著者
山本 浩
出版者
上智大学
雑誌
ソフィア (ISSN:04896432)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.p336-342, 1981
著者
木戸 伸栄
出版者
鹿児島国際大学福祉社会学部
雑誌
福祉社会学部論集 = Quarterly journal of welfare society (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.75-94, 2015-10

口永良部島は屋久島の西方12kmに位置する。海岸線長49.67km、面積38.04km²、最高標高657m、(古岳)である。2014年8月3日に34年ぶりに噴火し、現在火口半径2km以内は警戒レベル3で入山規制がなされていた。そのため今回の調査は火口半径2km以外のひょうたん型の突き出た半島を主に調査を行った。この調査で、101科280種の植物(シダ植物9科25種、裸子植物5科5種、双子葉植物71科185種、単子葉植物16科65種)を観察した。 シカとヤギによる食害が広くみられた。調査日:2015年5月3~5日
著者
多田 正弘 飯田 洋三 榊 信広 斉藤 満 大下 芳人 岡崎 幸紀 河村 奨 竹本 忠良
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.450-457_1, 1980

従来の鉗子生検は生検組織の大きさに制限があり,組織の挫滅も大きく必ずしも完全な生検法とはいえない.慢性胃炎の拡がり,およびその病態生理を明らかにするために,より大きい組織片を採取する必要性を痛感し,直視下吸引生検によるJumbo biopsyの開発を行っており,その成績を報告する. 30~60cmHgの吸引圧で21症例,56片の生検を行っている.約4mmの胃粘膜が採取され,最も大きいもので8.3mmの生検組織がえられており,組織標本に変形,ひずみなどを認めず,粘膜から粘膜下層まで層状に採取されて完全な組織が得られている.
著者
伊藤 寛祥
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

本研究ではソーシャルネットワークの変化を長期的に予測できる数理モデルの確立を目指す.基本的なアイデアとして,興味関心が類似する人の間には友人関係が生まれ,友人関係から興味関心が伝搬するという,人々の興味関心と人間関係の相互作用に着目し,これらを確率的な生成モデルとして捉えることでソーシャルネットワークを長期的に予測する手法を構築する.本研究の確立により,情報推薦によるSNSの使用感の向上や,ものごとに対する社会的な反応および市場規模を予測できるようになる.
著者
水沼 友宏
出版者
駿河台大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は,日本の公共図書館でどのようなマイノリティ向けサービスがどのように提供されているのかを明らかにした上で,その提供実態に影響を与える要因を解明することを目的とする。サービスの提供実態を明らかにするに当たっては,文献調査,図書館の公式Webページの調査,所蔵調査等を実施する。提供実態に影響を及ぼす要因の解明に当たっては,自治体や図書館に関する要素を取り上げ,いずれの要素が影響を持つかを調査する。
著者
Hiromi Nabeshi Tomoaki Tsutsumi Masaaki Imamura Yoshinori Uekusa Akiko Hachisuka Rieko Matsuda Reiko Teshima Hiroshi Akiyama
出版者
Food Safety Commission, Cabinet Office, Government of Japan
雑誌
Food Safety (ISSN:21878404)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.97-114, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
28
被引用文献数
7

Radionuclide contamination in foods has been a great concern after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FDNPP) accident. To estimate time trends of daily intake and annual committed effective dose of radionuclides after the accident, radioactive cesium (r-Cs; 134Cs and 137Cs) and potassium-40 (40K) in market basket (MB) samples prepared at 6-month intervals in periods from September 2013 to March 2019 in 15 regions of Japan were analyzed using γ-ray spectrometry. The annual committed effective dose of r-Cs, calculated at non-detected radionuclide levels assumed to be half the limit of detection (LOD), appeared to decrease gradually in 11 regions close to the FDNPP that were more likely to be affected by the accident. Differences in doses among the 15 regions were large just after the accident, but gradually decreased. In particular, 134Cs has not been detected in any MB sample in any region since September 2018, and annual committed effective dose from 134Cs in all regions was mostly constant at around 0.3 μSv/year (given the respective LODs). The maximum annual committed effective dose of r-Cs in this study was decreased from 2.7 μSv/year in September 2013 to 1.0 μSv/year in March 2019. In contrast, the range of annual committed effective dose of 40K varied from approximately 150 to 200 μSv/year during that time frame and did not change much throughout the period of this study. Although annual committed effective doses of r-Cs in regions close to the FDNPP appeared to be higher than in regions far from the FDNPP, doses in all regions are remaining at a much lower levels than the intervention exemption level, 1 mSv/year, in foods in Japan.
著者
市村 卓彦
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.79-89, 2006-01-31

ナチドイツに占領併合されたドイツ国境のフランス・アルザス地方の劇作家ジェルマン・ジャン=ピエール・ミュレールはアルザスの現代文学史に名をとどめるだろう。ナチドイツから解放された直後のアルザスで劇団『バラブリ』を創設し,以後40年間演劇シーズンを送り,観客動員数4万人以上を数えている。彼の活動の歴史はアルザス人にとってきわめて意義深い。戦後のアルザス人のコンプレクスの抑圧を解放し,そのアイデンティティーを再発見させたからである。本稿はこの劇作家・俳優としてアルザス文学史に名を止めたジェルマン・ミュレールについて取り上げたい。1933年1月30日,政権を掌握したヒトラーはナチドイツの一党独裁を確立し,兵役義務制の復活と再軍備を宣言し,軍備を拡充するとともに,自給自足の「生活圏」を建設しようと,猛烈な侵略政策に出た。1939年6月15日,ナチドイツは宣戦布告なくポーランドに侵攻した。これに対してフランスとイギリスはドイツに宣戦を布告,ここに第二次世界大戦が始まった。ドイツ軍はポーランドを3週間で圧倒した。さらに1940年5月10日,西部戦線で大攻勢に成功し,北フランスからパリに殺到,6月14日,早くもパリは陥落した。フランス政府は休戦派が17日,ヴェルダンの英雄フィリップ・ペタンを首相とする内閣を組閣,6月22日,ペタン政府はドイツと休戦協定を結んだ。このほぼ同時期の1940年6月15日朝,ドイツ軍はアルザスに侵攻を開始,特に大きな反撃を受けることもなく6月19日午前,ストラスブールに無血入城した。その後ドイツ軍は撤退せず,事実上,アルザスを第三帝国の地方行政組織であるバーデン=アルザス大管区に併合した。こうしてアルザスはナチドイツの占領支配のもとに置かれ自由を剥奪され魂の死を強要された。1942年8月25日はアルザス人にとって第二次世界大戦下で最悪の悲劇の日となった。この日ナチドイツは,占領下の他国民を占領軍に強制徴募することを禁じたハーグ条約を公然とふみにじってアルザスに国防軍兵役義務制を導入したからである。開戦時フランス軍の軍服を着用して前線に向かったアルザス人将兵は,今度は強制的にドイツ国防軍に徴兵されることになったのである。アルザスは1945年3月19日,連合国軍によって完全に解放され,フランスに復帰したが,ミュレールはアルザス解放後の1946年12月14日,劇団『バラブリ』を結成した。この劇団はアルザス人の戦時下のコンプレクスから解放させ,アルザス人のアイデンティティーを再発見させるのに大いに寄与したのである。ミュレールの作品はアルザス語で書かれたことによって,アルザス人の鏡の役割を果たしたといわれる。アルザス語とアルザス文化を顕揚する独自な活動を行なった。ミュレールの作品は歴史に翻弄されるアルザス人の欝屈した状況をユーモアをこめ,共感をもって描いた。バラブリは以後1988年まで40年間にわたって芸術的喜びを提供したのである。
著者
佐々木 陽子 ササキ ヨウコ Yoko Sasaki
出版者
鹿児島国際大学福祉社会学部
雑誌
福祉社会学部論集 (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.1-15, 2015-10-01

「老い」から「死」への連なりは、我々の多くが辿ることになる道程である。だが、特殊な場合を除き、若さとは「老い」も「一人称の死」も忘却して生きることのできる特権的時代であり、若者の時間は未来にある。それに対し、老人の時間は過去にある。近年、ボーヴオワールの『老い』の翻訳本が、40年ぶりに新装版として再出版された。本書は、「老い」をめぐる通時的・共時的な先行研究の宝庫であり、民族学、文学、社会学、文化人類学などの知見を用いて「老い」を鳥撤的に描き出す。老いに付きまとう孤独感や不安は、人間存在の実存的な問いを投げかけつつも、階級などの変数によって「老い」のあり様の差異をも告発する。現代社会における若さの賛美は、裏を返せば「老い」の隠蔽であり、さらには、「一人称の死」の不可視化にも連なる。だからこそ、今「老い」を改めて問い返すことに意味があると考える。本稿の「老い」の考察を通じて、その後、棄老物語分析へと繋げていきたい。
著者
市川 健二郎
出版者
東南アジア学会
雑誌
東南アジア -歴史と文化-
巻号頁・発行日
vol.1982, no.11, pp.65-78, 1982

Extremely divergent opinions about the Thailand's declaration of war against the United States and Britain in 1942 have been represented among nations in Thailand, Japan, the U. S. and Britain, since the period of World War II. In Thailand, Phibul Songkhram, the wartime Prime Minister who declared the war, cooperated with Japan in the early stage of the war, wishing to get back the border territories of British Burma and Malaya, but by the end of the war, has became critical for the Japanese policy to promote the idea of Great East Asia Coprosperity Sphare for the Japanese sakes. While, Pridi Phanomyong, the Regent in the wartime Thai Royal Palace, led the anti-Japanese Free Thai movement, on which he imitated the Free France Force of the General Charles de Gaule of the same time and desired to establish his anti-Japanese Thai Government in exile in vain, because of the strategic disapproval of the United Nations. On the day after VJ Day, Pridi issued a proclamation repudiating the declaration of war against the U. S. and Britain which was null and void. The U. S. approved it, but Britain did not accept it. Thai centric ways of thinking of these political leaders during and just after the war, have continued until today and Thai scholars of these years are still used to be explained the same ways of evaluation for their study on the wartime history as these political leaders did in the past ages.<br>As to the assessment of the declaration of war viewed from the U. N. side, the U. S., and Britain in the early period of the war marched in line and did not make any declaration of war against Thailand, but, by the end of the war, Anglo-American confrontation has emarged for the treatment of Thai-land's situation in the postwar period. The U. S. wanted to support the Southeast Asian peoples without making any concession to the demand of Britain and France, while Britain planned to impose economic and military controls of Thailand after the war. One of the Thai scholars today regards such U. S. policy as &ldquo;altruism&rdquo; and British policy as &ldquo;oppression&rdquo;, while a British scholar today standes on the British side and insist on the &ldquo;Thai people's astonement before absolution&rdquo; for their responsibility of the declaration of war. The egocentric ways of thinking which is common to both side, therefore, deserve to be given special attention. Comparative studies on the background of these divergent opinions which caused confrontation of historical aspects between Thailand and Britain, will be helpful for understanding cultural conflict on the subject.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1111, pp.142-146, 2001-10-08

「僕はね、この稿を現在の演劇界や評論家、マスコミに対する『宣戦布告』のつもりで書いたんだ」 演出家、劇団四季の代表、そしてその運営会社・四季の会長という肩書を持つ浅利慶太(68歳)の口から、こんな挑発的な言葉が飛び出した。 シェークスピア4大悲劇の1つ「ハムレット」。浅利にとっても劇団四季にとっても思い出深い作品だ。
著者
コウト ジョルジェ 浜岡 究
出版者
拓殖大学言語文化研究所
雑誌
拓殖大学語学研究 = Takushoku language studies (ISSN:13488384)
巻号頁・発行日
no.143, pp.141-192, 2020-10

1807年,ナポレオン軍のポルトガル侵入後,ポルトガル王室はリスボンからリオデジャネイロに避難した。その後,フランスに宣戦布告し,ポルトガル軍は本土ではイギリス軍の援助を得た。そしてブラジル駐留のポルトガル軍はフランス領カイエンヌを占領する報復に出た。その戦争前後の政治的動きと軍事行動に関するジョルジェ・コウトの論文の翻訳と,訳者が最も興味を抱いた項目の研究(解題)を通じて,ナポレオン軍はポルトガルの抵抗を軽視していたこと,ポルトガルの本土はもちろん海外植民地の領土と国境線確保の執念を鳥瞰する。ポルトガルはヨーロッパにおいてはフランスとの交戦を望まなかったが,ポルトガル領アメリカ(ブラジル)では,圧倒的軍事力で対抗した。
著者
杉野 宏子
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.499-512, 1989-03-20 (Released:2014-11-20)
参考文献数
35

乳房の造形手術 (乳癌根治術後の再建術・乳房縮小術・乳房増大術) では, 乳房の左右対称性を保ち, 適切な体積の乳房を得ることが重要で, 乳房体積の術前・術後の計測は不可欠である. 今回著者は, 乳房体積の新しい計測法として, 超音波断層法による計測を試み, 有用と考えられる結果を得た. すなわち, 11歳から61歳までの62名の健康な女性の124乳房に対し, 全自動水浸機械式コンパウンド走査超音波断層装置を用い, 連続超音波断層像を求め, その画像からコンピュータによる画像再構築法により, 各乳房および乳腺の体積を計測した. 乳房体積は年齢とほとんど相関なかったが, 乳腺体積および肥満度が増加するとともに増加し, 乳腺体積と最も強い相関があった. 乳腺体積は加齢とともに減少し, 肥満度が高くなるとともに増加する傾向はあったが, いずれも相関は強くなかった. 乳房中に占める乳腺体積の割合 (G/B比) は加齢とともに減少する傾向を示し, 相関は比較的強かったが, 肥満度と強い相関はなかった. したがって, 加齢とともに乳腺が萎縮し相対的に脂肪量が増加することが確認された. また, 授乳経験の有無によってG/B比に有意差はなく, 授乳経験がある乳腺は無いものに比べ萎縮しやすいとはいえなかった.さらに, 超音波断層法を用いた画像再構築法による体積計測の有用性について検討を加え, その実際的利用の可能性を示唆した.
著者
渡辺 晋一 西本 勝太郎 浅沼 廣幸 楠 俊雄 東 禹彦 古賀 哲也 原田 昭太郎
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.14, pp.2101-2112, 2001-12-20
参考文献数
17
被引用文献数
29

わが国における足疾患,特に足・爪白癬の頻度を知る目的で,1999年および2000年の5月第3週に受診した皮膚科外来患者を対象に,足疾患に関する無作為調査を行った.その結果,2年間で計21,820例が集積され,足にトラブルを持つ患者は,14,087例(64.6%)であった.このうち8,737例(40.0%)は足の真菌症で,ついで「うおのめ・たこ」2,826例(13.0%),「いぼ・ほくろ」1,259例(5.8%)の順であった.この成績は同様に行われたヨーロッパの調査結果とほぼ同じで,足の真菌症が多いことがわかった.そこで,2000年度の調査においては,受診理由を「真菌症の疑い」と「真菌症以外」に分けて別個に集計したところ,前者では3,231/3,420例(94.5%)に,後者では1,723/8,804例(19.6%)に真菌感染症を見いだした.この真菌感染症に関与する要因をさぐる目的で,得られた背景因子を多重ロジスティック回帰分析により解析したところ,「加齢」,「男性」,「高コレステロール血症」,「ゴルフ」,「同居家族に真菌症あり」などに有意に高いオッズ比が認められた.治療に関しては,外用剤による治療が主であり,爪白癬においても2/3が外用剤のみの治療であった.また美容上の問題点ばかりでなく,歩行困難などの支障を訴える患者も少なくなかった.今回の調査では,皮膚科外来患者のみを対象としたが,40%におよぶ足・爪白癬患者が存在することが明らかとなった.またその病変の多くが,患者自身が気付いていないか,あるいは気付いていても不充分な治療しか受けていない実態も明らかとなった.また白癬の感染リスク因子についても考察をおこなったが,今後感染予防を考える上で興味のある結果が得られた.これらの患者のQOLを高めるためにも,また家庭内感染を防ぐためにも,足・爪白癬患者を積極的に治療すべきだと考えられた.
著者
久保山 昇 林 一郎 山口 忠志
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.3, pp.223-232, 2006-03-01
参考文献数
38
被引用文献数
2 14

ミグリトール(セイブル<sup>®</sup>錠)は糖に類似した化学構造を有し,体内に吸収されることにより類薬と異なる作用特性を示す新規α-グルコシダーゼ阻害薬(以下α-GIと略)である.薬物動態試験において,ミグリトールはラット小腸上部にて吸収され,代謝を受けずにほとんどが尿中に排泄された.また,肝薬物代謝酵素の誘導および阻害作用は認められなかった.薬理試験において,ラットの小腸由来スクラーゼ,イソマルターゼおよびマルターゼ活性を競合的に阻害するが,膵α-アミラーゼ活性を阻害しなかった.正常ラットにスクロースを負荷した際に用量に依存した血糖上昇抑制および糖質吸収遅延作用を示し,高用量においては糖質の吸収を阻害した.α化でんぷん,生でんぷんおよびスクロースを負荷した際の血糖上昇を用量依存的に抑制したが,グルコース負荷に対しては作用を示さなかった.また,GKラットに高スクロース・高脂肪食を8週間与えた慢性モデルに対し,HbA<sub>1C</sub>の上昇を抑制し,膵島の病理組織変性を抑制する傾向を示した.国内の臨床試験では,2型糖尿病患者に対し食後の急峻な血糖上昇を強力に抑制し,血糖上昇ピークを遅延させ,食後の急峻な血糖上昇によるインスリンの過剰な分泌を抑制した.また,12週間の用量反応試験では用量に依存した食後血糖およびHbA<sub>1C</sub>の低下が認められた.スルホニルウレア(以下SUと略)剤との12週間の併用試験においては,空腹時血糖,食後の血糖および血清インスリンの低下,HbA<sub>1C</sub>の低下が認められ,継続して実施された52週間の長期投与においてもこれらの作用が減弱することはなかった.有害事象の大半は過度の薬理作用と考えられる消化器症状であった.また,低血糖は単独投与では発現せず,SU剤との併用においても発現率を増加する傾向はなかった.以上,非臨床および臨床試験の成績から,ミグリトールは2型糖尿病の食後過血糖を改善し,かつ安全な薬剤であると考えられた.<br>