著者
吉本 尚
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本では24時間アルコール飲料の購入が可能であったり、多くの飲食店において飲み放題サービスが提供されるなど、未だにアルコールに対して寛容な環境がある。本研究は前向きコホートによって飲み放題システムの1回飲酒量に与える影響を明らかにする。本研究によって、アルコールと上手に付き合いながら社会で活躍するための大学生への教育や、大学生自身の飲み放題の利用が自分たちの飲酒量に与える影響を知り、自己選択を行うことが可能となる。また、飲み放題サービス提供者に対する提供方法等についての議論にも発展する可能性がある。
著者
井上 幸江
出版者
山口大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1987

シュードモナス属細菌より分離された, トルエンやキシレンの完全分解系を支配するTOLプラスミドについて, 発現調節機構を明らかにするために本研究を行なった.1.活性化因子XylRにより正の調節を受ける第1オペロンと調節遺伝子xylSのプロモーター領域を含むDNA断片をクローニングし, 逆転写酵素マッピング法により転写開始点を決定し, その周辺の塩基配列を決定した. その結果, 両プロモーターの構造は, 通常とは異なる大腸菌のシグマ因子NtrAをもつRNAポリメラーゼによって転写がおこるプロモーターと類似していることが示された.2.第1オペロンとxylSの発現を大腸菌のNtrA変異株を用いて測定した. その結果, 両遺伝子とも, 活性化にはNtrAが必要であることが明らかとなった.3.xylR遺伝子の全塩基配列を決定し, 一次構造を明らかにした. XylRのアミノ酸配列を窒素の利用や固定に働く遺伝子群の活性化因子NtrCやNifAの一次構造と比較した. その結果, これら3つの活性化因子のC末端側約200アミノ酸にわたって非常によく似た配列があり, お互いの相同性は約50%であった. この3つの調節蛋白に共通していることはNtrAをシグマ因子としてもつRNAポリメラーゼにより転写がおこる遺伝子群に対して正の調節因子として働くことである. このことから, 相同領域は, NtrA-RNAポリメラーゼと相互作用をもつことが示唆された.以上のことから, 分解系酵素誘導において各遺伝子が遂次発現されるときに, その発現調節に通常とは異なるシグマ因子が関与することが明らかとなった.XylR蛋白の分離精製は進行中である.
著者
木谷 秀勝
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

児童期から支援を継続して10年間追跡調査を続けた高機能自閉症スペクトラム障害(以下、高機能ASD)がもつ安定した「自己理解」の背景には、柔軟な状況判断を通した「自分らしさ」の表現と援助要請スキルの高さ、学習・就労体験からの達成感の高さが重要である。その一方で、青年期以降から支援を継続した高機能ASDの場合、家庭や職場において受身的な姿勢で支援を受けるだけでは、青年期以降の能動的な計画性や予測能力が十分に育たないことがわかってきた。そこで、集中型「自己理解」プログラムを通して、高機能ASDの能動性が賦活され、葛藤や対処スキルへの気づきが促進される効果が示唆された。

1 0 0 0 OA 嶺南遺書

著者
清伍崇曜輯
出版者
南海伍氏粤雅堂刊
巻号頁・発行日
vol.第2集第30册, 1863

1 0 0 0 OA 讀畫齋叢書

著者
(清) 顧修 輯
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
vol.丁集第25册, 1000
著者
笠谷 和比古
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.35, pp.231-274, 2007-05-21

武士道をめぐる研究の中で注意を要することは、新渡戸稲造の『武士道』に対する評価が、専門研究家の間においては意外なほどに低く、同書は近代明治の時代が作り上げた虚像に過ぎないといった類の非難がかなり広範に存在するという事実である。
著者
Analhuda Abdullah Tahir Nor Farhana Mohd Barnoh Nurtasbiyah Yusof Nuurul Nadrah Mohd Said Motoo Utsumi Ang May Yen Hazni Hashim Megat Johari Megat Mohd Noor Fazrena Nadia MD Akhir Shaza Eva Mohamad Norio Sugiura Nor’azizi Othman Zuriati Zakaria Hirofumi Hara
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology · The Japanese Society of Soil Microbiology
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
pp.ME18117, (Released:2019-04-23)
被引用文献数
17

Oil palm empty fruit bunches (OPEFB) are the most abundant, inexpensive, and environmentally friendly lignocellulosic biomass in Malaysia. Investigations on the microbial diversity of decaying OPEFB may reveal microbes with complex enzymes that have the potential to enhance the conversion of lignocellulose into second-generation biofuels as well as the production of other value-added products. In the present study, fungal and bacterial diversities in decaying OPEFB were identified using Illumina MiSeq sequencing of the V3 region of the 16S rRNA gene and V4 region of the 18S rRNA gene. Fungal diversity in decaying OPEFB was dominated by the phylum Ascomycota (14.43%), while most of the bacterial sequences retrieved belonged to Proteobacteria (76.71%). Three bacterial strains isolated from decaying OPEFB, designated as S18, S20, and S36, appeared to grow with extracted OPEFB-lignin and Kraft lignin (KL) as the sole carbon source. 16S rRNA gene sequencing identified the 3 isolates as Paenibacillus sp.. The molecular weight distribution of KL before and after degradation showed significant depolymerization when treated with bacterial strains S18, S20, and S36. The presence of low-molecular-weight lignin-related compounds, such as vanillin and 2-methoxyphenol derivatives, which were detected by a GC-MS analysis, confirmed the KL-degrading activities of isolated Paenibacillus strains.
著者
伊藤 創祐 沙川 貴大
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.658-662, 2017-09-05 (Released:2018-07-25)
参考文献数
11

情報は生物にとって欠かせないものである.生物たる我々は日々情報を取得し,様々な状況でそれを利用している.その意味で情報は身近なものである一方,情報が科学的に広く研究され始めるのは物理学の歴史と比較すると最近のことであり,C. E. Shannonの1948年の論文に端を発する情報理論の成立まで待たなければならない.しかしながら,Shannonが情報理論を創始する20年以上前,物理学の文脈で情報について考え,Shannonにも影響を与えた研究があった.熱力学におけるMaxwellのデーモンのパラドックスの本質を描き出したL. Szilardによる1922年の研究である.そして1960年代以降,R. Landauerらによって,情報と熱力学の関係は本格的に研究されるようになった.現在では情報理論と物理学の融合は熱力学に留まらず様々な分野で盛んに行われており,「情報は物理的な実在である(Information is a physical entity)」というLandauerの主張に深く広い意味づけがなされるようになってきている.とくに情報理論と熱力学の融合分野である「情報熱力学」は,この10年で理論実験ともに急速に発展した.その背景の一つは,1990年代後半から盛んに研究が行われてきた「ゆらぎの熱力学(stochastic thermodynamics)」である.Szilardがその萌芽を見出しShannonが創始した情報理論は,ゆらぎの熱力学と深い関係があることが明らかになってきた.また近年の実験技術の進歩により,単一分子のような微小な系の熱ゆらぎを精密に測定できるようになり,実際にMaxwellのデーモンが実現されるようになってきた.たとえば単一コロイド粒子系の電場制御によって,定量的なMaxwellのデーモンが2010年に世界で初めて実現された.その後デーモンは単一電子箱や核磁気共鳴(NMR)など多彩な系で実現されるようになっている.我々は生体システムへの応用を目標の一つとし,情報熱力学の理論を発展させてきた.複雑な確率過程を記述可能なベイジアンネットワークという概念を活用し,ゆらぎの熱力学を拡張することで,情報熱力学の適用範囲を広げることに成功した.その結果として,生体内部における化学反応の熱力学と,生体システムが受容体などのセンサーで感じる「情報」の関係を,定量的に議論することが可能になった.たとえば大腸菌(E. coli)が餌を探すための仕組みである走化性は,生体情報処理の代表例の一つとしてよく研究されている.我々は,この大腸菌の化学反応ネットワークに情報熱力学を適用した.その結果として,生体系の情報伝達のロバストさ(頑健性)を熱力学の観点から定量化し,それと移動エントロピー(transfer entropy)と呼ばれる情報量の関係を明らかにすることに成功した.さらに大腸菌においては,通常の熱力学的な効率は低いが,情報熱力学的な効率は高いことが,現実的な実験パラメータを用いたシミュレーションによって明らかになった.
著者
椛 秀人 奥谷 文乃 村本 和世 谷口 睦男
出版者
高知大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

雌マウスに形成される交配雄フェロモンの記憶のシナプス機構、鋤鼻ニューロンと副嗅球ニューロンの共培養によるニューロンの成熟分化、シナプス形成、及び幼若ラットの匂い学習機構を解析し、以下の結果を得た。1.フェロモン記憶の基礎過程としてのLTPの入力特異性と可逆性スライス標本を用いて、副嗅球の僧帽細胞から顆粒細胞へのグルタミン酸作動性シナプス伝達に誘導される長期増強(LTP)に入力特異性と可逆性が認められた。2.僧帽細胞から顆粒細胞へのシナプス伝達のalpha2受容体を介した抑制のメカニズムノルアドレナリンは僧帽細胞のG_<i/o>を活性化して電位依存性Ca^<2+>チャネルを抑制するほか、Ca^<2+>流入後の放出過程をも抑制することが判明した。3.alpha2受容体の活性化によるシナプス伝達のハイ・フィデリティの達成alpha2受容体の活性化は副嗅球の僧帽細胞から顆粒細胞へのシナプス伝達のハイ・フィデリティを達成させた。これがLTP誘導促進の鍵となっているものと考えられる。4.副嗅球ニューロンとの共培養による鋤鼻ニューロンの成熟と機能的シナプスの形成副嗅球ニューロンとの共培養によって鋤鼻ニューロンが成熟分化し、3週間の共培養により両ニューロン間に機能的なシナプスが形成されることが判明した。5.幼若ラットにおける匂いの嫌悪学習とLTPとの相関匂いと電撃の対提示による匂いの嫌悪学習の成立には電撃による嗅球のbeta受容体の活性化が不可欠であった。スライス標本を用いて、嗅球の僧帽細胞から顆粒細胞へのグルタミン酸作動性シナプス伝達に誘導されるLTPもbeta受容体によって制御された。この知見は、このLTPが匂い学習の基礎過程であることを示唆している。
著者
Yoshinori Ozeki Takayuki Masaki Yuichi Yoshida Mitsuhiro Okamoto Manabu Anai Koro Gotoh Yuichi Endo Masayuki Ohta Masafumi Inomata Hirotaka Shibata
出版者
The Japan Endocrine Society
雑誌
Endocrine Journal (ISSN:09188959)
巻号頁・発行日
pp.EJ18-0543, (Released:2019-04-23)
被引用文献数
7

In this study, we investigated the relationships between body weight (BW), computed tomography (CT)-assessed abdominal adipose tissue, and the glycemic metabolic profile in obese Japanese patients following laparoscopic sleeve gastrectomy (LSG). This study analyzed adipose tissue compartments using CT methods before and 1 year after LSG. Thirty obese patients were studied, and variables measured included visceral adipose tissue (VAT), subcutaneous adipose tissue (SAT), density of VAT (VAT-D), and density of SAT (SAT-D). We also examined the parameters in patients according to whether they had type-2 diabetes (T2DM). LSG induced significant losses in BW, SAT, and VAT after LSG. Additionally, SAT-D and VAT-D both increased and fasting plasma glucose (FPG) and HbA1c, but not C-peptide, decreased after surgery. ΔSAT and ΔVAT were positively related, and ΔSAT-D and ΔVAT-D were negatively related to ΔBW and/or FPG. Furthermore, a multivariate regression model showed that total BW loss (TBWL) was closely related to ΔSAT (β = 0.84; p < 0.001) and ΔVAT-D (β = –0.45; p < 0.05) and improvement of FPG was related to ΔVAT (β = 0.61; p < 0.05) after LSG. Finally, ΔFPG was correlated with ΔVAT in 16 T2DM patients (r = 0.58; p < 0.05) but not in non-T2DM patients. TBWL was related to ΔSAT and ΔVAT-D, and improvement of FPG was related to ΔVAT in obese Japanese patients after LSG.