著者
澤田 晶子 西川 真理 中川 尚史
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第34回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.36-37, 2018-07-01 (Released:2018-11-22)

群れで生活する霊長類は,他個体との親和的な関係を維持するために社会的行動をとる。複数の動物種が同所的に生息する環境では,異種間での社会的行動も報告されており,ニホンザルとニホンジカが高密度で生息する鹿児島県屋久島や大阪府箕面市においても,両者による異種間関係(以下,サル-シカ関係)が報告されている。サル-シカ関係の大半は,シカによる落穂拾い行動(樹上で採食するサルが地上に落とした果実や葉を食べる)であるが,稀に身体接触を伴う関係もみられる。本発表では,これまでに発表者らが西部林道海岸域で観察した異種間交渉の事例を報告する。敵対的行動(攻撃・威嚇)と親和的行動(グルーミング),いずれの場合でもサルが率先者になることが多かった。シカへのグルーミングはコドモとワカモノで観察され,サルとシカの組み合わせに決まったパターンはなかった。シカがグルーミングを拒否することはなく,シカからサルへのグルーミングは確認されなかった。コドモとワカモノによる「シカ乗り」も数例観察された。ワカモノのシカ乗りは交尾期(9月~1月)に起きており,前を向いて座った状態でシカの背中や腰に陰部を擦りつける自慰行動がみられた。実際に交尾に至ることはなかったものの,ワカモノにとってはシカ乗りが性的な意味合いをもつことが示唆される。一方のコドモは,非交尾期でもシカに乗ることがあった。その際,シカの首に座ったり背中にぶら下がったりと体位や向きにバリエーションがみられたこと,自慰行動を示さなかったことから,コドモにとってのシカ乗りは遊びの要素が強いと考えられる。先行研究との比較を通して,サル-シカ関係について議論し情報を共有したい。
著者
黒河内 邦夫 大日方 洋 松橋 鉄治郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.254-256, 1980-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
2

そば粉対小麦粉配合比〔90:10〕および〔50:50〕の粉に,活性グルテンを5%または10%添加してそば切りの製造試験を行った。そば粉配合比率の低いほど,活性グルテン添加率の高いほど製めん加工性は良く,標準ゆで時間(ゆでそば切りの水分が72%になるゆで時間)が長くなり,標準ゆで時間におけるゆで溶出率は低下した。そば粉対小麦粉配合比〔90:10〕で活性グルテン無添加のものは,つながりが悪く,通常のそば切りの形態に加工できなかった。しかし,活性グルテン5%添加のものは,つながりがかなり良くなり,とくに,活性グルテン10%添加のものは,そば粉対小麦粉配合比〔50:50〕で活性グルテン無添加のものとほとんど同程度の製めん加工性を示した。
著者
須田 裕哉 富山 潤 斎藤 豪 佐伯 竜彦
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.71-78, 2020
被引用文献数
2

<p>本研究は、セメント硬化体の炭酸化に及ぼす相対湿度の影響を評価する目的で、20℃環境下のもと相対湿度11%、43%、66%、85%における炭酸化による収縮挙動と組織構造の変化に着目し検討を行った。その結果、乾燥時の相対湿度の違いにより炭酸化収縮の進行程度は異なり、相対湿度43%において収縮量が最も大きくなった。一方で炭酸化による水酸化カルシウムの残存量は相対湿度66%が最も少なく、炭酸カルシウム生成量と収縮量の関係は炭酸化時の湿度によって異なる傾向を示した。この傾向を明らかにする目的で、粉末X線回折、窒素吸着試験および熱力学的相平衡計算を実施した結果、炭酸化時の湿度の違いにより水酸化カルシウムとC-S-Hの炭酸化挙動が異なることが明らかとなった。</p>
著者
山中 亮 神谷 大介 比嘉 健人 和田 賢哉 具志堅 清一 澤部 純浩
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.A_79-A_84, 2020

<p><tt>近年、訪日外国人の増加とともに、急増する訪日外国人レンタカー利用による事故を防止するため、警察庁、国土交通省、民間事業者などにより、各種取り組みが推進されている。しかしながら、早急な安全対策が必要とされているものの、原因が特定できていないため、具体的な対策に結びついていない。 本研究では、沖縄本島を対象として </tt>ETC2.0 <tt>プローブデータを用いて、居住者、日本人レンタカー利用者及び訪日外国人レンタカー利用者(居住地別:台湾、韓国、香港)の急制動発生箇所比較を行った。</tt> <tt>結果、既存の事故危険箇所の特定方法では、見落とされる可能性が高い訪日外国人ドライバーにとって危険な区間を特定した。この区間の道路交通環境を比較し、訪日外国人ドライバーによる急制動と道路交通環境の関係を明らかにした。</tt></p>
著者
グラム・モハマド・アシム 安藤 徹哉
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.85, no.769, pp.781-789, 2020
被引用文献数
6

<p> Water supply cisterns have historically been an important element of Herat Old City, an oasis city on the ancient trade route in Afghanistan. This paper is intended to reproduce the distribution of water supply cisterns based on the existing literature and interviews with local residents, and to understand how the cisterns and their network developed within the city. Each of the eleven existing cisterns are measured and the typologies of their architectural forms are analyzed in order to clarify their historical development. The data used for the research includes Dari (Persian) documents, historical maps and satellite photographs, and field surveys.</p>
著者
伊藤 耕介 WU Chun-Chieh CHAN Kelvin T. F. TOUMI Ralf DAVIS Chris
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.5-17, 2020
被引用文献数
13

<p>台風の移動の基礎的な理解はかなり成熟しているが、注目に値する研究の進展が近年も見られる。本論文では、単純化された順圧モデル・精緻な物理モデル・データ解析によって、主に2014年以降に得られた台風の移動に関する新しい概念や既存の概念に関する新たな知見を集約する。これには、台風の移動に関する環境場と台風の相互作用、および、予測可能性の研究を含んでいる。指向流・βジャイア・非断熱加熱といった従来の概念は依然として重要であるが、台風の進路を説明するメカニズムをより正確に理解することは、さらなる進路予報の精度向上に向けて、重要な基礎をなすであろう。</p>
著者
横山 孝子 大澤 早苗 嶋井 久美子 高水 佳寿美
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
no.2, pp.59-68, 2005-03-15

看護教育における臨地実習は,複雑な看護場面の中での経験を学習者自らが意味づけしていくという学習形態をとり,その意味づけをどのようにしていくかが学生の成長に大きく関わっている。今回,「主体的な学習姿勢への変化」を指導目標に設定し,臨地実習に臨んだ一学生の学習過程より"経験の意味づけを抽出し自己効力の影響因子の視座から分析した。その結果,学生の経験の意味づけの深まりと共に学生の自己効力は促進,維持されていた。そのことで学生は,1)不安から安心状態へと変化し,2)それを機に受動的から能動的姿勢へと変化して,3)自分自身と向き合うという自己の対象化ができ,4)更に意識的に自己の課題に取り組み,その達成に向かうという,4段階のステップを踏み自己の成長に繋がっていた。そのような学習過程の基盤になっていたのは,実習環境からの「肯定的な関わり」が有用であったと考えられる。

1 0 0 0 OA 経営五範

著者
建築攻究会 編
出版者
須原屋
巻号頁・発行日
1908
著者
伊藤 きよ子 日下部 信幸
出版者
東海学園女子短期大学
雑誌
東海学園女子短期大学紀要 (ISSN:02858428)
巻号頁・発行日
no.36, pp.95-101, 2000-12

紙を用いて色と幅の異なる2色配色のストライプ柄の試料36種類を作成し, 無地の試料と比較したときのイメージ差について検討した。その結果は以下のようである。ユ)ストライプ柄のイメージは明瞭・活動の因子, 評価の因子, 感覚の因子, 明るさの因子の4因子で表される。2)ストライプ柄の試料は, 色の明度が低いものほど, 無地の試料に比較し「強い, はっきりした, 活動的な, 派手な, 大胆な, かたい, 個性的な」イメージと評価され, 明度が高くなるほど無地とのイメージ差は小さくなる。3)評価の因子負荷量が高い「好き, 快, 美しい」の用語は, 色相の違いにより有意差の認められやすい用語であり, 赤系より青系のストライプ柄のほうが, 無地の試料より「好き, 快, 美しい」という評価がやや高い。4)「繊細な-大胆な」「痩せた-太った」の用語は, ストライプ幅の違いにより無地とのイメージ差が異なりやすい用語である。5)明瞭・活動の因子負荷量が高い用語では, ストライプ幅1.Ocm以下と1.5cm以上との間でイメージ差が表れやすい。以上, 無地の試料と比較することによりストライプ柄のイメージを検討してきたが, 今回は試料として紙を用いており, 衣服にみられる立体感や材質感は考慮されていない。これを今後の検討課題とし, さらに研究を積み重ねていく必要があると考える。
著者
末永 芳子 嶋松 陽子 本田 千浪
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
no.2, pp.51-58, 2005-03-15
被引用文献数
1

母親が過去の出産体験をどのように受け止めているのかについて聞き取り,その体験から現在の心理状態を「改訂出来事インパクト尺度IES-R(lmpact of Event Scale-Re vised)」を用いて検討したものである。対象は出産後2~3年経過し,調査時点で子どもが一人いるが,妊娠していない母親3名である。半構造化面接法によるインタビューを行い,その内容から出産体験に関する要因を抽出した。その結果,母親は出産後2~3年経過しても出産体験を鮮明に記憶しており,中でも否定的な体験が残っている傾向がみられた。否定的な体験をした母親の心理状態を. TES-Rの結果からみると,心的外傷後ストレス障害PTSD (post-traumatic stress disorder)の高危険者はいなかった。これらのことから,辛い妊娠・分娩の体験は2~3年経過しても母親に心理的な影響を及ぼしていると考えられ,次子出産の意思決定に影響する要因の一つになり得ると推測された。
著者
大関 信子 大井 けい子 佐藤 愛 葛西 紗幸 池田 礼美
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.213-219, 2012

本研究は,産後1年未満の母親を対象に次子を産みたいがが産まない理由を明らかにすることを目的とした.本研究は,調査結果を基に周産期ケアや母子保健サービスの向上を図り,母親の次子出産意欲向上へつなげるものである.A県在住の1,8OO名の母親へ質問紙調査を実施した.有効回答499名のうち,次子を「望まない」と答えた母親はI4.6%であった.最も重要な因子が経済的側面であった.また,「今回望まない妊娠・出産」と次子を「望まない」とに関連が見られた.女性の心理社会的観点から,以下のケアが次子出産意欲へつながる可能性か示唆された.1.望まない妊娠をした母親に対しては.児の受容と子を持つことの喜びを感じることができるようなケア.2.妊娠・出産がつらく卜ラウマになっている母親に対しては,異常の早期発見と予防,満足感が得られる出産体験となるケア.3.子育てに自信が持てない母親には,子育て支援及び子育ての喜びを発見できるケア.4.経済状況により次子を「望まない」理由が異なることから,母親の状況に応じたケアを優先させることが重要である.
著者
山田 美砂子 鈴木 敏子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.13, 2011

【研究の目的】 2009年改訂の高等学校学習指導要領では、必修家庭科に「共生社会と福祉」という項目が設けられた。家庭科において家族や地域社会などで、多様な人たちが共に助け合って生きていくという「人と人との関係性」がより強調されるようになったと思われる。本研究対象の高校生はその成長過程で、生活上の困難さや孤立感を味わいながら成長してきている。障害者としての彼らは「共生社会や福祉」という言葉を、「健常者とは違う自分たち」が健常者と言われる人たちから支援を受けるという面から受け止めてきた。多様な人たちが共に支え合う「共生社会」とはどのような社会か。「福祉」といわれる用語の中に込められた本来の意味は何か。支援を受け続けてきた当事者からの視点で、生徒と共に「共生社会や福祉」の意味を見直したい。題材として「子どもを生み育てる」授業の中で、「児童虐待」「赤ちゃんポスト」に関する報道を取り上げ、彼らと共にその意味を考える授業を構築することを目的とする。<BR>【研究方法】 授業実践校では必修家庭科は「家庭基礎」を各学年1単位ずつの計3単位行っている。現在、改訂学習指導要領の「共生社会と福祉」の視点から各学年のカリキュラムを作りつつある。本報告は2010年度の3年生(12名)の後半に行った「『子どもを生み育てる』ことの意義を考える授業」である。<BR>・題材として「児童虐待」と「赤ちゃんポスト」に関する以下の3点の報道を取り上げた。(1)児童相談所の児童虐待相談対応件数の推移(厚生労働省発表)の新聞報道(朝日新聞2010年7月28日)、(2)2010年7月末に発覚した「大阪の2児放置死事件」報道(朝日新聞2010年8月22日)、(3)熊本の慈恵病院の「赤ちゃんポスト」の番組「アレ今どうなった?」(NHK2009年6月1日深夜)<BR>・新聞記事やテレビ番組のビデオを見ながら自由に討論させ、出された意見を記録し論点をまとめていく。「赤ちゃんポスト」についての授業では、Y国立大学生10名が参加し意見を交換した。<BR>【研究の結果】 (1)の虐待相談対応件数の推移では、望まない妊娠や育児放棄など、親となることに責任を持てない大人達を批判する意見が多く出された。(2)の「大阪での2児放置死事件」の報道に対しては、初めは母親としての無責任さを痛烈に批判する意見が出されたが、一面的な批判に終わらせないために論点を次の3つに絞り話し合わせた。1.若くして子どもを生むことについて、2.母親だから責任を持てということについて、3.離婚し育児は母親一人が背負うことについて、である。ポイントを整理することによって、母親の状況を考える視点が出てきた。3の離婚することによる母親の負担に関しては、多様な家庭背景を持つ生徒たちから様々な意見が出された。(3)の「赤ちゃんポスト」についてのまとめの授業では、聾高校生と大学生に「設置に賛成か反対か」を敢えて決めさせ、意見を発表させた。聾高校生は賛成・反対が全く半数ずつに分かれたが、大学生は賛成:反対が9:1であった。賛成者の意見は、設置によって子どもの命が救われるからということであったが、聾高校生の反対の意見は親に捨てられてしまう子どもの気持ちが考えられていないと言うものであった。これまで設置の賛否が論じられるとき、子どもからの視点、特に「困難な子育て」状況に置かれてきた当事者の視点から考えられることは少なかった。困難な成長過程を経験してきた生徒達の発言にはその視点があった。この授業を経て障害者として感じてきた18年間の思いを「自分史」という形で綴らせた。一般社会の中で共に歩むことへの疑問を感じながら、生徒達は障害者も含めた多様な人たちが共に支え合う「共生社会」への構想を描きつつある。さらに実践を重ね生徒と共に目指すべき「共生社会」の意味を探っていきたい。
著者
白石 涼 知花 俊吾 名護 零
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.H2-73_2-H2-73_2, 2019

<p>【はじめに、目的】</p><p>膝前十字靭帯再建術後において、膝蓋腱部の侵襲により膝蓋下脂肪体(以下IFP:infrapatella fat pad)の炎症や変性をきっかけに膝前面部痛(以下AKP:Anterior Knee Pain)を臨床で経験することがある。今回の研究では超音波エコーを用いて、健常成人の膝関節角度の違いによるIFPの動態を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>膝関節に整形外科的疾患の既往の無い健常成人10例20膝(男性5例、女性5例:平均年齢24.5±3.3歳)を対象とした。IFPの動態評価にはHITACHIデジタル超音波診断装置Noblusを使用した。測定は短軸像にて大腿骨顆間溝から膝蓋靭帯間のIFPの厚さを測定した。測定肢位は仰臥位にて膝屈曲30°を開始肢位とし伸展0°へ自動運動を行い、プローブ入射角は床水平面から屈曲位時45°、伸展位時60°で統一した。各肢位で3回測定しその平均値を採用した。各肢位平均値の差をIFP変化量としてShapiro-Wilk検定、対応のあるT検定を用いて検討した。有意水準は5%未満とした。統計学的解析にはR2.8.1を使用した。</p><p>【結果】</p><p>両膝関節のIFPは屈曲位が平均15.0±1.8mm、伸展位が平均13.4±1.7mmであった。IFPの変化量は1.64mm(p<0.01)となり、屈曲位と伸展位の間に有意差を認めた。また左右膝関節間の比較では屈曲位と伸展位の間に有意差を認めなかった(p>0.05)。</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p>本研究結果から全ての健常成人で膝関節角度の違いにおけるIFPの厚さは、屈曲位と伸展位の間に有意差が認められ、先行研究と同様の結果となった。IFPは膝関節屈伸運動に伴い軟部組織の組織圧を緩衝する作用があると報告されている。健常成人のIFPは膝関節屈伸運動において大腿骨内外顆間のスペースを移動し、形態変化ができるだけの柔軟性があり、軟部組織の組織圧を緩衝する機能を有していると考えられる。今後は縦断的研究としてAKPを有する疾患群と健常群のIFPの動態評価を比較し、AKPを有する群の疼痛改善やスポーツ復帰の阻害因子を明らかにしていきたい。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>この研究はヘルシンキ宣言に沿って行い、得られたデータは匿名化し、個人情報が特定できないように配慮した。</p>
著者
本田 祐一郎 梶原 康宏 田中 なつみ 石川 空美子 竹下 いづみ 片岡 英樹 坂本 淳哉 中野 治郎 沖田 実
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.I-112_1-I-112_1, 2019

<p>【はじめに,目的】</p><p>これまでわれわれは,骨格筋の不動によって惹起される筋性拘縮の主要な病態はコラーゲンの増生に伴う線維化であり,その発生メカニズムには筋核のアポトーシスを契機としたマクロファージの集積ならびにこれを発端とした筋線維萎縮の発生が関与することを明らかにしてきた.つまり,このメカニズムを踏まえ筋性拘縮の予防戦略を考えると,筋線維萎縮の発生を抑止できる積極的な筋収縮負荷が不可欠といえ,骨格筋に対する電気刺激療法は有用な方法と思われる.そして,最近は下肢の多くの骨格筋を同時に刺激できるベルト電極式骨格筋電気刺激法(Belt electrode-skeletal muscle electrical stimulation;B-SES)が開発されており,従来の方法より廃用性筋萎縮の予防・改善効果が高いと報告されている.そこで,本研究では動物実験用B-SESを用い,不動後早期からの筋収縮負荷が線維化の発生を抑制し,筋性拘縮の予防戦略として有用かを検討した.</p><p>【方法】</p><p>実験動物には8週齢のWistar系雄性ラット16匹を用い,1)無処置の対照群(n = 4),2)ギプスを用いて両側足関節を最大底屈位で2週間不動化する不動群(n = 6),3)不動の過程で動物実験用B-SESを用い,後肢骨格筋に筋収縮を負荷する刺激群(n = 6)に振り分けた.刺激群の各ラットに対しては大腿近位部と下腿遠位部にB-SES電極を巻き,後肢骨格筋に強縮を誘発する目的で刺激周波数50Hz,パルス幅250µsec,刺激強度4.71 ± 0.32mAの条件で,1日2回,1回あたり20分間(6回/週),延べ2週間,電気刺激を行った.なお,本実験に先立ち正常ラットを用いて予備実験を行い,上記の条件で刺激強度を漸増させ,足関節中間位での最大等尺性筋力を測定した.そして,最大筋力の60%の筋力を発揮する刺激強度を求め,これを本実験の刺激強度に採用した.実験期間中は1週毎に麻酔下で各ラットの足関節背屈可動域を測定し,実験期間終了後は両側ヒラメ筋を採取した.そして,右側試料はその凍結横断切片に対してH&E染色を施し,各筋につき100本以上の筋線維横断面積を計測した.一方,左側試料は生化学的検索に供し,コラーゲン特有の構成アミノ酸であるヒドロキシプロリン含有量を定量した.</p><p>【結果】</p><p> 足関節背屈可動域と筋線維横断面積は不動群,刺激群とも対照群より有意に低値であったが,この2群間では刺激群が不動群より有意に高値を示した.また,ヒドロキシプロリン含有量は不動群が対照群より有意に高値であったが,刺激群は対照群と有意差を認めなかった.</p><p>【考察】</p><p> 今回の結果から,刺激群には筋線維萎縮の進行抑制効果ならびに骨格筋の線維化の発生抑制効果が認められ,このことが足関節背屈可動域制限,すなわち筋性拘縮の進行抑制効果に影響していると推察される. </p><p>【結論】</p><p> 不動後早期からの筋収縮負荷は線維化の発生を抑制し,筋性拘縮の予防戦略として有用であることが示唆された.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本実験は長崎大学動物実験委員会で承認を受けた後,同委員会が定める動物実験指針に準じ,長崎大学先導生命科学研究支援センター・動物実験施設で実施した.</p>
著者
矢田 茂樹 田本 真志
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学教育紀要 (ISSN:05135656)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.249-254, 1991-10-31