著者
崔 京 蘭 大崎 純 中村 奎吾
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.82, no.737, pp.1137-1143, 2017 (Released:2017-07-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

Recently, a number of designers have focused on free-form surface shell to realize a free architectural form that is different from the analytical curved surface such as cylindrical or spherical surfaces. However, in order to create rational architectural forms, constructability and cost are also essential factors to be considered. Developable surface is a special form of ruled surface generated by continuous movement of the straight line. It can be obtained by adding the condition that the normal vector of the surface does not change along the generating line (generatrix). Because the generatrix is a straight line without torsion, the formwork of continuum shell is easily created. Since the twisting process is not required, it has a high workability characteristics. In this study, several developable surfaces are combined to form a curved roof structure. The (n,1) Bézier surface is used for modeling the surface. Optimization problem is formulated for minimizing the maximum principal stress under several static loading conditions including vertical and horizontal loads. The coordinates of control points of the Bézier surface are chosen as design variables. The developability condition is numerically assigned so that the tangent vectors at the same parameter value of the two Bézier curves along the boundary exist in the same plane as the directing line. The G0 and G1 continuity conditions are assigned for connecting the Bézier surfaces. Optimal solutions are found using nonlinear programming approach, where the sensitivity coefficients are computed by the finite difference approximation. As the result of optimization, a variety of developable surfaces are obtained by connecting Bézier surfaces. Since the control points of the curves are chosen as design variables, the calculation efficiency is high. The stress distribution also greatly improved by using the maximum stress as the objective function.
著者
川崎 展 上田 陽一 酒井 昭典 森 俊陽 佐羽内 研 橋本 弘史
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

下垂体後葉ホルモンの一つであるオキシトシン (OXT)は疼痛調整に関与していることが示唆されている。本研究の目的は、OXT-単量体赤色蛍光タンパク1 (mRFP1)トランスジェニックラットを用いて、急性ならびに慢性炎症・疼痛モデルラットを作製し、視床下部・下垂体後葉・脊髄におけるOXT-mRFP1融合遺伝子の発現動態を可視化・定量化し、OXTの役割を検討した。その結果、急性および慢性疼痛・炎症モデルラット、いずれにおいても下垂体後葉系におけるOXTの産生・分泌の亢進および視床下部室傍核-脊髄経路のOXT系が活性化しており、温痛覚の感受性に関わっていることが示唆された。
著者
山本 勝広 大江 透 相原 直彦 鎌倉 史郎 松久 茂久雄 下村 克朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.679-685, 1988-06-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
16

迷走神経刺激は心室頻拍には影響を与えないと言われているが,迷走神経の緊張を高める手技や自律神経作働薬にて心室頻拍の停止する例がわずかながら報告されている.我々は,心室頻拍の停止に副交感神経刺激が有効であった3例について検討した.2例は非持続型の心室頻拍,1例は持続型の心室頻拍である.種々の副交感神経刺激手技や副交惑神経刺激薬剤にて心室頻拍は停止した.しかし副交感神経刺激の有効性の機序は迷走神経緊張作用によるものか,交感神経抑制作用によるものか,あるいはこれらの相乗作用によるものか明らかではなかった.また,その心室頻拍の特徴や機序についても検討した.
著者
松下 優美 八木 実 水落 建輝 西浦 博史 牛島 高介 高木 章子 浅桐 公男 田中 芳明 鹿毛 政義 猪口 隆洋
出版者
日本門脈圧亢進症学会
雑誌
日本門脈圧亢進症学会雑誌 (ISSN:13448447)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.41-47, 2010-06-30 (Released:2012-12-28)
参考文献数
37
被引用文献数
1

小児の肝前性門脈圧亢進症(以下,本症)は主に肝外門脈閉塞症(EHO:extra-hepatic portal obstruction)や,肝内presinusoidal blockをきたす先天性肝線維症(CHF:congenital hepatic fibrosis)に大別される.これらは小児領域での突然の消化管出血の原因疾患として重要である.本論文では,自験例2例を紹介し,本症の原因,診断および治療,小児領域における問題点を述べる.CHFの1例は13歳男児,吐血で発症し,その後EVL, EISを繰り返したが,胃静脈瘤の発達と白血球,血小板の低下のため5年後にHassab手術を施行した.EHOの1例は8歳女児.心房中隔欠損症(ASD)を合併しており,吐血で発症.高度食道静脈瘤でありEVL, EISの適応を検討したが,ASDへの影響を考え,Hassab手術を先行して行った.その後EISにて残存する食道静脈瘤の追加治療を施行した.
著者
小嶋 大造
出版者
Institute of Economic Research, Kyoto University
雑誌
KIER Discussion Paper
巻号頁・発行日
vol.1606, 2017-02

本稿では, 法律と裁量を分析視座に, 農業政策に不安定性をもたらす仕組みや, それが政策形成に与える影響について, 財政学的な観点を中心に検討する. 農業政策では, 1970年代前後の米生産調整を中心に, 根拠法をもたない予算措置と, 法的作用をもつ通達とが組み合わされる形で, 基本法の枠組を逸脱した行政裁量を可能とする仕組みが形成されてきた. これが, 今日まで, 所得対策を中心に農業政策の基本形として続いてきた (例えば, 基本法の枠組から逸脱し, 本来の目的と異なる目的が紛れ込んだ予算措置など). 今後, 行政裁量に対する統制のあり方が問われて然るべきである.
著者
福田 博美
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学研究紀要 (ISSN:02868059)
巻号頁・発行日
no.17, pp.p65-71, 1986-01
著者
川田 志浦 門間 智子 梶山 由紀 長谷川 幸子 君崎 文代
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第56回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.341, 2007 (Released:2007-12-01)

【はじめに】プレパレーションは、心理的準備段階と言われ、患児に正しい知識を提供することで、自らの治療や検査に対する不安や恐怖心を緩和し、患児が納得して検査を受けようとする対処能力を引き出すのに有効とされている。 今回、採血前と採血中、採血後に紙芝居や採血人形、おもちゃ等を使って、プレパレーションを行い評価をしたので、その報告をする。 【研究目的】採血前、中、後のプレパレーションの効果を年齢別に検証する。 【対象】3歳から6歳の発達障害のない患児20名とその母親20名 【方法】採血前の紙芝居や、採血方法を体験できる人形を作成し、それらを用いてプレパレーションを実施した。また、採血中は、ボタンを押すと光と音の出るおもちゃ等で患児の気を紛らわした。そして採血後は、アンパンマンのメダルを渡した。これらの過程を観察し、終了後患児と母親にインタビューし、結果をまとめた。 【倫理的配慮】研究対象の児の母親に、研究の趣旨やプライバシ−の保護等について、文章と口答で説明し、同意を得て施行した。 【結果】採血前からの様子を年齢別にまとめてみると、3歳(2名)は、紙芝居を見て、「アンパンマンだ」と言って喜んでいたが、採血人形で注射針の説明をした時点で恐怖心を抱き、泣き出す患児がいた。4歳(8名)は、紙芝居を見て、自ら処置室に歩いて行く姿が見られ、採血も泣かずにできた。5歳(4名)は、「アンパンマンが、がんばれと言っていたからがんばる」と言って泣かずに出来た患児もいた反面、紙芝居は理解して「がんばる」と言っても、実際に針を見ると「泣いてもいい?」と大きな声で泣いた患児もいた。6歳(6名)は、人形を使って実際に採血を体験したいと言う患児が多く、シリンジを引いた時に中から赤い液体が出てくるのを見て、笑顔が見られ「ミッキーの採血をやって、自分の採血も楽しかった」という感想が得られた。また、採血中は、ストローの抱きつき人形を見て、声を出して笑っているうちに採血が終わってしまった患児もいた。母親からは、「何をするのか、きちんと説明があって良かった」「おもちゃを用意してもらって良かった」という意見が得られた。 【考察】紙芝居は、患児が好きなキャラクターを登場させたことで、親しみやすく、アンパンマンとともにがんばろうという意欲が見られた。また年齢が上がるにつれて、紙芝居の理解度は高く、採血人形を使う患児は多く見られたが、理解度と、納得したかということは、比例するものではなく、年齢別に見てもそれ程差はなかった。むしろ、それぞれ「泣く」という行為には様々な理由があり、納得できなくて泣く患児と、理解し、納得しても泣いてしまう患児がいることが明確になった。 大野ら1)が「プレパレーションとは、手術や検査を受ける子どもの心理過程をくり返し丹念に追っていく活動であり、子どもに医療知識を授けることや、検査や手術で泣かないための理解促進ではなかった」と述べているように、保育士は、プレパレ−ションやディストラクションをして行く中で、患児の奥深い気持ちを受け止めることが重要なことだと考える。それには、採血終了後の励ましや、遊びを通して患児に接することで、次の遊びを展開するきっかけとなるよう援助していくことが大切である。 【引用文献】 1)大野尚子:プレパレ−ションの理論と実際、保育士の立場から、小児看護29(5)P572、2006
著者
松村 文照
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.385-396, 1977-09-10 (Released:2014-11-22)
参考文献数
39

強迫現象に関する先人の業積をたどってみるとき, 多くの研究が個人の心理ないし身近な対人関係だけを論拠としていることがわかる. 人間をとりかこむ社会文化的環境との関係を論じたものは多くはない. また, 一般人をいわゆる正常者として評価し, それにくらべて異常者としての強迫症患者をこれに対置しているものが多い. そのため, 強迫症患者の治療目標は, かれらを一般人と同一化することと考えられがちである. 一般人を無垢の白地とみなし, そこに強迫症患者の影を黒く映しだしているといえる. ところが, 実は一般人自体がすでに必ずしも自地ではなく, 灰色に汚れた部分をもっている. そのような灰色に病んだ地に患者の姿を映し, 一般人と患者の双方の“やま”の相互関係をみつめる試みのなかで, 筆者は強迫現象と社会・文化的環境との関係を考えようとした. 社会に生きる一般人は, 日常生活の規範のかなりの部分を常識に仰いでいる. 日常の生活にとって, 常識は水や空気のごとく不可欠な心の糧である. 一方, 強迫症患者を詳しく観察すると, 独特な常識不適応の様相のみられることが少なくない. そこで常識の特性から出発して, さらに強迫現象と常識との関係についての考察を以下に進めてみたい.