著者
小山 隆
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.1-18, 2006-11

論文(Article)ソーシャルワーク研究を進めていくために、社会のあり方に関する規範理論研究が必要となってくる。一方で、実証研究特にエビデンスベーストプラクティスの重要性も近年強調されている。両者の概要ともつ意味について本論文では検討する。In recent years, Evidence-Based Social Work is beginning to attract attention in the field of social work research. On the other hand, the recognition about the importance of social norm theory is beginning to increase further. In this paper, I make the comparative study of these two theories.
著者
楠 明子
出版者
東京女子大学
雑誌
英米文学評論 (ISSN:04227808)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.59-74, 2004

1604年11月1日、OthelloがWhitehall Palaceで上演された時、当時Queen Anneの側近だったLady Mary Wroth (c. 1587-1653)が観劇したのはほぼ確実といえる(Miller:"Engendering Discourse:"170)。彼女は自らも牧歌劇Love's Victory (c. 1620)を書き、1605年1月、宮廷での十二夜の祝いにはQueen Anne主催のBen Jonson作The Masque of Blacknessの上演にも参加したほど演劇好きだった。彼女の恋人はShakespeareのパトロンのWilliam Herbert (1580-1630)、第三代Earl of Pembrokeであったから、Shakespeareと面識があった可能性も高い。Wroth作の散文ロマンスUrania I・II部、戯曲Love's Victory、そしてUrania Iと合本の形で刊行されたソネット詩集Pamphilia to Amphilanthusには、Shakespeareの作品を想起させる箇所が多い。本論では、Othelloを強く意識して書かれたと思われるUrania第II部のなかのエピソードである、主人公のパンフィリァ王国女王のPamphiliaと、彼女の夫となるタータリア王Rodomandroの話を取りあげる。Uraniaの特徴の一つは、散文ロマンスでありながらストーリーが登場人物の会話体で進行していく部分が多いことである(Miller:"Engendering Discourse:"155-6)。ここにもWrothの演劇への関心が窺える。また、この独特の形態のおかげで、ロマンスと演劇というジャンルの違いは2作品を比較するのにあまり大きな支障とならない。両作品における「黒」の表象を比べてみることで、イギリス・ルネサンスの白人女性の異文化に対する認識を、主にジェンダーの観点から考察する。Wrothが男性作家のつくりあげた当時の文学伝統にいかに自らの作品を順応させようとしたかではなく、彼女がOthelloという作品のどのような点を問題として捉え、Uraniaのなかでその点をいかに書きかえているかに焦点を当てる。その結果、Othelloのどのような面が照射されるかを考えてみたい。
出版者
読売新聞社
巻号頁・発行日
2016
出版者
読売新聞社
巻号頁・発行日
2018
著者
大澤 功
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢. 心身科学部紀要 (ISSN:18805655)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.39-46, 2008-03

目的:身体活動と悪性新生物のリスクとの関係を,発表された臨床研究を用いて評価する.方法:2000年1月から2006年12月までにMEDLINEに登録されている身体活動と悪性新生物との関連を検討した前向きコホート研究を検索収集して評価を実施した.結果:悪性新生物による死亡を検討した11論文,悪性新生物罹患を検討した56論文について評価した.死亡を検討した11論文中8論文において,身体活動量の多い生活習慣は悪性新生物による死亡の減少と統計学的に有意な関連があることを示していた.部位別では,大腸がんと乳がんでは多くの論文が身体活動によって罹患のリスクが低下すると報告していた.前立腺がん,卵巣がん,膵臓がんでは結論は一致していなかった.結論:身体活動量の多い生活習慣によって,悪性新生物による死亡の抑制と大腸がん予防および乳がん予防が期待できる.
著者
近藤 恵子 佐藤理史 奥村 学
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.4064-4074, 1999-11-15

本稿では,「サ変名詞+する+接尾辞」からより平易な動詞相当句への言い換えを機械的に実現する方法を提案する.この方法は,5つの言い換え規則と4つの辞書とアルゴリズムから成っている.もし与えられた入力に特別な接尾辞がなければ,最も基本的な置換の規則が適用され,そのために,サ変名詞?動詞相当句対応辞書と動詞活用辞書が使用される.もし,テイル形,使役表現,受動表現,可能表現を表す接尾辞があれば,アルゴリズムにより最も適切な規則が適用される.その規則は,自動詞?他動詞対応辞書と有情/非情名詞辞書から得られる構文と意味の情報によって選択される.我々はこの方法に基づいた言い換えシステムを作成し,その有効性を確認した.
著者
尼岡 邦夫
出版者
魚雑
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.153-157, 1974

種子島近海 (30°51'N, 129°01'E) の中層で, 水深32mから採集された1個体のダルマガレイ科 (Bothidae) の後期仔魚 (体長21.6mm) を調査した.この仔魚は体が長だ円形で, 短い背鰭第1棘と伸長した第2棘をもち, 尾舌骨と腰骨の腹縁に鋸歯を欠くなど明らかにナガダルマガレイ属 (<I>Arnoglossus</I>) の特徴をもっている.日本近海には本属の4種, ニホンダルマガレイ, ハナトゴダルマ, ナンヨウダルマ, ナガダルマガレイが生息している.この仔魚はすでに知られているニホンダルマガレイの仔魚によく似ているが, 背鰭条数 (II, 92), 臀鰭条数 (73) および脊椎骨数 (10+30=40) が少ない.これらの体節的形質に基づいて, この仔魚は南日本から南シナ海に広く分布するナガダルマガレイに同定される.また, この仔魚と同じ発育段階にあるニホンダルマガレイの仔魚と比較した結果, これらの体節的形質以外に, ナガダルマガレイの仔魚は体が高く, 吻・眼径・下顎・背鰭軟条・臀鰭軟条が短く, 吻突起がほとんど発達しないなどの相違のあることが判明した.
著者
郡司 幸夫
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.17-34, 1986

生物の分布は種の様々な環境要素に対する耐性, 移動様式, 種間競争等によって決まるが, 群集構造の認識はこの分布様式によって与えられると考えられる.生物種の耐性が比較的狭い場合は, 群集を物理化学的環境への適応種群の組み合わせとして認識できる(Chinzei and Iwasaki, 1967; Chinzei, 1978).しかし筆者が扱った腕足動物群集は各種の耐性が広く, 観察した環境下での種の分布はすみ分けの一種であると考えられる.このようなすみ分けは, 生物が増殖と移動を繰り返して種間で競争する場合, 増殖または移動様式がある環境要素の関数になっていれば, 容易に実現されることが数値計算により明らかとなった.したがって逆に分布を調べることで, 種間関係から群集を特徴づけられることがわかった.そこで, 実際にある条件下で適用できる静的競争系モデルを用い, 各種の深度に対する分布, 種間の個体数相関係数から, 種間関係を解析した.その結果, 屋久島・種子島近海の腕足動物群集は次のように認識された.第1に130〜170mの深度に生息適性を有する競争系が存在する.ここではC. pacifica, G. tokionis, G. hanzawai, C. basilanicaの順に順位づけられる.第2に共存し得る競争系が存在し, 第1の系と第2の系は, G. tokionis, C. basilanicaとB. lucidaが共存し得るような強い種間関係をもつことで結びついている.第3に, 以上2つの系とは強い種間関係をもたず, 含泥率の低い環境に適応したP. pictaが認められる.機能形態学がRudwick (1964)以前の適応主義一辺倒からSeilacher (1970)のBauplan的視点へ進んだ歴史を見, とりわけ構造的制約が注目されていることを考えても, 群集を構成する材料単位としての種の種間関係を解析していくことは今後更に必要となろう.近年種間競争の数学的解析がすすみ, May and Leonard (1975)は3種競争系の安定性を論じ, Mimura (1979)は捕食者-被捕食者系の空間分布を論じている.筆者の議論は, このような動力学的扱いから種間競争の解析をし, その要素を取り入れて群集を認識しようとする一つの試みである.

1 0 0 0 OA 日本外史 22巻

著者
頼山陽
出版者
河内屋喜兵衛[ほか10名]
巻号頁・発行日
vol.[9], 1848