著者
岡田 裕樹 小菅 友裕 尾関 裕彦 津川 和夫
出版者
京都市立病院紀要編集委員会
雑誌
京都市立病院紀要 (ISSN:02861356)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.17-19, 2018-09-15

チーム医療における安全や質の確保にノンテクニカルスキル( NTS)が重要視されている.NTSとは,コミュニケーション・チームワーク・状況認識等を包含する総称であり,CT・MRI検査等を行う診療放射線技師においても,チーム医療の一員としてNTSの向上が求められている.今回,毎年病院内で行われている「外来・入院患者満足度調査アンケート」から,当院の診療放射線技師の患者対応や職員対応について現状把握し,今後の改善点について考察を行った.
著者
平川 善之 隈本 健 釜谷 幸児 野原 英樹 安田 和弘 津本 要 山崎 登志也 元尾 篤 牛島 幸治 北川 智子 蓮尾 幸太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0845, 2004

【はじめに】腹筋群の緊張による腹圧の維持・増強は、体幹・腰部のみならず四肢の運動機能に重要である。実際臨床場面でも、腰部・四肢の障害側と一致した腹圧の左右差が問題となる症例は多い。Richardsonらは腹横筋の収縮による腹部引き込み動作が腹圧の向上に影響するとし、圧バイオフィードバック装置を用いた評価方法を紹介している。臨床的には血圧計マンシェットで代用した方法がある。これらは腹部全体の評価であり、左右差を反映したものではない。そこで今回、腹圧評価の一指標として左右を分別して測定した。この結果と我々が臨床で行う体幹安定性テストを比較し、その有効性を検討した。<BR>【方法】健常被検者18名に対して以下の2つのテストを行い、比較検討した。腹部引き込みテスト(以下テスト1):Richardsonらの方法に則って腹臥位での腹横筋収縮による腹部引き込み動作を十分習得させた後、正中線の左右腹部下に二つの血圧計マンシェットを配置し、水銀計の目盛を70mmHgに設定した。被検者に5秒間の腹部引き込み動作を行わせ、その際、水銀計の増減の安定値を記録した。測定は10回行い、各試行間に30秒間の休息を入れた。体幹安定性テスト(以下テスト2):被検者は足底接地しない端座位を保持し、検者が左右の肩の上に徒手的に体重の60~70%程度の負荷を加えた。肩甲帯挙上などの代償動作の出現や体幹中間位を保てなかったものを「不安定」と評価した。(背景に目盛を設定し3人のPTが評価)<BR>【結果】テスト1は左右差有り:11名、左右差無し:7名であった(t検定 危険率5%)。テスト2は左右差有り:9名、左右差無し:9名であった。テスト1・2共に左右差有り:8名、共に左右差無し:6名、どちらにも属さない:4名であった。これら2つのテスト間の関連性を検定するためフィッシャーの直接法を用いた。その結果、テスト1における左右差の有無が、テスト2における左右差の有無に一致する確率が高いことがいえた(p<.05)。<BR>【考察】今回、左右腹部下で腹部引き込みテストを実施した結果、半数以上の11名に左右差が認められた。このことから腹圧を反映する腹部引き込み動作に左右差があることが示唆された。さらに体幹安定性テストにて評価された左右差が、腹部引き込みテストでの左右差と一致する確率が高いことから、これら2つのテストは体幹機能の左右差を評価できる一つの指標となることが考えられた。身体の運動に先行しておこる腹横筋収縮による腹圧の上昇は、体幹の安定性に関与し、四肢の運動や動作を効率的に行うための重要な要素となる。この機能が片側的に損なわれると、体幹の安定性を必要とする動作等に支障を来たす可能性が考えられる。今後、より多くの健常者のデータを収集すると共に、諸動作との関連性を検討していきたい。
著者
近藤 晶
出版者
環境芸術学会
雑誌
環境芸術 : 環境芸術学会論文集 (ISSN:21854483)
巻号頁・発行日
no.12, pp.39-42, 2013-10-26

筆者はこれまで、Web上でのインタラクティブなコンテンツを制作するため、WebカメラとActionScript3.0を使用してきた。このWebデザイン業務で培った技術や知識を応用し、福井市の地域活性化プロジェクトなどでインタラクティブアート作品の制作・展示を行っている。最初の作品は単純なプログラムであったが、機能の追加・修正を行った結果、Webデザインで使用される技術を用いた制作手法に一定の可能性を確認することが出来た。以上のことから、2011年に行われたシンサカエ・ナイト・ミュージアムと2012年に行われた上味見雪まつり前夜祭の制作研究報告を行う。本論文では二つの作品に使用したプログラムの概要とそれにより可能となった視覚表現について説明すると共に、鑑賞者の行動の変化について報告を行う。
著者
井梅 由美子
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.11-21, 2019-03-29 (Released:2019-05-30)

本研究では、大学生の男女が将来の自身の結婚や子育てに対してどのようなイメージを抱いているのか、どのような性役割観を持っているのか、実態について明らかにし、これらの結婚観・子育て観に影響を及ぼす要因として、幼少期および現在の父母との関係、父母の夫婦関係、自身の対人交流の仕方(対象関係)から検討した。調査対象は大学生男女380名である。はじめに、結婚観、子育て観の尺度を検討し、結婚観については「結婚への期待・肯定感」と「結婚への負担感」の2因子、子育て観では「子育てへの期待・肯定感」と「子育てへの不安感」の2因子が見出された。各尺度得点の性差を検討したところ、「結婚への期待・肯定感」と子育て観の2因子いずれも女性の得点の方が有意に高かった。次に、これらに影響している要因を検討し、女性では、現在の母親との信頼関係が結婚および子育てへの期待感につながっていた。また、男女ともに幼少期のアンビバレントな愛着パターンの得点の高さが結婚観、子育て観にネガティブな影響を与え、一方、女性では拒否的な愛着パターンの得点の高さはむしろ結婚、および子育てへの期待を高めていた。さらに、対象関係の下位尺度は様々な影響を与えており、総じて、幼少期の母子関係よりもむしろ、現在の人間関係においての適応が結婚観、子育て観に影響を与えていることが推測された。
著者
櫻井 利康 山崎 宏 小林 勇矢 奥原 健史 三村 祐太
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.507-514, 2016-10-15

要旨:手の浮腫・腫脹の測定法であるリングゲージ法と掌囲(中手骨頭レベルでの手の周径)法の信頼性と妥当性を明らかにした.健常成人40例80手を対象に,2人の検者がリングゲージ法,掌囲法,Figure of Eight法を2回測定した.信頼性は級内相関係数,妥当性はFigure of Eight法との相関係数を用いた.検者内信頼性のICC(1,1)はリングゲージ法が0.99,掌囲法が0.99,検者間信頼性のICC(2,1)はリングゲージ法が0.98,掌囲法が0.98〜0.99であった.Figure of Eight法との相関係数はリングゲージ法がr=0.76〜0.84,掌囲法がr=0.91〜0.94だった.リングゲージ法と掌囲法は信頼性と妥当性が高く手の周径法として使用可能な方法と考えた.
著者
奥 忍
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-9, 1988-03-01

明治以降、西洋音楽が公教育の中に積極的に取り入れられるようになり、日本人の音感覚は次第に西洋化された。本稿は、大正時代に西洋音楽がどのように受容されたか、即ち、移入された西洋音楽はどのように伝統的音感覚の影響を受け、変化したか、について、アメリカ起源の3つの流行歌の音高を測定し、音程・音律を分析することによって明らかにしようと試みたものである。対象となった流行歌は第一節の全ての音の音高が測定され、音程はセントで整理される。結果は調性感の視点から考察される。
著者
坂口 次郎 鈴木 雅和
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.247-252, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
8
被引用文献数
2

筑波研究学園都市の街路樹は, 緑量の増加と樹冠の一体化を意図して2本立植栽がなされ, 植栽デザインとして特徴的である。しかし, 植栽後約20年経過して観察すると, 必ずしも当初のデザイン意図どおりの効果を達成していないものも見られる。本研究はそれら街路樹に関する活力度調査および視覚的評価によりデザイン意図と成果の検証を行うことによって, 植栽デザインの方法論を考察したものである。その結果, ユリノキ, アメリカフウではデザイン意図を達成しているが, トウカエデ, シラカシ, エンジュでは達成していないことがわかった。今後, 植栽デザインにおいて樹木の経年的変化と管理方法を考慮する必要性が明らかになった。
著者
有馬 博 高橋 敏秋
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.37-52, 1975-12

1 前報3)のSU-74型加工トマト収穫機試作にひき続き,1975年にSU-75 FS型加工トマト選果機を試作し実験した。2 この選果機は歩行型クローラ台車にホッパー,さん付きバーコンベア,平ベルト逆転式選別コンベア,選果台その他からなる選果装置を搭載した小型の一挙収穫用作業機である。3 作業車は2~8名としうち1~3名がホッパーへ果実を振り落とす。果実はバーコンベアで搬送され逆転コンベアできよう雑物を除去されたのち選果台に達する。他の作業車は,選果台附近にいて熟度選果を行い出荷可能果を畦上のコンテナへ収容する。4 台車から選果装置を取り外し,代わりに荷台を搭載すればコンテナ運搬車として利用できる。5 ほ場実験の結果,果実収穫作業,コンテナ運搬作業とも従来の作業方法の約2~3倍の作業能率(kg/人/分または箱/人/分)をあげることができ,果実の損失もなかった。6 この選果機は単純小型の構造で品種や栽培条件に制約を受けることが少ないので国内の栽培地へただちに導入できるであろうと推察された。