著者
平良 眞也 目島 直人 神山 寛之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P2073, 2009

【目的】日々の臨床の中で、姿勢を変える事で様々な変化が出てくる事はセラピストなら誰でも経験する事である.担当の患者で野球を趣味に持つ方の治療をしている際に、打撃姿勢を変え、頚部の筋緊張の調整を行った際に、『ボールが見やすくなった』とのコメントが聞かれた.<BR>そこで今回、後頭下筋群の筋緊張を変化させた時に衝動性眼球運動にどのような影響があるのか、関連性を調べたので以下に報告する.<BR>【方法】今回の研究の意図をしっかり説明した上で了承を得た、身体に問題のない健常成人9名.左右の目を片目ずつ、眼球運動幅を計測する.計測方法は、まず壁にテープメジャーを横にして貼り付け、被検者の目線の高さに合わせて設定する.そして被検者の目と壁の距離を30cmに設定し、端坐位をとらせる.計測は被検者には左目を押さえてもらい、頭部を動かさないように注意してもらう.その時、目の前の数字を基準に、テープメジャー上の目盛の数字がはっきり見える所までを答えてもらい、基準からの距離を計測した.これを耳側方向、鼻側方向の距離を計測し、左目も同様に計測した.<BR>そして被検者の眼球運動を左右方向で行い、その時に左右どの方向に動かし易いかを聴取し、後頭下筋群の筋収縮の強弱を徒手にて左右差を確認した.そして筋収縮の左右差と眼球運動幅、眼球の動かし易さと眼球運動幅の関連を調べた.また、後頭下筋群の筋緊張を左右ほぼ同等となるよう坐位姿勢を変化させ、眼球運動幅の変化をアプローチ前と同様に計測、比較した.<BR>【結果】(眼球の動かし易さと眼球運動幅)左右へ眼球運動を行なってもらい比較した結果、9例中7例、眼球運動幅が大きい側と反対方向に眼球の動かしやすさを訴えた.(後頭下筋群の筋収縮の左右差と眼球運動幅)9例中7例が、左右の眼球運動で眼球運動幅が大きかった目の側と反対側後頭下筋群の筋緊張が高かった. (アプローチ前後の眼球運動幅)アプローチ後、被検者9例中8例が眼球運動幅が増大した.殆どの被検者において動かし易さが変化したと訴えた.<BR>【考察】スポーツでは動体視力が必要となる.その中で衝動性眼球運動に焦点を当てた.当初、眼球運動幅が大きい側の目の方向に動かし易いと考えていたが、反対の結果となった.これは眼球を動かしにくい側の眼球運動を動かし易い側で代償しているのではないかと考える.そして後頭下筋群の筋収縮の差も、努力性筋収縮を引き起こしていたのではないかと考える.また、坐位姿勢を変化させ、頭頚部の筋緊張を変化させた事で眼球運動幅の増大が起こった理由として、衝動性眼球運動及び頚部運動の両方を駆動するものが運動前野にある事、運動前野の腹側部位が刺激を受けると、衝動性眼球運動を活性化する事から、後頭下筋群の筋緊張の調整をする事で眼球運動が活性化し、眼球運動幅も増大したものと考える.<BR>【まとめ】衝動性眼球運動と後頭下筋群の筋緊張には関連があると考えられる.
著者
柿原 奈保子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.247-250, 2014-12-20 (Released:2016-06-06)
参考文献数
30

近年,メディカルアロマセラピーは,補完・代替医療の有望な治療法の一つとして,医療経済の観点からも注目されている.日本では,英国式アロマセラピーが普及しており,種々の疾病における精油の一定の治療効果に対するエビデンスの蓄積が不十分である.それ故に,日本にメディカルアロマセラピーを補完・代替医療として普及させるためには,精油の投与法やその効果に対するエビデンスを確立することが必要である. 本論文では,わが国のメディカルアロマセラピー研究の最近の動向を検討するために,データベースソフト医学中央雑誌を使用して2011年から2013年11月までの精油を用いた研究を調査した.キーワードは「精油」,「効果」,検索文献は「原著」,「総説」,「会議録」である.研究総数は136件であり,基礎医学実験85件 (約62.5%),臨床症例研究42件 (約30.1%),文献調査や意識調査9件 (約6.6%) であったが,生体内で精油が,どのような機序で作用して効能を発揮しているかを分析的,詳細に検証した研究はほとんどみられなかった.この結果は,精油の効能に関する分析的研究を推進する必要があることを示唆している.本論文では以上の背景を踏まえて,メディカルアロマセラピーの将来展望について述べた.
著者
桂島 宣弘
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

東アジア史学思想研究会を合計7回開催した。開催日と報告者は以下の通り。①2017年6月9日「近代朝鮮儒学史の形成」ロ官汎(韓国・ソウル大学校)②2017年6月17日「戦後日本の普遍主義を問う-権赫泰『平和なき「平和主義」』を読む」廣瀬陽一(大阪府立大学)、原佑介(立命館大学)、権赫泰(韓国・聖公会大学)③2017年7月1日「日本史学史を問う-岐路に立つ歴史学の行方」戸邉秀明(東京経済大学)、田中聡(立命館大学)④2017年10月7日「近世日中思想交渉に関する最近の研究」徐興慶(台湾・中国文化大学)「近世~近代日中韓における儒学思想交流」許怡齢(台湾・中国文化大学)⑤2017年10月20日「わが日本史研究修行」張憲生(中国・広東外語外貿大学)⑥2017年11月3日「近代における勧善書への眼差し」肖ゴン(中国・キ南大学)⑦2018年1月27・28日「近代歴史学と実証主義の陥穽」桂島宣弘(立命館大学)「傅斯年史学の興衰」呉炳守(韓国・東北亜歴史財団)「植民主義歴史学を超えて:植民主義歴史学のイデオロギーと近代歴史学」尹海東(韓国・漢陽大学校)「近代日本の朝鮮研究:統計的アプローチ」張信(韓国・教員大学校)「国史と東洋史の狭間:京城帝大と「東洋文化研究」」鄭駿永(韓国・ソウル大学校)「植民地における帝国日本の歴史編纂事業:朝鮮と台湾の事例を中心に」鄭尚雨(韓国・翰林大学)「戦後における末松保和の朝鮮史研究:連続と断絶」辛珠柏(韓国・延世大学校)「朝鮮史から韓国史へ-東アジアにおける「文化史学」の受容について」沈煕燦(立命館大学)「北朝鮮の朝鮮古代史研究と金ト奉」李廷斌(韓国・忠北大学)。本年度の科研費の多くは、これら日中韓台の研究者の招聘に用いられた。また、研究代表者は、これまでの研究のひとまずのまとめとして1月27日の研究会で基調講演を行った。
著者
加藤 久典
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

個別化疾病予防のため、食品の効能に対する個人差をゲノムレベルで解明することが重要であるが、日本人集団を対象とする研究は乏しかった。本研究は食品因子と一塩基多型(SNPs)の関連の解明を目的とし、大規模日本人SNPsデータベースと食品摂取に関するアンケート調査を用いてゲノムワイド関連解析を実施した。着目した4つの食習慣に有意に関連するSNPsを同定し、インターネットによるゲノムコホート研究が有用であることを示した。特に、遺伝型によって魚の摂取頻度が変化することを初めて明らかにした。さらに、ヨーロッパ系集団と異なるSNPが日本人集団では食習慣に影響することを示した。
著者
関口 和徳
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.1-56, 2019-03-29
著者
佐藤 修一 川村 仁 長坂 浩 高橋 善男 茂木 克俊 大森 勇市郎 菅原 準二 三谷 英夫
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.19-24, 1992-04-30 (Released:2011-02-09)
参考文献数
13

Broad soft-tissue pedicle genioplasties were performed in 6 patients by horizontal osteotomy of the inferior border of the mandible, with preservation of a musculoperiosteal pedicle to the genial segment. Preoperative, immediate postoperative, and long-term follow-up lateral cephalometric radiographs were retrospectively analyzed to evaluate the osseous and soft-tissue changes of the chin. After a mean follow-up period of 29 months, all cases preserved the initial advancement. No case showed bone resorption from pogonion to the menton region.The chins advanced by broad soft-tissue pedicle genioplasty had good stability.
著者
Farhad Daftary
出版者
Scarecrow Press
巻号頁・発行日
2012
著者
宮本 晃希 内藤 宏 木村 貴彦 篠原 一光 三浦 利章
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-19, 2011 (Released:2011-06-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

Although the anticipation skill of tennis players has previously been investigated, little research has focused on players' anticipation in a rally situation and in the presence of faked shots. In the present study, in order to compare temporal differences in anticipation between skilled players and novices, video clips of an opponent player who stroked straight or cross-course shots and faked shots were masked with a black screen 330, 165 or 99 ms before contact with the ball, at the moment of contact with the ball, or 99, 165 or 330 ms after contact with the ball. Eleven skilled players and 12 novices judged the direction of shots, indicated their confidence in their judgments and judged whether the shot was faked or not. The results indicated that regardless of when the clip was masked and whether the shot was faked or not, skilled players were more accurate than novices in judging the direction of shots. This suggests that skilled players utilized the opponent player's form before contact with the ball in addition to the course of the ball after contact. Moreover, signal detection theory was used to analyze the detectability (d' and criterion (ß) for judging faked shots. Skilled players judged shots as faked more frequently than novices before contact with the ball, although this difference decreases after contact with the ball. However, d' and ß, did not differ between skilled players and novices. This suggests that skilled players prepare for faked shots based on the opponent player's form before contact with the ball. The present findings will contribute to future study of anticipatory skill and the development of coaching methods.