著者
小林 文彦 松浦 稔 長谷川 紀昭 吉崎 敏夫 原田 喜男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement7, pp.1029-1071, 1980-11-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
8

Oxacephem系抗生物質6059-Sの400, 800および1.600 (800×2) mg/kg/日をビーグル犬 (雄25頭, 雌24頭) に32日間連続静脈内投与を行い, Cefazolin (CEZ) を対照藁として亜急性毒性試験を実施した。成績を要約すると, 以下のごとくである。1) 一般状態: 流涎, 嘔吐, 排便動作等の中枢作用は, CEZに比較して6059-Sでは軽度であった。2) 肝への影響: 6059-SおよびCEZの800/mg/kg以上の投与で軽度な肝肥大がみられ, 電顕的にグリコーゲン野の減少をともなった滑面小胞体の軽度増加があったが, 肝単位重量当りの薬物代謝酵素活性はむしろ軽度低下を示したので, この変化は薬剤の大量投与による機能低下に対する単なる非特異的な代償性肥大と考えられる。3) 腎への影響: 6059-S 800mg/kg以上の投与で軽度な腎肥大が生じ, 近位尿細管上皮細胞でvesicleの増加, lysosoneの減少, 細胞間隙の拡張および酸phosphataseの軽度増加がみられたが, PSP排泄ではむしろ軽度亢進があったので, この変化は腎の排泄機能亢進像であって, 6059-Sには腎障害作用は無いといえる。4) その他: 6059-S投与群で, 検体の高浸透圧液大量投与を反映した摂水量の増加およびそれにともなう尿量の増加, 血漿中GPTの軽度減少, 脂質の増加, 軽度な局所刺激作用がみられたが, GPTの変化を除いては, いずれもCEZと同程度であった。CEZ投与群ではGPTの顕著な減少を認めた。その他の検査項目については異常は認められなかった。
著者
小林 文彦 古川 仁 長谷川 紀昭 吉崎 敏夫 原田 喜男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement7, pp.1007-1028, 1980-11-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
8

SPRAGUE-DAWLEY系ラット雌雄に6059-Sの760, 1, 260, 2, 100および3, 500mg/kgとCEZの760, 1, 260mg/kgを1日1回連続35日閥静脈内投与し, 毒性を比較検討した。なお, 一部の動物については, 最終投与後, さらに28日間の休薬期間をおき回復性をみた。6059-Sの高用量投与群とCEZ投与全群に, 毎回の投与後一過性の呼吸困難や脱力および顔面浮腫などがみられ, 投与期間中, 6059-S 3, 500 mg/kg投与群の雌雄各2/16例とCEZ 1, 260 mg/kg投与群の雄10/24例が, いずれも急性中毒症状を呈して死亡した。投与期間終了時点の血液検査で6059-S 3, 500mg/kg投与群に軽度の貧血がみられた。生化学分析では, CEZ投与群に血漿GOT, GPT活性の著しい低下があった。病理所見では, 6059-SおよびCEZ投与全群の盲腸の異常拡張を認めたのみで, その他に特記すべき著変はなかった。なお, 以上の変化は, 投与中止後の回復試験ですべて良好な回復性を示した。以上の結果から, 6059-Sのラットでの最大無作用量は1, 260 mg/kgと判断され。また, CEZとの毒性比較において, 6059-Sは毒性が極めて弱く, 安全性の高い化合物と結論された。
著者
中川 智視
出版者
富山八雲会
雑誌
へるん倶楽部
巻号頁・発行日
vol.10, pp.14-25, 2012-06

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)による『稲むらの火』の執筆に影響を与えたと思われる英文リーフレット"The Great Disaster in Japan, 15th June, 1896"(『日本での大災害 1896年6月15日』)の翻訳の一部である。記事は、当時横浜で発行され、ハーンをはじめ日本に関心のある外国人にとって大切な情報源の一つだった『ジャパン・ガゼット』誌の記者が、明治三陸地震の津波被災地を巡り、生存者の証言や、外国人記者から見た被災の状況などをまとめたもの。ハーンの研究者である中川智視氏により富山大学附属図書館のヘルン文庫から発見され、2011年3月11日に発生した東日本大震災以来、注目を集めている資料である。中川氏による翻訳の一部を収録。
著者
西内 偉格 吉田 真里子 木下 春樹 高岸 靖 山田 秀雄 稲沢 和博 中野 正行 能登谷 満 長谷川 博司 水平 敏知 菅野 浩一
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.179-197, 1990 (Released:2007-03-29)
参考文献数
4
被引用文献数
7

The distribution, excretion and metabolism of recombinant human interleukin-2 (S-6820) were studied using 125I-labeled compound (125I-S-6820)1. At 5min after intravenous injection of 125I-S-6820 to male and female rats, high radioactivity was observed in the kidney. Radioactivities in the other organs were lower than the serum level. Results obtained by whole-body autoradiography showed that high concentrations of radioactivity were found in the cortex renis.2. At 5min after intravenous injection of 125I-S-6820 to 20-th day pregnant rats, no radioactivities were detected in the amniotic fluid and fetus.3. Within 24hr after intravenous injection of 125I-S-6820, 78% and 1 % of administered radioactivity were excreted in the urine and feces, respectively. However, 98% of excreted radioactivity in the urine was not precipitated with trichloroacetic acid.4. In the kidney after intravenous injection of 125I-S-6820, a low molecular weight degradation products of 125I-S-6820 were observed as revealed by gel filtration radio-chromatography. In addition, micro-autoradiogram of cortex renis after intravenous injection of 125I-S-6820 showed that S-6820 was likely to be ultrafiltrated by the glomerulus and absorbed by proximal tubules. S-6820 appeared to be degraded in the kidney.
著者
西内 偉格 甲斐 包子 吉田 真里子 高岸 靖 山田 秀雄 永井 修吾 刈谷 巽 佐々木 緊
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.165-177, 1990 (Released:2007-03-29)
参考文献数
14
被引用文献数
5

The absorption, distribution, excretion and metabolism of recombinant human interleukin-2 (S-6820) were studied following intravenous or subcutaneous injection at a dose of 5×105U/kg to rats. Concentrations of S-6820 in serum, tissues and other body fluids were measured by a bioassay and an enzyme immunoassay. 1. After intravenous injection of S-6820 to rats, serum levels of S-6820 decreased biphasically and the half-lives of the α phase and β phase were 2. 4 min and 16min, respectively. 2. Absorption ratio after subcutaneous injection of S-6820 was about 37%.3. After repeated intravenous injection of S-6820 once a day for 5 days, the levels of S-6820 in serum and tissues reached the same levels as after single administration. No accumulation was observed.4. After intravenous injection of S-6820, especially high level was observed in the kidney, however, it decreased rapidly (t1/2=11min). The levels of S-6820 in the other organs (spleen, lung, heart and liver) were lower than the serum level.5. After intravenous injection of S-6820 to 20-th day pregnant rat, S-6820 in the amniotic fluid and fetus was not detected.6. After intravenous injection to lactating rats, the transfer of S-6820 from blood to milk was minimal.7. A little of S-6820 was found in the bile by EIA. S-6820 was not detected in the urine by EIA method.8. The disappearance rates of S-6820 in rats changed from t1/2(β)=0.41hr in sham operated rats to t1/2(β)=1.57hr in rats with renal excision. The kidney appeared to be the main metabolic site.
著者
松井 修視
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.19-34, 2010-11

This paper aims to elucidate how China wrestled with the problem of media access by foreign news organizations during the Beijing Olympics,and also to clarify how the Olympic Games themselves pushed China toward issuing new rules for increasing the freedom of foreign journalists. In addition it illustrates the complicated Chinese media system in which the regulations are operationalized."The Regulations on Reporting Activities in China by Foreign Journalists during the Beijing Olympic Games and the Preparatory Period" came into force as of Jan. 1,2007. These new regulations stipulated that foreign journalists had only to obtain an organization's or individual's prior consent when reporting in China. The regulations aresignificantly different from those issued in 1990 which required consent from local government or authorities when reporting in rural districts. The new regulations follow the major principles and spirit of the media rules introduced for the Beijing Olympic Games. After the Olympic Games,on Oct.17,2008,China announced a new law,essentially to sustain the Jan. 2007regulations. This shows how basic Chinese policy has opened the country to foreign media activities,and come to protect the lawful rights and interests of the permanent offices of foreign media organizations and foreign journalists. Even if China continues attempting to substantially control the foreign media and to maintain strict authoritarian rule over domestic media,loosening up on these controls should be expected in the very near future.2008年8月に開催された第29回北京オリンピック大会を契機に、中国においては、大会開催前から、また開催期間中を通して、中国に滞在する外国メディアに対して取材規制の緩和措置がとられた。この緩和措置は、オリンピックが終わったあとも継続して採用され、今日に至っている。国内のメディアに対しては、依然厳しい規制を行っている中国政府が、このオリンピックというスポーツイベントを通じて外国メディアに対し取材緩和措置をとるようになったことは、スポーツが法的なルールを変更する力を現実に持っているということでもあり、大変興味探い。本稿では、中国憲法による表現の自由保障、「出版管理条例」等に基づくメディア規制の現状を取り上げたあと、1990年の(旧)外国人記者及び常駐外国報道機関管理条例」、時限立法として制定された2007年の「北京オリンピック大会及び準備期間中の外国人記者の中国取材に関する規定」、オリンピック閉会後も引き続き規制緩和を認める2008年の「常駐外国報道機関及び外国人記者の取材に関する条例」のそれぞれの内容を紹介し、中国政府の外国メディア規制緩和措置に関して、その現状と問題点などについて整理を行った。
著者
比佐 篤
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.67-78, 2016-03-31

大学生は、自分で文献を講読して学術的な見解を立てる必要がある。ゼミ以外の多人数授業でも学生に見解を構築する機会をより多く与え、そのための方法論を学ばせるための授業法として、講読を活用した授業法がある。通常の授業のように何らかのトピックについてまとめたレジュメなどの基礎資料を用意しつつ、それを他の文献と絡めてさらに掘り下げた説明がどう行えるのかを学生に考えさせる課題を課す。その課題には、まずは教員が文献を指定する予習講読を課し、そのうえで学生に基本資料と関連する文献を自分で探させる事前課題を課す。こうして、文献に基づいた見解の提示を何度も体験させる。授業では、学生の解答に拠りつつさらに教員が修正した説明を行うことで、学生は自分の主張の妥当性や問題点を確認しつつ、教員の説明を通じてそれをいかに洗練させるのかについても学べる。こうした授業は、文献に基づきつつ見解を組み立てるという学術的な研究法と合致しており、授業を通じて学生は学術的な方法論を身に付けうる。さらに教員の側にも、学生への出題や学生からの解答を元に、他分野の文献を用いた説明を行う意識を強く持つことで、自分の専門からより広く他の研究分野へ視野を広げうるという利点もこの授業法にはある。
著者
比佐 篤
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.67-78, 2016-03-31

大学生は、自分で文献を講読して学術的な見解を立てる必要がある。ゼミ以外の多人数授業でも学生に見解を構築する機会をより多く与え、そのための方法論を学ばせるための授業法として、講読を活用した授業法がある。通常の授業のように何らかのトピックについてまとめたレジュメなどの基礎資料を用意しつつ、それを他の文献と絡めてさらに掘り下げた説明がどう行えるのかを学生に考えさせる課題を課す。その課題には、まずは教員が文献を指定する予習講読を課し、そのうえで学生に基本資料と関連する文献を自分で探させる事前課題を課す。こうして、文献に基づいた見解の提示を何度も体験させる。授業では、学生の解答に拠りつつさらに教員が修正した説明を行うことで、学生は自分の主張の妥当性や問題点を確認しつつ、教員の説明を通じてそれをいかに洗練させるのかについても学べる。こうした授業は、文献に基づきつつ見解を組み立てるという学術的な研究法と合致しており、授業を通じて学生は学術的な方法論を身に付けうる。さらに教員の側にも、学生への出題や学生からの解答を元に、他分野の文献を用いた説明を行う意識を強く持つことで、自分の専門からより広く他の研究分野へ視野を広げうるという利点もこの授業法にはある。
著者
比佐 篤
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.69-80, 2015-03-31

本稿では、大学でのリテラシー教育におけるレジュメ作成の指導法と、そうした指導が学術的な文章作成とどのように関係するのかについて論じる。まず、レジュメの作成にあたっては、箇条書きをわかりやすく書くにはどうするかについて伝えるべきである。具体的には、文末には句点を付けずに文章を短く切る、情報の段階化を行って項目ごとの連関性に配慮する、箇条書きの項目や章や節に規則性を持たせる、という3点である。これらのためには、パソコンでの書式設定が重要となる。つまり、見出しは本文と区別して書式設定を変えて、箇条書きはぶら下げイデントを行う必要がある。そうした書式設定を最初に行えば、レジュメ内で規則性が乱れるのを防げる。こうした作業を通じて、学術研究に必須となる参考文献の記載における書式統一の重要性も、学生に意識させうる。レジュメ作成の具体的な実習としては、課題図書を指定して内容の一部をまとめさせる。学術的に整合性のある論理展開を備えたレポートを作成するのは、初学者には困難を伴う。課題図書の内容を段階化した箇条書きでまとめていけば、論理展開の具体例を学びうる。したがって、わかりやすいレジュメの作成方法と学術的な論理展開の流れの両方を学べる結果となる。
著者
比佐 篤
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.69-80, 2015-03-31

本稿では、大学でのリテラシー教育におけるレジュメ作成の指導法と、そうした指導が学術的な文章作成とどのように関係するのかについて論じる。まず、レジュメの作成にあたっては、箇条書きをわかりやすく書くにはどうするかについて伝えるべきである。具体的には、文末には句点を付けずに文章を短く切る、情報の段階化を行って項目ごとの連関性に配慮する、箇条書きの項目や章や節に規則性を持たせる、という3点である。これらのためには、パソコンでの書式設定が重要となる。つまり、見出しは本文と区別して書式設定を変えて、箇条書きはぶら下げイデントを行う必要がある。そうした書式設定を最初に行えば、レジュメ内で規則性が乱れるのを防げる。こうした作業を通じて、学術研究に必須となる参考文献の記載における書式統一の重要性も、学生に意識させうる。レジュメ作成の具体的な実習としては、課題図書を指定して内容の一部をまとめさせる。学術的に整合性のある論理展開を備えたレポートを作成するのは、初学者には困難を伴う。課題図書の内容を段階化した箇条書きでまとめていけば、論理展開の具体例を学びうる。したがって、わかりやすいレジュメの作成方法と学術的な論理展開の流れの両方を学べる結果となる。
著者
堀籠 俊至
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1225, pp.107-110, 2004-01-19

全国赤帽組織は、軽自動車による運送業務を手がける協同組合です。全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会を上部団体として、全国に44の協同組合があります。このうちの1つ、赤帽北海道軽自動車運送協同組合が、2003年10月14日、札幌地裁に自己破産を申請しました。負債総額は約10億円。赤帽としては、初めての経営破綻となってしまいました。
著者
狩野 武
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.115-127, 1989 (Released:2013-02-19)
参考文献数
26
出版者
国際研修協力機構
雑誌
かけはし
巻号頁・発行日
vol.12, no.63, pp.2-10, 2004-04