著者
武居 奈緒子
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.17-35, 2006 (Released:2011-05-20)

本研究の目的は、新興呉服商が、卸売商支配の流通で、どのように成長し最終的に百貨店業態へと業態革新を遂げたのかについて、一次資料に基づいて論証することである。新興呉服商の仕入革新の特徴は、流通チャネルの短縮化、安定的仕入れルートの確保、仕入商品の拡大からなる。新興呉服商と産地の仲買との共存と離脱という呉服商の革新的行動は、大規模小売商としての道を切り開き、大量販売・高品質による信用・多品目取扱いの基盤となり、日本における百貨店の原型が形成されることが明らかとなる。
著者
宮武 慶之
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
no.59, pp.37-62, 2019-10-10

江戸時代後期に茶の湯道具の収集で著名な松江藩七代藩主松平治郷(不昧/一七五一~一八一八)の元には多くの道具商が集った。この道具商のうちの一人に本屋惣吉(了我/一七五三生)がいる。本屋惣吉については、従来、元は貸本屋であり、冬木家の道具流出に関与し、それらの道具を不昧に売却したことが知られる。また天保年間に成立した『江戸名物詩(初編)』では江戸新右衛門町角の道具商である本惣を紹介しており当時、成功したことがわかる。しかしながら、不昧と親しくし、今日でも著名な美術品の取引に関与した人物でありながら、その行状についてはこれまで明らかにされていない。また了我の後を継いだ人物として了芸(一八五七か一八五八没)がいる。新右衛門町にあった本惣は近代まで事業を続け、質商として活動していた。了芸、了我親子の行状を明らかにすることは江戸時代後期の江戸での美術品移動と本惣の経営形態を考える上でも重要と考える。そこで本稿では次の二点について論じる。一点目は本惣と不昧との交流である。不昧に多くの道具を取り次ぐ一方で、不昧に近侍し、その用をなしたことが確認できる。特に道具の取り次ぎと、茶会への参加を中心に論じることとする。二点目は本惣が天保年間に江戸で有力な道具商になっていた点に注目した上で、人と金の流れに注目する。人の動きに関しては、了芸が長命であった点に加え、子である了芸、また同じ新右衛門町に店を構えた本屋吉五郎(生没年不詳)の活動を考察の対象とする。金の動きに関しては、了我や了芸の頃の本惣の理財活動に注目する。近代の本惣は、質商と地主を兼ねており、金融と土地の観点から、本惣の初期の経営形態を明らかにする。以上の二点を中心として、これまで明らかにされていない不昧と本惣の創業の関係を明らかにする。
著者
岡﨑 滋樹
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
no.59, pp.63-90, 2019-10-10

本稿は、「畜産」と「台湾」という視点から、戦前農林省による資源調査活動の実態に迫り、政策との関わりによって調査の性格が如何に変わっていたのかを明らかにした。これまでの満鉄や興亜院を中心とした資源調査に関する研究では、調査方法そのものについて詳細な検討が進められてきたが、その調査がいかに政策と関わっていたのかという部分は検討の余地が残されていた。したがって、本稿では、まず調査を左右する政策立案の実態を検討し、その政策が調査に対して如何なる影響を与えていたのか、調査報告が如何に政策に左右されていたのかという、当時指摘されていた「政治的」な調査活動の側面に注目した。農林省が1934年5月に台湾で行った馬事調査は、台湾馬政計画の実施を見据えたものであり、実際の調査の主目的は、農林省から台湾総督府へ政策協力を依頼することにあった。政策を立案するために台湾の状況を視察することは副次的なもので、本調査で最も重視されたのは台湾総督府が如何に帝国馬政計画に参画してくれるのか、その意思確認であった。調査を担当した農林省佐々田技師による報告書は、既定の政策方針に合うように現地の様子が記されており、条件付きで今後の見通しを期待するような、巧みな文書構成が目立った。また、本報告書は政策決議を問う調査会で参考資料として配布されるが、農林省の官僚をはじめとして、他の政府委員たちも全く関心を示すことなく、誰一人としてその報告書について発言する者はいなかった。まさに形式的に立案資料を残しただけで、それを参考にして政策を構想していくというものではなかったのである。かかる政府内の動きは、戦前日本の政策立案過程の一端を示しており、官庁職員の行動規則と伝統的な作業方法は、政策立案と調査活動に重大な影響を及ぼしていた。調査活動を見る場合は、特に「政治的」な側面に注意する必要があり、資源獲得を見据えた対外調査なのか、あるいは政策協力を求める役人の出張であったのかは区別しなければならない。台湾馬事調査は、まさに既定の政策方針に左右され、資源調査という名目で実は政策協力を求めるための出張であったという、官庁職員の業務実態を示す典型例であった。

1 0 0 0 OA 御即位灌頂

著者
富田学純 著
出版者
加持世界社
巻号頁・発行日
1915
著者
相原 健志
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第50回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.H01, 2016 (Released:2016-04-23)

本発表は、ブラジルの人類学者E. ヴィヴェイロス・デ・カストロの多自然主義に含まれる身体の存在論の含意と射程を析出することを試みる。その記述を辿ると、多自然主義の機制における存在者間の食人的関係は、スピノザ哲学に由来するコナトゥス概念において捉えられる。そしてコナトゥスは、食人のみならず、「翻訳」といった人類学者の実践をも、つまり他者と人類学者のあいだの差異を横断する力として思考されている。

1 0 0 0 OA 石川県公報

出版者
石川県
巻号頁・発行日
no.(13102), 2018-05-07

1 0 0 0 OA 沖縄案内

著者
島袋源一郎 著
出版者
島袋源一郎
巻号頁・発行日
1932