著者
大島 潤一 江連 康弘 飯塚 和也 石栗 太 横田 信三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.93-98, 2018-08-31 (Released:2019-05-10)
参考文献数
19

宇都宮大学船生演習林内のスギ造林地(面積31.13 ha)を対象に,クマによる剥皮害を受けたスギの剥皮部の形態及び腐朽状況を調査し,スギ樹幹の腐朽の進行について考察した。幹周に対する剥皮幅の割合の分布は,100%(全周剥皮)が22.5%を占め,全周剥皮では,高い枯死率を示した。目視調査から,剥皮後の経過年数で高い腐朽度の個体割合が増加したことが判明した。ピロディン打ち込み深さは,経過年数とともに増加したが,応力波伝播速度は減少した。また,表面含水率は,剥皮後3 年目まで急速に減少した。クマによる剥皮害を受けたスギでは,剥皮形態により剥皮部表面及び樹幹内部での腐朽の進行が大きく異なった。
著者
甲田 広明 堤 陽平 森 幸子 北口 遼 船越 大生 前川 和道
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1535, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】理学療法を行うにあたってブリッジ運動を利用できる場面は様々である。ブリッジ運動は臥位で行えるため安全で,幅広い患者に用い易い。理学療法中ブリッジ運動を用いると,患者によって殿部の挙上度合いに差があり,歩行自立度の高い患者ほどブリッジ運動時に股関節を伸展出来ているように感じる。そこで今回,ブリッジ運動時の股関節伸展角度と歩行自立度の関係を調べ,歩行自立度低下の予測及び予防をする際の指標とすることを目的とした。【方法】当院外来通院中で,屋外歩行自立度が独歩自立または杖歩行自立の患者を対象とした。対象の年齢選定は,年齢によるバイアスを少なくする目的で,下限を前期高齢者以上とし上限を90歳未満とした。得られた対象者は独歩自立の者が21名(男性8名,女性13名,平均年齢76.4±5.4歳,以下,独歩群),杖歩行自立の者が11名(男性2名,女性9名,平均年齢79.2±7.8歳,以下,杖歩行群)であった。下肢に麻痺のある者,ブリッジ運動時に痛みの出る者,また屋外歩行が独歩であったり杖歩行であったりと歩行自立度が一定しない者は除外した。ブリッジ運動の開始肢位は,背臥位にて両側上肢をベッド上に置き,膝関節を膝蓋骨の鉛直下方に踵部の後端が位置するところまで屈曲した肢位とした。開始肢位からゆっくりと可能な範囲で殿部を挙上させ,挙上が止まった時点での股関節伸展角度をゴニオメーターで計測した。その際上肢の力を用いることは禁止しなかった。股関節伸展角度は,日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会の定める測定方法を参考にし,体幹と大腿で計測を行った。統計は,独歩群と杖歩行群において得られた股関節伸展角度及び年齢について比較検討した。統計処理にはt検定を用い,有意水準を5%未満とした。また,独歩群と杖歩行群の歩行自立度に関するカットオフ値をROC曲線より決定し,クロス集計表より感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率,正答率を算出した。【結果】ブリッジ運動時の股関節伸展角度の平均値は,独歩群1.4±11.1°,杖歩行群-21.8±11.5°で有意差を認めた(p<0.05)。両群間の年齢については有意差を認めなかった(p=0.25)。またブリッジ運動時の股関節伸展角度のROC曲線から,最も有効な統計学的カットオフ値は-15°であると判断できた。この点をカットオフ値としたクロス集計表より,感度86%,特異度82%,陽性的中率75%,陰性的中率90%,正答率84%の値が算出された。【考察】今回の研究から,独歩群は杖歩行群と比較してブリッジ運動時の股関節伸展角度が有意に高値を示し,カットオフ値は-15°であることが分かった。クロス集計表から得られた値は,陽性的中率を除いてすべて80%以上であり,歩行自立度に関する評価指標として有用であると考えられた。陽性的中率は75%であったが,陰性的中率は90%,正答率は84%であり,ブリッジ運動時の股関節伸展角度が-15°以上であれば歩行自立度が独歩となり易いことが示された。以上より,独歩自立の者のブリッジ運動時の股関節伸展角度が-15°のカットオフ値を下回るようであると,今後歩行自立度が低下すると予測された。また,独歩自立の者でブリッジ運動時の股関節伸展角度が-15°以上であれば,それを下回らないように理学療法を行うことで歩行自立度低下を予防できると考えられた。さらに現在の歩行自立度が杖歩行である者に対しては,-15°のカットオフ値を上回るように理学療法を行うことで,歩行自立度を向上させる可能性も示唆された。しかし今回の研究では,何故ブリッジ運動時の股関節伸展角度と歩行能力に関連があるのかについての詳細な検討は出来ておらず今後の研究課題としたい。また,どのような理学療法を行うとブリッジ運動時の股関節伸展角度が向上するかについても合わせて調査をしていきたい。【理学療法学研究としての意義】ブリッジ運動時の股関節伸展角度を計測することで,歩行自立度低下の予測及び予防をする際の指標になる可能性を示すことができ,理学療法学研究としての意義はあったと思われる。

1 0 0 0 スキー年鑑

著者
大日本体育会スキー部会 編
出版者
大日本体育会
巻号頁・発行日
vol.第16号(昭和17年版), 1943
出版者
銀行問題研究会
巻号頁・発行日
vol.第18輯 軍需會社法解説, 1944
著者
河西 瑛里子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第42回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.166, 2008 (Released:2008-05-27)

キリスト教到来以前のヨーロッパにおける信仰の復興運動、ネオペイガニズムを通して、伝統の創出について考える。本運動は、外部からは創られた伝統とされるが、当事者は過去との連続性を主張し、「本物」の信仰の復興をめざしている。その一方で、北米やオーストラリアの先住民族の文化を積極的に取り入れている。ここでは、とりわけドルイドの実践を取り上げ、彼らがなぜ「伝統」を復興させようとしているのか、考えてみたい。

1 0 0 0 OA 世態調査資料

出版者
司法省調査部
巻号頁・発行日
vol.第三十九號, 1943
著者
北風 浩平 川口 浩太郎 山田 哲 日高 正巳 和田 智弘 島田 憲二 福田 能啓 道免 和久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ca0258, 2012

【はじめに、目的】 膝に問題をかかえる患者の臨床所見の一つとして腸脛靭帯(iliotibial tract:以下ITT)の硬さが報告されている。ITTと外側広筋(vastus lateralis:以下VL)の硬さの関係について生体で検証した報告はなく、下腿内旋可動域(以下:下腿内旋)との関係を検証した報告もない。本研究では、健常男子大学生のITT・VLの組織硬度と下腿内旋を測定し、ITTの硬さならびに下腿内旋に影響を及ぼす因子について検討することを目的とした。【方法】 対象は、本研究の目的、測定方法に同意の得られた健常男子大学生12名(年齢21.4±1.0歳)の左右2膝、計24膝とした。また、対象者の膝関節に整形外科疾患、関節不安定性、関節弛緩性がないことを確認した。ITT、VLの硬さは組織硬度計OE-210(伊藤超短波株式会社)を用いて測定した。測定肢位は検査側下肢が上方の安静側臥位(膝関節伸展位)とし、測定部位をITT:大腿長遠位5.0%、VL:大腿長遠位67.1%とした。ITT、VLは触診及び超音波画像診断装置HS-2000(本多電子株式会社)を用いて確認した。測定中の筋収縮による影響を除外するため、表面筋電図計TELEMYO2400Tv2(Noraxon社)を用い、筋活動の有無を確認した。下腿内旋はMuaidi Q.Iら(2007)の方法を参考に下腿内旋測定装置(以下:装置)を作製し、他動運動を行った。大腿骨内・外側上顆、下腿近位1/3の脛骨粗面にマーカーを貼付し、大腿骨内・外側上顆マーカーを結ぶ線と脛骨粗面マーカー(棒状)のなす角度の内旋トルクを加える前後の差を下腿内旋角度と定義した。測定肢位は端坐位(両上肢腕組み、体幹・骨盤中間位、股関節屈曲90°・内外旋0°・内外転0°、膝関節屈曲90°、足関節底・背屈0°)とし、足関節内・外果を結ぶ線の中点を装置の回転軸上に設置し、距骨中間位で距骨関節面の前縁を結んだ線が装置に対して平行になるようにした。測定前にゴニオメーターを用いて測定肢位、口頭指示・触診により筋収縮の有無を確認し、2.548N/mの内旋トルクを代償運動・摩擦抵抗に注意して加えた。下腿回旋運動軸上1.37mの位置にデジタルカメラOptio M30(PENTAX社)を固定し、内旋トルクを加える前後に撮影を行った。膝関節周囲軟部組織の粘弾性の影響を考慮し内旋トルクを加え、装置の数値が一定になった後、 10秒間その位置を保ち撮影を行った。組織硬度は各部位3回測定し、3回の平均値を代表値とし、単位は%10Nとした。下腿内旋は測定画像を画像処理ソフトウェアImageJ1.34(NIH)に取り込み、角度を求めた。10回施行中、中間4回の平均値を代表値とした。統計処理として各々の代表値からITTとVL組織硬度の関係、下腿内旋とITT組織硬度の関係、下腿内旋とVL組織硬度の関係をPearsonの相関係数(r)を求め検証を行った。尚、有意水準は5%(p<0.05)とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には文書を用いて研究の趣旨を十分説明し、同意を得た。本研究は兵庫医療大学倫理審査委員会の承認(第10025号)を受け、実施した。【結果】 ITT組織硬度は71.7±3.2%10N、VL組織硬度は61.4±3.3%10N、下腿内旋は1.5±1.6°であった。それぞれの結果からPearsonの相関係数(r)を求めた所、ITTとVL組織硬度はr=0.169(p=0.429)、下腿内旋とITT組織硬度はr=-0.028(p=0.448)、下腿内旋とVL組織硬度はr=-0.079(p=0.357)となり全て有意な相関関係は認められなかった。【考察】 本研究の結果より、健常男子大学生では、ITTの硬さに対するVLの硬さの影響は少なかった。ITTの硬さに影響を与える因子として、先行研究の結果から股関節周囲筋等の影響も考えられており、今後検討する必要がある。また、ITTならびにVLの硬さは、下腿内旋にもあまり影響を及ぼさないことが明らかとなった。下腿内旋に影響を与える因子としては、kwak S.Dら(2000)はITT以上に下腿に直接付着している外側ハムストリングスの影響が強いと報告しており、今後さらなる検討が必要である。本研究の限界として、除外基準を設定したものの、関節の硬さには個人差があるため、対象者によっては十分な内旋トルクが加えられなかったことも考えられる。今後、実際にITTやVLのタイトネスを抱えた対象者に対する検討、さらに動作時もしくはVLの筋収縮時に検討が必要である。【理学療法学研究としての意義】 臨床場面で様々な部位に痛みを誘発したり、大腿と下腿のニュートラルなアライメントを阻害する腸脛靭帯付近の硬さの原因を探ることで、迅速かつ効果的な理学療法アプローチの立案につながる。