著者
Kyohei MATSUI So TANABE Shuyi SUN Dung NGUYEN Takamasa KINOSHITA Yojiro YAMAMOTO Hiroshi SHIIGI
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
Analytical Sciences (ISSN:09106340)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.1461-1465, 2020-12-10 (Released:2020-12-10)
参考文献数
31
被引用文献数
5

Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) is a widespread analytical biochemistry assay. In this work, a direct ELISA method using a metallic nanoparticle (NP)-immobilized 96-well plate was developed for high-throughput, highly sensitive fluorescence analysis. Immobilization of metallic NPs on a 96-well plate effectively amplified fluorescence signals of the assay. The silver (Ag) NP-immobilized plate showed the best fluorescence enhancement effect of all the metal-immobilized plates tested. We used the Ag NP-immobilized plate to detect biomolecules and bacteria and found that both the fluorescence intensity and the limit of detection (LOD) were strongly enhanced by more than 100 times compared with those of the unmodified 96-well plates. Quantitative and qualitative considerations for target bacteria regarding the impact of autofluorescence on detection were successfully obtained for several strains. Our results demonstrate the potential of applying Ag NPs for enhancing the efficiency of direct and indirect ELISA assays.
著者
佐藤 恵美子 筒井 和美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.91, 2010

「目的」ゴマ豆腐は、痲腐(まふ)と呼ばれ、澱粉と油(ゴマ油)を混ぜた寄せ物である。普茶料理に属し、黄檗料理とも呼ばれ、宇治の黄檗山万福寺に伝わる中国式の精進料理で江戸時代初期に明から隠元禅師によって伝えられた。種々の文献調査およびアンケート調査結果により、ゴマ豆腐の種類、配合割合や調製条件について考察した。「方法」文献調査は聞き書きの食事(農文協出版)により、ゴマ豆腐について記載されている県を検索し、また種々の代表的な文献を10冊選び、材料の配合割合と調製条件について調査した。さらに県立新潟女子短大卒業生19年度39名、20年度39名、21年度35名、郷里山形県庄内地方に居住する女性(20代~60代)44名を対象に調査を行なった。「結果」文献調査から、加熱時間は15分~120分、配合割合は葛に対してゴマは0.5~1.5倍、加水量は6~13倍と幅があった。ゴマ豆腐は比較的多く喫食されて、皮むきや焙煎ゴマを用いられている。山形庄内では、皮付き白ゴマ豆腐が49%、黒炒りゴマ豆腐15%と両方を喫食する。ゴマ豆腐が好きな人が調査者に対して新潟で約半数(50%)、山形庄内では67%と多かった。新潟では喫食頻度が年に1回~2回であるが、山形庄内では月に2~3回喫食されていた。ゴマ豆腐のおいしさは、香り、弾力、軟らかさ、なめらかさが重視されている。山形庄内では、日常食よりも結婚式などの御祝時に喫食され、砂糖醤油あんにおろし生姜をかけて食する。新潟のゴマ豆腐はデザート的な要素で白く甘いお菓子的であり、「たれ」はかけないで食する。ゴマ料理として最も多いのは、「あえもの」である。ゴマ豆腐の調理経験者の50%が、「練りゴマ」を使用していることがわかった。
著者
菅沼 若菜
出版者
首都大学東京・都立大学社会学研究会
雑誌
社会学論考
巻号頁・発行日
vol.40, pp.69-92, 2019-12-10

本稿の目的は,アートを政策的に活用した場合,地域とのつながりとアートの公共性との関連をどのような形で見出すことが出来るかを考察することである.その事例として横浜の黄金町を取り上げ,違法風俗業者を一掃し,「アートのまち」としての再生から約10年経った現在の状況に着目する.黄金町の事例から得られた知見は,以下の点である.第1に,「アートのまち」として再生したことによる,まちの治安の改善とそれに付随する子どもの増加がアートを導入したことによる成果である.第2に,地域から必要とされるアートの実践が今後の課題となる点である.また,行政資料や住民へのインタビュー結果から明らかになったのは,「アートのまち」に対する行政と住民両者の間に見解の相違が見られた点である.第3に,こうした課題を克服するためには,「アートのまち」から何か経済活動が生まれる等,アートと協働してまちが経済的に活性化することや,住民とアーティストの距離感を克服し,両者の協働が生まれることが必要であることが明らかになった.創造都市政策の一環として環境浄化を目的に用いられたアートの役割は,その目的が達成されて終わるのではなく,アートを住民主体のイベントや地域資源と絡めることで,地域の住民や地域に開かれたアートの公共性のかたちを見出す可能性があることが明らかになった.
著者
七戸 秀夫 川堀 真人 寳金 清博
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.115-121, 2018 (Released:2018-05-31)
参考文献数
14

脳梗塞に対する細胞治療が国内外で臨床試験として開始されつつある. 2012年度に, われわれは 「脳梗塞の再生医療」 に関して厚生労働省から革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業実施機関に選定された. 本事業のもとで, われわれは自家骨髄間質細胞 (bone marrow stromal cells: BMSC) 移植による脳梗塞再生治療の医師主導治験 (第Ⅰ相 : RAINBOW研究) を準備し, 2017年6月に最初の被験者が登録された. 本治験は, ①ウシ胎仔血清 (FBS) などの代替として, 他家ヒト血小板溶解物 (platelet lysate: PL) を添加し, 自家BMSCを培養する, ②脳梗塞周辺部へ脳定位的手術により細胞を直接移植する, ③MRIによる移植細胞の挙動把握を目的とし, 超常磁性酸化鉄 (SPIO) 製剤によりBMSCをラベルする, ④FDG-PETやIomazenil-SPECTを用いて, 細胞移植がホスト脳に及ぼす影響を評価するなど, 過去の臨床試験と異なる新規性のあるプロトコルを採用し, われわれは第2世代の臨床試験と自負している. 本稿ではBMSC移植治療の作用機序と治療戦略, 非臨床試験, 治験プロトコルの観点から, われわれの経験を報告する.
著者
佐藤 恵美子 松田 トミ子 山田 チヨ 渡邊 智子 山口 智子 伊藤 知子 伊藤 直子 太田 優子 小谷 スミ子 立山 千草 玉木 有子 長谷川 千賀子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』のガイドラインに準じた聴き取り調査結果から、昭和35~45年頃までに定着した新潟県のおやつについて報告する。<br />【方法】村上、新潟、長岡、柏崎、魚沼、上越、佐渡の7地域のおやつについて検討した。<br />【結果】新潟県は米を中心とした主食の豊かな食文化があり、うるち米、もち米、くず米、米粉を使ったものが多く、おやつにも主食と類似した文化がみられた。うるち米を使ったものには、おにぎりに生姜味噌をつけて焼いた「けんさん焼き」(魚沼)、米を二度炊きにしてから搗いた「にたて餅」(村上)があった。もち米を使った「餅」はきな粉や砂糖醤油をつけて頂き、「あんこ雑煮(おしるこ)」や「あられ」・「かたもち」(新潟)にして食された。米麹から作る「甘酒」(新潟)、灰汁に漬けたもち米を笹の葉で巻いた「灰汁笹巻」(村上)も特徴的である。もち米や米粉を使ったものには、新潟県の特産品として親しまれている「笹団子」(新潟・県全域)があり、中に餡を入れたものだけでなく、ひじきやあらめの煮物を入れたものも食された。新潟県のおやつには笹の葉を用いたものが特徴的であり、笹団子の他に「三角粽」(柏崎・県全域)や「笹餅」(魚沼)などがあり、地域により笹の用い方に違いがみられた。くず米の利用として、あんや大根菜を入れた「あんぼ」(魚沼)、「おやき」(柏崎)、「みょうが団子」(上越)などがある。佐渡では米粉を使ったものとして、雛祭りには「おこしがた」、釈迦祭りには「やせうま」、ケの日には「とびつき」が食べられていた。その他のおやつに含まれるものに「バタバタ茶」(上越)があり、糸魚川市で泡立てた番茶をいただく風習があった。
著者
徳田 迪夫 内迫 貴幸
出版者
三重大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

木構造の設計をより合理的に行うためには、釘接合のメカニズムを基本に戻って詳細に調べておく必要がある。そこでまず第一に、木材に特有の釘の保持能力を調べる過程として、釘打ちによる木材の割れと保持力の関係に注目をしてみた。木材を切ったりすることなしに、割れ全体が視覚化できる方法はないものかと思考錯誤した結果、浸透性の高い胃透視用のバリウム液を釘打ちによって生じた割れ内部に減圧後に浸透させ、X線撮影によって割れの形状を定量的に簡便にできる方法を考え出した。第二に、打釘による割れを利用して、逆に木材の材質を判定することを試みた。打釘による割れはほぼ木材の比重に比例するが、樹種、成熟材か未成熟材といったものが大きくきいてくる可能性がある。これらの因子を打釘による割れから推定した。次のような結果が得られた。1)バリウムを釘打ちによって生じた木材の割れ内部に浸透させることにより、木材内部に広がる割れについても、定量化できた。2)割れの形状は試験管型、楕円型、すり鉢型の3種類で、いずれも同一割れ面積の楕円で近似が可能であった。3)釘の打ち込み回数の木材の割れ量への影響は極めて大きかった。4)異形釘は、スムーズ釘に比べると割れ量は少なかった。5)先端角度が大きい(鈍い)釘程、木材の割れは少なかった。6)木材の含水率が割れに及ぼす影響は大きかった。7)釘の打ち込み面が板目か柾目ということの割れへの影響は少なかった。8)釘内による木材の割れ量は同一樹種間では、木材の比重と釘径の関数として表せた。このことを利用して、釘接合部の設計の際の最適釘配置方法を釘径および木材の比重をパラメータとして提案した。しかし、樹種が異なると、それぞれ樹種特性があり、単純に比重の関数として表すことはできなかった。9)ヒノキは他樹種より釘打ちによる木材のの割れが少なく、しかも、比重に比例した引抜き耐力を有する粘りのる材であることが、バリウム浸透法で明らかになった。10)未成熟材と成熟材では同一比重でも、釘打ちによる木材の割れ量は大きく異なったが、生長の遅いベイツガは、比重のわりに材がもろくて、割れ量が少なく、材のどの部分でも、未成熟材と同じ性質を有していた。11)釘打ちによる木材の割れは樹種や材質と深い関係にあり、今後さらに本研究手法を用いることにより、木材の新たな材質の評価が可能であると考えている。特に国産のスギ、ヒノキと北米産の針葉樹との違いが明らかになり、スギ、ヒノキを建築用材として用いる際の長所が引き出せるものと考えている。
著者
小笠原 靖 岡田 千穂 赤野 裕文 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1081, 2009

<BR>【目的】食酢を利用した肉の軟化法として、生肉を食酢等の酸性調味料に漬け込む(マリネする)方法については詳細に研究されている。しかし、食酢やレモン等の酸を用いて肉を加熱調理する料理は世界各国にあるものの、加熱調理時の肉の軟化効果に関する研究はほとんどなされていない。そこで、本研究は食酢を用いた加熱調理における肉の軟化効果について調べることを目的とした。<BR>【方法】1.食酢溶液、および、食酢と他の調味料(食塩、砂糖、醤油等)の混合溶液で煮た豚ヒレ肉、豚ロース肉、鶏ムネ肉の硬さをテクスチュアアナライザー分析と順位法による官能評価で調べた。また、加熱後の肉の水分量を測定した。さらに、豚ロース肉を用いてコラーゲン溶出量をアミノ酸分析計で調べた。2.肉の加熱時に食酢と他の調味料の添加順を変えた場合の豚ロース肉の硬さをテクスチュアアナライザーで調べた。また、順位法による官能評価で硬さと味の評価を行った。<BR>【結果】1.食酢溶液で煮た肉は水で煮た肉よりも軟らかかったが、食酢と食塩または醤油の混合溶液で煮た場合にはその効果が低下した。食酢と砂糖の混合溶液の場合にはその効果が保たれた。食酢溶液で煮た場合は肉の水分量、及び、コラーゲン溶出量が多かった。2.最初から食酢と砂糖と醤油で加熱する調理方法よりも、始めに食酢と砂糖のみで加熱し、後に醤油を加えて加熱する調理法の方が肉を軟らかくできた。味の嗜好性には有意差が無かった。また、最初に醤油と砂糖で加熱しておき、次に食酢のみの溶液に移し変えて加熱する調理法も同様に肉を軟らかくできた。これらの調理法を活用することで、食酢を利用し肉を軟らかく美味しく調理できるものと考えられた。
著者
吉岡 敦之 井倉 洋二
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

自然体験活動は、しばしば少年自然の家などの公的機関やNPO法人などの非営利団体によって実施されるが、営利企業である学習塾が行っている例もある。学習塾が自然体験活動を実施するということは、本業である教育面、あるいは経営面で活かされる企業戦略であるとも考えられる。そこで、本研究では、実際に自然体験活動を取り入れている大手学習塾E社社員に対して聞き取り調査を行い、得られた内容から考察できる教育的・経営的効果をまとめた。九州でトップレベルの進学率を誇るE社は、1979年の創業以来、社会で自立できる子どもを育てるという教育理念に基づき自然体験活動を実施している。2012年から有限会社Y社と提携し、Y社の農園で通年の自然体験活動を開始した。この自然体験活動を通して、目の前の問題に対して工夫して効率化を図る問題解決能力や、団体行動での成功体験による積極性の向上といった直接的効果に加え、日常の教室においても、学習意欲の向上、体験を通した学習内容のイメージ化といった面で教育的効果がみられることが分かった。また、経営的効果としては、外部からのイメージアップや、保護者の高い評価などに繋がることが分かった。
著者
大西 奈保子 小山 千加代 田中 樹
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.113-122, 2020 (Released:2020-09-01)
参考文献数
21

目的:本研究の目的は,死別前から死別後を含めて,在宅で妻を介護した夫の看取りの特徴と訪問看護師の支援について明らかにすることである.方法:在宅で妻を介護した夫を妻の生前からケアした経験のある訪問看護師9名にインタビューを行い,その内容をグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析を行った.結果:その結果,在宅で妻を介護した夫の看取りの特徴は,【夫婦のありよう】【非日常的生活の継続】【つながりの薄さ】【抑え込まれた悲しみ】の4カテゴリ,夫への訪問看護師の支援は,【非日常的生活の中での看取りを支える】【抑え込まれた悲しみからの回復を促す】の2カテゴリで構成された.結論:特に妻との死別後,夫が悲嘆から回復し,生活再建に取り組むようになるためには長い夫婦生活の中で育まれた【夫婦のありよう】が重要と考えられ,訪問看護師は看取りの時期に【夫婦のありよう】に添いながら,夫婦が望む看取りのあり方を実現できるように支援していくことが必要と示唆された.
著者
加藤 和子 成田 亮子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.91, 2011

【目的】日本調理科学会平成22年度大会において、日本の各地や家庭において伝承されてきた行事食について、本学学生の家庭にみた現状について中間報告を行った。今年度は、本学学生の家庭における行事食の支度方法と、行事食の継続状況について検討を行った。【方法】本学家政学部栄養学科・短期大学部栄養科1~4年生の学生とその家庭に全国統一アンケート用紙を平成12年12月に配布し、冬期休業中の留め置き法により回収した。回答アンケートは総数697件、この内10代:175件、20代:247件を学生世代、主たる調理担当者として40代:109件、50代:127件を親世代として項目ごとに集計を行った。【結果】各年中行事における行事食喫食経験者の内、「毎年食べる」行事食は、学生世代では正月:雑煮、クリスマス:ケーキ、親世代は正月:雑煮、黒豆、かまぼこ、煮しめ、大晦日:年越しそば、クリスマス:ケーキが80%以上であった。さらに「家庭で作る」行事食として、学生、親世代共に正月:雑煮、人日:七草粥、その他に学生世代では正月:焼き餅、きな粉餅、親世代は正月:ぜんざい、汁粉、あんこ餅、上巳:蛤の潮汁、盂蘭盆:精進料理、煮しめ、冬至:南瓜の煮物が多かった。また喫食経験者は少ないが、「家庭で作る」割合が高い行事食もみられた。「買う」行事食の割合は、親世代では正月:かまぼこ、土用:鰻の蒲焼きが80%以上、学生世代は節分:炒り豆、上巳:餅・菓子、端午:柏餅、クリスマス:ケーキが70%以上であった。現在では「食べなくなった」行事食は、学生、親世代共に上巳:白酒、その他に親世代では正月:屠蘇、春分の日:精進料理、七夕:赤飯、月見:小芋、春祭り:だんご・餅、秋祭り:ご飯・すし、だんご・餅であった。
著者
高井 郁子 柳沢 幸江 村田 安代 寺元 芳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.307-314, 1993-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
3

鶏肉の水煮における, 加熱開始温度と加熱終了温度の相違が物性, 食味におよぼす影響を明らかにするため, 鶏肉および煮汁の呈味成分の消長, テクスチャー特性について調べた.また官能検査を行い呈味成分, テクスチャーとの関係を考察した.(1) 実験11) 水煮した鶏肉のかたさには, 水から煮ても, 熱湯に入れて煮ても, 加熱開始温度の影響はなかった。2) 本報の実験条件では, 熱湯に入れて煮た方が若干, 肉中, 煮汁中の5'-IMP量が多く, 官能検査の結果も, 熱湯に入れて煮た方が, 肉にうま味があり, 好ましい傾向がみられた.煮汁も熱湯に入れて煮た方が, うま味を多く感じていた.(2) 実験21) 加熱終了温度の違いによる核酸関連物質, 遊離アミノ酸の消長はほとんどみられなかった.しかし, 呈味に関与しているといわれているタウリン, アンセリンは加熱により徐々に煮汁中に溶出した.2) 官能検査の結果, 本報の実験条件では, 加熱終了温度90℃ (23分加熱) の肉がやわらかく, しっとりとして総合的に好ましいという評価を得た.実験1, 2の結果より鶏肉の水煮は, 本実験条件では肉の呈味成分の消長はあまりみられず, 肉のかたさ, パサつきなどの物性面への影響が多いと考えられた.加熱方法としては熱湯に肉を入れ内部温度80~90℃になるまで加熱する方法が望ましいといえる.
著者
升井 洋至 片寄 眞木子 坂本 薫 田中 紀子 原 知子 本多 佐知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.195, 2010

【<B>目 的</B>】現在、平成21、22年度日本調理科学会特別研究として全国統一様式を用い、行事食についての認知状況、摂食状況等を調査中である。今回は特に年末年始の行事食について、兵庫県の大学生の家庭における現状を把握することを目的とした。<BR>【<B>目 的</B>】日本調理科学会近畿支部担当の調査区域内(大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山)で実施した2499名の調査データ中、兵庫在住者534名を対象とした。年末年始の行事食として、屠蘇、雑煮、お節料理、七草粥、年越しそば等を取り上げ、認知度、食経験について集計を行った。<BR>【<B>結 果</B>】調査対象者の性別は女性464名、男性70名であった。「屠蘇」においては52%が未経験であり、毎年喫食をする割合は19%であった。「雑煮」では83%が毎年喫食し、80%が家庭で調理、すましと白みそ雑煮の割合はほぼ等しく、両方を食べるものが9%であった。餅の形では「丸もち」の使用が多かった。雑煮以外の餅料理として「焼き餅」「きな粉餅」等があげられていた。「小豆飯・赤飯」の正月における喫食は10%で、お節料理中「なます」(68%)以外、「黒豆」「数の子」「田作り」等は75%以上の喫食経験があり、「昆布巻き」は毎年食べる割合が低かった。魚・肉料理の喫食状況は、えび、ぶり、鯛および牛、鶏、豚の順に多く食されていた。「七草粥」については86%が認知しているが、経験は60%で「毎年食べる」28.5%、「時々食べる」15.7%であった。食材はせり・なずな等の青菜を中心とするものが多かった。大みそかでは「年越しそば」(93.8%)の喫食経験に対し、「年取りの祝膳」(12.7%)、「尾頭つきいわし料理」(7.8%)の喫食経験は低かった。現在、喫食状況の変化、入手方法等の面からも検討している。
著者
若原 俊彦 松本 充司
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.17-22, 1999
参考文献数
6

近年、パソコン(PC)やコンピュータ周辺機器の高性能化・大容量化および経済化が進み、インターネットの普及とあいまってデータだけでなく音声、静止画や動画を含んだマルチメディアによるコミュニケーションが主流となりつつある.従来の通信サービスでは、単機能型の専用端末が用いられてきたが、最近はパソコンを利用してネットワークにアクセスし、各種アプリケーションソフトを利用してコミュニケーションが行われるため、相互接続の問題などが生ずる.本論文では, 最近の通信サービスの利用形態の変化を踏まえ、マルチメディア通信サービスのインタオペラビリティを確保するための問題点およびその解決法について述べる.具体的には、F.700のマルチメディアサービス参照モデルを用いてサービス分析を行い、コミュニケーションタスク、メディアコンポーネントの整合性をはかり相手端末とネゴシエーションする方法を示した.
著者
矢澤 正人 青井 俊樹 坂庭 浩之 安江 悠真 高橋 広和 西 千秋 瀬川 典久 時田 賢一
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

1:動物には個体ごとの形態的な特徴が顕著な種とそうでない種がある.ヒトの個体ごとの形態的特徴は多くの哺乳類の中でもばらつきが大きく,他に例を見ないほど多くの装着物を装着する種である.装着物によっては数千年にも及ぶ進化発展を経ているが,ほぼすべての個体に適合する装着物は稀である.野生動物の行動調査に用いる装着物には,標識タグ,無線タグ,テレメトリ無線送信機,GPS無線送信機,などがある.筆者自身が装着を経験した装着物には,衣服および靴,腕時計,サングラス,ヘルニア治療用コルセット,ナイトガード(就寝時用マウスピース)ピアス,指輪,スキー,スノーボード・シュノーケルなどがある.これらを機能の観点から分類すれば,,躯体保護,機能補完,装身,機能拡張となる.別の分類方法として,個体の形態的特徴を考慮して制作したもの,選択したもの,調節したもの,考慮しなかったもの,の4つに分類することができる.個体の形態的特徴を考慮しなかった装着物は,上記装着物の中ではピアスだけである.<br>2:野生動物の装着物の外装を設計製造するにあたり著者らが連携している相手先は,紡績,縫製,樹脂成型(インジェクション及びヒートプレス),切削,プレス,めっき,溶接,ポッティング,などの分野が主体である.いずれも大量生産品以外は高額という第二次産業革命の特徴を持つ.<br>s3:開発にあたって最も参考にした文献として,セミプロ向けの模型製作技術を解説した書籍が挙げられる.彼の分野における品質は工業製品を凌駕し美術品に迫るものすら散見される.量産品の数千分の一未満の製造数でありながら価格を数十倍以下に収め商業的に成立させる総合的な技量は,ものづくり大国・技術立国といった言葉に積もる埃を吹き飛ばしてくれる.動物装着物の外装を考える際は,彼の分野とも積極的に関わることを推奨する.
著者
齋藤 寛子 平尾 和子 佐藤 恵美子 宮地 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】山形県は昔から米作りが盛んであり、農作業の合間の小昼や一服のおやつは、疲れた身体を癒し、生産性の向上も担う大切な食であった。また、学校を終えて帰宅した子どもたちにとって、おやつは昔も今も楽しみであり、大切な栄養補給である。加えて、歴史的背景から、西廻り航路の港であった酒田市は、早くから京の和菓子が伝えられ、隣接する城下町であった鶴岡市は、雛菓子、お盆菓子、正月の祝い菓子など現在も昔と変わらずに食べられている。そこで本報告では、山形県の家庭におけるおやつについて、その実態を調査し、伝承された食べ方などをまとめることを目的とした。<br />【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」に於いて行った聞き書き調査及び山形県の郷土料理に関する出版物からの料理の抽出、さらに継続して行っている調査結果などから、季節、行事及び県内の地域区分等でおやつを分類し、その特徴について分析した。<br />【結果】山形県の家庭料理におけるおやつは約50品集録された。「ケ」の食のおやつには、うるち米やもち米を材料とするものが多く、きな粉餅、味噌餅、白餅もおやつとして認識されており、硬くなった餅は油であげたり、炒ったりして味付けし、あられとして食べられている。醤油で煎り煮した玉こんにゃくや寒天を用いた寄せものは、おかずだけではなくおやつにもなる料理である。「ハレ」の食のおやつには、上巳の節句のくじら餅、草餅、鶴岡の練り切り等で作るお雛菓子、端午の節句には灰汁巻きと灰汁を用いない笹巻2種と笹団子及び小正月の団子などが分類された。昔からのおやつは、食材は限られるものの、調理法や味付けに工夫が見られ、山形のおやつは豊かであったことが推察された。
著者
佐々 茂
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.4, pp.248-251, 2007 (Released:2007-10-12)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

ヘムタンパク質から遊離するフリー・ヘムはヘム・オキシゲナーゼによって,鉄イオン,ビリベルジンIXα,COに分解される.この反応はこれまで代謝・分解反応として考えられて来たが,一方この酵素反応の結果(1)酸化的ストレスであるフリー・ヘム濃度が減少する事,(2)鉄イオンはフェリチンの誘導を介して酸化的ストレスを軽減する事,(3)ビリベルジンIXαおよびその還元体であるビリルビンIXαはいずれも重要な抗酸化作用を示す事,(4)COはストレスによる細胞死を抑制する事,などの事実も明らかになった.従ってヘムの代謝産物はいずれも酸化的組織障害に防御的貢献をしている.すなわちヘム・オキシゲナーゼ活性,およびフリー・ヘムによるヘム・オキシゲナーゼ遺伝子の活性化はいずれも生体防御反応において重要な役割を果たしている.フリー・ヘムはさらにいろいろな遺伝子の活性化機構にも関与している事も明らかになり,この章ではフリー・ヘムの遺伝子活性化に及ぼす影響を概説した.ヘムによる遺伝子活性化機構の解明は組織防御を始めとする各種の重要な生体反応の理解に極めて重要であると考えられる.