著者
又吉 直樹 田村 哲郎
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第23回 風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.37, 2014 (Released:2015-03-10)

独立行政法人宇宙航空研究開発機構では、高層ビルの屋上ヘリポート周辺の風 モデル構築を目的として、ドップラーライダ、ヘリコプタを用いて都市境界層 の風観測を実施した。その結果、建築物荷重指針に比して、大きな風速分布の べき指数(0.28~0.54)、大きな乱流強度(地上高150~200mにおいて0.2~0. 3)、短い乱れスケール(地上高150mにおいて60~80m)が観測された。
著者
水元 芳 徳永 亜紀子 片桐 義範 樋口 善之 渡辺 啓子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.170-181, 2015 (Released:2015-12-26)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2

【目的】病院に勤務する管理栄養士の職務満足度の現状を把握し,職務満足度に影響している要因を明らかにすることを目的とした。【方法】福岡県の病院に勤務する管理栄養士を対象として,2011年10月に郵送法による自記式質問紙調査を実施した。自由記載欄を設けて質的データの収集も行った。「職務満足度」に影響を与える要因は重回帰分析等によって検討した。質的データはテーマ的コード化による分析を行った。【結果】「職務満足度」の中央値(25~75パーセンタイル値)は62.0(50~76)/100点であった。単変量解析で「職務満足度」との有意な関連性が認められた項目は「年齢」(p=0.008),「患者とのコミュニケーション自己評価」(p=0.001),「他職種とのコミュニケーション自己評価」,「同職種との業務上のコミュニケーション自己評価」,「栄養補給法に関する業務の自己評価」,「栄養指導業務の自己評価」,「チーム医療に関する業務の自己評価」(いずれもp<0.001)であり,これらの変数を投入して行った重回帰分析において,最も影響力の大きい項目は「同職種との業務上のコミュニケーション自己評価」であった(β=0.247,p<0.001)。質的データ分析からは,同職種との良好なコミュニケーションが他職種,および患者とのコミュニケーションをサポートしていることが示唆された。【結論】本研究では複数の項目が管理栄養士の職務満足度に関連しており,職務満足度に最も影響を与えていた項目は同職種との業務上のコミュニケーション自己評価であった。
著者
小川 正賢
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.41-46, 2017-11-11 (Released:2018-07-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1

「大学教育の国際化」という文脈で,大学の授業を英語で行うことが求められるようになってきているが,「教授学習言語を英語化する」とはいったい「具体的にはどのようなことなのか」を問う研究は多くない.本稿では,「英語と日本語との関係性」という視点から,大学教育の教授学習言語問題を見直す第一歩として,日本の理学系高等教育の創成期での「関係性」を探ることを試みる.具体的には,先駆けの一つであった札幌農学校を事例として取り上げ,そこでの教授学習言語の実情(創設期の外国人教師による英語の講義が,卒業生を中心とした日本人教師になって,講義が日本語化する状況)を受講ノートという史料に基づいて解読し,「英語と日本語との関係性」について,問題点を整理する.
著者
井口 正寛
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.E86-90, 2014-01

ロマン派を代表する作曲家であるロベルト・シューマンはかつてピアニストになることを夢見ていた。ところが、右手の障害のため夢を絶たれ、作曲家を目指すことになった。彼の時代には、右手の障害の原因は不明であった。梅毒治療薬の副作用説、後骨間神経ニューロパチー説など、これまで様々な診断が議論されてきたが、現在では音楽家のジストニア説が最も支持されている。音楽家のジストニアは、演奏動作特異的な障害を生じる難治性の疾患である。音楽家の数%に発症し、発症した約半数の音楽家はプロの演奏家としての道を断念することになる。今日では治療法が進歩を見せる一方で、正しい診断を下されず、治療機会を逸する患者が多く存在すると推測される。本論文では、シューマンの右手に関する病歴を振り返り、右手の障害の原因及び、音楽家のジストニアについて検討する。
著者
石田 健二 丸末 安美
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.392-396, 2014

<p> 日本原子力産業協会では約3年前の2011年1月,毎週発行の原子力産業新聞の紙上に,理科好きの女子高校生「ゆりちゃん」が世の中に広く利用されている放射線について質問し,ものしり博士の「タクさん」が分かりやすく回答する「原子力ワンポイント」の連載を始めた。その途中,福島第一原子力発電所事故が起こったため,2011年4月7日からは「日本の放射線・放射能基準」について,男子高校生の「ゲンくん」が質問し,ものしり博士の「カワさん」が回答する「番外編」を組み込んだ。そして事故から約2年半が過ぎた2013年9月5日,もう一度,初心にかえり,「広く利用されている放射線」についての解説を再開した。本稿では,執筆済みの中から,放射線量の数値等が独り歩きをして一般の方に誤解を与えているケースに対し,分かりやすく解説したコラムを「4編」選んで紹介する。</p>
著者
本多 周爾
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法學研究 : 法律・政治・社会 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.287-309, 2013-07

はじめに1 文化帝国主義とは何か2 文化帝国主義をめぐる言説3 文化帝国主義をめぐるいくつかの理論4 文化帝国主義論への批判むすびにかえて生田正輝先生追悼論文集論説
著者
山田敦
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.190-197, 2015-07-15

ビッグデータから競争優位を構築するために,多くの企業がアナリティクスの活用を進めている.優秀なデータサイエンティストを多数獲得・育成できれば,果たして成果を生み続けられるのだろうか.これまで数多くのお客様に対してアナリティクス活用の支援をしてきた筆者は,アナリティクスで継続して成果を生み出すには,企業は組織としての仕組みを持つべきであると考える.そう考えて筆者が実践してきたことを,本稿で,企業の仕組みとしてまとめた.この仕組みは,(1)データ活用プロセス,(2)データ基盤管理,(3)意思決定と運用管理の3つから構成される.
著者
西島 央
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.57-76, 2004-03-10

In Japan, what sort of people attend classical music concerts? It has been said that the classical music is an orthodox current of culture from the West, which was set up alongside the establishment of the modern educational system in Japan. Recently, however, the number of classes of music and other arts related subjects has been reduced as a result of the new national curriculum. In addition, the development of the Internet has provided a dramatic increase in terms of alternative access points to music. These are resulting in a dramatic change of music culture. Under these conditions, is it probable to think that attitudes towards classical music concerts might be in a process of change? The purpose of this paper is to illustrate the current conditions in relation to classical music concerts attendance from a sociological perspective. Methodologically, the paper draws upon evidence garnered from a questionnaire survey conducted at classical music concerts in Tokyo, Niigata and Kagoshima, between April and August 2002. To date, there have been few studies to investigate the sociological profile and associated behaviour related to classical music concert attendees, except the index of a stratum research. In this research, I will make use of sociological description of attendance, exploring the issue of regional difference. Subsequently I will analyze attendee's first experiences vis-a-vis the concert. Finally I will specify the features of attendance in relation to those classified as ""Jouren"" i. e. regular goers and those labeled ""Ichigen"" i. e first-timers. I will analyse the differences between them in light of a number of sociological indicators and their musical experiences during their formal education. As a kind of pilot study, I will propose a research framework that could provide a signpost for future research exploration.
著者
丸山宏 神谷直樹 樋口知之 竹村彰通 大西立顕
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.223-229, 2015-07-15

ビッグデータ利活用の主要なボトルネックの1つが人材不足だといわれている.我が国におけるデータサイエンティストの育成を加速するため.我々は文部科学省委託事業「データサイエンティスト育成ネットワークの形成」を2013年に開始した.本稿では,この事業を推進する上で見聞きした,さまざまなデータサイエンティスト育成の取り組みと,データサイエンティストを実際に組織の中で活かしていく取り組みについて,ベスト・プラクティスとして紹介する.
著者
河本薫
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.183-189, 2015-07-15

本稿では,企業の中で分析専門家として歩んできた15年間の経験をもとに,データ分析を単なる分析で終わらせずにビジネスに貢献するに至るには,分析力やIT力に加えて具備すべき能力があることを述べる.具体的には,意思決定の解決につながるような分析問題を設定する力,意思決定者が納得する解を導く力,また,人間の思考力と分析結果を融合させる環境を作る力が必要であるという持論を述べる.
著者
露木 茂
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.270-275, 2018-07-15

タキサン系薬剤による末梢神経障害を抑制する圧迫療法 我々は、手術手袋を90分装着するだけでタキサン系薬剤による末梢神経障害の発現を非装着時と比較して28%に抑制する方法を考案した。本圧迫療法は、手術手袋の圧迫により指先の微小血流が減少する作用を利用して、末梢神経への抗がん薬の曝露を抑制する新しい予防方法である。手術手袋さえあれば、どの施設でも簡単に実践できる末梢神経障害予防方法と考える。その原理と臨床試験の結果に基づく予防効果、今後の課題について述べたい。