著者
近藤 昌和 安本 信哉 秋吉 佑樹 高橋 幸則
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.87-101, 2013-02

魚類の好中球顆粒の種類は,多様であることが報告されている。著者らは前報において,ブリSeriola quinqueradiataの好中球の形態学的および細胞化学的特徴を調べ,ブリの好中球には好酸性(好エオシン性)顆粒(α顆粒),難染性顆粒(β顆粒)および好塩基性顆粒(γ顆粒)の3種類の顆粒が存在することを明らかにした。また,ブリのα顆粒は酸性条件下のMay-Grünwald(MG)染色によって橙色を呈するが,Giemsa染色では染まらず,MG-Giemsa(MGG)染色では染色性が低下すること,β顆粒にはアルカリ性フォスファターゼ(AlP)とペルオキシダーゼ(PO)が,γ顆粒にはα-ナフチルアセテートエステラーゼ(α-NAE)が検出されることを報告した。本研究では,魚類における好中球顆粒の多様性を明らかにするために,ブリと同様にアジ科に属し,水産増養殖対象となっているマアジTrachurus japonicus,カンパチS.dumeriliおよびヒラマサS.lalandiの好中球の形態学的および細胞化学的特性を明らかにし,これまでに報告した各種魚類と比較した。
著者
赤津 観 御供 頌弘 涌井 伸二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.125-130, 2008-02-01
参考文献数
11

This paper proposes a speed and position estimation methods by using a Hall effect sensor. The speed is estimated from the fluctuated current which can be observed on the control axis. The position is estimated from the estimated speed and is corrected from the pulse which is generated by the Hall effect sensor mounted on the machine. Although the speed control range is limitted since this method is based on the back EMF, the speed and the position can be estimated without any motor parameter is used. The prposed method is verified by the experiments which 120W SPMSM is used for the tested machine, the currnet control and the speed control results including the controlable speed range are breifly explained.
著者
松澤 幸範 花岡 正幸
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-8, 2018-08

目的:加熱式たばこや電子たばこなど、有害性成分が低減された新しいたばこ製品が急速に普及しつつある。本研究の目的は、職場における加熱式たばこや電子たばこの使用実態および意識調査を行い、これらのたばこ製品に対する職場の対応方法を検討することである。方法:総合化学製品メーカーの A、B 事業所の喫煙者を対象に、2016 年 11 月の予備調査(A 事業所の喫煙者 126 名)に引き続き、2017 年 6 月と 11 月の 2 回、定期健診後の産業医面談を利用して喫煙者全員(それぞれ 227 名、221 名)に聞き取り形式でアンケート調査を行った。結果:加熱式たばこや電子たばこの使用者の割合は、A 事業所では 2016 年 11 月の 26.2% から 2017 年 11月の 51.9% に、B 事業所では 2017 年 6 月の 22.1% から同年 11 月の 35.8% にそれぞれ増加していた。種類別では加熱式たばこ(94.5%)がほとんどを占めた。加熱式たばこの内訳では IQOS が 82.7% を占めたが、このうち 30.8% は紙巻たばこか glo か電子たばこの二重使用であった。導入理由では「健康のため」が最多だったが、健康影響については分からないとする声も多く、情報不足が示唆された。紙巻たばこから加熱式たばこや電子たばこに切り替えた者のうち25.5%が自宅の喫煙場所を屋外から屋内に移しており、受動喫煙を軽視する傾向が示唆された。結論:職場においても、情報不足にもかかわらず自身や周囲へ健康リスクの低減を期待して加熱式たばこや電子たばこに切り替える従業員が増加していた。しかし有害性成分が低減されているとはいえ、使用者本人や受動喫煙の健康影響は現時点では不明である。以上から、職場における対応として、正確な情報の収集と従業員への提供、加熱式たばこや電子たばこの使用者への禁煙支援、禁煙区域での使用禁止の指導などを継続することが重要と思われる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.851, pp.187-191, 2003-07-07

1996年夏。ADSLモデムの商社「ソネット」の小林博昭は,東京都墨田区業平にある会社のビルの屋上に敷いたゴザに座り,東京下町の風物詩である隅田川の花火大会を,ぼんやりと眺めていた。 ソネットの事務所は,古くからの下町の一角にある。小林が生まれ育った家が近いことから,この地に事務所を構えた。
著者
森田 数実 Morita Kazumi モリタ カズミ
出版者
大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.257-272, 1999

30年代のホルクハイマーは、彼本来の人間学的関心を社会理論に組み入れる形で発展させていった。本稿は、そうした人間学的研究のもとに行われた彼の市民的道徳批判を検討し、その批判の人間学的基礎を明らかにすることを目標とする。本研究ではまず最初に、この時期のホルクハイマーがとったイデオロギー批判という思考様式について考察し、それを主体把握の社会科学的、心理学的脱中心化の傾向のなかに位置づけ、彼に対するマルクスとフロイトの影響という問題に、ひとつの統一的な解釈を提出する。それを受けて、ホルクハイマーにおける市民的道徳のイデオロギー批判が、市民社会の生活過程、とりわけ道徳の支配に関わる機能から考察されていることを明らかにする。エゴイスティックな経済・社会原理とは裏腹に、道徳においてはエゴイズムの弾劾が熱弁をもつて語られており、そしてそれは、一方で競争原理の制限に、他方で大衆の欲求の内面化に寄与する。次に、矛盾に満ちた市民社会の交換関係を媒介する一契機として市民的道徳を捉えるこうした視座が、さらに市民的指導者の社会的機能についての優れた構造分析によって重層化されていることも指摘する。これまでのホルクハイマー研究においては、ド・サドやニーチェといった思想家に対する彼の終始変わらぬ関心と彼の社会理論との関連は、ひとつの空所をなしており、本稿は、それを埋めるひとつの試みである。In dend reif3igeJra hrenh at Horkheimevre rsuchts, einu rsprunglicheasn thropologischIenst eresse aufgrunde iner Gesellschaftstheowriee iterz u verfolgenI.m vorliegendeAn ufsatzw irdd araufg eziel,t seine Kritik an der burgerlichen Moral unter der Voraussetzung seiner anthropologischen Untersuchungen zu interpretieren, and die anthropologische Basis seiner Moralkritik herauszuarbeiten. Zunachstw ird versucht, seine Denkweisea ls Ideologie-Kritikz u charakterisieren. Diese Denkweisei st eine Konsequenzje ner Geistesstromung,d ie die gesellschaftstheoretischea nd psychologischDe ezentrierungd es sich zu Unrechta utonomd unkendenS ubjektst reibt and deren wichtigeV ertreterv or allemM arxa nd Freuds ind.A usd ieserP erspektivwe irdd annf estgestell,t da13 Horkheimerd ie asketischeb urgelicheM oral in den Zusammenhangm it dem Lebensprozef3d er burgerlichen Gesellschaft bringt. Seiner Auffassung nach hat die burgerliche Moral eine Doppelfunktioinn der Gesellschafet,i nerseitsd ieK onkurrenzin dieserG esellschazftu beschranken and andererseits die Bediirfnisse der Massen zu verinnerlichen. Durch diese gesellschaftliche Doppelfunktiodner Moralw irdd as widerspruchsvollTeasu schverhaltndise rb urgerlicheGn esellschaft vermittelt. Weiter wird klargemacht, daf3 die Strukturanalyse der gesellschaftlichen and herrschaftlicheFnu nktiond er burgerlichenF uhrerH orkheimerAs nalysed er gesellschaftlichean d personlicheFnu nktiond er burgerlichenM oralv ertieft.I n der bisherigenH orkheimer-Forschuinstg derZ usammenhanzgw ischend emI nteresseH orkheimerasn den dunkleno ders chwarzenD enkernd es Burgertumsw ie Nietzscheo der de Sadea nd seinerG esellschaftstheornieic ht grundlichb ehandelt worden.H ierh andelte s sich um einenV ersuchd, ieseL iicked er Forschungso weit wie moglichz u fallen.
著者
坂本 清子 綱脇 恵章 津波古 充朝 田中 和男 小林 正光
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1990, no.4, pp.363-369, 1990
被引用文献数
1

五酸化ニリンと水酸化アルミニウムとの反応によるリン酸アルミニウムの生成における3種の結晶形の異なる五酸化ニリン(H型,0型および0'型)の反応性の相違,および水酸化アルミニウム分子内のヒドロキシル基がリン酸アルミニウムの生成におよぼす効果について,粉末X線回折,示差熱分析および熱重量分析法を用いて検討した。1.生成するリソ酸アルミニウムの種類およびその生成量は,五酸化ニリソと水酸化アルミニウムの混合割合(R=P205A1(OH)3),加熱温度および加熱時間によって異なった。すなわち,R=0.5ではオルトリン酸アルミニウムAIPO4のberliniteとcristobalite型およびメタリン酸アルミニウムAl・(PO3)3のA型,R=1.5では三リン酸二水素アルミニウムAIH2P3O10.のI型およびA1(PO3)3のA型とB型,R=3ではA1(PO3)3のA型.B型およびE型が生成した。2・水酸化アルミニウムに対する五酸化ニリンの反応性は,H型五酸化ニリンが一番高く,次にO'型,0型五酸化ニリンの順であった。この傾向は五酸化ニリンの加水分解速度の順序と一致した。3.水酸化アルミニウム分子内のヒドロキシル基は五酸化ニリンの加水分解に寄与し,それは五酸化ニリソとα-アルミナとの反応においてあらかじめ添加した水分と同様に重要な役割を果した。
著者
岡崎 知子
出版者
大谷学会
雑誌
大谷学報 = THE OTANI GAKUHO (ISSN:02876027)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.14-31, 1963-12
著者
高橋 秀典
出版者
東邦大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の実験材料は、特定外来生物に指定されている水生植物のナガエツルノゲイトウである。ナガエツルノゲイトウの茎は中空であるため、回収駆除の過程で容易に断片化して流失する。問題なのは、ナガエツルノゲイトウは茎断片からの個体再生力が非常に高いことである。この強い繁殖力によりナガエツルノゲイトウは河川や水田等で繁茂し、日本のみならず世界で生態系および農水産業に悪影響を与えている。本研究ではナガエツルノゲイトウを用いて、これまでに主に茎断片からの個体再生における光の役割に関して研究を行ってきた。平成29年度は、茎断片からの個体再生がそもそもどのような仕組みにより引き起こされているのかという疑問を解決するため、植物において形態形成や発生、環境応答、遺伝子発現など様々な現象に関わる重要な因子である植物ホルモンが、茎断片からの個体再生において果たす役割を調べた。様々な形態のナガエツルノゲイトウの茎断片を用意し、まず、植物ホルモンを添加しない状態で培養し、芽や根の発生の様子を観察した。その結果、ナガエツルノゲイトウの茎断片からの芽の発生には、断片にはなっていない一般の植物個体でみられるような芽の発生と似た仕組みが存在している可能性が高いことがわかった。そこで次に植物ホルモンを添加した状態で、同様に様々な形態のナガエツルノゲイトウの茎断片を培養し、芽や根の発生の様子を観察した。その結果は、ナガエツルノゲイトウの茎断片からの芽の発生には一般的な植物個体と同様の機構が関与している可能性が高いという、前述の考えを支持するものであった。
著者
半田 栄一
出版者
比較思想学会
雑誌
比較思想研究 (ISSN:02862379)
巻号頁・発行日
no.38, pp.48-56, 2011