著者
太田 高志 藤堂 英樹 加納 徹
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, 2019
被引用文献数
1

本研究はデジタル画像から多色刷り版画を作成することを試みたものである. セルフィーやプリクラなど自分自身の画像を工夫して撮ることの流行とクールジャパンと呼ばれるような日本文化への注目に触発されて,筆者らは自身の画像が浮世絵風に変換されると面白いのではないかと考えた.また,実際に多色刷りの版画として紙に印刷することができればさらに面白く教育的な体験を与えることができるのではないかと考えた.実現にあたって,基となる写真を画像処理により浮世絵風な画像に変換し,さらに色別に分解することによって版木の3 Dデータを用意した.これを3 Dプリンターによって印刷して版木を作成することができる.作成した版木を使って実際に多色刷りの作品を紙に印刷することができたことから,こうしたアプローチが可能であることを確認することができた.
著者
岩田 奈織子
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

重症肺炎を引き起こす重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV) 及び中東呼吸器症候群コロナウイルス (MERS-CoV) に対する新規ワクチン開発のため、平成29年度は平成28年度に引き続き免疫原とするSARS-CoVのスパイク (S) タンパク質を作製し、その中和抗体誘導能をマウスで確認した。平成28年度に作製したSARS-CoV S タンパク質は精製度が低かったため中和抗体誘導能が低かったため、平成29年度は精製度の高いSARS-CoV S タンパク質を作製し直した。このタンパク質を抗原としてマウスに 1 匹あたり 1 回、1, 0.5, 0.1, 0.05 μg をそれぞれ皮下免疫したところ、2回の免疫で S タンパク質に対する IgG の産生が見られた。IgG 抗体の産生は免疫した抗原濃度に依存して見られ、1 μg, 0.5 μgでは免疫した全てのマウスで高い IgG 抗体産生があった。中和抗体に関しても 1, 0.5, 0.1 μg では産生が見られたが、0.05 μg の免疫群では検出限界以下だった。また、各抗原量に金ナノ粒子を添加して同様に免疫をした場合、1 μg, 0.5 μgを免疫した群では抗原のみを投与した群と比較して中和抗体の産生に違いはなかったが、0.1 μg を投与した群では金ナノ粒子を添加した場合の方が IgG 抗体および中和抗体の産生はわずかに高かった。しかし、これらの免疫マウスを用いてウイルス攻撃実験を行なった結果、金ナノ粒子を添加した免疫群はどの抗原量においても感染後の体重の回復が悪く、さらに金ナノ粒子添加 0.1 μg、0.05 μg を免疫した群では、生存率が抗原のみの群よりも悪かった。この結果に基き次年度は、金ナノ粒子を添加したことによる副反応の影響を追求する。
著者
鷲塚 愛 宮城 舜 田井村 明博
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.145-151, 2014-08-25 (Released:2017-07-28)

This study examined the effect of energy restriction in lunch on lipid metabolism and task performance when the activities simulated the daily life at physical activity level n are performed under 3 conditions; Intake (intake lunch of the normal calories), Half (intake lunch of the half calories), and Skip (skip lunch). In results, it was revealed that energy control of lunch increases fat oxidation rate in inverse ratio to amount of lunch without lowering task performance. Appetite sensations also change according to amount of lunch and feeling of hunger stayed at significantly lower level compared to Skip for about 3 and half hours after energy controlled lunch. These results indicate the possibility that energy control of lunch reduces body fat during daily activities and improves deteriorated heat tolerance.
著者
筒井 正幸 石橋 知也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_287-I_297, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
26

本研究では,1962-65年に都市系の専門家の協力のもと西日本新聞社によって実施された「西日本都市診断」の内容に着目し,診断された21都市のうち9都市を事例に,各都市の診断の要点を整理したうえで,往時の都市診断の議論やその後の都市政策に及ぼした影響について考察することを目的とする.その結果,1960年代の計画にかかわる議論における西日本都市診断の位置づけとして全総や総合計画における論点を補完する役割を担ったこと,都市診断が「広域的視野」「多層スケールにおける各市の位置づけ」の2つの特徴を有すること,を指摘した.診断委員と総合計画審議委員の重複や内容の類似点等についての分析から往時の新聞という媒体のもつ都市政策への影響を指摘した.都市診断が総合計画を策定するための「参考資料」の役割を担ったことも指摘した.
著者
横山 真吾 大野 善隆 後藤 勝正
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】肉離れに代表される骨格筋損傷はしばしば線維化を惹起し,重度な場合は骨格筋機能不全を呈することで日常生活動作の阻害因子となることが知られている。スポーツ現場では骨格筋損傷の治癒を促すために物理療法の1つである微弱電流(microcurrent electrical neuromuscular stimulation:MENS)治療が実施されている。MENS治療により損傷した組織の修復が促進された事例は数多く報告されているが,そのメカニズムには不明な点が多い。ストレスタンパク質であるheat shock proteins(HSPs)の発現誘導は,損傷骨格筋の再生を促進することが報告されている。コラーゲン特異的なHSPであるHSP47は,損傷骨格筋細胞に発現が誘導されることが知られている。したがって,HSP47は損傷骨格筋の再生に重要な役割を担っていることが示唆される。そこで本研究は,MENS治療がもたらす損傷骨格筋の再生促進の機序についてHSP47発現から検討することを目的とした。【方法】実験動物は7週齢のC57BL/6J雄性マウス36匹を用い,骨格筋損傷後に自然回復させる群(CTX群;n=18)と回復過程においてMENS治療を行う群(MENS群;n=18)の2群に分類した。筋損傷は,麻酔下にて左側前脛骨筋(TA)に対しcardiotoxinを筋注することで惹起した。また,右TAを対照群とした。MENS治療は,Trio 300(伊藤超短波(株),東京)を使用し,左後肢に対して出力20 μA,周波数0.3 Hz,パルス幅250 msの条件で1日1回,60分間実施した。CTX筋注を基準として,1,2および3週間後に両後肢よりTAを摘出し,骨格筋含有タンパク量を測定した後Western blot法を用いてHSP47およびHSP72発現量を評価した。【倫理的配慮,説明と同意】本実験は所属機関の動物実験に関する規定に従い,所属機関の動物実験委員会の審査・承認を経て実施した。【結果】TAの筋タンパク量はCTXを筋注することで低下し,その後の徐々に回復した。CTX筋注3週後において,筋タンパク量はMENS群がCTX群に比べて有意に高値を示した(p<0.05)。TAにおけるHSP47発現量は,CTXを筋注することにより増加し,CTX筋注1週間後に対照群に比べ約2.5倍の発現量を示した(p<0.05)。その後,HSP47発現量は徐々に低下したが,MENS治療によりHSP47発現量の低下が促進した。TAにおけるHSP72発現量も,CTX筋注により増加し,その後徐々に低下する傾向が認められたが,CTX筋注およびMENS治療による統計学的に有意な変化は認められなかった。【考察】本研究では,損傷骨格筋に対するMENS治療は損傷により低下した筋タンパク量の回復を促進した。したがって,MENS治療は損傷骨格筋の治癒促進効果を有することが確認された。MENS治療によって,CTX筋注により増加したHSP47発現量の低下を促進することが認められた。HSP47はコラーゲン特異的なHSPであり,損傷骨格筋細胞膜に発現が誘導されることから,MENS治療は損傷骨格筋の再生に必要なコラーゲン量を適切に制御することで,再生を促進しているものと考えられた。【理学療法学研究としての意義】MENSには損傷組織の回復促進効果がある他,疼痛抑制効果なども有するとされており,リハビリテーション医療への応用が期待される物理刺激の一つである。MENS治療は痛みを伴わず受傷早期から実施できることから,その治療メカニズムが明らかにすることで運動器リハビリテーションに大きく貢献できるものと考えている。本研究の一部は日本学術振興会科学研究費(挑戦的萌芽,24650411;基盤A,22240071)ならびに日本私立学校振興・共済事業団による学術振興資金の助成を受けて実施された。
著者
Tatsu FUJIURA Hiroshi NAGASAWA Hidetaka WAKABAYASHI
出版者
Japanese Society of Physical Therapy
雑誌
Physical Therapy Research (ISSN:21898448)
巻号頁・発行日
pp.E9992, (Released:2020-03-25)
参考文献数
26
被引用文献数
5

Objective: To assess the effect of manual lymph drainage (MLD) on pain in Japanese patients up to 10 days after a total knee arthroplasty (TKA).Methods: This study was a randomized controlled trial performed at a University Medical Center. Patients who underwent unilateral TKA and received once daily MLD for 20 minutes prior to standard physical therapy up to 10 days after TKA were investigated. Pain at rest, knee extension muscle contraction, and maximum load were assessed using the visual analog scale (mm) before surgery, after drain removal, and after the fifth MLD. As secondary outcomes, the circumference, range of motion, muscle strength, walking speed, and walking rate were evaluated.Result: Forty-one patients aged 45-85 participated in this study, 21 of whom were assigned to the intervention (MLD group) and 20 who were not (control group). Ten days after TKA, no significant difference was evident between the MLD and control groups for resting pain [4.5 mm (1.6-10.8) vs 7.0 mm (1.8-25.5), respectively, p=0.17], pain during knee extension muscle contraction [12.3 mm (4.5-24.8) vs 20.8 mm (6.4-31.8), p=0.41], and pain at maximum load [13.0 mm (8.3-39.8) vs 16.0 mm (4.6-32.5), p=0.73]. There were no significant differences between groups in terms of secondary outcomes.Conclusion: This study shows that MLD up to 10 days after TKA does not affect pain.