著者
内尾 英一
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

結膜炎をヒトに生じる型に対して,ガンシクロビルの有効性を検討した。A549細胞の培養系とアデノウイルス3, 4, 8, 19aおよび37型を用いた。さまざまな濃度に希釈したガンシクロビルをアデノウイルスに24時間作用させた。7日間培養後に定量PCR法でアデノウイルスDNAを測定した。細胞毒性はCC50,抗ウイルス作用はEC50によって評価した。ガンシクロビルのCC50は平均で212 microg/mlであり,EC50は2.64~5.10 microg/mlであった。有意な抑制作用はすべての型にみられた。今後ガンシクロビルがアデノウイルス眼感染症の治療薬として使用する可能性が示された。
著者
長谷川 夕希子 中神 朋子
出版者
医学書院
雑誌
糖尿病診療マスター (ISSN:13478176)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.78-79, 2015-01-15

Non-caloric artificial sweeteners(人工甘味料;NAS)は安価で,砂糖の何倍もの甘味をもつ成分で,天然には存在せず人工的に合成されたものです.サッカリン,スクラロース,アスパルテームなどがあり,カロリーを抑えて甘味を感じるため,耐糖能異常や2型糖尿病患者の嗜好品によく使われてきました.一方で,NASと体重増加や2型糖尿病の発症リスク上昇の関連も報告されており,NASの使用に関しては議論の余地があるところです.多くのNASは消化管で消化されず,そのまま通過するため,腸内細菌叢に影響を与えるのではないかといわれます.また,腸内細菌叢の変化がメタボリックシンドロームと関連することも多くの研究結果から明らかとなっています.そこで,本研究ではNASが腸内細菌叢や耐糖能にどのように影響するか検討しています. 方法としては,10週齢のC57BL/6マウスに,それぞれサッカリン,スクラロース,アスパルテーム,スクロース,グルコースを飲水中に混ぜて投与し,11週後に経口ブドウ糖負荷試験を行いました.するとサッカリン,スクラロース,アスパルテームを投与したマウスは耐糖能異常を示しました.
著者
鎌田 東二
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.429-456, 2011

「ワザ(技・業・術)」とは人間が編み出し、伝承し、改変を加えてきたさまざまな技法・技術であるが、その中に呼吸法や瞑想法などを含む身体技法や各種の芸能・芸術の技法やコミュニケーション技術、また物体を用いる技法・身体を用いる技法・意識に改変を加える技法などがある。ワザは心とモノとをつなぐ媒介者であり、身体を用いた心の表現法でもある。「滝行」を含む諸種の「ボディワーク(身体技法)」は、「ある目的(解脱・霊験・法力・活力を得る・悩みの解除など)を達成するために、心身を鍛錬し有効に用いるワザ・作法・技法である」。宗教的「身体知」も、宗教的観念や宗教思想に裏打ちされながら、さまざまなワザを持っている。その宗教的ワザの一つとしての「滝行」に着目することにより、日本の宗教的身体知の独自性とそこに宿る「生態智」を掘り起こす。
著者
平田 成
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.64, 2003

月のクレーターTychoおよびKingについて,そのimpact meltの分布を画像から解析し,クレーター形成のメカニズムについて考察する
著者
中村 粲
出版者
サンケイ新聞社
雑誌
正論
巻号頁・発行日
no.300, pp.184-188, 1997-08
著者
大須賀 惠子 泉 明美 田川 信正
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.176-181, 2001-03-01 (Released:2017-04-20)

目的:骨粗鬆症検診を自主的に受診した住民の,肥満と骨密度との関連を明らかにし,保健指導のあり方を考える.対象と方法:町のイベント時に実施した骨粗鬆症検診を受診した30〜70歳代の女性151名を対象者とし,骨密度測定および生活習慣等に関する自記式調査(厚生省骨粗鬆症検診マニュアルの問診票に準じた全18項目)を実施・分析した.骨密度測定は,超音波式骨密度測定装置(Lunar社A-1000+)を用い右足踵骨で行った.結果:1)本研究においては,肥満度body mass index(BMI)に注目し,骨密度および生活習慣等に関する自記式調査内容との関連を分析したところ,BMI24.2以上群では,骨粗鬆症に随伴する自覚症状の出現率が有意に高いという結果が得られた.2)肥満者(BMI24.2以上)の骨密度に関する要精検率を年齢別にみたところ,50歳未満者では要精検者がなかったが,60歳以上になると肥満者にも要精検者が高い率で現われており,肥満でない者(BMI24.2未満)との差はほとんどなくなっていることがわかった.体重増加は,骨密度を高める関係にあると一般的に考えられているが,本調査においては60歳以上になるとこの関係は見られなくなった.以上のことから,肥満者(BMI24.2以上)を,年齢によらず骨粗鬆症のhigh risk群として位置付け,適切な保健指導を実施することが望ましいと考える.
著者
羽賀 敏雄
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.P-442-P-447, 2017-11-10 (Released:2017-11-17)
著者
佐藤 慎二 佐々木 則子 野木 真一
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

皮膚筋炎(Dermatomyositis: DM)に見出された抗CADM-140/MDA5抗体(抗MDA-5抗体)は,治療抵抗性で予後不良の急速進行性間質性肺炎(rapidly progressive interstitial lung disease: RP-ILD)と密接に関連することがあきらかになっている.本研究での同病態における各種サイトカインレベルの検討でIL-6がより重要な役割を果たしている可能性が示唆された.また,臨床的には抗MDA5抗体価がRP-ILDを併発したDMの短期的な予後予測や長期的な再発予測に有用である可能性が示唆された.
著者
宮里 新之介
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
鹿児島女子短期大学紀要 = Bulletin of Kagoshima Women's College (ISSN:02868970)
巻号頁・発行日
no.52, pp.145-152, 2017

本研究では, 幼稚園教諭や保育士資格の取得を目指す短大生が, 実習においてどのような困難感を持つのかを検討した. その結果, 「子ども対応困難感」 の記述が多く, 特に子どもの 「反社会的な言動」 「活動への子どもの取り組み」 「他児とのケンカ」 「発達の遅れ」 といった問題に対応する際に困難感を持った学生が多いことが示された. また, 「子ども」 「保護者」 「職員」 「指導案・日誌・記録の書き方」 への困難感を短大生と保育士とで比較した結果, 「保護者対応困難感」 と 「職員対応困難感」 において保育士が短大生よりも有意に高かった. これは, 教育実習では保護者対応の機会が少なく, また"職員"が実習生, 或いは保育士にとってどういう存在なのかということの違いから生じると考えられた. 短大生が保育者として保育現場で働く際にこれらの困難感が高まることが想定され, それに対応するための授業実践を如何にするかについて考察した.
著者
高橋 淳
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 = Electrocardiology (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.242-244, 2009-06-04
参考文献数
7

心房細動(AF)の根治を目的としたカテーテルアブレーション治療は,AFの多くが肺静脈内心筋起源の心房期外収縮を契機に発生するという発見以降,めざましい進歩を遂げてきた.肺静脈隔離アブレーションは,各肺静脈を個別に隔離する方法から始まったが,施行例増加とともに再発や合併症の問題が浮上してきた.そこでわれわれは,同側上下肺静脈の広範囲同時隔離法を考案し,良好な成績を収めた.その後,画像システムの進歩により左房や肺静脈の解剖的把握が可能となり,発作性AFに対するアブレーションは一般的な治療法となりつつある.一方,慢性AFに対しては各種アブレーション法が考案されており,成績も徐々に向上してきた.しかし,慢性AFでは焼灼範囲が広くなるため合併症リスクも高く,より安全性の高い手技の開発が望まれる.
著者
Bamba Aya Yamazaki Ryo Yoshida Tatsuo Terasawa Toshio Koyama Katsuji
出版者
University of Chicago Press
雑誌
Astrophysical Journal (ISSN:0004637X)
巻号頁・発行日
vol.621, no.2, pp.793-802, 2005-03
被引用文献数
13 218

The outer shells of young supernova remnants (SNRs) are the most plausible acceleration sites of high-energy electrons with the diffusive shock acceleration (DSA) mechanism. We studied spatial and spectral properties close to the shock fronts in four historical SNRs (Cas A, Kepler's remnant, Tycho's remnant, and RCW86) with excellent spatial resolution of Chandra. In all of the SNRs, hard X-ray emissions were found on the rims of the SNRs, which concentrate in very narrow regions ( so-called filaments); apparent scale widths on the upstreamside are below or on the order of the point-spread function of Chandra, while they are 0.'' 5 - 40 '' (0.01 - 0.4 pc) on the downstream side with most reliable distances. The spectra of these filaments can be fitted with both thermal and nonthermal ( power law and SRCUT) models. The former requires unrealistic high temperature (greater than or similar to 2 keV) and low abundances (less than or similar to 1 solar) for emission from young SNRs and may be thus unlikely. The latter reproduces the spectra with best-fit photon indices of 2.1 - 3.8, or roll-off frequencies of (0.1 28) x 10(17) Hz, which reminds us of the synchrotron emission from electrons accelerated via DSA. We consider various physical parameters as functions of the SNR age, including the previous results on SN 1006; the filament width on the downstream side increases with the SNR age, and the spectrum becomes softer, keeping a nonthermal feature. It was also found that a function, that is, the roll-off frequency divided by the square of the scale width on the downstream side, shows negative correlation with the age, which might provide us some information on the DSA theory.