出版者

図名は裏面墨書による。北蝦夷、すなわちサハリン島の地図。間宮氏実測とあり、測線と見られる朱線が描かれている。東岸は多来加湾、西岸はナツコ以南を描き、その北および東北部分は極端な省略形。経緯線は緯線のみ。緯度1度の間隔はおよそ18cmで、縮尺に換算すると約62万分1。間宮林蔵はサハリン測量当時は天体測量に習熟しておらず、国立公文書館所蔵の上呈図、当館所蔵の高橋景保編「日本図、蝦夷地」では、北端部の緯度がおよそ50度40分と実際より3度以上低く表示されているが、本図では50度線の位置が実際に近く修正されている。こうした点から間宮林蔵の測量記録をもとに、のちの天文方の関与で編集されたと思われるが詳細は未確認。運上所并会所、番屋を記号で示す。蝦夷人の居住状況との関係で「御邦域御定可然」の位置、要害とすべき場所を示す付箋が東西両海岸にある。
著者
山田 達之輔
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育学会年会物理教育研究大会予稿集 23(2006) (ISSN:24330655)
巻号頁・発行日
pp.65-66, 2006-08-04 (Released:2017-07-20)

筆者は,物理チャレンジの組織委員として物理チャレンジ2005,物理オリンピックに関わってきた。残念ながら,高校教員の間では,物理オリンピックに関する関心や認知度が高いとは言えないのが現状である。そこで物理オリンピック問題の特徴を分析して,オリンピックレベルの物理と高校物理との関係を明らかにする。そして物理オリンピックの問題に対応するためにどんな物理が必要であるかを示す。
著者
河野 崇 横山 正尚
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.177-181, 2013-08-30 (Released:2013-10-03)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Some validated methods for assessing pain in laboratory animals are currently available. However, it remains to be determined whether these methods are also applicable for aged animals. Recently, grimace scale (GS) was developed for pain assessment based on facial expressions, and can effective­ly evaluate animal spontaneous pain. In the present study, we investigat­ed that accuracy and reliability of the rat grimace scale (RGS) in aged rats. Six coders were trained with the RGS training manual. Unlabeled 80 facial images of which half were with no pain (baseline), the other half were with pain (2 - 4 h after laparotomy) were randomly assigned and then scored by the coders. A high degree of the reliability was found with an overall intra-class correlation coefficient value of 0.92. The average ac­curacy of pain detection assessed by coders’ dichotomous judgment of “global pain” or “no pain” was sufficiently high with a correct classification rate of 84.6%. Furthermore, a single subcutaneous administration with morphine (1.0 mg/kg) resulted in decrease of RGS at 4 h after laparotomy. These results suggested that RGS is a useful method for assessing spontaneous pain after laparotomy in aged rats.

1 0 0 0 OA 市中取締類集

出版者
巻号頁・発行日
vol.[160] 出家社人之部,
著者
牧野 悠
出版者
千葉大学文学部
雑誌
千葉大学人文研究 (ISSN:03862097)
巻号頁・発行日
no.43, pp.57-89, 2014

本稿は、日本近代文学会二〇一〇年度秋季大会(於三重大学、十月二二日)での小嶋洋輔、高橋孝次、西田一豊、牧野悠によるパネル発表「「中間小説」の問題系――昭和二〇年代の黎明」の筆者担当内容に基づいている。

1 0 0 0 OA 御触書集成

出版者
巻号頁・発行日
vol.[84],
著者
手戸 聖伸
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.45-69, 2004-06-30 (Released:2017-07-14)

本稿は、フランス第三共和政初期にジュール・フェリーの右腕として、ライックな道徳の規定と流通に大きな役割を果たしたフェルディナン・ビュイッソンの道徳概念と宗教概念を探ろうとするものである。彼はライックな道徳と宗教は理念的形態においては一致するとして、宗教的なライックな道徳という概念を打ち出している。このような規定の仕方に当時のライックな道徳の総体が還元されるわけではないだろうが、少なくともその一部を形作っている。彼の「ライックな道徳=宗教」は自由主義的なプロテスタンティズム、フランス革命の理念、カント哲学にそのルーツを持っていると言えるが、それじしんはキリスト教、ひいては宗教の臨界に位置しつつ、人類(ユマニテ)の観念と溶け合っている。ビュイッソンはその普遍性を確信しているが、こんにちの視点からその普遍主義の意味を問い返してみると、むしろその西欧性が浮き彫りになってくるように思われる。
著者
南雲 直子 バドリ バクタ シュレスタ 大原 美保 澤野 久弥
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

フィリピン共和国ルソン島中部のパンパンガ川流域は、 2015年10月中旬に襲来した台風24号及び12月中旬の台風27号により流域の広い範囲が浸水した。台風27号による降水量は台風24号のものよりも多かったが、観測された河川水位・浸水深、人的・建物被害は台風24号の方が大きかった。また、両台風による降水量・洪水規模は、過去30年間で最大とされる、2011年台風17号を超えることはなかった。フィリピンではNDRRMC(National Disaster Risk Reduction and Management Councilを中心に広域行政区、州、市、バランガイにそれぞれDRRMCが設置され、防災体制は他の東南アジア諸国と比べ進んでいる。しかし、洪水が頻繁に発生し、ある程度の時間差で上流から下流へと洪水が波及するパンパンガ川流域では、ハザードマップ作成やリスク評価とともに、地域レベルでのタイムライン策定など、より良い復興のための対策を今後も充実させていくことが必要であろう。

1 0 0 0 OA 南都暦

出版者
巻号頁・発行日
vol.[14], 1667
著者
老兵士 編
出版者
尚武館
巻号頁・発行日
1901
出版者
巻号頁・発行日
vol.[2] 天保十三 内表紙「町方諸訴聞置もの并年延願」とあり,

1 0 0 0 OA 太平記

出版者
巻号頁・発行日
vol.[5],
著者
沼田宗敏 輿水 大和 秦野 やす世 神谷 和秀 野村 俊 二宮 市三
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.4051-4058, 2007-12-15

従来,直線,円,楕円などの幾何学図形の生成法が多数報告され,傾斜楕円についても若干の研究業績がある.本論文では,1 点あたり2 回の乗算で傾斜楕円を生成する画期的な三項漸化算法を提案する.三角関数の間に成り立つ一対の漸化式が同型であることが,その秘訣である.初期設定や楕円弧描画は従来法と比較して簡単であり,それを従来の高速生成法と同等以上の計算速度で実現する.また,実験によって新算法の有効性を検証する.

1 0 0 0 OA 天明撰要類集

出版者
巻号頁・発行日
vol.[18] 八上 金銀銭両替之部,
著者
垂澤 悠史 松本 真弓 春山 成子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.115, 2010

1. はじめに<BR> 人間活動は自然環境と調和した文化景観を育み、生活・生業の在り方を表す景観地について、当該地域の風土により形成された景観地で日本国民の生活または生業の理解のために欠くことのできないものであり、これらを文化的景観と表現してきた(文化庁)。すでに、春山(2004)は中山間地域の星野村の棚田の文化的景観について、自然環境・人文環境の相互関係の中で成立していることを示し、当該地域の住民のアンケート調査から、「なじみの景観」の中に高い評価点を見出していることも示した。一方、域外からの来訪者の意識の中にはプロトタイプの日本の原風景としての棚田への強い意識の上に文化的景観の咀嚼が認められた。近年では、さらに広い空間を対象として、河川景観に着目して四万十川流域を重要文化的景観として評価されてきているが、必ずしも、河川流域の文化的景観に対しての評価手法が整えられてわけではない。<BR> そこで、今回、三重県、和歌山県、奈良県の県境を流れる一級河川である新宮川(熊野川)流域が世界遺産として登録されている中世以降の信仰地域としての景観を残していることに注目して、河川景観の中に残されている歴史文化的景観のフオトボイス分析手法によって文化的景観の分析を行おうとした。上流地域には林業地域としての景観、神社森を含めた歴史的信仰景観、水運景観が複雑に入り組んでおり、自然災害としての斜面崩壊地、土砂災害などの自然災害と防災に取り組む景観も含まれている。新宮川の美しい自然景観の中に人類の多様な営みの景観が独特に共存しているのである。<BR><BR>2. 景観をとらえる手法について<BR> 文化的景観は局地的な微気候・表層地質と地形・植生などの自然的な環境要素を基層として、この上に成り立っているさまざまな人間の社会的な活動を反映している。ここには、歴史的・民俗的・文化的な要素が複雑に関係生を均衡させている。それらの諸要素の解釈にむけて、将来に向けた河川景観についての評価を考えるために、景観評価を画一的な手法で分析を試みようとした。ここではフオトボイス分析を用いることにした。また、景観評価にかかわり当該地域の住民の心象風景についての聞き取り調査を行った。現地調査は2009年10月、2010年5月に行い、新宮市の教育委員会での資料探査、新宮川河口部から本宮までの河川景観の写真撮影とその解釈を行った。<BR><BR>3. 新宮川(熊野川)の河川流域の中に残る信仰景観<BR> 新宮川下流には速玉神社と神社森、本宮の神社森が重要な信仰空間として上下流に対置している。いずれの社寺地も河川に隣接している。また、日本有数の豪雨地帯を背後に抱えているために、本宮は新宮川の洪水に伴って河道変遷が生じたために、神社社寺地の空間的な立地は大きく変化を受けた。しかし、旧社寺地は神社森として河道近くに保存さており、河川流域の変化を記憶として残している。一方、河川・河道においては、かつての重要な参宮路としての水運のための航路の歴史的な痕跡が残されている。現在、防災施設の設置によって河川景観は大きく変動してはいるが、俯瞰しうる河川景観には信仰景観を大きく感じることのできる空間である。<BR><BR>文献<BR>春山成子編著(2004)棚田の自然景観・文化景観、農林統計協会出版
著者
長谷川 奨悟
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

1.はじめに〈BR〉本研究は,近世・近代の京都および,近世の大坂において,「名所」とされた場所や景物をめぐる「場所認識」(「名所観」)や,名所案内記の編者(多くの場合は知識人層)によって創られた「場所イメージ」の生産(再生産)をめぐる諸様相について,人文地理学的視点から検証を進めるものであり,本報告は,これを進めていくにあたって,必要な問題設定を行なうための手がかりとなる概念的整理を旨とするものである。2.知識人層の場所認識〈BR〉日本の近世から近代のある時期までは,例えば学者や俳諧師などといった知識人層が,その場所で語られる由緒や伝説といった「過去の事象」,あるいは,現在の繁華な様相に基づいて,注目すべき場所や景物を「名所」として見出していく。彼らは,名所地誌本の編纂(著述)を通じて,「名所」という場所イメージの生産(もしくは再生産)の実践をおこなっていたとみなすことができる。このことから,名所をめぐる問題に取り組むにあたり,(1)「名所」とは,経験や知識の集積によって構築された価値観に基づいた何かしらの場所認識や,まなざしによって見いだされ,知識人たちによって生産(あるいは,再生産)された差異の表象であり,場所イメージの1つであること。(2)それらは,旅や読書という行為を通じて一般大衆に受け入れられた文化的事象であると報告者は捉えてみたい。3.メディアとしての名所地誌本・名所絵〈BR〉スクリーチ(1997)は,「名所図会」は旅をしない人々に需要があったのであり,場所をめぐる口桶的な伝統に入った裂け目が名所図会を生んだのだと説く。さらに, (1)無知な人がある場所のことを一応すぐわかることができること。(2)他の人間との関わりなしでも物知りになれること。という2つの機能があったと指摘する。佐藤(2012)は,名所絵(泥絵/浮世絵)とは,景観の見方の規範を生産する文化装置であったことを説き,それぞれの絵画の差異にはその規範の対象なる読者(様々に規定された「共同体」)の「トポフィリア(場所愛)」が結びついた重層的な場所イメージの違いが想定されていた可能性を見いだした。さらに,名所地誌本(の挿絵)や,江戸泥絵などについて,トポグラフィ-場所を描く視覚的表象-としてとらえ,視覚文化の枠組みから捉え直す必要性を述べる。4.文化的構築物としての名所 〈BR〉名所とは,和歌に詠まれる「歌枕」がその原意であり,古代における名所とは,和歌において重要な役割を担うものであり,知識としての場所認識であったといえる。鶴見(1940)によれば,中世には名所や風景をめぐる場所認識は,中国の山水思想などの影響を受けたという。近世には名所地誌本の刊行や庶民文化の発達によって,名所とされる場所は多様化し,近代初頭には,西洋風の近代建築が名所として認識されるなど,時代的・文化的変遷によって,名所とされる場所や景物,さらにその価値付けが変化する流動的な側面を持つと指摘できる。これについて,場所をめぐる概念について整理した,大城(1994)の成果を援用すれば,名所と見なされる場所もまた文化的構築物の一形態であるとみなすことができよう。〈BR〉また,秋里籬島が,『都名所図会』において「京らしさ」や「上方文化」の表象を試み,『江戸名所図会』の編者である斉藤月琴は,江戸の優位性や江戸の特異性を,名所図会というメディアを通じて世間に知らしめることを試みている。つまり,自身が住まう都市に対する都市や,場所への誇り,あるいは,都市や場所をめぐる特定のとらえ方が,自身の作品である名所地誌本に反映されているという見方ができるであろう。5.おわりにかえて〈BR〉名所をめぐる問題には,地理学において議論されてきた「場所」の地域性や差異,つまり,名所とされる場所や景物には,その地域で生成されてきた風土や文化といった諸コンテクストが大きく関与しているという視点に立っての検証が必要となろう。そして,土居(2003)が指摘する「トポグラフィティ」や,トゥアンの「トポフィリア」をめぐる概念が有効な手がかりの1つとなろう。