著者
道川 慧太 渡邉 哲弘 豊原 容子 佐藤 敦政 豊原 治彦
出版者
日本水産學會
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.589-593, 2014 (Released:2014-09-25)

琵琶湖周辺で食用とされているイシガイ科の二枚貝であるタテボシガイの貝殻の有効利用を目的として,金属吸着凝集材の開発を試みた。貝殻粉末の鉛,六価クロム,ヒ素に対する吸着能を調べたところ,鉛に対して特に高い吸着能を示した。鉛に対する吸着能は,ホタテガイ,マガキ及びアコヤガイの貝殻粉末でも認められた。タテボシガイ貝殻を焼成することによって表面の多孔質化とカルサイト化が認められ,鉛に対する吸着能の向上が確認された。貝殻粉末に少量のポリマーを添加することで,吸着能に加え凝集能を付与することに成功した。
著者
菊池 山哉
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.32, pp.71-86, 1963 (Released:2016-05-23)
著者
岡部 貴美子
出版者
森林総合研究所
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.119-133, 2006 (Released:2011-03-05)

我が国のきのこ栽培において被害を発生させた、あるいは発生させる可能性のある分類群を中心に、きのこ食の節足動物(ダニ、トビムシ、昆虫)についてレビューした。昆虫は、ダニやセンチュウなどほかの小動物に比べて飛翔等による移動能力が高いことから、それらの移動分散を助ける便乗寄主としての役割も担っている。害虫の防除に際しては、このような昆虫の機能にも留意すべきことが明らかになった。また、年々栽培種が増加している現状では、野生きのこを摂食する生物も潜在的な害虫としてあるいは害虫防除のヒントとなる生態を持つものとして考慮する必要がある。このような観点から、海外のきのこ栽培で害虫化している種や、注目すべき生態を持った食菌性の節足動物についてもレビューした。その結果、ほとんどの種類のきのこを摂食し、増殖率が高い種の多いハエ類は、重要害虫でありながら防除も困難であることが改めて明らかとなった。
著者
平田 正一
出版者
日本菌学会
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.393-395, 1981 (Released:2011-03-05)
著者
松下 浩一 小宮山 恆 細川 明
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.190-194, 1993 (Released:2011-03-05)
著者
松本 裕子 盛田 清秀
出版者
日本農村生活研究会
巻号頁・発行日
no.129, pp.40-50, 2006 (Released:2011-03-05)
著者
岡田 翔一 田川 知嘉 鈴木 直人 樋口 貞行 片貝 富夫 山野辺 浩
出版者
日本家畜臨床学会
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.7-11, 2018 (Released:2018-10-02)

酵母細胞壁混合飼料は成牛および育成牛において抗ストレス作用が期待されており,寒冷地における子牛の発育増進に寄与する可能性がある。本研究では,寒冷期の子牛25頭を,酵母細胞壁混合飼料を給与する試験群13頭と給与しない対照群12頭とに分け,試験期間中のTemperature-Humidity Index(THI)を算出するとともに,体重測定および血液生化学性状検査を行った。THIは子牛が寒冷ストレスを受ける可能性が高い数値である50を下回る期間が長く,平均値は49.8であった。試験群と対照群の間で,試験期間内での増体に有意な差はなかったが,酵母細胞壁混合飼料給与から30日目に,対照群と比べ試験群の血清中ビタミンA濃度の有意に高い値を示した。酵母細胞壁混合飼料は寒冷ストレスによる影響を低減させることで,子牛の成長に伴う血清中ビタミンA濃度の上昇を維持することが示唆された。
著者
佐藤 至 鈴木 忠彦 小林 晴男
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.731-734, 2005 (Released:2011-03-05)
著者
上田 悦範 山中 博之 於勢 貴美子 今堀 義洋 Wendakoon S.K.
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.73-84, 2019 (Released:2019-08-07)

果実中のアルコール含量を測ることはその果実の香気評価に重要である。果実(バナナ,パイナップル,メロン,トマト,キウイフルーツおよびイチゴ)の未熟果,完熟果,過熟果からカットフルーツを作り,カット直後および3℃,24時間後のエタノールおよびメタノールの含量を測った。過熟のバナナおよびパイナップルから作ったカットフルーツは高いエタノール含量と酢酸エチルの生成も多く,オフフレーバーが発生していた。過熟のメロンからカットしたものも酢酸エチルの生成が多く,やはりオフフレーバーが発生した。一方トマトはカットすることにより3℃,24時間後,急激にメタノール含量が増え,エタノール含量もまたある程度増加し新鮮さが無くなった。イチゴは使用した栽培品種の内,1品種は24時間後および老化後(3℃,2日間)では高いエタノール含量を示し,酢酸エチルの生成も多くオフフレーバーが感じられた。キウイフルーツは熟度やカットにかかわらずエタノール,メタノールが低含量でそのエステル生成もみられなかった。完熟果におけるアルコールデヒドロゲナーゼ活性を調べたところ,高い活性を示す果実は,キウイフルーツを除き,アルコール含量も高かった。ペクチンメチルエステラーゼの活性はトマトが他に比べて非常に高く,トマトカット後のメタノール急増の原因と考えられる。エステルの生成能力はすべての果実で認められ(キウイフルーツは極低活性),過熟果実のオフフレーバーを加速していると考えられる。カット後すぐに供給され,消費される業種形態もあるので,室温でカット後,2時間までのアルコール含量変化を完熟のバナナ,トマト,イチゴで調べたところ,これらの果実は24時間冷蔵の結果と同じ傾向であった。完熟イチゴおよびトマトをカット後,直ちに測った場合,それぞれエタノールおよびメタノールは極少量検出されたのみであった。イチゴは両品種とも急激なエタノールの増加が起こり,オフフレーバーが認められた。一方,トマトでは遅れてエタノールが増加し始めたが,2時間までは新鮮さが保たれていた。
著者
佐々木 武彦
出版者
日本育種学会
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.15-21, 2009 (Released:2011-03-05)
著者
伴野 太平 小森 ゆみ子 鈴木 聡美 田辺 可奈 笠岡 誠一 辨野 義己
出版者
日本栄養・食糧学会
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.229-235, 2016 (Released:2016-12-15)

さつまいもの一種である紅天使を健康な女子大学生22人に摂取させた。加熱後皮をむいた紅天使の食物繊維は2.9g/100gだった。摂取開始前1週間を対照期とし,その後1週間単位で紅天使を1日300g,0g,100gとそれぞれ摂取させた。排便のたびに手元にある直方体の木片(37cm3)と糞便を見比べ便量を目測した。その結果,対照期には1.8±0.2(個分/1日平均)だった排便量が,300gの紅天使摂取により約1.6倍に,100g摂取により約1.5倍に増加した。排便回数も紅天使摂取量の増加に伴い増加した。300g摂取でお腹の調子は良くなり便が柔らかくなったと評価されたが,膨満感に有意な変化はなかった。各期の最終日には便の一部を採取し,腸内常在菌構成を16S rRNA遺伝子を用いたT-RFLP法により解析した結果,紅天使摂取により酪酸産生菌として知られるFaecalibacterium属を含む分類単位の占有率が有意に増加した。
著者
森 元幸
出版者
Institute of Radiation Breeding, Ministry of Agriculture & Forestry
巻号頁・発行日
no.47, pp.49-56, 2010 (Released:2011-07-19)

日本人のバレイショ消費量は一人あたり年間24kg弱であり、生いもを家庭で購入して調理する数量は4kg弱と少なく、総菜として購入するサラダやコロッケ、レストランでの外食、ポテトチップやフライドポテトなどの加工品の購入が合わせて13kg程度と主要な消費を占める。家庭外での消費が主力となった現状を受け、食品加工時の適性向上を主要な育種目標とし、成分特性の改良を伴う新品種の育成が進められている。生いもの皮を剥き空気中に放置するとフェノール類の酵素反応を経て褐色に変化し、数時間後には黒く変色する(剥皮後黒変)。生いもを調理加熱した時、冷めるにしたがいフェノール類の酸化反応が進み調理品の色がくすんで灰黒色が増す(調理後黒変)。早期出荷向けの「とうや」、サラダ原料の「さやか」、青果向けの「はるか」など近年育成された品種のほとんどは、「男爵薯」に比べ両黒変ともに少ない。原料いもの洗浄後に剥皮機(ピーラー)にかけて皮を剥くと、いもの目や尻に未剥皮箇所ができ、これと変色などの異常部分をあわせて特殊なナイフを用いて人手で除く(トリミング)。原料いもの凹凸が深いと未剥皮箇所が増加してトリミング作業が増え、製品の歩留りが低下し残渣処理費用も増加する。目が浅く大粒の「さやか」は、目が深い「男爵薯」に比べ、トリミング数は1/3以下となり、人件費の節減効果は大きい。収穫や輸送の際、いもが押されたり落下したりして傷や内部損傷(打撲痕)ができる。打撲による打撲痕は外観からは判別できないが、剥皮後に変色部位として認められ、トリミング作業の主要対象として歩留りに大きく影響する。「ホッカイコガネ」や「さやか」は、打撲発生が他の品種より少なく、加工原料として優れている。原料いもを低温で貯蔵すると芽の伸びを抑え消耗を抑制できるが、10℃以下の低温では還元糖が増加し、還元糖とアミノ酸がメイラード反応を起こし製品が褐色になる。低温で還元糖やショ糖の増加が起こりにくい糖量低推移型の「ホワイトフライヤー」を育成し、さらに改良を進めている。生いもが光に曝されると緑化し、同時にα-ソラニンやα-チャコニンなどのグリコアルカロイド(PGA)を生成する。このPGAは、生いも100gあたり15mgを越えると明らかなえぐ味(苦味)を感じる。サラダ原料用の「さやか」やフライドポテト用の「こがね丸」は、「男爵薯」に比べ曝光してもPGA含量の増加が少ない。アントシアニン色素を含有し、農業形質を改良した紫肉の「キタムラサキ」および赤肉の「ノーザンルビーを育成し、これを原料とするサラダや加工食品の販売が軌道に乗りつつある。また、色素濃度を向上させた紫肉の「シャドークイーン」を育成し、健康機能性成分を生かした利用が検討されている。バレイショのアントシアニン色素は強い抗酸化性を有することもさることながら、インフルエンザウイルスに対する増殖抑制効果やヒト胃ガン細胞に対するアポトーシス誘導活性などの優れた機能性が確認されている。業務向けと加工原料向け需要に品質の良さで応え、消費者を引きつける色彩と機能性により新しい需要を切り開き食生活を豊かにする。このために用途適性を向上させつつ、汎用性と安定性を拡大したバランスに優れる品種群を開発して、国産バレイショの振興を目指している。
著者
樋口 澄男 北野 聡 近藤 洋一
出版者
長野県環境保全研究所
巻号頁・発行日
no.1, pp.29-37, 2005 (Released:2011-12-08)

ソウギョCtenopharyngodon idellsの放流により1980年代後半に水草帯が全滅した木崎湖において、2001〜2002年に潜水調査を主体にして、車軸藻類および大型水生植物の分布調査を行った。抽水・浮葉植物は主に北岸で回復が始まっていた。沈水植物はセキショウモVallisneria asiatica Miki、コカナダモElodea nuttallii(Planch.)St. Jhon、ヒメフラスコモNitella flexilis(Linnaeus)Agardh var. flexilisが主要種として多くの調査地点で観察された。ヒメフラスコモは西岸の広い面積において車軸藻帯を形成していた。過去に広く分布していたシャジクモChara braunii Gmelinは観察されなかった。絶滅した固有種車軸藻キザキフラスコモNitella minispora Imahoriの埋没卵胞子の回収のため、木崎湖底質を採取し、発芽試験を試みたが、発芽は認められなかった。
著者
奥 修
出版者
日本プランクトン学会
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.25-33, 2004 (Released:2011-03-05)
著者
稲津 忠雄 岩崎 賢一 古田 武
出版者
香川県産業技術センター
巻号頁・発行日
no.7, pp.70-75, 2007 (Released:2011-02-04)

麺(うどん)の収縮および力学物性変化を数学的にモデル化することにより、麺乾燥中の応力分布を計算し割れ発生の予測を試みた。麺の収縮係数は、水分含量変化に対して各寸法方向ともほぼ同じ値であったが、温度には依存しなかった。ヤング率、降伏応力および破壊応力は水分含量の指数関数として表された。乾燥に伴う応力分布変化は、有限要素法を用い、水分移動方程式と構成方程式を連立させることにより推算した。計算した応力分布は、急激な乾燥速度が大きな内部引張応力を引き起こすことを示した。本研究で用いたスキームは、長さ方向に沿った割れ形成の可能性を評価するのに有効であり、その予測は実際工場で発生する割れのパターンと一致した。