著者
金 和子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.413-421, 1995-05-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
5

切り干し大根の香気形成について, 生大根と切り干し大根 (生干し, ゆで干し) の各香気濃縮物を非加熱 (エーテル振とう抽出), 加熱 (SDE法) の各条件で調製し, GC, GC-MSを用いて香気成分を検索した。さらに, 生大根, 切り干し大根, 煮熟切り干し大根の香気成分を比較し, 切り干し大根の香気形成について考察した.生大根は風乾により辛味を思わせる刺激的な生大根臭からやや刺激臭の残る乾燥大根臭へと変化するが, 成分的にはMTBelの約95%以上が消失し, メタンチオール, ジメチルスルフイド, (E) -メチルチオブテニルシアニド, 酢酸等が増加した。しかしながら, 成分的にもフレーバー的にも生大根と大差なく, また, 生干し, ゆで干し問においても差はなかった.ところが, 切り干し大根を水と共に加熱すると特有なフレーバーを生じ, 生干しと切り干しでは匂いも異なった.切り干し大根の香気成分は160以上の成分からなり, 炭化水素 (3), アルコール (14), アルデヒド (18), ケトン (10), ケトアルコール (2), エステル (2), 脂肪酸 (5), フラン (2), ピリジン (1), ピラジン (2), ピロール (1), チオフェン (4), ニトリル (9), イソチオシアナート (13), 含硫アルデヒド (5), その他の含硫化合物 (11) を同定したが, 主要成分は生大根と同様含硫化合物であった.切り干し大根臭から煮熟切り干し大根臭への香気成分の消長は, 特に含硫化合物にみられ, 生大根香気成分中95%以上を占めていたMTBelの分解生成物と思われるメタンチオールやスルフィド類, アルキルニトリル類, 熱的にやや安定な (Z, E) -MTBeNやMTBI, CH3S基の付加化合物であるメチルチオ誘導体等が煮熟切り干し大根臭の主要香気成分であった.
著者
倉沢 新一 菅原 龍幸 林 淳三
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.400-406, 1982
被引用文献数
2 15

栽培種および野生種のキノコ類の31種43試料について,その一般成分と26種27試料につきのDF量の分析を行った。その結果,タンパク質や脂質は一般に低い値であったが,炭水化物や灰分はかなり高い値を示した。<BR>DFを定量する際,試料を加熱乾燥すると加熱によりNDF量の増加が認められた。<BR>DFについては,NDF, ADF,リグニン,ペクチン様物質および粗繊維を定量した。キノコ類中のDFの平均の値は,乾燥重量あたりNDF 35.7%, ADF 14.3%,リグニン2.9%,ペツチン様物質3.7%であった。したがってセルロース量11.4% (ADFとリグニンとの平均値の差でも11.4%),ヘミセルロース量21.4%(NDFとADFとの平均値の差でも21.4%),総DF量39.4%ほどであった。<BR>NDFとペクチン様物質を合計し総DFとし,これと粗繊維との比を求めると5.8となり高い比率が得られた。
著者
三輪 滋 筒井 雅行 本山 寛 池田 隆明 沼田 淳紀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_1250-I_1265, 2012 (Released:2012-07-26)
参考文献数
42
被引用文献数
2

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は,日本国内で観測史上最大のマグニチュード9.0を記録し,津波により多くの人命が奪われた.また,東日本の広範囲にわたり地震による被害が発生した.関東地方では,東京湾岸の埋立て地だけではなく,内陸部においても各地で液状化による被害が発生した. 今後の地震防災対策を考える場合,被害の全貌を工学的に把握する必要がある.そこで,地震被害の記録を残すことを目的に,海岸埋立て地の東京都江戸川区,千葉県浦安市,および江戸川区に隣接する内陸部の葛飾区,さらに千葉県野田市から埼玉県幸手市,久喜市,加須市,その周辺について液状化被害調査を行った.その結果,沿岸部では,比較的年代の新しい埋立て地で液状化が発生したこと,また,液状化の程度が激しい地域が広範囲にわたっていることがわかった.内陸部における液状化については,多くは,旧河道,湿地帯を造成した場所で発生したことがわかった.

1 0 0 0 OA 台湾衛生要覧

出版者
台湾総督府警務局
巻号頁・発行日
vol.大正14年版, 1925
著者
藤田 道男 山崎 麻里 藤田 和也
出版者
日本サンゴ礁学会
雑誌
日本サンゴ礁学会誌 (ISSN:13451421)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.51-59, 2017 (Released:2018-04-20)
参考文献数
1

気候変動等により影響を受ける脆弱なサンゴ礁生態系を保全するためには,国,地方公共団体,事業者,研究者,国民といったあらゆる主体が気候変動対策及びサンゴ礁生態系の保全に向けた取組を理解し行動していくことが重要である。本稿では,環境省の取組として,サンゴ礁生態系に影響を与える気候変動の現状及び将来予測を紹介し,パリ協定の目標達成に向けて各主体が取り組むべき気候変動対策について解説するとともに,「サンゴ礁生態系保全行動計画2016-2020」について概説し,最後に,西表石垣国立公園の石西礁湖におけるサンゴ礁生態系保全の取組の内容について解説する。
著者
山本 紗織 寺谷 望 中村 有美香 渡辺 成美 林 延徳 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.176, pp.31-36, 2012-08-11
参考文献数
11

一般に普及しているビデオチャットシステムを利用した遠隔コミュニケーション環境では,多人数での対話参加者間の視線によるインタラクションを成り立たせることができない.そのため,話者によるアドレッシングや次話者への発話権の円滑な交替が困難となり,多人数対話機能はほとんど利用されていない.このような問題に対して,申請者は視線による自然な発話アドレッシングとセレクトを明示化した多人数ビデオチャットシステムPtolemaeusを開発し,このシステムによって実現できた視線によるインタラクションが円滑な遠隔多人数対話を実現できる可能性を実証した.
著者
北条 秀司
出版者
関西大学
巻号頁・発行日
1993

博士論文
著者
Gaisi TAKEUTI
出版者
The Mathematical Society of Japan
雑誌
Japanese journal of mathematics. New series (ISSN:02892316)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.207-246, 1983 (Released:2008-12-16)
参考文献数
12
被引用文献数
3 19
著者
田中 良広 澤田 真弓
出版者
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、読字実験により弱視者の最小可読文字サイズが清音文字に比べ濁音・半濁音文字の方が3ポイント程度大きいことを明らかにした。この実験結果に基づき、濁点・半濁点部分を2倍程度(面積比4倍程度)大きくした弱視用フォントを試作した。試作した弱視用フォントの有用性を検証するための単語読みの比較実験では、初期実験の正答率を大きく上回った。このことにより、試作した弱視用フォントの有用性が確かめられた。
著者
加嶋 章博
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.859-864, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
20

本考察はスペイン・ルネサンス期の都市計画思潮に関する研究の一環である。1573年に公布された「探索,新入植,平定に関する勅令」(以下「フェリーペ2世の勅令」という)は植民地の都市計画に対する考え方を示した代表的なスペイン植民地法である。同勅令については、その思想を特に『建築十書』に示されたウィトルーウィウスの考え方に強く依拠している点がこれまでも指摘されているが、共通点にのみ重点をおいた概括的な比較考察という既往研究の偏りがその背景にある。これには「フェリーペ2世の勅令」がもつ特異性を却って不透明にしてきた側面があると考えられる。本稿ではこの点に留意し、広く都市計画の考え方において、両者の相違に留意した相対的な比較検討を行い、「フェリーペ2世の勅令」の位置付けに役立てたい。結果として、勅令は『建築十書』に示されたウィトルーウィウスの都市計画に対する考え方を継承する部分が多い点は確認されたが、その一方で、特に都市形態、都市計画手順、都市核の計画手法といった都市計画の根幹部分に明らかな差異が認められた。