著者
山崎 光子 Yamazaki Mitsuko
出版者
県立新潟女子短期大学
雑誌
県立新潟女子短期大学研究紀要 (ISSN:02883686)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.91-104, 1984-03

1.資料についての情報(1)ここであつかう資料は,農作業用と思われる上半衣型(二部式)の3点である。(2)収集者は,2点はアチック・ミューゼアム同人であり,1点は個人の蒐集家によって採集されたものである。(3)採集時期は,1点は1934年であり,他の2点は不明である。(4)採集地は,山形県と宮崎県,1点は不明である。(5)呼称は,鉄砲袖袷短衣,農作業衣,ヤマジバン(又はタナシ)である。2資料の分析a.形状(1)本資料の構成要素は,身頃,袖,衿から成っている。(2)衿は,かげ衿型が2点,本衿襦袢型が1点である。(3)袖は,鉄砲袖と半袖と平袖である。(4)馬のりは3点ともあり,11.5cmから20.5cmである。(5)つけ紐は,胸もとのはだけるのをふせぐために左右の胸元に紐の一組がつけられたものが1点だけある。(6)各資料の寸法①丈については,最少値81.5cm,最大値91cmである。②裄丈は,最少値45cm,最大値70.5cmである。細袖と半袖は仕事着の長短,両極端の長さの袖なのでその差異が大きい。b.材料(1)織布の材質と柄,染め色①素材は3点とも木綿布で,組織は平織である。②糸密度は,縫糸は〔22本/cm〕から〔41本/cm〕まで,緯糸は〔14本/cm〕から〔26本/cm〕までである。③布の厚さは,0.7mmから6.9mmまでである。④合わせ布の枚数は,3点とも2枚合わせである。⑤布の重さは,600gから690gである。⑥表布の織柄は,紺地茶縞のもの1点,紺無地のもの1点,浅黄無地と黒地縞のもの1点である。裏布の織柄は,白地の手拭いを用いたもの1点,浅黄無地のもの1点,浅黄無地と黒地縞と白茶無地のもの1点である。表布で2種類の布を用いた資料は2点,1種類の布を用いた資料は1点であるといえよう。(2)刺子糸,縫い糸の材質と色①刺子糸,縫い糸いずれも3点とも木綿糸である。②刺子糸の撚り方は,3点とも右撚りである。縫い糸も3点とも右撚りの糸を用いているが,1点だけ部分的に左撚りの糸を用いているものがある。③刺子糸の色は,紺を用いたものが2点,白と黒を用いたものが1点である。④縫い糸は,紺を用いたものが2点,白と黒を用いたものが1点である。⑤刺し方は,縦刺しが1点,矢羽根状に刺したものが1点,模様刺しが1点である。刺し方の針目は,〔9針目/10cm〕から〔24針目/10cm〕であり,その間隔は,〔4本/10cm〕から〔20本/10cm〕である。c.縫い方と裁ち方(1)縫い方①縫い方は,合わせ縫いと伏せ縫いで縫ってあるもの2点,合わせ縫いだけで縫ってあるももの1点である。その縫い目は,合わせ縫いは〔10針目/10cm〕から〔12針目/10cm〕であり,伏せ縫いは〔6針目/10cm〕から〔8針目/10cm〕である。②へりとりの様子は,裾だけへりとりがあるもの1点,衿,衿下,袖,裾にあるものが1点,へりとりのないものが1点である。(2)裁ち方①布幅は,31.5cmから34cmである。②表布の用尺は,440cmから655cmであり,1反でほぼ2枚分の作業着が出来ることになる。

1 0 0 0 OA [師守記] 64巻

著者
中原師守//〔著〕
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻6 紙背, 1339
著者
中川 拓麻 奥 牧人 合原 一幸
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.271-274, 2016-05-01 (Released:2016-05-30)
参考文献数
8

近年,力学系理論を用いて複雑システムの急激な転移の予兆を事前に検出する動的ネットワークマーカー(Dynamical Network Marker: DNM)の手法が発展しつつある.本研究では,複雑ネットワーク構造を持つ数理モデルを構築してその有効性の解析を行った.これに際して,転移の予兆として従来考えられていた性質の一部は,現実的には多くの場合成立しないことを指摘し,手法の修正を行った.数値解析の結果,システムの性質に応じてDNM を適切に選ぶことで,幅広いシステムにおいて転移の予兆検出が可能であることが示唆された.
著者
相内 眞子
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-12, 2008

アメリカにおいては,教育レベルや職業領域における性の平等が進み,高度な情報や技術をもつ専門職女性が増加し,政治家予備軍の一部になりつつあることから,女性の政治的進出にとって性差別的な文化や,社会経済上の障壁は克服されたとされてきた。しかし一方で,連邦議会の女性比率が上下両院とも2割に満たないことから,克服されたはずの「文化的障壁」の再評価に研究者の関心が向けられることになった。女性の出馬の決断には,育児を含む家庭責任を中心にした伝統的性役割規範が依然大きな影響力をもつことが明らかになり,また,列国議会同盟の調査では,女性政治家の多くが議会進出の障壁を「女性の政治参加に対する敵対的態度」としていることから,女性の政治的進出と文化との関係が再び注目されることになった。小論は,東北大学COEプログラム「男女共同参画社会の法と政策」が実施した意識調査のうち,「女性政治家に対する有権者の態度」に焦点を絞り,日本社会における有権者間のジェンダー・バイアスの有無やその強度を探り,文化によって醸成された価値観と女性政治家に対する態度との関連を考察し,女性政治家を支持する有権者像を明らかにしようとしたものである。結果的には,回答者の多数が性差別主義者でないことが明らかになったものの,女性政治家を支持し投票する有権者像をクリアに描き出すことはできなかった。興味深いのは,女性政治家に対する受容度が高いグループでは,2005年の「郵政民営化選挙」における「女性刺客」戦術に対する評価が一定に高く,女性政治家の増加に対するプラグマティックなアプローチを肯定する態度が見られたことである。他方,受容度が低いグループには,女性政治家の活動分野を,福祉や教育などに限定する志向が見られ,男性政治家以上に高い倫理感を求めるなど,必ずしも性中立的とはいえない傾向が見られた。

1 0 0 0 OA つるきのまき

出版者
巻号頁・発行日
1653

室町物語。承応2年(1653)刊。丹縁本。源氏重代の2ふりの名剣の由来について述べたもの。『平家物語』の屋代本、百二十句本と関わりあり。当館蔵の奈良絵巻『平家物語剣の巻』(当館請求記号:WA31-5)と同一内容。清和源氏の祖多田満仲が2振りの剣「鬚切」「膝丸」を作らせることからはじまり代々伝えて、2剣が源頼朝の手に収まるまでの経緯を述べる。九年の役、後三年の役、保元の乱、平治の乱から平家追討、義経の最後までの源氏の歴史を述べる中に、宇治の橋姫、一条戻り橋、土蜘蛛、三種の神器、スサノオノミコトの大蛇退治、日本武尊の東国征伐、熱田大明神など剣をめぐる様々の説話が語られる。(岡雅彦)(2016.2)
著者
長塚 隆
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.340-346, 1999-07-01
被引用文献数
1

インターネットの急速な普及により,データの編集物としてのデータベースのコンテンツが不正抽出されたり,再利用される恐れが広がった。このような中で,1991年のFeist判決は,従来米国の著作権法ではデ一タベースは「額に汗」論により保護されるとの考えを覆したので,ヨーロッパ諸国に著作権でデ一タベースの保護が十分できないのではないかとの大きな関心を引き起こした。EC委員会は,1996年に加盟国にデ一タベースの法的保護であるEUデータベース指令を発した。著作権を補うデータベースのコンテンツ保護である新たな権利(sui generis)を盛り込んだ本指令は,1998年までに加盟国での法制化を指示している。著作権によるデータベースの保護に加えてファクトの編集物の保護ための著作隣接権としての新たな権利(sui generis)はわが国における法制化の際にモデルのひとつとなっている。
著者
本多 博 畑中 大路 藤井 佑介 高橋 純 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.181-184, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
7

管理職が授業観察を行う際の視点と洞察の明確化を目的として,小学校の管理職73名を対象に調査を行った.その結果,管理職になったことによって授業観察の視点に変化があったと答えた管理職は有意に多かった.授業観察の視点は16,洞察は30の下位項目に整理され,それぞれを6つのカテゴリーに集約した.この視点と洞察のカテゴリーの関係を調べたところ,視点のカテゴリーの一部には,洞察されやすいカテゴリーが存在することが示唆された.さらに,校長と教頭は異なったカテゴリーの視点から授業を観察していることが明らかとなった.
著者
早坂 昌子 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.173-176, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9

本研究は,教えるという行為に対する態度に着目し,教えることについての態度尺度を作成することを目的とした.成人178名を対象にして因子分析した結果,「教えることへの自信」,「教えることの価値」,「教える相手次第」の3因子15項目で構成されていることが示された.また,教えることについての態度尺度とBig Five 性格特性,教える仕事に就いた経験,育児経験の関係について検討した.その結果,Big Five 性格特性は各因子に関係があり,就業経験は「教えることへの自信」得点に有意な差が認められたものの,育児経験による差異はみられなかった.したがって,教えることについての態度は,パーソナリティ特性や経験に関係があることが示唆された.
著者
菅井 道子 堀田 龍也 和田 裕一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.125-128, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
12

高校生による教育用SNS を活用した協調的議論に対する生徒の自己評価に影響を及ぼす要因の検討を目的として,教育用SNS を活用した議論演習を2回行った.対照群として対面での議論演習を行う群を用意した.事前と事後の質問紙調査,および議論演習後の議論への自己評価に関する質問の回答を分析した.その結果,教育用SNS を活用した議論においては,グループの人数が増えるほど,生徒は根拠などの理由を伴い主張する論証のスキルが向上したと実感する傾向が示唆された.加えて,情報の判断力や表現力などの議論に関連した意識や態度の変容と,論証の出来不出来に対する生徒の自己評価が関連することが示唆された.
著者
神谷 克巳
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.139-141, 2015-05-31 (Released:2015-09-01)
参考文献数
11

The diamondback moth (Plutella xylostella) is a serious pest to many cruciferous vegetables. Several entomopathogenic fungi were collected from the larvae of P. xylostella from fields in Gifu prefecture, Japan. We obtained four isolates of the entomophthoralean fungus, Erynia blunckii, which was considered a major natural enemy to P. xylostella in Japanese radish fields in Takasu, Gifu. The character of the fungus as a biocontrol agent was investigated. These isolates showed over 20 times higher conidia production than Zoophthora radicans isolates obtained from Takasu. A dose mortality assay on the E. blunckii isolate T10A showed that the LC50 value for 4th instar larva was 3.73 conidia/mm2.
著者
河野 貴範 松原 行宏 岡本 勝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.077-080, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
4

我々の研究グループでは力覚提示デバイスを用いた学習支援システムの研究を行っている.また,視覚情報から力覚を錯覚させる擬似力覚という手法があり,擬似力覚提示を学習支援システムに用いた研究も行われている.しかしそれら2つの提示方法の学習における差異についての研究は行われていない.そこで本研究では各提示方法による学習効果や各提示方法の特性の比較を目的とし,力覚提示と擬似力覚提示,比較用に音声提示を組み込んだ漢字学習支援システムを開発した.システムを用いた実験により擬似力覚提示は力覚提示よりも感じられる度合いに個人差が見られたが,感じられた人は力覚提示と同様の教示的効果を得られることが確認できた.
著者
鶴田 利郎 野嶋 栄一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.065-068, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

本研究では,高校生のインターネット依存を改善することを目的とした単元の開発を試みた.開発した単元は,各学校の情報科教育のカリキュラムに応じて,3時間,5時間,9時間で実施できる3種類の単元を開発したところに特色がある.そして2015年度,2016年度に複数の学校において授業実践を実施した.その後,鶴田ほか(2014)の尺度を用いた生徒の依存傾向の変容についての質問紙調査などを通して,開発した単元による授業実践の成果と課題について検討した.その結果,3時間の単元ではメール不安,長時間利用,ながら利用因子の改善に,5時間の単元ではこれらに加えて精神的依存状態因子の改善に,そして9時間の単元はすべての因子の改善に有効であることが示唆された.
著者
三井 一希
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.057-060, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
6

本研究では,小学校の授業において学習の見通しを持つために開発した「学習アイコン」について報告し,児童・教師の評価を通してその効果を検証した.「学習アイコン」とは,授業の流れを視覚的・直感的に理解できるように,授業の流れをアイコンにして提示するためのツールである.アンケート調査の結果から,学習アイコンを使うことで,児童や教師は学習の見通しが持ちやすくなる可能性が示唆された.
著者
高山 憲之 白石 浩介
出版者
公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構
雑誌
年金研究
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-25, 2016

<p>1)本稿では、まず第1に、所得税における配偶者控除を夫婦控除に切りかえる場合の税負担増減効果を、『国民生活基礎調査』(2013 年実施)のマイクロデータを利用して推計した。その際、全体として増減税同額(税収中立)になるように配慮した。想定したのは2012年の所得税制である。次いで、2017年度税制改正大綱における配偶者控除の見直しについても同様の推計を試みた。</p><p>2)いわゆる103万円の壁は税制上、存在しない。</p><p>3)配偶者に年間65 万円超141万円未満の給与収入がある場合、現行税制は配偶者の給与収入に対して、いわゆる「二重の控除」を認めている。この「二重の控除」は事実上、妻のパート就業に税制上の恩典を与えるものである。</p><p>4)配偶者控除だけでなく基礎控除も併せて考えると、現行税制は専業主婦(収入を伴う仕事をしていない家事専業の妻)世帯を一切、優遇していない。世帯合計の控除額は妻が正規(より厳密にいうと年間給与収入141万円以上)の共働き世帯と変わりがないからである。「配偶者控除は専業主婦世帯を優遇するシンボルだ」というのは誤解だ。</p><p>5)配偶者控除(配偶者特別控除を含む。以下、同様)を廃止すると、全体として38%(2000万世帯)の世帯で税負担が増える(負担増は平均で年間3 万6000円)。特に、妻が非正規または専業主婦の場合、その約4分の3の世帯(1600万世帯)が税負担増となる。</p><p>6)現行の配偶者控除(38 万円)を所得控除方式の夫婦控除(38 万円。夫の年収800万円までの所得制限つき)に切りかえても、負担増減のない世帯が全体の76%に及ぶ一方、負担増組は9%(480 万世帯)、負担減組15%(800万世帯)となる。負担増組は多数派とはならない。ちなみに、世帯年収400万円以上800万円未満の中間所得層については、負担減組の方が負担増組より多い。ただし、負担減は高所得層ほど多額となる。</p><p>7)他方、年額2 万7500円の夫婦税額控除に移行すると、全体の32%(1700万世帯)が負担減、16%(850万世帯)が負担減となる一方、残りの52%は負担が変わらない。ここでも負担減となる世帯の方が負担増世帯より多く、中間所得層においても減税組が増税組を世帯数で圧倒している。負担減は大半の共働き世帯に及ぶとともに、専業主婦世帯でも負担減組の方が負担増組より多い。特に世帯年収300万円以上500万円未満の中低所得層に位置する専業主婦世帯では負担減となるケースがほぼ70%となっている。</p><p>8)夫婦税額控除への移行により、有配偶世帯に関するかぎり、配偶者(その大半は女性)の働き方に中立な税制が実現する。</p><p>9)2017年度税制改正大綱はパート主婦が享受している税制上の特権を中間所得層に限って拡大・強化する性格を有し、それは、働き方に中立な税制の実現という改革理念に背馳している。</p>

1 0 0 0 OA 田券と古文書

出版者
巻号頁・発行日
vol.[6],