなく[o]の範疇に入る。この/o/が甲類,/o/が乙類と考えれば,有坂三法則((1)法則),ホ・モの書き分けが明確でなくコの書き分けが遅くまで残ったか((4)法則),なぜ単音節名詞に甲類が多いか((2)法則),「夜」「世」がなぜ甲乙で書き分けられているか((3)法則),などオ段甲乙音について知られている事実は全て説明できる。この/o/と/o/は日本語では条件異音に過ぎないが,朝鮮語ではこれらを/〓/[o]・/〓/[〓]として明確に区別する。そして朝鮮最古の韻書「東国正韻」でオ段甲乙に充当されている漢字の朝鮮音を見れば,甲類には明確に〓/,乙類には/〓/もしくは非/〓/の非円唇母音が現れる。しかも,記紀万葉成立時代には日本に663年白村江敗戦以降亡命してきた多数の朝鮮帰化人が存在し,文書事務に携わっていたことを示す直接・間接の証拠が数多ある。
著者
大野晋 柴田武編集委員
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1976
著者
吉田 琢哉 吉澤 寛之 浅野 良輔 玉井 颯一 吉田 俊和
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.252-264, 2019-12-30 (Released:2020-01-24)
参考文献数
59
被引用文献数
5

本研究では,複数の社会化エージェントの働きかけが,子どもの反社会的行動の規定因である社会的認知バイアスに及ぼす影響について検討した。親の養育,教師の指導,友人の非行は社会的認知バイアスに直接的な影響を及ぼす一方で,地域住民の集合的有能感は親の養育や教師の指導を媒介して社会的認知バイアスに影響を及ぼすと予想した。1,404名の小中学生とその保護者を対象に調査を実施した。共分散構造分析による分析の結果,地域住民の集合的有能感は親の認知する養育,子どもの認知する養育,および教師の指導を介して社会的認知バイアスを抑制し,子どもの認知する親の養育と教師の指導,そして友人の非行は社会的認知バイアスに直接的に影響するというモデルの適合性が示された。集合的有能感のうち,非公式社会的統制が親の養育を,社会的凝集性・信頼が教師のM機能を促進したことから,親の養育と教師の指導とでは地域住民の働きかけが及ぼす影響過程が異なることが示唆された。
著者
菅野 憲司
出版者
千葉大学大学院人文公共学府
雑誌
千葉大学人文公共学研究論集 = Journal of studies on humanities and public affairs of Chiba University (ISSN:24332291)
巻号頁・発行日
no.38, pp.319-322, 2019-03

[要旨] この提言では、来る 3 月23-24日両日京都大学で開催される、第 25 回大学教育研究フォーラムにおける、個人研究発表と参加者企画セッションとの、大会資料集の原稿を披露し、最も関心を集めているであろう「大学入試共通テスト」英語試験に対する、今日時点での見通しを披露する。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1900, pp.64-67, 2017-07-17

今年6月5日、三菱重工業・名古屋航空宇宙システム製作所(愛知県豊山町)で米ロッキード・マーチンのステルス戦闘機「F-35AライトニングII」が日本で初めて披露された。 日本政府がF-35の導入を決めたのは2011年の暮れ。発注は12年度から始まり、「次期防衛力整…
著者
有元 よしの 岡本 真 大向 一輝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.3A2OS11b9, 2011

<p>2008年7月から3ヶ月ごとに全国各地で開催しているARGカフェ&ARGフェストを題材に、業種、職種、専門といったバックグラウンドが異なる人々、特に未知の人物同士が多い人々の間のコミュニケーションを促進し、コラボレーションへの発展を促す仕組みを論じる。 特に今回はJSAI2010での発表「ライトニングトークとパブでの立食パーティーによるコラボレーション促進の試み」以降の経過をまとめる。</p>
著者
今川 弘 滝野 慶則 清水 正夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.138-144, 1976-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
8
被引用文献数
2 4

(1) 紅茶製造中における核酸成分の変化に関与する核酸分解酵素系を検討するために,茶葉から調製した粗酵素をDEAE-セルロースカラムで分別し,主要画分についてRNAの分解作用を調べ, 5′-ヌクレオチドを生成するエンドヌクレアーゼと2′,3′-環状ヌクレオチドを生ずるRNaseの存在を認めた。(2) RNase含有画分をセファデックスカラムで分別し, PMase, PDase両活性を含まないRNaseを得た。本酵素は至適pH5.5で熱安定性が高く, RNAを分解して2′,3′-環状ヌクレオチドとオリゴヌクレオチドを生じ,その際G>pの生成が最も顕著であった。また環状ヌクレチドを3′-ヌクレオチドに加水分解するが,その速度は非常におそい。これらの結果から,紅茶に含まれている2′-および3′-ヌクレオチドは茶葉RNAからRNaseの作用によって生じた2′,3′-環状ヌクレオチドが母体となり,これらがRNase, PDaseの作用および非酵素的分解をうけて生成したものと考えられる
著者
藤田 尚志
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

経済的利用価値の高いと考えられる米糠からの二重鎖RNA(dsRNA)抽出方法を確立した。まず、米糠に含まれるdsRNAの安定性について粗抽出液に関して検討を行い、以下の結果を得た。dsRNAは温度依存性の安定性を示し、冷蔵以下の温度で安定であることを見出した。また、dsRNAの安定性は塩濃度依存的であることを見出した。以上より、抽出の塩濃度、温度の管理が非常に重要であるが明らかとなった。次に粗抽出液を濃縮する方法を確立した。さらに経済性を高めるため、濃縮方法の改良の検討を継続している。ピーマン由来dsRNAを用いてマウス個体での免疫賦活活性を検討した。ピーマン由来dsRNAを経鼻投与することによって季節性のH1N1インフルエンザウイルスのみならず高病原性H5N1インフルエンザウイルスに対しても強い防御効果があることを見出した。次に不活化H5N1ウイルスとともにピーマンdsRNAの皮下投与を行ないそのアジュバント効果を検討した。不活化ウイルスのみでは強い免疫応答は見られなかったが、dsRNAとともに投与することによって劇的な免疫効果が観察され、ピーマンdsRNAに強力なアジュバント活性がある事が判明した。最後にB16-F10メラノーマ移植マウスの系を用い、dsRNAの抗癌試験を行った。その結果、ピーマンdsRNAはNK細胞の活性化を通してB16-F10細胞の増殖を抑制する活性を有する事が明らかとなった。マウス個体を用いた結果は論文投稿中である。
著者
増田 陽平 吉村 洋一 岡村 武志 松崎 尚志 多田 弘史
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.377-381, 2009-09-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
9
被引用文献数
1

我々が経験したinsufficiency fracture(脆弱性骨折)の7例について画像に関する考察を含め報告する.平均年齢79.7歳,男女比1:6,仙骨翼両側骨折が71.4%,片側が28.6%であった.恥骨骨折合併を42.9%に認めた.何れの患者も自制疼痛内安静度自由とし軽快した.画像的特徴としてレントゲンで骨折を判別するのは困難で,MRIにおいて特にSTIR(脂肪抑制)では仙骨部の信号変化を捉えやすかった.骨シンチでは両側骨折の場合に蝶形,H型,Honda's signと呼ばれる集積増を認める.CTでは骨折線もしくは硬化像を確認できた.日常診療で本疾患は見落とされやすいために常にその存在を念頭に置き,検査においては,恥骨骨折の存在は本疾患を考慮し,感度の高いMRI,骨シンチでスクリーニングし特異度の高いCTで確定する.