著者
高橋 圭一
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.10-16, 2019-08-10

2016年度に本学科の1年次向けのプログラミング言語をJavaからRubyに切り替えた.そのため,3年次のWebアプリケーション開発の講義および演習で使用する開発フレームワークをJava EEからRuby on Railsに変更した.本稿では,2018年度の後期に実施したRuby on Railsによるチーム開発の授業内容について報告する.受講生は前期にRuby on Railsの基礎を学習済みである.そのため後期には,Sessionやモデル間の関連付けなどRuby on Railsの発展的な機能を学び,チーム開発で必要となるGit,Bitbucket,Herokuなどのツールを学習したあと,2名ずつの8チームで8週間かけて開発を進めた.結果としては,各チームが開発したソースコードは平均で約1400行であり,J2EEを使用したときと同規模になった.一方,画面数および画面遷移数は2018年度の方が前年より上回っており,Ruby on Railsの様々な支援機構により,より実用的なアプリケーションが開発できたことがわかった.
著者
西淳 にしあつし
雑誌
阪南論集. 社会科学編
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.83-97, 2005-03
著者
林 まゆみ 李 樹華
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.403-408, 2000-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
17

中世後半にかけて活躍した善阿弥とその周辺の山水河原者に関する再検討を行い造園職能を論じた。従来の論では善阿弥が優れた庭者として重用されたのは彼の卓越した才能と, 卑賎視されたことがばねとなったという精神論に重点が置かれていたが, 本論では『蔭涼軒日録』などの詳細な検討から, 善阿弥の若年期における活躍や, 盆山と枯山水などの関連性を検証しつつ, 善阿弥がこの時代に将軍から重用されたのは, 彼の非凡な才能と共にその背後に控える技能集団の形成に負うところが大であることを様々な事例から考察した。その技能集団とは, 善阿弥を中心とする血縁集団やその配下と考えられる地縁'職能を共有するものであり, 善阿弥が不在の時も, 或いは2代目善阿弥を支えて, 技術的に相応の集団が形成されていた。これらの集団は各権門に固有に従属する形をとりながら, それぞれの技能と地歩を固めていったことが考証された。
著者
白川 英樹
出版者
一般社団法人日本脳神経超音波学会
雑誌
Neurosonology:神経超音波医学 (ISSN:0917074X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.2-6, 2007 (Released:2008-04-12)
被引用文献数
1

はじめに 全く思いがけないことに,2000年10月10日,ノーベル財団から『電気を通すプラスチックの発見は「有機物は電気を通さない絶縁体」という常識を覆す画期的で,独創的な研究成果である』という発表があり,20世紀最後の年のノーベル化学賞を受賞することになった. 大学院を終え助手として大学に奉職するようになってから,2000年3月に定年退官するまでの34年間,高分子合成に関するさまざまな研究を行った.一貫して行った研究はアセチレンの重合反応に関することであった.研究を始めた当初は反応機構の解明が当面の目標だったので,電気を通す有機化合物に全く興味を持たなかったわけではないが,将来そのような研究にテーマを変えることは夢にも思わなかった.ところがひょんなことから,というよりは思わぬ失敗実験のお陰により,これまで粉末でしか得られなかったアセチレンの重合体であるポリアセチレンが薄膜状で合成できることが分かった.その薄膜状のポリアセチレンを試料とすることにより,とんとん拍子で目的とする研究が進み,数年で目的とする研究を終えることができた.
著者
齋藤 道彦
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.91, pp.37-66, 2018

現在に至るまで中国地域史上もっとも民主的な憲法である「中華民国憲法」を決定したのは、国民大会であった。国民大会は、一九二四年一月の孫文の『建国大綱』に基づく構想であり、民主的な性格を持つとともに、訓政下での政治的実践であった。 国民政府は一九三六年五月五日に憲法草案を公布し、「中華民国憲法草案」と名づけた。 制憲国民大会は当初、一九三五年三月に開催される予定であったが、六回延期された。日中戦争中、いわゆる国共合作に乗っていた中国共産党といわゆる民主党派は、一九四六年一月の政治協商会議までは国民大会の議論に参加していたが、その後、この国民大会にボイコットを表明した。 国民大会予備会議は、一九四六年十一月十八日から十一月二十二日まで開催され、「中華民国憲法草案」が確定された。
著者
銭 剛
出版者
鳥取短期大学
雑誌
鳥取短期大学研究紀要 (ISSN:13463365)
巻号頁・発行日
no.47, pp.11-15, 2003

中華料理はアジアだけでなく, 世界で高く評価されている. 中国の食文化は, 数千年にわたる創造, 模索を通じて形成されたものであり, 長い歴史を持つ中国文化の一部である. 本文では, 中国の食文化に重点を置き, 日常生活の実例を取り上げながら, その文化的な背景などについて考察する.
著者
中出 佳操
出版者
北翔大学
雑誌
生涯学習研究と実践 : 北海道浅井学園大学生涯学習研究所研究紀要 = Bulletin of the Continuing Education Research Institute, Hokkaido Asai Gakuen University (ISSN:13463535)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.95-103, 2002-01-15

イギリスの学校で、いじめ問題を無くそうとする目的から始められたピアサポート活動は、今や世界的に広まりつつある。ピアサポート活動の効果は既に立証されている。筆者は昨年カナダでの研修を体験し、大学生においてもそのスキルを身につけ、活動することは、本人自身の為にも、又学校全体にとっても有効であると確信した。そこで、ピアサポーター養成の為のプログラムを作成し、ビアサポーター養成に着手した。コミュニケーションスキルをはじめとするスキルトレーニングと同時に、ピアサポーターが活動するためには、多方面にわたる基礎知識も必要であると考え学習会も行った。学習会の最初のテーマとして取り上げたものは「性」に関する事である。学生聞の相談としてかなり大きなウエイトを占めると考えたからである。1週間1回90分間、プログラムに従いトレーニングをおこなった。その結果と、今後の課題が明確になったのでここにまとめる。
著者
片岡 淳
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、福島原発事故で飛散した137-Cs分布の3次元可視化技術を新たに開拓した。具体的には(1)土壌中で散乱した2次ガンマ線と直接ガンマ線の比率 (2)散乱ガンマ線画像の広がりの両方を用いることで、2次元ガンマ線画像の縮退を解くことができる。シミュレーション及び実験室環境での詳細検証を経て、福島県浪江の森林部においてフィールド試験を行った。137-Csが深度方向に指数関数分布をしていると仮定し、緩衝深度β=2.22±0.05 cmを得た。これはスクレーパープレートによる直接調査の結果と良く一致している。今後は SPECT などで散乱ガンマ線を用いることで、新たな医療応用も期待できる。
著者
安冨 歩 深尾 葉子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、満洲・華北・黄土高原の三地域を研究対象として選定し、歴史的研究とフィールドワークによる研究を併用し、一般的な中国農村社会モデルの構築を目指した。本年度は、第一・二年度における、長距離走破調査の成果をもとに、2006年8月に黄土高原で追加的調査を行うとともに、文献調査とモデルによる考察を推進し、中国農村社会の一般モデルの提唱という目的の実現を目指した。研究成果としては以下の二点が主たる成果である。(1)安冨が兼橋正人(東京大学大学院情報学環博士課程)と協力して、満洲の人口分布を各種の人口統計を用いて解明した。さらに、1970年代から得られる人工衛星画像を利用して、満洲と山東省の集落分布の変遷を調査した。この結果、安冨(2002)が主張した県城のみが突出し、村落との間に中間的な町が見られないという構造が、1970年代には中満と北満に明瞭に見られ、それが改革開放以降、徐々に見えにくくなっていることが判明した。これに対して山東省では、1970年の時点で既に多階層の構造が見て取れる。このような構造的な違いを視覚的に確認することができた。(2)深尾と石田慎介(大阪外国語大学学部生)が共同で高西溝村の社会と環境の現代史を明らかにした。高西溝村は黄土高原のなかにありながら、唯一、まとまった森林と草原を村内に形成し、バランスのとれた高能率の農業を展開し、澄んだ水のため池を持つことで中国全土に知られている。なぜこのようなことが可能であったのかを長期の滞在型調査により明らかにした。現在のところ重要であったと考えられるのは、共産党革命の過程で、村の内部で政治的亀裂が入ることを回避しえたことであり、これによって実行不可能なノルマを主体的に拒絶し、生産性を挙げるために本当に必要なことを村という単位で考えることが可能になったことである。
著者
安冨 歩
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

20世紀前半の満洲(中国東北地方)の歴史には二つの大きな特徴がある.まず第一はその急激な経済発展である.清末におけるこの地域は,長い封禁政策の影響により明らかに辺境性を色濃く残した「後進」地域であった.しかるに辛亥革命以降,満洲は急速な「近代化」に成功し,他の地方とは比較にならない重化学工業地帯がこの地域に出現する.第二の特徴は,この地域が東北軍という中国国内で最も強力な軍隊を有していたにもかかわらず,満洲事変における関東軍の軍事行動に対して脆弱であり,その後の反満抗日運動も,華北等に比して短期間で勢力が衰えたことである.この二つの特徴がなぜ満洲に見られたのかという問題に対し,本研究により一つの回答を提案することができた.まず,満洲における定期市の分布を調査し,中国本土に広く見られる定期市の稠密な分布が満洲には見られないことを示した.満洲における商品流通は定期市ではなく,県城を中心として展開されていたのである.このようなシステムが形成された理由は,(1)モンゴルからの安定した家畜の供給と朝鮮国境からの広葉樹材木の供給に支えられた荷馬車の広汎な使用,(2)冬季の道路面・河川の凍結による荷馬車輸送コストの低下,(3)鉄道の敷設率が高く,華北からの移民が鉄道周辺から開拓を進めていたこと,に求められる.農民が荷馬車を使用することで長距離移動が可能となり,県城商人との直接の売買が主流となった.この接触と鉄直輸送を結合することで,大豆モノカルチュアとも言うべき輸出指向農業が展開し,農民はより強く県城商人に依存するようになった.この県城商人と農民の直接の接触により,県城が農村を掌握する政治力が強く,県を単位とする政治的な凝集性が満洲にあったと予想される.この凝集性こそが張政権の基盤であり,圧倒的な軍事力で華北を支配する原動力となった.逆に満洲事変の際には関東軍に県城を占領されることで県全体が掌握されるという事態をもたらし,県城を占領されても根拠地を維持しえた華北と対照的な結果となったのである.研究成果は「満洲における農村市場」(『アジア経済』投稿中)および「満洲事変と県流通券」(福井千衣と共著:投稿準備中)として纏めた.
著者
安冨 歩
出版者
京都大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

1)基礎資料の収集と整理日本銀行金融関係資料・満洲重工業開発社報・満洲中央銀行営業報告書・満洲興業銀行営業報告書財務諸表のコピー作成と収集を行った。2)「満洲国」関係者への聞き取り調査元満洲中央銀行職員への聞き取り調査を行った。特に永島勝介氏より貴重な情報と資料の提供を受けることができた。3)経済データの整備本研究で収集した資料を解析し、金融機関・主要企業の財務データや経済活動に関する数値を抽出した。これにこれまでの研究で既に整理していたデータを統合し、コンピュータに入力した。満洲国経済史を研究する上で基礎となすデータベースの構築ができたものと考える。4)戦時インフレーションの解明上記データと資料の解析により、全く明らかとなっていなかった満洲国の農業金融の研究を行い、戦時インフレーションと農業金融との深い関連を明らかにした。既に行っていた鉱工業方面の研究と接合することで、戦時インフレ下の満洲国の実態の再構成に一応成功したものと考える。
著者
古屋 哲夫 安冨 歩 山室 信一 山本 有造
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

研究実施計画に従い次の様な研究活動を行なった。(1)基礎資料の収集整理(イ)法制関係文献については、満洲国六法をはじめとする諸法制についての法令集のほか、コンメンタールや司法官会議について会議録および旧慣調査についての史料を収集した。(ロ)経済関係文献については、日本銀行所蔵満洲・中国金融関係資料のマイクロフィルム化を重点的に行なった。(ハ)東アジア全体における満洲国の位置づけを明らかにするために、朝鮮や台湾、南洋庁さらに中国内に作られた傀儡政権の人事的リクルートの問題、あるいは物資動員の実態などを明らかにするための史料ないし回顧録などの収集を行なった。(2)研究会活動上記の収集資料の整理・解読を中心にほぼ月1度の共同研究会を開催し、日本の東アジア進出過程における「満洲国」の政治・法制・経済・金融的位置について討論を行なった。(3)その他当初予定した「聞取り調査」は都合により実施しえなかったが、専門研究者をゲストとしてまねき、報告・討論会を開いた。