著者
藤田 富士男
出版者
埼玉短期大学
雑誌
学校法人佐藤栄学園埼玉短期大学研究紀要 (ISSN:13416006)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.A21-A28, 1994-03-20

黒瀬こまは、熊本女学校、福岡英和女学校を経て、一九〇五年一二月に青山女学院、英文専門科へ編入する。そこへ友人から渡米の誘いを受け、手続きのため帰省することになる。熊本には、援助者、木村萬作の甥である木村秀雄がアメリカから帰国していた。こまの恋慕の情は燃えあがり、周囲の反村を押して一緒になる。木村駒子と名のるようになり、彼女の眼は、日本社会、世界へと次第に拡がり始めていく。
著者
藤田 富士男
出版者
埼玉短期大学
雑誌
学校法人佐藤栄学園埼玉短期大学紀要 (ISSN:13416006)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.117-124, 1993-03-20

木村駒子(1887-1980)は,浅草で名を馳せた女優として,あるいは,新真婦人会の「新しき女」として知られているところであるが,舞踊家や宗教家の側面にはまだまだ筆が及んでいない。ましてや夫や子供とともに8年間を滞在したアメリカ時代になると殆ど触れられていない。それらの全生涯を明らかにする手がかりとして,まずは,熊本女学校時代を中心に,これまでの誤述のいくつかに触れてみた。
著者
齋藤 孝
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.287-294,368, 1999

この論文の目的は,「身体知としての教養(ドイツ語で言えば,ビルドゥング)」という概念の意義を明らかにすること,および,日本の伝統的な教養と教育を検討することによって,私たちによって生きられている身体の重要な役割を教育学の文脈に位置づけることである。 この概念には,二つの主な効果がある。一つの効果は,身体的な経験を通して獲得された知恵を一つの教養としてみなすようになることである。もう一つの効果は,たとえば音読や古典的な詩歌の暗誦のように,古典的な教養を学ぶ上での,私たちによって生きられている身体の重要性を評価するようになることである。生きられている身体というのは,メルロー=ポンティの『知覚の現象学』の中心概念である。「身体知としての教養」という概念は,私たちによって生きられている身体によって基礎づけられているものである。 教養というのは,通常は,多くのスタンダードな書物を読むによって得られた幅広い知識の問題とみなされている。しかし,19世紀までは,日本人にとって,五感を通して,言い換えれば,生きられた身体を通して学ぶことが非常に重要であった。日本の伝統的な学習法では,知の問題は,身体の問題と切り離すことのできないものであった。かつての日本人にとっては,教養をつけるということは,日々の生活の中で自分が生きている身体を耕すことを意味していた。それゆえに,教養ある人間には,何らかの身体的なアート(技芸)を経験していることが期待されていた。身体的な技を反復練習によって向上させる,まさにそのプロセスが,教養の概念の中心だったのである。 「身体知としての教養」という概念を代表する典型的な日本人は,卓越した小学校教師であった芦田恵之助(1873-1951)である。かれは,伝統的な呼吸法を応用したある特定の身体的実践を訓練した。そして,その身体的実践が自分自身の心身の健康にとってのみならず,教育にとって重要であると考えた。身体の基本的な技法が,自己のテクノロジーの中核であった。彼にとって,またかつての日本人の大部分にとって,教養は,心身を耕すことを意味していたのである。
著者
松田 幸子
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.A1-A8, 1993-03-31
著者
山田 真人 鈴木 譽久 山口 光隆 新井 健生
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.102-106, 2008-01-05 (Released:2010-07-21)
参考文献数
10

Laser beam scanning technology has been used in various machinery such as laser beam printers, laser processing machines. Recently, the usage such as distance sensors for automobiles, area sensors for robots has expanded further. According to it, the miniaturization of beam scanning equipment, advanced features, and low-pricing have also come to be called for strongly. We suggest a method of two-dimensional beam scanning by driving a lens with an electromagnetic actuator. We use suspension wires to hold the scan lens. As a result, two-dimensional beam scanning is possible by simple structure. This paper describes the structure of the scanner module system and characteristics of the prototype model.

1 0 0 0 邀月楼存稿

著者
股野琢子玉 著
出版者
股野琢
巻号頁・発行日
vol.巻三, 1919
著者
HAYASHI HISAKAZU
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.19-24, 1976

The present paper deals with new subspecies of Simiskina phalena Hewitson, Dacalana sannio Hewitson, Hypothecla astyla Felder, Sinthusa nasaka Horsfield and Sinthusa privata Fruhstorfer. All the holotypes are to be preserved in the Osaka Museum of Natural History. Before going further, I acknowledge my sincere gratitude to Mr. Isamu Hiura in the above- mentioned Museum for giving me the opportunity to study the material, and Mr. Yasuzo Honda for his great efforts at collecting butterflies in Palawan.
著者
高橋 雄一郎 森川 清
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.275-282, 2004 (Released:2004-07-01)

職務発明にかかる相当の対価請求訴訟が注目されている。本稿では,職務発明制度と相当の対価額の算定方法について概説した後,相当の対価請求訴訟における訴訟物,要件事実,間接事実等を検討し,これら事実をどのように立証すべきかを論じた。最後に,職務発明訴訟において実務上発生する問題に言及し,訴訟代理人の行動指針について検討した。また,本稿末尾には,相当の対価請求訴訟における訴状のサンプルを掲げた。
著者
葛 睿
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.99-123, 2011-06-30 (Released:2017-07-14)

国民道徳の確立に際して、西村茂樹(一八二八-一九〇二)は宗教否定の立場に立った。宗教の非合理性を忌避するのみならず、宗派間の争いが存在することも危惧したからである。このように宗教一般に対して強い警戒感を示していた西村であったが、神道について低評価を与えながら、公の場で日本における宗教を論じる際に、仏教・キリスト教については常に言及する一方、神道については触れること自体を明確に避けつづけていた。このような消極的態度は、国民道徳論の展開に大きく寄与した人物としての西村の従来のイメージと少なからず齟齬するものであろう。すなわち道徳の源泉の一つに「皇祖皇宗」の神話的歴史を据えた後の思想家たちによる家族国家論とは、明らかに位相を異にしているからである。このように考えた時、彼の国民道徳論における神道の不在は、彼独自の神道認識の存在を窺わせるものである。本稿は、如上の問題意識をふまえ、彼の道徳思想において、神道がいかに位置づけられていたのかを検討するものである。