著者
平野 大
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.155-176, 2019

【要旨】<br> 本稿は、クリストファー・ノーラン監督による映画『プレステージ』について、シルクハットというアイテムに焦点を絞り、これを分析の手がかりとしながら、読み解いていくことを目的としている。同時に、いままであまり注目されてこなかったファッション・アイテムである帽子の、分析ツールとしての可能性の一端を提示していくことも試みていく。<br> 映画『プレステージ』は19世紀末のロンドンを舞台に、「人間瞬間移動」を得意演目としていた二人の奇術師が繰り広げる確執の物語である。<br> 本作を検証するにあたり、特に注目するシーンがある。それは、オープニングとエンディング部分に見られる数多くのシルクハットが空き地に散乱しているシーンである。アメリカの映画研究家、トッド・マガウアンは、『クリストファー・ノーランの嘘― 思想で読む映画論(<i>The Fictional Christopher Nolan</i>)』の中で、このシーンに関して「過剰な帽子は、創作活動に必然的に付随する余剰物である」と述べている。<br> このマガウアンの視点は、ノーランの映画製作観に鋭く踏み込む画期的なものである。しかし、果たしてシルクハットは、本当に創作活動の「余剰物」に過ぎないのであろうか。本作におけるシルクハットは「余剰物」以上の役割と意味を担っているのではなかろうか。<br> 本稿においては、このマガウアンの指摘に対して、シルクハットの歴史や象徴性をふまえながら、検討を加えていく。
著者
小倉 尚
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2005-02

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2002号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2005/3/15 ; 早大学位記番号:新3935
著者
鈴木 利根
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.22-27, 2014-03-25 (Released:2014-07-11)
参考文献数
20
被引用文献数
5

重症筋無力症は神経筋接合部が障害される自己免疫疾患である.抗アセチルコリン受容体抗体や抗MuSK抗体が病因と深く関わり,その他にも抗横紋筋抗体などの関連自己抗体が近年報告されている.発症年齢は幼児期と高齢者に2峰性に頻度が高いとされるが,高齢発症の重症筋無力症患者が最近は増加傾向にある.高齢発症者では抗アセチルコリン受容体抗体や抗横紋筋抗体の陽性率が高いことなどから,若年発症者とは病態が異なるとの示唆もある.重症筋無力症の至適治療に関して基準になるエビデンスはいまだないが,抗コリンエステラーゼ阻害薬に比べて,この20年間は副腎皮質ステロイド薬や,免疫抑制剤,胸腺摘出などの免疫治療の比率が増加している.
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.718, 2017-05-15

「水族館にいる魚には白内障が多い」ことを,ずっと以前この欄に書いた。仙台で学会があったときの経験からである。 たまたまこの話を思い出して,急に気になった。「なぜ?」という疑問からである。

1 0 0 0 OA 志摩国全図

出版者
巻号頁・発行日
1850

嘉永2年成立、同3年写の志摩国全図。図者は小嶋巌、高木多右衛門、文字は小林和平治。余白に、嘉永2年(1849)9月、幕府が海岸防備のため沿岸諸藩に対して発した海岸取調べの命令に応じて作成した地図の控えであることを記す。幕府は天保13年にも沿岸の調査を行い、絵図も添付させたが、7年後のこの時は、より詳しい水深情報を把握するため、海岸から約30丁沖まで、一定間隔ごとの水深記入を指示した。鳥羽藩では、まず1村限の切絵図を作り、前回提出の「中図」に追記して上呈したが、本図は後年の参考用に切絵図自体を集成して「大図」1紙にしたもの。郡分、海陸道、村々海陸里数(鳥羽城まで)、台場、水深を記す。水深は海岸各所から沖に延ばした直線上の30間目・1・5・10・20・30丁目にそれぞれ尋で記入。余白に村々海岸里数。
著者
高橋 英次 米地 和夫
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.78-86, 1968 (Released:2011-10-21)
参考文献数
8

Following the school health statistics from the Ministry of Education myopia prevalence rate in elementary school children and secondary school pupils for 10 years from 1955 to 1964 is revealed by 46 prefectures . On the geographic distribution of the prevalence rate, the correlations with natural environmental factors such as annual average temperature and annual insolation duration and with socio-economic factors such as promotion rate of pupils to higher school and living expenditures per person per month are calculated. 1. Myopia prevalence rate is higher in the area of Japan sea side slope from Hokkaido to Hokuriku and in the large cities of the Pacific side, lower in the area which extends from southern Kyushu through Shikoku to Wakayama and in the northern Kanto plain area . 2. The negative correlation with the geographic distribution of annual average temperature is recognized for female. The negative correlation with the geographic distribution of annual insolation duration is found for both sexes, but that for female is higher. 3. The positive correlation with the geogrophic distribution of the promotion rate to the senior secondary school is recognized only for junior secondary school pupils, but the correlation with the promotion rate to the college and the university is found in all male and female groups of all schools. 4. The highest grade positive correlation is found with the geographic distribution of living expenditures per person per month of all consumers for male and female groups of all schools.
著者
杉本 昇吾 笹井 五月 木下 武志
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.181, 2016 (Released:2016-06-30)

デッサン教育は、デザイン・美術教育において重要視されている。しかし、デッサンを描いている最中の視線行動については報告されていない。そこで本研究では、デッサン制作時の視線行動の差や特徴を調べるために、静物デッサンを描いている間の視線行動を計測した。対象は三人のデッサン初心者で、実験にはアイマークレコーダを使用した。この実験を4回行った結果、学習時間が増加するにつれてヒートマップの範囲が広くなっているという結果が見られた。
著者
李 聖傑
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2013

終了ページ : 413
著者
築茂 由則 鈴木 孝昌 内藤 幹彦
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.71-80, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
32

近年のゲノムデータの蓄積により, 遺伝情報を利用した個別化医療は現実のものとなりつつある. 特にがん化学療法の分野では, 肺がんにおけるEGFRに代表されるように, 遺伝子変異の有無を判別して治療薬を選択する時代に入っている. 我が国では2013年に, 分子標的治療薬の効果を判定するための体外診断薬 “コンパニオン診断薬” が新たに定義され, すでに複数の品目が承認されている. 本稿では, 主にがん分子標的治療薬との関連からコンパニオン診断薬の現状と課題について概説する.