6 0 0 0 OA 柿二つ

著者
高浜虚子 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1932
著者
杉山 武志 元野 雄一 長尾 謙吉
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.159-176, 2015-03-01 (Released:2019-10-05)
参考文献数
29

本稿は,電気街として知られる大阪の日本橋地区の「趣味」の場所性を考察した.近年の電気街には,ゲームやアニメなど新たな「趣味」に関わる消費者や供給者の集積が顕著であり,こうした集積を日本橋地区の店舗の分布ならびに人が集まる場所の特性から分析した.日本橋では近年,「オタロード」と呼ばれる地区への店舗集積が顕著となっており,地域の活力の拠点も「オタロード」へ移行しているようにみえる.しかし,実際には「日本橋筋商店街」から生じた新たな業種が「オタロード」へ広がる傾向がみられた.その上で,サブカルチャーを趣味にもつ消費者や供給者が集積する要因として,1)日本橋ストリートフェスタにみられるような開放的な場所性がサブカルチャーという趣味的活動の支えになっている,2)サブカルチャーに対する経営者の意識変化,すなわち,集団的学習の経験による「寛容性」の醸成が開放的な場所の生成につながっている,ことを指摘した.

6 0 0 0 OA 間接受身再考

著者
今井 新悟
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.146, pp.117-128, 2010 (Released:2017-03-21)
参考文献数
27

受身文は直接受身文と間接受身文に分けられてきた。所有(持ち主)受身を立てることもあるが,これも,間接受身の亜種とされることが多かった。これに対し,本稿では,所有受身が間接受身ではなく,直接受身であることを主張する。その証拠として二重対格制限,ガノ交替,主格降格と参与者数,付加詞・必須項,主語尊敬構文「お~になる」の尊敬対象,再帰代名詞「自分」の先行詞,および数量詞遊離に関しての統語論的な現象を示す。これらは先行研究でも繰り返し使われた統語的テストであるが,統一した結論に至っていない。本稿の分類により構文と意味の対応,すなわち,「直接受身=中立の意味」ならびに「間接受身=迷惑の意味」の単純な結論に収束することを示す。日本語教育にあっては,本稿の言語学的な裏づけにより,所有受身を間接受身とせず,構文と意味の明確・単純な対応を示すことで混乱なく受身の指導ができる。
著者
加藤 宏公 柳澤 博紀 奥村 英雄 井上 眞人 三田村 仰
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.249-260, 2021-09-30 (Released:2022-01-12)
参考文献数
17

本研究では、3名の慢性期統合失調症患者に対しグループ介入のアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)を実施し、介入プログラムの効果を検討した。介入はプログラム4回とフォローアップ2回の全6回であり、シングルケースデザインを用いて、アウトカム指標として価値に基づく行動の生起頻度、プロセス指標としてVQ、CFQ、BEAQを測定した。結果、価値に基づく行動の生起頻度は、3名共に有意な増加(p<.05)が認められた(Tau=0.43—0.53)。プロセス指標は、目視分析において介入中は有意な傾向があり、介入後はベースラインのレベルに戻る傾向がみられ、1名のVQ(前進因子)のみが有意であった(Tau=0.69)。以上から、グループACTプログラムは統合失調症のリカバリー支援として各参加者の価値に基づく行動の促進に有効であり、介入後の行動の般化と維持には、段階的な介入方法のさらなる検討が必要である。
著者
上西 崇弘 山本 隆嗣 竹村 茂一 坂田 親治 久保 正二
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.1872-1877, 2012 (Released:2012-11-05)
参考文献数
51

欧米における肝内胆管癌の罹患率および死亡率は,1970年以降に増加傾向が認められ,その原因として従来は危険因子と考えられていなかったウイルス性肝炎の持続感染による慢性肝障害が注目されている.ウイルス性肝炎を背景とした肝内胆管癌は肝細胞癌と類似した臨床病理学的特徴を有し,その切除成績は比較的良好と考えられているが,さらなる詳細な検討によりウイルス性肝炎関連肝内胆管癌に対する標準的な治療戦略の確立が望まれる.
著者
藤尾 慎一郎
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.183, pp.113-143, 2014-03-31

本稿は,「弥生時代の実年代」(雄山閣)[藤尾2009b]の発表後に行った,いわゆる2400年問題の時期に相当する弥生前期中頃~後半(板付Ⅱa式~板付Ⅱb式)期の炭素14年代測定の結果と,過去に行った当該期の測定値をあわせて,西日本各地における灌漑式水田稲作(以下,弥生稲作)の開始年代と派生する問題について考察したものである。対象とした遺跡は,新たに測定した福岡県大保横枕遺跡,徳島県庄・蔵本遺跡,鳥取県本高弓ノ木遺跡と,過去に行った福岡県福重稲木遺跡,同雀居遺跡,熊本県山王遺跡,大分県玉沢条里跡遺跡,愛媛県阿方遺跡,広島県黄幡1号遺跡である。測定・解析の結果,板付Ⅰ式新段階の年代が前8世紀末葉の20年間ほどであることを初めて確認するとともに,板付Ⅱa式は前700~前550年頃,板付Ⅱb式は前550年~前380年頃,という2009年段階の結論を追認した。さらに鳥取平野の弥生稲作が,近畿よりも早い前7世紀前葉には始まっていた可能性のあること,徳島平野では奈良盆地や伊勢湾沿岸地域と同じ前6世紀中頃になって弥生稲作が始まっていたことを再確認した。九州北部を出発点とする,山陰ルート,瀬戸内ルート,高知ルートという3つの弥生稲作の東進ルートのうち,山陰ルートも他の2ルートとほぼ同時に拡散したことを意味する。伊勢湾沿岸地域で弥生稲作が始まるまでの約400年のうちの約250年間,九州北部玄界灘沿岸地域にとどまっていた弥生稲作は,玄界灘沿岸地域を出ると,一気に鳥取平野~岡山平野~香川平野~高知平野を結ぶ線まで広がり,その後も5~60年で神戸,さらに70年で徳島,奈良盆地,伊勢湾沿岸まで急速に広がっていった。このことは,玄界灘沿岸地域と西日本では,縄文人の弥生稲作の受け入れ方になんらかの違いがあった可能性を示唆している。
著者
菊地 一樹
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稻田法學 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.25-59, 2018-12-10
著者
鎌谷 研吾
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.381-402, 2021-03-05 (Released:2021-03-05)
参考文献数
54
被引用文献数
1

近年,マルコフ連鎖モンテカルロ法に平均回帰作用を導入した手法がよく使われる.ここではこれらの研究を概観する.後半では,スケーラブル性をもつとされる,逐次確定的マルコフ過程を使ったモンテカルロ法の紹介とともに,平均回帰作用の利用についても述べる.
著者
勝田 聡
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.135-152, 2017 (Released:2020-07-10)

本研究は,日本の性犯罪者が性犯罪に至る過程を具体的に明らかにすることを目的とした。そのために,保護観察付執行猶予の判決を受け,または仮釈放された33人の保護観察中の性犯罪者が,性犯罪に関する専門的処遇プログラムにおいて記入したワークシートの自由記載と発言の内容を,グラウンデッド・セオリーの方法を参考にして,質的に分析した。分析の結果,15のカテゴリからなるモデルが見いだされた。そのモデルには,性犯罪者の生活上のつまずきや認知的要因といった,性犯罪に至る鍵となる要因が含まれていた。本研究の結果,このつまずきが重大なライフイベントであることが少なくなく,複数のつまずきが重なることが希ではないことが見いだされた。さらに,本研究の結果から,つまずきから,つまずきへの対処,不安定な心理状態,つまずきへのネガティブな捉え方のサイクルが誘発され,その後の認知的要因に結びついていることが明らかとなった。加えて,本研究の結果を踏まえ,性犯罪者のアセスメントと処遇の実践上の示唆について論じた。

6 0 0 0 OA 法令全書

出版者
内閣官報局
巻号頁・発行日
vol.明治19年 下巻, 1912
著者
福土 審
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-6, 2018 (Released:2018-01-29)
参考文献数
20

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の病態に腸内細菌が大きく関与している可能性が高くなっている.感染性腸炎後にIBSが発症し,IBS患者の腸内細菌組成も健常者と異なる.ストレスは腸内細菌組成を変容させ,粘膜透過性亢進と内臓知覚過敏を招き,IBSの病態に沿った病理変化を起こす.IBS患者の腸内細菌を変容させ,症状が改善する場合には,同時に抑うつを中心とする中枢機能が改善する.IBS患者の糞便中の短鎖脂肪酸の濃度は消化器症状,quality of life,性格傾向にまで影響している.短鎖脂肪酸の種類による健康維持とIBS病態の分水嶺を腸内細菌が左右するモデルが注目される.IBS患者の腸内細菌を脳腸相関に沿ってさらに検討する活動が有望である.