著者
関野 有紀 濵上 陽平 中願寺 風香 中野 治郎 沖田 実
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100383, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】近年,ギプス固定などによる四肢の一部の不動が慢性痛の発生因子になることが指摘されており,我々の先行研究においても,ラット足関節を8 週間ギプスで不動化すると不動解除後も痛覚過敏の状態が継続し,慢性痛を呈する可能性が示唆されている。一方,不動期間が4 週間の場合は痛覚過敏の発生は一過性であり,加えて不動4 週目の足底皮膚において表皮の菲薄化や末梢神経密度の増加が生じていたことから,痛みの発生原因は中枢神経系の変化というよりはむしろ末梢組織の変化にあると推測している。我々は,この末梢組織由来の痛みの発生メカニズムについて解析を進め,これまでに末梢神経密度の増加には表皮の構成細胞であるケラチノサイトが産生する神経成長因子(NGF)の増加が関与する可能性を報告した。しかし,不動による皮膚の組織学的変化がどの時期から進行するのかは不明のままであり,課題が残されていた。加えて,近年の研究によれば侵害刺激受容体が神経細胞のみならずケラチノサイトにおいても発現・機能していることが明らかとなっており,末梢における痛覚伝達系への関与が注目されている。そこで,本研究では侵害刺激受容の中心的分子であるTRPV1 およびP2X3の発現変化を含む皮膚の組織学的変化の経時的推移を明らかにすることを目的とした。【方法】実験動物には8 週齢のWistar系雄性ラット60 匹を用い,不動期間を1・2・4 週に設定した不動群(n = 30)とそれぞれに週齢を合わせた対照群(n = 30)に振り分けた。不動群は右足関節を最大底屈位でギプス固定した。不動期間中は,週1 回の頻度で機械的刺激に対する痛み反応をvon Frey filament(VFF)を用いて評価し,具体的には足底部にVFFで刺激(4,15 g ;各10 回)を加えた際の逃避反応をカウントした。また,熱刺激に対する痛み反応の評価として足背部の熱痛覚閾値温度を測定した。各不動期間終了後,ラットを4%パラホルムアルデヒドで灌流固定し,足底部中央の皮膚組織を採取した。組織試料は急速凍結させた後に凍結切片とし,以下の検索に供した。まず,組織学的解析としてHE染色を施した切片を用いて表皮厚を計測した。次に,免疫組織化学的解析として末梢神経(A線維,C線維)をABC法に従って可視化し,真皮上層に分布する末梢神経密度を半定量化した。さらに,NGF,TRPV1 およびP2X3に対する蛍光免疫染色を行い,表皮層における発現強度を半定量化した。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は長崎大学動物実験委員会が定める動物実験指針に基づき,長崎大学先導生命体研究支援センター・動物実験施設において実施した。【結果】不動群のVFF刺激に対する逃避反応回数は,4 gでは不動2 週より,15 gでは不動1 週より対照群に比べ有意に高値を示し,また,不動群の熱痛覚閾値温度は不動1 週より対照群に比べ有意に低値を示し,これらの行動学的変化は不動期間に準拠して顕著になった。足底皮膚を解析した結果,不動群の表皮厚は不動1 週より対照群に比べ有意に低値を示し, A 線維の末梢神経密度は不動1 週より,C線維のそれは不動2 週より対照群に比べ有意に高値を示した。また,TRPV1 およびP2X3発現量はともに不動2 週より不動群が対照群に比べ有意に高値を示し,これらの変化はすべて不動期間に準拠して顕著になった。一方,NGF発現量は不動1 週より不動群が対照群に比べ有意に高値を示したが,その発現レベルは不動期間を通じて一定であった。【考察】今回の結果から,表皮の菲薄化,末梢神経密度の増加,ケラチノサイトに発現する侵害刺激受容体の発現増強は不動1 〜2 週という早期から発生し,その程度は不動期間に準拠して顕著になることが明らかとなった。また,それらの推移は痛みの行動学的変化と同様であったことから, 不動に伴う痛みの発生に皮膚の組織学的変化が深く関与することが示唆された。NGFは神経成長因子としての役割に加え,一次知覚神経に発現するTRPV1 やP2X3などの発現あるいは機能増強を誘導する内因性メディエーターとしての機能を持つ。NGFの増加自体が痛みの直接的な原因になっていることも十分に考えられ,今後さらに検討を進めたい。【理学療法学研究としての意義】本研究は,不動に伴う痛み発生メカニズムにおいて皮膚組織がその責任組織の一端を担っている可能性を提示した。われわれ理学療法士は皮膚組織を含む末梢組織に対して直接的に介入可能であることから,本研究の進展は,不動に伴う痛みに対する理学療法学的な介入方法の開発につながると期待でき,理学療法学研究として十分な意義がある。
著者
関野 有紀 濵上 陽平 田中 陽理 坂本 淳哉 中野 治郎 沖田 実
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ae0045, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 不動によって痛みが発生することはヒトおよび実験動物モデルを用いた報告等により周知の事実となりつつある.また,慢性痛の病態のひとつである複合性局所疼痛症候群(CRPS)に関する国際疼痛学会(IASP)の診断基準には患肢の不動の有無が掲げられている.所属研究室の先行研究により,ラット足関節不動化モデルにおいて不動期間が8週間におよんだ場合,中枢神経系の感作を含む慢性痛を呈するが,不動期間が4週間の場合は痛覚過敏のみで,中枢神経系の感作は認められないことが明らかとなっている.このことから,不動に伴う初期の痛みの原因は皮膚,末梢神経を含む末梢組織にあると推測され,実際に,ラット足関節不動化モデルの足底において表皮の菲薄化や末梢神経密度の増加が認められたことをこれまでに報告した.しかし,これらの皮膚組織の変化と不動に伴う痛み発生との関連性は未だ明らかにできていない.よって,本研究の目的は皮膚組織に着目し,その変調をさらに詳細に解析することにより,不動に伴う痛み発生メカニズムを探索することである.【方法】 実験動物には8週齢のWistar系雄性ラット20匹を用い,4週間通常飼育する対照群(n=10),右側足関節を最大底屈位にて4週間ギプス固定する不動群(n=10)に振り分けた.実験期間中、機械的刺激に対する痛みの指標としてvon Frey filament testを実施し,足底部にfilamentで刺激(4,15g ;各10回)を加えた際の逃避反応をカウントした.また,熱刺激に対する痛みの指標として足背部の熱痛覚閾値温度を測定した.すべての測定とも週1回の頻度で経時的に行い,測定は覚醒下でギプスを除去して行った.実験期間終了後,ラットを4%パラホルムアルデヒドで灌流固定し,足底部中央の皮膚組織を採取した.組織試料は急速凍結させた後に凍結切片とし,以下の検索に供した.まず,HE染色を施した切片を用いて表皮厚を計測した.次に,免疫組織化学的染色により末梢神経(A線維,C線維)を可視化し,表皮層下におけるそれぞれの末梢神経密度を半定量化した.さらに,Nerve growth factor(NGF)に対する蛍光免疫染色を行い,表皮層の染色輝度を測定することにより表皮におけるNGF産生を半定量化した.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は長崎大学動物実験委員会が定める動物実験指針に基づき,長崎大学先導生命体研究支援センター・動物実験施設において実施した.【結果】 不動を開始して1~2週目から,不動群において4g,15gのvon Frey filament刺激に対する逃避反応回数は増加し,また,足背部の熱痛覚閾値温度は低下した.そして,これらの変化は不動期間に準拠して顕著になり,不動2週目以降のすべての測定において対照群との有意差を認めた.次に,不動4週目の足底皮膚を組織学的に観察した結果,不動群において表皮の菲薄化,角質層の乱れが観察され,表皮厚は対照群のそれより有意に低値を示した.また,不動群の末梢神経密度はA線維,C線維ともに対照群のそれより有意に高値を示し,神経線維が表皮層へ進入する所見が観察された.さらに,不動群の表皮におけるNGF産生は対照群のそれより有意に高値を示した.【考察】 本研究では,4週間の不動に伴い機械的刺激に対する痛覚過敏および熱痛覚閾値の低下が観察され,この結果は先行研究とほぼ一致する.また,足底皮膚においては表皮の菲薄化や角質層の乱れ,表皮に分布する末梢神経の増加が観察された.先行研究によれば,末梢神経の増加は痛覚閾値に関与するとされており,不動に伴う痛覚閾値の低下の一因となっている可能性が高い.一方,皮膚組織の末梢神経の分布や密度に対しては,表皮の主要構成細胞であるケラチノサイトから産生されるNGFが関与するとされている.よって,不動群に認められた末梢神経密度の増加は,ケラチノサイト由来のNGF産生の増加に起因する変化であると推察される.加えて,NGFは痛みの内因性メディエーターとしての機能も知られており,NGF産生の増加自体が痛みの直接的な原因になっていることも十分に考えられる.以上のことから,不動に伴う痛みの発生には皮膚の組織学的変化が深く関与していると推測でき,今後さらに検討を進める必要がある.【理学療法学研究としての意義】 本研究は,不動に伴う痛み発生メカニズムに皮膚組織がその責任組織の一端を担っている可能性を提示している.われわれ理学療法士は皮膚組織を含む末梢組織に対して直接的に介入可能であることから,本研究の進展は,不動に伴う痛みに対する理学療法学的な介入方法の開発につながると期待できる.したがって,本研究は理学療法学研究として十分な意義があると考える.
著者
左右内 敏浩 法宗 布美子 都築 泉 大森 照夫
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.149-153, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

新規開発テーマを提案する手法の一つとして「α発想法」がある。「α発想法」は,①個々人が自由発想を行う「個人ワーク」,②個人ワークで得られた発想をグループ化,階層構造化して機能ツリーマップを作成する「集団ワーク」,③機能ツリーマップの分類に既存特許を当てはめて,発想と公知技術との対応を表す機能鳥瞰マップを作成する「鳥瞰ワーク」,④機能鳥瞰マップに自社の強みや市場環境を加味して攻め所を特定する「提案ワーク」の4段階で構成されており,徹底的に発想を展開した後に公知技術と対比し,最終的に自社の強みや環境要素を加味して提案する手法である。「既存特許の分析」を起点とする一般的な手法とは異なり,既存の枠に捉われない「発想」を起点とする点が,「α発想法」の特徴といえる。本研究では,「生分解性プラスチック」を題材に,「新規開発テーマの提案」を目的として「α発想法」を実践し,「徐放性シロアリ駆除剤」を提案するまでの,各段階における留意点等について報告する。
著者
蓑田 裕美
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.122-126, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

資生堂は科学技術領域の社会貢献活動として,研究助成「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」を主宰し,大学や研究機関に勤める女性科学者を毎年10名ずつ支援している。歴代受賞者109名の40%以上が,受賞後に昇進・昇格した。本グラントの特長とその背後にある課題を紹介する。また,資生堂の社内では社員の男女共同参画を下支えする多くの制度があり,国内資生堂グループの女性管理職比率は32.3%に達した。2019年からは企業の女性役員比率30%を目指す非営利キャンペーン「30% Club Japan」にも参画し,社会の女性活躍のために取り組み始めた。
著者
窪川 かおる
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.116-121, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

「海は男の世界」と言われたのは今や昔であり,海にかかわる職場に女性が進出している。女性活躍推進法が2015年に施行され,現在,改訂によりその実効性が強まり,海洋分野における男女共同参画も加速されている。しかし,大学進学での理学・工学分野の女子学生比率は低く,海洋関連分野への女性進出を促す方策は簡単ではない。本稿では,海で働く女性を取り巻く環境がどのように変化し,現状はどうなのかについて,女性比率を参照しながら紹介する。まず大学生と大学教員,次に海洋研究者や港湾・造船・水産の現場,最後に海洋分野での女性活躍のネットワークの重要性について考える。
著者
宮浦 千里
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.112-115, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

わが国における女性研究者比率は欧米諸国と比べて低く,女性研究者が能力を最大限に発揮できるよう,研究と出産・育児等の両立に配慮した措置を拡充する取組みが行われてきた。これら様々な取組の結果,女性研究者の割合は近年上昇傾向にあるものの諸外国と比べると未だに低い。大学や研究機関において,多くの技術者や研究者が活躍しているが,若手研究者および研究支援人材の育成は取組むべき最も重要な施策の一つである。大学運営費交付金の削減や競争的研究資金の拡充により,非正規の特任教員,任期付きの博士研究員等が増加し,これら状況は科学技術の国際競争においてわが国の立場を大きく左右すると考えられる。
著者
野村 紀匡
出版者
Information Science and Technology Association, Japan
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.111, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)

今月号の特集は,「科学のなかの女性たち」と題してお届けします。1975年,国連は毎年3月8日を国際女性デー(International Women’s Day)と定め,様々な分野におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントを促進する日と位置づけました。今年も世界各国で,国際女性デーを記念する様々なイベントが開催されます。ここで日本の女性研究者が置かれている現状を統計から見てみましょう。2019年科学技術研究調査結果によれば,日本における女性研究者数は15万5000人で過去最多,研究者全体に占める割合も16.6%と過去最高を示しました1)。一方,OECDの集計によれば,女性研究者率が46.4%に達するアイスランドや,43.7%のポルトガルのような国々,さらにドイツ(27.9%)や韓国(20.1%)と比べても日本の女性研究者率は低い水準に留まっています2)。本特集は,このような状況にある日本の女性研究者を支援する施策や活動について紹介しつつ,今後の活躍を応援することを企図しています。はじめに宮浦千里氏(東京農工大学)に,主に自然科学分野における女性研究者支援施策についてご説明いただきました。窪川かおる氏(帝京大学)には,海洋分野で活躍する女性とそのネットワークについてご紹介いただきました。蓑田裕美氏(株式会社資生堂)には「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」についてご詳説いただき,また同社における男女共同参画を支える取り組みについてご共有いただきました。北村紗衣氏(武蔵大学)にはWikipediaにおけるジェンダー平等について,課題も含めてご解説いただきました。森未知氏・星野咲希氏(国立女性教育会館)には,女性研究者支援をテーマに据えた「図書紙面展示」を企画いただきました。本特集が,女性研究者の置かれる状況やこれからの女性研究者支援について,さらには女性活躍・登用促進について考える契機となれば幸いです。(会誌編集担当委員:野村紀匡(主査),寺島久美子,當舎夕希子,光森奈美子)参考文献1)“図2-2 女性研究者数(実数)及び女性の割合の推移”.2019年科学技術研究調査(要約).総務省統計局,2019,p.4.https://www.stat.go.jp/data/kagaku/kekka/youyaku/pdf/2019youyak.pdf, (参照2020-01-27).2)“Women researchers as a percentage of total researchers (headcount)”. Main Science and Technology Indicators (Dataset), OECD.Stat. https://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=MSTI_PUB#, (accessed 2020-01-27).
著者
齋藤 智也
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.244-252, 2016

<p>オリンピックのようなマスギャザリングは,公衆衛生危機管理の重要課題である.注目度が高く,テロのリスクにも備える必要がある.生物剤によるテロは,可能性は低いが,社会的影響は非常に大きい.マスギャザリングはその対策を見直しつつ,中長期的な対応能力を底上げする良い機会である.サーベイランスは,中核的対応能力の一つである.社会的関心が高い故,より低い閾値で,より素早い対応が求められる.特に「何も起きていないことの確認」が最大の課題となる.なお,サーベイランス能力の開発は,感染症のみならず,全ての健康危機管理を念頭に置くべきである.テロ対策の文脈では,公衆衛生機関に様々な機関との連携が求められる.特に,治安部局とのリスク・脅威評価の共有や,初動対応部局との統合的運用能力が重要であり,演習による強化が不可欠である.</p>
著者
九後 汰一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.593-599, 1989-08-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
18
著者
桐淵 岳 財津 俊行 土井 昌志 日下 佳祐 伊東 淳一
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.140, no.3, pp.184-193, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)
参考文献数
27
被引用文献数
5

Servo drive motor systems using PWM inverters have become very popular in the industrial market owing to their excellent control over torque, speed and position. Recently, problems of EMI noise and complexity of wiring from 3-phase PWM inverter power line cables have become critical issues in factories. In addition, using the regenerative energy of a motor has become important. A DC bus system can be a solution to these problems and demands. However, the DC bus system for servo drives has a risk of system instability because of interference between the DC bus and the servo drives. In this paper, an impedance-based stability analysis method is proposed that can predict the stability by only using the I/O (impedance) characteristics instead of all the system properties. The experimental results show that this method is useful.
著者
Keisuke IMOTO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E103.D, no.3, pp.631-638, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)
参考文献数
35
被引用文献数
3

In this paper, we propose an effective and robust method of spatial feature extraction for acoustic scene analysis utilizing partially synchronized and/or closely located distributed microphones. In the proposed method, a new cepstrum feature utilizing a graph-based basis transformation to extract spatial information from distributed microphones, while taking into account whether any pairs of microphones are synchronized and/or closely located, is introduced. Specifically, in the proposed graph-based cepstrum, the log-amplitude of a multichannel observation is converted to a feature vector utilizing the inverse graph Fourier transform, which is a method of basis transformation of a signal on a graph. Results of experiments using real environmental sounds show that the proposed graph-based cepstrum robustly extracts spatial information with consideration of the microphone connections. Moreover, the results indicate that the proposed method more robustly classifies acoustic scenes than conventional spatial features when the observed sounds have a large synchronization mismatch between partially synchronized microphone groups.