著者
芦葉 浪久
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.3-16, 1996-07-30 (Released:2017-05-31)
参考文献数
12

第1部では, 筆者が国立教育研究所在職中, 科学研究費補助金を受けて行った種々の研究領域とテーマを示し, それらの研究において用いた方法を紹介した. 研究に用いる方法論については, これらの研究の過程で恩師から特別の指導を受けたため, 第2部に方法論の重要事項をとりまとめた. その方法論の主なものは, 問題の明確な認識の方法, 問題の全体像の把握方法(問題の論理構造の分析), 事実の把握の方法, 仮設設定の方法, 仮設検証法(科学的方法, 実験的方法, 数量的方法, 質的方法, 実験法), 科学的推論(帰納法, 演繹法, 類推法, 因果律法)問題解決の非合理的要素(経験, 想像力, 直観力)である.
著者
畑井 啓吾 池田 博英
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.174-180, 2019 (Released:2019-10-05)
参考文献数
32

The suitable fuel for reduced-toxicity hypergolic bipropellant has been explored in this study. High concentration of hydrogen peroxide and sodium borohydride were used as an oxidizer and a fuel additive for ignition source. Fuel candidates were narrowed down by many requirements such as toxicity, chemical regulation, storability, cost, specific impulse, solubility of additive and ignition delay. As a result, 3-methylaminopropylamine (MAPA) was selected as the best fuel for reduced-toxicity bipropellant. MAPA doped with sodium borohydride showed very fast hypergolicity with hydrogen peroxide and its ignition delay time was less than 10msec. MAPA and hydrogen peroxide bipropellant can achieve 98.3% of theoretical specific impulse of MMH/NTO, whereas MAPA has low toxicity compared with MMH.
著者
木岡 伸夫
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日文研叢書 (ISSN:13466585)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.27-44, 2007-08-30
著者
鈴木 浩二 柴田 俊忍・松本 英治
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.308-312, 1991-10-15 (Released:2017-08-31)

近年の交通事故の増加に従い,自動車の安全性が社会的に取り上げられる機会が多くなっている。自動車の乗員保護装置として広く採用されているシートベルトに関する,特定の条件下での乗員に及ぽす物理的影響については数多く報告されているが,シートベルトの着用の有無が運転者の安全意識や運転行動に与える影響に関する報告はきわめて少ない, 本報文では,自動車が事故にいたる時系列モデルを示し,シートベルトの着用の有無が事故遭遇率に及ぽす影響の評価法を提案した.また,ある条件下でのシミュレーションをこのモデルに従って行い,シートベルトの着用率の違いによる事故遭遇率・交通事故死亡率の差を比較した.その結果,ある条件下ではシートベルト着用率の向上が必ずしも交通事故死亡率の低下にはつながらないことが判明した.このことから,シートベルト着用運動は適切な交通安全教育が伴って初めて効果を発揮することができ ることがわかった.
著者
阿部 又一郎
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1131-1135, 2010-11
著者
関戸 知雄 ヌア・ファジリ アリフィアニ スリ マリアティ 土手 裕
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.24, 2013

近年、東南アジアでは、Waste Bank(ごみ銀行)と呼ばれる、資源回収方法の導入が報告されている。市民等が資源物をごみ銀行のオフィスに持ち込み、その代金を銀行のように預金できるシステムである。本研究では、インドネシア・マラン市での廃棄物資源回収に関する実態調査と、参加・非参加者の特性の違いを明らかにするためのアンケート調査を実施した。マラン市のBSMは、持ち込む資源物の内容や由来となるごみなどが、参加形態によって異なる特徴が見られた。現状では、このBSMによって回収されているごみ量は、埋立処分されている量のわずか0.3%以下である。しかし、参加者の割合から考えると、家庭での資源回収の仕組みが定着すれば、この量は大きくなり、埋立処分量削減に寄与するだろう。
著者
田中 啓太
出版者
立教大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

ジュウイチは東アジアにのみ生息するカッコウ科托卵鳥で,ルリビタキなどの小鳥に卵を産み込み,雛を育てさせる.ジュウイチの雛は翼の裏側に口内と同じ色をした皮膚裸出部(以下翼角パッチ)があり,給餌にやってきた宿主にたいし,翼を持ち上げ,この翼角パッチをディスプレイするという,他の鳥類では確認されていない,非常に珍しい特徴を持っているが,これまでの研究からこのディスプレイは宿主により多くの餌を運ばせるための適応であり,ジュウイチの雛は翼角ディスプレイによって生育に十分な餌量を確保しているということがわかっている.これは恐らく宿主は翼角パッチと雛の嘴を区別できず,雛の数を実際よりも多いと錯覚してしまうためであると考えられる.本研究では宿主が実際に雛の数を多く錯覚しているのかどうかを検証した.これまでの観察から,ディスプレイされた翼角パッチの数が増加するにつれ,宿主が巣に滞在する時間が長くなるということが確認された.このことから宿主の在巣時間は提示されている数に対する特異的な反応であるということが考えられる.そこで,托卵されていないルリビタキの巣を用い,雛の数を人工的に増減させる実験を行った.現在までに得られている最新の成果を以下の国内・国外における学会にて発表し,議論を行った.7月23日より29日までフランス・トゥールで行われた国際行動生態学会第11回大会にて口頭発表『Does a Horsfield's hawk cuckoo chick deceive hosts numerically?』,8月13日より19日までドイツ・ハンブルクで行われた第24回国際鳥学会議にてポスター発表『Does a Horsfield's hawk cuckoo chick deceive host parents numerically?』,9月15日に盛岡大学農学研究科で行われたCOEフォーラムにて『ジュウイチの雛による宿主操作-鳥類における認知と寄生者による搾取-』,3月19日より23日まで松山大学で行われた日本生態学会第54回大会にてポスター発表『ジュウイチの雛による宿主操作:宿主は雛の数を認識しているのか?』を行った.また,9月15日より19日,盛岡大学で行われた日本鳥学会2006年度大会にて自由集会『統計モデルによるデータ解析入門:線形モデルとモデル選択』を企画し,講演『統計モデル入門』を行った.現在,宿主であるルリビタキの親鳥による数に対する反応と,ジュウイチに寄生されたときの行動に関し,宿主が自分の雛を育てているときの雛の数と,ジュウイチに托卵された場合の翼角パッチの数に対する反応を比較した論文を執筆中である.ここで用いられている寄生されていない巣における親鳥の行動は,実験を行っていない,自然状態でのものであり,実験処理に関してはまだ十分な例数は確保できていないため,今後も引き続き研究を継続していく.
著者
森田 英樹
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属教育実践総合センター
雑誌
学校教育実践学研究 (ISSN:1341111X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.167-173, 2018

A Purpose of this paper is to suggest a necessity of construction of economic education for teachers training courses. This acquisition of the teachers' licenses of social studies in junior high school and civics in high school is possibility to study only one course on economics in current law. TO train high quality teachers, this paper emphasizes a teaching method to make understanding on the monopoly as the principle of three equivalence of national income.
著者
バトラー キャサリン 田中 美保子 香川 由紀子
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.131-156, 2020-03

シリーズ作品を書くことには様々な難しさがある。とりわけボストンの「グリー ン・ノウ物語」("Green Knowe" books)シリーズのように、最初から計画されていたのではなく、成功したため、もともとは独立した作品からシリーズになったものはなおさらである。おそらく最も厄介な問題は、続編に前作との同一性と相違性という二つの相反するものが求められることをどう乗り越えるかであろう。一方、作者は、自分も読者も飽きないように、パターン化するのを避ける道を探る。本稿ではこの問題を「グリーン・ノウ」シリーズに照らして考える。特に、シリーズを通して見られる、文学ジャンルの変遷をたどることにより、ボストンの多彩さと、今まで明らかにされてこなかった技巧の様相を明らかにすることが可能である。ボストンは「グリーン・ノウ物語」で、シリーズであると意識させ続ける多くの方法をつくり上げた。まず、第一に、シリーズとしての同一性の要となるのは無論、6作品の舞台でありタイトルにもなっている館である。館は、単なる舞台という以上に、シリーズを通して様々な形で繰り返し現れる不安に対する心の拠り所、という役を務める。グリーン・ノウはいくつもの歴史をその中に抱く場所として描かれる。いわば時の貯蔵庫であり、物語と登場人物がほとんど自由にその中を行き来することができる。繰り返し登場する人物も、同一性維持のために重要な役目を担う。主には6作品中5作品に登場するオールドノウ夫人だが、主要な役割を4作品で果たすトーリーと3作品で果たすピンも少なからぬ役目を担う。他にも大勢が姿を現すか、もしくは、回想や昔話、会話を通じて繰り返し登場する。このように、人物だけでなく物や場所を再登場させることで、シリーズの世界の緊密さと堅固さが強調されている。一方、設定、テーマ、登場人物という点で「グリーン・ノウ物語」の同一性を維持しながら、ボストンが変化を取り入れていることも同等に見逃せまい。先に述べたように、実は、シリーズ全6作全てに登場する人物はいないからである。グリーン・ノウは常に主要な舞台に据えられているが、作品が焦点を当てる所は、その土地の中や周辺の特定の場所、すなわち、館、川、庭、トーズランドの茂み、もつれ島へと移り変わる。もう一つ、変化が取り入れられているのは時間である。言うまでもなく、作品は館の歴史上の様々な時代と関わる。主として現代、17世紀後半と18世紀、そしてロジャー・ドルノーのいたノルマン征服後の時代である。さらに、季節の変化もこのシリーズの特徴の一つで、第5作までで、冬(『子どもたち』( The Children of Green Knowe(1954)))春(『煙突』)、夏(『川』 と『お客さま』)、初秋(『魔女』(An Enemy at Green Knowe(1964)))を辿るが、ノルマンの少年ロジャー・ドルノーの視点で語られる最後の作品『石』(The Stones of Green Knowe(1976)) では、1年かけて館が建てられるのに合わせて、この季節の巡りが反復される。さらに、巻が進むごとに、描写される現代の時も先へ進む。また、登場人物の年齢にも重要な変化が明確にある。このように見てくると、ボストンは、22年をかけて書いた「グリーン・ノウ物語」6作品中で、同じ声、同じ館の物語としての安定性を維持しつつ、多様な文学ジャンルを用いて変化を付して、各巻ごとの魅力を創出していることが明らかになる。ボストンは、植栽やパッチワーク、いずれの芸術活動においても、変化と安定のせめぎ合いに鋭い感性を見せた芸術家であるが、創作活動においてもまた、同様の感性が発揮されているのである。そうした中から生まれた文章表現であることこそ、注目に価すると言えよう。
著者
武田 昌憲
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.A1-A12, 2013

『寛永諸家系図伝』と『寛政重修諸家譜』から島原の乱の記述の違いを簡単に指摘して、諸家の事情により、必ずしも後世の記録が増幅されているとは限らないことも指摘した。
著者
國本 桂史
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.38-41, 2007

本プロジェクトは、単なる商品ブラント開発としてではなく、日本文化の持つ色彩感覚をキーコンテンツとする新しいアプローチを行うために、「日本の伝統100色」と言うカタチで伝統の色を中心に、日本の文化や日本固有の感性の情報というコンテンツをとりいれた商品計画を立てた。本プロジェクトは、その手法として日本人が四季折々の生活の中で継承してきた日本の伝統色から100色をセレクトして商品開発を行った。伝統100色の商品ラインアップは、ベビーウェア、Tシャツ、ルームウェア、食器、タオル、マイクロクッションなどである。これらを日本の伝統の色彩感や文化をコンテンツにした新しいものづくりのアプローチとした。
著者
稲葉 雅幸 井上 博允
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.538-547, 1985-12-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
10 28

本論文は, ロボットにより紐を操作する際の視覚・行動系の協調動作に関する研究について述べたものである.紐のように柔構造の物体を操作するには視覚情報の利用が必要不可欠である.本研究では視覚情報を利用して動作を修正し, 動作結果をもとに注視する領域を制御し動作確認をするという協調動作の作業例として紐のハンドリングをとりあげる.本論文では, 視覚・行動系の協調動作の実現方法を解析し, 紐のハンドリング実験に用いたハンド・アイ・システムと視覚処理アルゴリズムについて述べる.協調動作を実現するための手法として, 局所領域を注視する視覚機能, 座標系間の較正, 視覚による動作確認, 視覚による操作量の修正法について述べる.紐の操作実験は紐をつかんでリングに通したあと, 紐をつかみ直して結ぶという一連の動作からなる.実験システムは, 両眼立体視システム, 6+1自由度アームシステム, 作業記述用のLispシステムからなる.線分領域の画像処理を組合せて対象を認識し, 両眼立体視によって3次元計測を行ない環境の認識と動作の制御を実現している.視覚により得られる情報を基に操作量を修正し, 動作の確認を視覚により行なうことによって, 柔軟な紐を3次元空間で操作することができるということを実験により確認した.