著者
澤 憲明 田中 啓広 菅家 智史 武田 仁 鵜飼 友彦 若山 隆 葛西 龍樹
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.308-316, 2011 (Released:2015-05-30)
参考文献数
20

目的 : 英国家庭医学会の新しい後期研修プログラム・専門医認定制度 (以下nMRCGPと略す) を紹介する. そのnMRCGPと日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療後期研修プログラム・専門医認定制度を比較検討し, 日本の家庭医療専門医教育発展に向けた課題を抽出する. 方法 : nMRCGPの研修資料, 及びその参考文献をレビューし, そのレビューをもとに東北地方の家庭医療後期研修医・指導医でディスカッションを行った. 結果 : 英国と日本の家庭医療後期研修プログラム・専門医認定制度の比較から日本の家庭医療専門医教育の発展に向け3つの課題が抽出された. 1) 日本における新しい「家庭医」の定義の必要性, 2) 形成的評価としてのポートフォリオの重要性, 3) ポートフォリオ審査における明確な評価項目と基準の必要性. 結語 : nMRCGPの背景・概要の説明, 及び日本の家庭医療専門医教育の発展に向けた課題の抽出とその考察を行った.
著者
齋藤 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.155-159, 2016-09-30 (Released:2016-11-03)
参考文献数
11

この度,香港における歯周病専門医認定試験に外部評価者として参加する機会を得たので,歯周病専門医の育成システムと認定試験の実際について報告する。
著者
藤野 昭宏 Tar Ching Aw 大久保利晃 加地 浩
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-44, 1998-03-01 (Released:2017-04-11)

英国における産業医学教育の現状を日本と比較しながら紹介した後, 英国と日本における卒後産業医学教育システムについて比較検討を行った. 産業医学専門医制度(英国王立内科医協会産業医学部門専門医制度と日本産業衛生学会専門医制度)における, 全研修期間, 臨床研修期間, 産業医学研修期間, 専門医試験方法および合格率に関して比較したところ, 前者の方がより多くの産業医の専門的訓練が要求される研修システムであり, また産業医学的臨床実施能力の訓練を重視していることが示唆された. また, 英国の産業医デイプロマ制度とこれに相当する日本の医師会認定産業医制度との比較では, 前者の資格取得のためには, 講習会の受講・基礎的実習のみならず, 試験に合格することが義務付けられていた. 日本の認定産業医制度においても, 試験制度の導入は今後の検討すべき課題あると考えられる.
著者
古川 誠志 斉藤 仲道 丸山 義隆 小田 東太
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.1091-1094, 1996-08-10

薬剤性膵炎のなかでエストロゲン製剤の占める割合は約5%であり,また高脂血症が膵炎に合併する頻度は4〜53%と報告されている.なかでもIV型高脂血症の患者にエストロゲン製剤投与後に急性膵炎を発症している報告が多い1).近年トリグリセライドと凝固線溶系,動脈硬化との関係やエストロゲン投与がもたらす血清脂質変化が明らかにされた.本症例は高トリグリセライド血症の患者に起きたエストロゲン誘発性急性膵炎であるが,エストロゲン,高トリグリセライド血症.膵炎の関係を考えるうえで興味ある症例と思われた.また本例を通じて,エストロゲン製剤を多用する産婦人科領域でもその適切な使用と代謝に及ぼす影響についての調査の必要性を感じた.
著者
佃勇平 須貝康雄
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.527-528, 2014-03-11

現在テーマパークでは優先搭乗券を配布することにより混雑緩和を行っている。先行研究では優先搭乗券の発券枚数については考慮されておらず,特定の条件を満たしていれば,何枚でも発券できていた。本研究ではテーマパークをマルチエージェントシステムでモデル化し,シミュレーションを行い,来場者の評価値が大きくなる優先搭乗券の発券枚数,発券の仕方について検討する。優先搭乗券の発券の仕方によっては,優先搭乗券なしの設定より結果が悪くなってしまうこともある。しかし,優先搭乗券の使用できる時間帯,時間帯あたりに使用できる枚数を調整し配布することにより,対象アトラクションの待ち時間を大幅に削減でき,混雑緩和することができる。
著者
桃井 尊央 大林 宏也 栃木 紀郎 小林 純 故塩倉 高義
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-8, 2014-01-25 (Released:2014-01-28)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

前報で構築した東京都西多摩郡奥多摩町に生育する7樹種の樹木年輪指数(年輪幅指数:IWar,年輪内平均密度指数:IDar)と同町で観測された気候変数との関係を検討した。その結果,樹木年輪指数と気候変数との間で認められた有意な相関関係の中には,多くの樹種間に共通した相関関係が,(1)IWarと当年1月から3月の月平均気温との間,(2)IDarと当年5月から8月の月平均気温との間,(3)IDarと前年5月から7月の月平均気温との間,(4)IDarと当年6月から9月の月降水日数との間で確認された。さらに,上記した4つの相関関係には樹種による違いも確認できた。また,月平均気温と月最高気温,月最低気温は,樹木年輪指数との相関関係において似た傾向が認められたが,月最高気温の方が月平均気温や月最低気温よりも樹木年輪指数との間に有意な相関関係が多く,その相関係数の絶対値は大きかった。

1 0 0 0 OA 大聖不動経

著者
加藤有声 訓
出版者
増田彦太郎
巻号頁・発行日
1884
著者
三宅 亨 Toru Miyake
雑誌
英米評論 = English Review (ISSN:09170200)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-31, 1991-01-25

Languages characteristically have regional varieties. The English language, being a world language, has several major national varieties. Thus the English spoken in Canada has its own distinct features as well as similarities to the varieties of English used in the United Kingdom and the United States. In this paper I try to clarify Canadian preference in pronunciation, based on a survey conducted with 74 Canadians. The results show that Canadian speech sometimes follows a dominant American pattern, sometimes the British usage, sometimes a mixed pattern, and sometimes its own. Canadians tend to pronounce such words as ate, tomato, leisure, and missile in the same way as most Americans do. Some of these words reflect features of 17th and 18th century English speech which have been retained in most of North America, including Canada, but changed over time in standard English. On the other hand, Canadians prefer British pronunciation in such words as ration, lever, soot and route. This can be partly ascribed to the fact that many Canadians have identified themselves more with Britons than with Americans since the American Revolution. However, the cultural and linguistic influence of the United States upon Canada has always been so strong that it is not surprising that Canadian speech shows a mixed pattern in such words as student, progress, schedule, etc. At the same time, Canadians have their unique pronunciation in such words as out, write, father, calm, vase, guarantee, almond, etc., most of which have been carried over from the days of the early 19th century immigrants from various parts of the British Isles, where phonological changes have long since taken place. It is interesting to observe how Canadian speech will change in the years to come under the constant strong influence of the giant to the south.
著者
保坂 和彦 井上 英治 藤本 麻里子
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第22回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.15, 2006 (Released:2007-02-14)

〔目的〕 野生チンパンジーがツチブタの死体に遭遇した事例を報告する。他の動物(チンパンジーを含む)の死体に遭遇したときの反応については、先行研究ないし未発表資料がある。これらと比較しつつ、本事例が「チンパンジーにおける異種・同種死体に対する反応」「狩猟における獲物認識」「初期人類における屍肉食仮説」といった話題に投げかける意味を論じたい。 〔資料と方法〕 調査地マハレ(タンザニア)の約40年の調査史において、チンパンジーがツチブタの死体に遭遇した事例は観察されていない。今回報告するのは、2005年8月17日(事例1)と9月3日(事例2)の2例である。前者は爪痕等からヒョウが殺したと推定される新鮮な死体、後者は死後4、5日の腐乱死体との遭遇であった。いずれも、野帳記録またはビデオ録画によるアドリブサンプリング資料である。〔結果〕(1)「恐れ」の情動表出と解釈される音声が聞かれた。とくに事例1においては遭遇直後にwraaが高頻度で聞かれ、たちまち多くの個体が集まった。(2)死体を覗き込んだり臭いをかいだり触ろうとしたりする好奇行動の一方で、忌避/威嚇をするというアンビヴァレントな反応が見られた。事例2については、未成熟個体のみが強い関心を示した。(3)屍肉食はいっさい起きなかった。〔考察〕(1)チンパンジーが死体に対して示す「恐怖」と「好奇心」が入り混じった反応の基本的なパターンには、死体の種による本質的な違いは見出されない。(2)チンパンジーに恐怖を喚起したものの実体としては、1.近傍にいると推測できる潜在的捕食者(ヒョウ)、あるいは死因としてのヒョウの殺戮行為、2.死因とは無関係に、「死体」あるいは「死体現象」、3.死体とは限らず、未知のもの、生得的に不安を呼び起こすもの一般、の三通りが挙げられる。(3)チンパンジーは狩猟対象ではない動物は屍肉食の対象としても認知しないらしい。
著者
柳澤 亜希子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.403-411, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
58
被引用文献数
1 1

本稿では、自閉症スペクトラム障害児・者と暮らす家族が抱える特徴的な問題を整理し、それらを踏まえて家族への支援の方向性を明らかにした。自閉症スペクトラム障害児・者の家族が抱える心理的な問題は、自閉症スペクトラム障害児・者の行動への理解や対応の難しさと関連していた。また、これに自閉症スペクトラム障害への社会の理解の不足によって引き起こされる家族の否定的な感情が複雑に絡み合い、その結果、自閉症スペクトラム障害児・者を含めた家族の生活を制約していくという一連のつながりが示された。自閉症スペクトラム障害児・者の家族の問題を改善していく糸口となるのは、家族が自閉症スペクトラム障害児・者への対応を身に付け、自信をもつことである。そのためには、家族が自閉症スペクトラム障害児・者の指導や支援に主体的に参画することが重要となることが示唆された。
著者
安倍 幸司 小澤 賢司 鈴木 陽一 曽根 敏夫
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.343-350, 1998-05-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
12

本研究では, 環境音の知覚を探ることを目的として, 従来の研究で用いられてきた「音色を表現する評価語」に加え, 「音を聞いた際に人がいだく感情を表現する評価語」と「音の持つ情報に関する評価語」を用いた評価実験を行った。実験は, 66種類の刺激音と, 39種の評価語対を用い, SD法により行った。実験結果を因子分析した結果, 第一〜第三因子として, 「美的」, 「明るさ」, 「量的」という音色の3因子に相当する因子が得られた。また, それらとは独立に, 「音の定位情報に関する因子」, 「音源情報に関する因子」, 「音の存在意義に関する因子」, 「懐古・郷愁因子」が得られた。更に, 人が音を聞いた際にいだく感情は, 音の美的因子と相関があることが分かった。