著者
松井 龍吉 小林 祥泰 山口 拓也 長井 篤 山口 修平
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.565-569, 2011 (Released:2011-10-21)
参考文献数
7

多系統萎縮症とは以前よりオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA),線状体黒質変性症(SND),Shy-Drager(SDS)と呼ばれてきた3疾患を包括した病理学的疾患概念の総称である。今回我々は本疾患患者に対し,八味地黄丸を投与したところ,起立時の血圧変動に著明な改善を認めた症例を経験したので報告する。症例は79歳男性。緩徐進行性に動作緩慢,すくみ足,手指振戦を認め,その後立ちくらみ症状が出現。起立性低血圧が見られ各種薬剤の投与を行うが効果は不十分であった。このため八味地黄丸を追加投与したところ,体位変換時の血圧変動が小さくなり,さらに諸症状の改善も認めた。八味地黄丸は自律神経機能の改善に効果を示す方剤とされており,本症例においても多系統萎縮症に伴う起立性低血圧の改善に寄与したと考えられた。
著者
高野 順平
出版者
大阪府立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、シロイヌナズナにおいてSPOT1/KNS3と呼ばれる機能未知タンパク質がホウ酸チャネルのカーゴレセプターとして小胞体から細胞膜への細胞内輸送の初期段階を制御することを証明することを目的としている。本研究の端緒は、GFPタグしたホウ酸チャネルGFP-NIP5;1が根の表皮細胞において小胞体にとどまる変異株を単離し、その原因遺伝子をSPOT1/KNS3と同定したことにある。SPOT1/KNS3の変異株は花粉の外壁構造に異常を持つことがすでに知られていたため、SPOT1/KNS3の膜タンパク質輸送機能は花粉の発達にも寄与すると考えられる。平成28年度までにspot1/kns3変異株の根の表皮細胞において様々な膜タンパク質の局在を解析したところ、ホウ酸チャネルのみが小胞体にとどまることが明らかになっていた。平成29年度はタバコ葉における一過的発現系を用いて細胞内局在解析を進め、SPOT1/KNS3は小胞体膜とゴルジ体膜に局在することを明らかにした。以上から、SPOT1/KNS3はホウ酸チャネル特異的に小胞体からゴルジ体への輸送を助けるカーゴレセプターである可能性が高まった。平成29年度には、NIP7;1-GFP発現形質転換シロイヌナズナを作出し、ホウ酸チャネルNIP7;1は葯のタペート細胞の細胞膜に局在することを示した。NIP7;1は葯室にホウ酸を供給して花粉の発達に貢献する可能性が高い。H30年度はspot1/kns3変異株のタペート細胞におけるNIP7;1の局在と、ホウ酸チャネルとSPOT1/KNS3の相互作用に焦点をあてて解析を進める。
著者
小沢 憲二郎 三橋 渡
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

植物発現用ベクターを、以下の外来遺伝子とプロモーターを使用して構築した。外来遺伝子は、フゾリン遺伝子(ドウガネブイブイ寄生の昆虫ポックスウイルス由来)及びBt毒素(CryA1c)遺伝子の単独、あるいは両方、プロモーターは、35Sプロモーター、またはより高発現を目指したRubisCOプロモーターを35Sプロモーターに連結したものである。次に構築したべクターをアグロバクテリウム法により、ブロッコリー(緑嶺)、タバコ(SR-1)に導入した。選抜マーカーは、ハイグロマイシン耐性遺伝子(HPT)とした。ハイグロマイシン耐性を示す再分化個体について、PCRによってフゾリン遺伝子またはBt毒素遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子の確認を行った。発現系統の一部では交配によりF1個体を得た。次に、Bt毒素遺伝子、あるいはフゾリン遺伝子を導入したタバコ葉を粉末にし、単独、または両者を腐葉土に混ぜ、その腐葉土中でドウガネブイブイ1齢、2齢幼虫を飼育し、前者は4日後、後者は7日後の死亡率を腐葉土のみで飼育した場合と比較することにより、粉末の殺虫性を評価した。その結果、1齢幼虫で、Bt毒素遺伝子単独発現葉の粉末を加えた場合に2系統で殺虫活性が認められた。一方、両者粉末を加えた場合は、Bt毒素遺伝子単独発現葉の粉末を加えた場合と比較して死亡率の上昇は認められず、フゾリン発現葉の活性(Bt毒素の殺虫活性の増進)は特に認められなかった。この理由として、フゾリン発現量が増進活性を示す閾値以下である可能性、葉の乾燥時の高温によるフゾリンの不活化の可能性が考えられたので、次年度以降の実験方法の変更によりこの点を明らかにする必要が生じた。
著者
森 勝彦
出版者
鹿児島国際大学
雑誌
鹿児島経大論集 (ISSN:02880741)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.p127-139, 1995-10
著者
野田 章子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.332_1, 2016

<p> 本研究の目的は、小学校の「総合的な学習」等で実践できるアフリカの舞踊学習教材の開発である。現在「体育」で学習する外国のフォークダンス教材は、欧米の舞踊に偏った傾向がありそれ以外の国のものはほとんど取り上げられていない実情がある。特にエチオピアを含むアフリカの舞踊に関してはほとんど実践された事例がない。本研究で扱ったエチオピアは、アフリカで3000年の間独立国として自国の歴史を築いてきた貴重な国であり独自の文字や宗教が現存している。また80以上の民族と100を超す言語、複数の宗教を有する国であり、舞踊にもその多様性が反映されていて多くの研究者からその研究価値が指摘されている。これらのエチオピア民族舞踊の特徴を踏まえ本研究では、エチオピアの東西南北に調査地を選定し、現地での詳細なフィールドワークにもとづく舞踊学習教材の開発を試みた。本発表では、中央、西、南の地域をとりあげ作成したデジタル教材(web教材)の内容について報告する。</p>
著者
鹿内 菜穂 澤田 美砂子 八村 広三郎
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.93, 2011

鑑賞者は舞踊からから何を感じとるのか.舞踊のどのような身体動作からどのような印象を受けるのか.本研究では,舞踊に対する鑑賞者の感性を調べるため,運動情報のみの条件による鑑賞者の舞踊動作の読み取りについて検討することを目的とした.舞踊の熟練者(男女各3名)は,喜び,悲しみ,怒り,歩行の4種類を表現した.モーションキャプチャとデジタルビデオカメラにより収録を行い,点光源映像は3Dアニメーションソフトウェアで作成した.また,点光源映像は正立像と倒立像の2種類を用意した.鑑賞者が,1)表現者の意図する感情を識別できるか,2)運動情報のみでも印象を得ることができるか,ということを確かめるため評価実験を行った.その結果,鑑賞者は,正立像における感情表現は識別可能であること,正立像と倒立像において近似した印象を得ることがわかった.
著者
鹿内 菜穂 八村 広三郎
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.5, pp.1-4, 2011-05-14

本研究では,ダンスにおける他者とのインタラクションの効果を明らかにするため,モーションキャプチャを用いて二者によるアップダウン動作の実験を行った.互いに向き合う対面条件と,一方が相手を見ることができる非対面条件を設定した.他者を意識させる条件下での二者間の身体動作の特徴を定量化し分析する.Effects on interactions between people on dance movements were investigated. Up-down dance movements were recorded in two conditions, using a motion capture system; the face condition, in which two people faced each other, and the non-face condition, in which one person faced the other's back. Interpersonal characteristics of movements when people were conscious of the other's movements were analyzed.
著者
鹿内 菜穂 八村 広三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.283, pp.85-89, 2013-11-09

鑑賞者の有無でダンス学習者の感情と身体動作にどのような違いがあるかを検証した.感情の評価には日本語版PANASを使用し,身体動作の解析にはモーションキャプチャを用いて動作データを取得した後,動作特徴量を体の開きとして周波数解析を行った.鑑賞者がいる時の方がポジティブな感情もネガティブな感情も高くなること,鑑賞者の有無で体の開きとその周波数に違いがあること,また身体動作においてダンスの経験歴が影響を及ぼしていることを示した.
著者
長谷川聡 鹿内菜穂 八村広三郎 泉朋子 仲谷義雄
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.599-601, 2014-03-11

義務教育においてダンスが必修化され, その中でも現代リズムダンスとしてHIPHOPやLOCKダンスに注目が集まっている. しかし, ダンスを教える立場である教師のほとんどがストリートダンスの未経験者であるという問題が発生している. プロのダンサーによる教師への講習会の機会が非常に少ないため, 教師が十分な指導が受けられていない現状がある. そこで本研究では, 熟練者のダンスの映像を手本として, 教師どうしで互いに教え合うピアエデュケーションの場を設定し, そこで支援するシステムを検討する. また, 著者らの先行研究である初心者と経験者のストリートダンス動作の解析結果を参考にして, 教師どうしでチェックしあう際のポイントを明示化し意識させる.
著者
阪田 真己子 八村 広三郎 丸茂 祐佳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 人文科学とコンピュータ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.65-72, 2003-10-24
参考文献数
9
被引用文献数
3

本研究では,1名の演者が松本の7Motivesのキーワード「寂しい」「楽しい」「厳かな」「鋭い」「流れるような」「躍動的な」「さりげない」に対応する振りを演じた映像を刺激として評価実験を行った.刺激映像からどのようなイメージが感じ取られるかを調べ,さらにイメージに運動の型がどのような影響を及ぼすかを示す重回帰モデルの構築を試みた.主成分分析の結果,42語からなる松本のCheck List2から6つの成分が抽出され,日本舞踊独自の認知構造が提示された.また,重回帰分析の結果,それぞれの振りから感受される感性的イメージには,固有の運動の型が寄与していることが示唆された.