著者
木下 浩一
出版者
日本コミュニケーション学会
雑誌
日本コミュニケーション研究 (ISSN:21887721)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.29-48, 2019-11-30 (Released:2019-12-03)
参考文献数
34

Audio Visual Translation (AVT) is essential for importing and exporting moving pictures overseas. Dubbing and subtitling are the two processes involved in AVT. While dubbing is mainstream in Japanese terrestrial TV broadcasting, this was not the case at its inception. Dubbing emerged as a way to facilitate interaction between senders and audiences. This research investigated the dubbing process in NET (Nippon-Educational-Television, current TV Asahi). NET was the forerunner of AVT in Japanese TV from the 1950s to the 1970s. The translation norms of the sender were clarified by analyzing chronological changes in the form of the AVT used and the interaction between senders and audiences in Japanese TV. The study draws the following conclusions: 1) A significant degree of overlap exists between accountability and expectancy norms. The strength of expectancy norms was emphasized by Chesterman (1997) and was verified by this study. 2) Comprehension and naturalness used to be viewed as the standard in expectancy norms. However, the growing emphasis on richness and identity of expression overtook these previously held standards. 3) The norms were found to be stronger for adult programs and theater-movies than for children’s programs and television movies.
著者
木下 浩一
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.125-141, 2019-12-31 (Released:2020-01-18)
参考文献数
42

情報格差が拡大するなか,手軽に情報が摂取できる地上波テレビは,情報弱者にとって重要性を増している。現在,日本の地上波テレビは,大量のソフトニュースで編成されている。例えば日本テレビは,月曜から木曜の朝4時から夜7時の15時間のうち,14時間35分をソフトニュースで編成している。日本におけるソフトニュースの嚆矢は,1964年に日本教育テレビ(NET,現在のテレビ朝日)で放送が開始された《木島則夫モーニング・ショー》であるとされる。1960年代のNETは,ニュースショーというジャンルを牽引する存在であった。本稿は,1960年代のNETという送り手を事例に,送り手がどのような意志のもとニュースショーという形式を決定していったのかを,当時の社会状況などを含めて史的に分析した。この分析から,①ニュースショーの原型は,どのような形式の番組であったのか。②ニュースショーという新しい番組形式をもたらした要因や主体は何だったのかを明らかにした。結論は次の通りである。①内容はコーナーなどによって細部化され,教育的な内容も娯楽化されて取り込まれた。帯の生番組という編成形式は不変であり,細分化された内容は視聴率によって迅速に見直された。送り手内部では,内容と作り手が分離され,内容の見直しの自由度が向上した。②NETが商業教育局であったことが,大きな要因のひとつであった。NETにおけるニュースショーという形式は,ラジオの経験者と雑誌編集の経験者という主体によってもたらされた。NETが教育局であったために,番組種別上の「教育」と「報道」の混交が生じ,さらに「娯楽」の要素も付加されたことが,付随的に明らかになった。
著者
神田 健介 八木 恭平 楊 明
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.78-83, 2005 (Released:2005-11-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

近年注目されているマイクロ生化学分析チップにおいてはイムノアッセイ等の壁面を利用した物質検出が行われている.そのためには対象の分子が壁面近傍に存在することが必要である.本研究では壁面から数100nmを可視化できるエバネッセント顕微鏡システムを構築し,直接観察により壁面近傍の粒子濃度分布およびブラウン運動解析を行うことを目的とした.実験においては壁面特性の影響を評価するため親水性,疎水性に表面処理した壁面上において,生体分子の代わりに微小ポリスチレン粒子を用いた.ブラウン運動解析では壁面近傍で粒子の平均移動量が減少することを明らかにし,濃度分布測定では壁面近傍での濃度が低く,壁面から離れるに従い高くなること,粒子分布が親水性,疎水性では異なることを明らかにした.壁面近傍の粒子分布には粒子と壁面との流体的相互作用や種々の物理・化学的相互作用が大きな影響を及ぼすと考察した.
著者
山家 芳子 堀 裕 竹能 清俊
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.383-387, 1992
被引用文献数
10

栽培バラ, 品種インスピレーションとノイバラの種子発芽阻害におけるアブシジン酸 (ABA) の関与を調べた. 25°C, 連続白色光照射下で, 果皮に包まれた種子 (単果) はまつたく発芽しなかったが, 単果から摘出した種子は高い発芽率を示した. 一度分離した果皮を一緒におくと摘出種子の発芽率は低下した. このとき, 単果, 種子, 種子+果皮から発芽床の水に溶出したABAを酵素イムノアッセイで定量したところ, ABA含量は単果で最も高く, 種子で最も低かった. 底部に多数の穴を開けた発泡スチロール製の平底容器に単果を並べ, 容器をビーカー中の蒸留水の表面に浮かべ,スターラーで水を攪拌して, 好気的な条件の下で単果を水洗したところ, 単果の発芽率は著しく高まった.このとき, 水に活性炭を加えると発芽率はさらに高まったが, poly-N-vinylpyrrolidone (ポリクラーAT) を加えても効果はなかった. このような活性炭を使ったリーチングによる単果の発芽率の改善は, 5°Cで行ったときに顕著であった. これらの結果から, バラ単果の発芽は果皮に存在するABAによって阻害されており,活性炭を使ったリーチングは, 果皮からABAを効率よく溶出することによって発芽を促進したものと考えられる.
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.863, pp.21-67, 2017-08
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.863, pp.69-73, 2017-08
著者
Hideki KAYANUMA Kaoruko YAMADA Takuya MARUO Eiichi KANAI
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.19-0413, (Released:2020-01-23)
被引用文献数
5

In dogs, reports on thoracic lymph nodes are lacking compared to abdominal lymph nodes. This report analyzed the position, number, size, shape, and homogeneity of thoracic lymph nodes (cranial sternal, cranial mediastinal, tracheobronchial, aortic thoracic, and pulmonary lymph nodes) using thoracic computed tomography (CT) images of 100 dogs without any lesions in the dominated areas of thoracic lymph nodes. The position and number of intrathoracic lymph nodes could be observed in CT, consistent with macroscopic anatomical studies. It was difficult to set a clinical index associated with size using CT scans. Image findings that indicated abnormalities, such as circular shapes and non-uniform, may be routinely found in dogs and may not be considered abnormal on CT scans.
著者
松永 信博 増田 壮佑 中牟田 大嗣 徳永 貴久 矢野 真一郎 押川 英夫 橋本 彰博 藤田 和夫 古賀 雅之 岩下 智明 原田 敦彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1291-1296, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8

Laboratory experiments were carried out on water quality purification with EcoBio-Block (EBB). EBB is a porous concrete block including Bacillus subtilis natto group. In this study, we examined experimentally denitrification effect of EBB by letting it live together with denitrification bacteria in soil. The time variations of TN, ON, DIN, NH4-N, NO2-N, and NO3-N were obtained under the aerated condition by changing the weight ratio of EBB to water. On the basis of those data, the denitrification rate, the mineralization rate, and the decreasing rate of DIN were obtained. As a result, we confirmed that the processes of organic matter decomposition, nitrification, and denitification were performed effectively by the symbiosis of useful microbial group and denitrifying bacteria.
著者
有田 守 青木 伸一 片岡 三枝子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.201-205, 2005-10-07 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9

インレットの固定化という大規模な土木工事によりエスチャリーの環境が長期的にどのように変化してきたのかを詳細に調べ, 物理環境の変化と生態系の応答の因果関係を明らかにすることは, 人為的な環境インパクトの影響を検証する上で重要である. 本研究では浜名湖を対象に, 物理環境のうち最も重要な要素であると思われる潮汐に着目し, 湖の潮汐応答特性とその経年変化を明らかにするとともに, 潮汐による外洋と湖との海水交換特性の変化について検討した. その結果, インレットの固定化工事は浜名湖の長期的な環境をもたらしていることが明らかになった.
著者
新宅 治夫
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.361-367, 2012-09-01
参考文献数
15

 小児神経伝達物質病は幼少期より発症するまれな遺伝性疾患としてその原因により個別に研究されてきたが, いずれも中枢神経系に症状があり代謝異常に起因する小児神経疾患として早期に適切な診断と治療が必要である. しかしながら, 臨床症状による診断は困難であり適切に診断されず有効な治療を受けられていない可能性がある. これらの疾患について, 小児神経伝達物質病として総合的に検討し, 病態生理のさらなる理解, 診断基準の確立, 我が国における患者数, 分布の把握が行われている. 新生児マススクリーニングで発見できない希少疾患の早期診断と効果的な新しい治療法の確立は急務であるが, 超希少疾患の場合に医療関係者への疾患概念の周知が重要である.
著者
濱本 望絵 土屋 薫子 石川 博一 村上 隆史 杉村 博 森 信一郎 一色 正男
雑誌
研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC) (ISSN:21888868)
巻号頁・発行日
vol.2019-DCC-21, no.36, pp.1-8, 2019-01-17

無線対応端末がルータや中継機に無線接続する際,暗号化 ・ 復号化に必要な鍵を 2 つ取得する. 1 つはユニキャスト通信する際に使用する PTK (Pairwise Transient Key),もう 1 つはブロードキャストおよびマルチキャスト通信する際に使用する GTK (Group Temporal Key) である.家庭用ルータ ・ 中継機の中には,一定時間ごとに GTK を更新し,1 つの GTK を長い期間共有しないことで通信の安全性を高める設定が可能なものもある.しかし,中継機の GTK 更新の実装仕様により,無線 LAN ネットワーク上の端末間で GTK の不一致が発生する場合がある.その結果古い GTK を持つ端末と,新しい GTK を持つ端末との間でブロードキャストやマルチキャスト通信が不能になり,相互接続ができない問題が発生する.本論文では,中継機の GTK 更新に関する実装状況を調査し,その問題が発生する条件を明らかにする.またその問題に対して,端末側の実装で相互接続性を確保するための手法の提案を行うと共に提案手法の評価と考察を述べる.