著者
阿漕 孝治 泉 仁 岡上 裕介 池内 昌彦
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.197-202, 2016-12-26 (Released:2017-01-27)
参考文献数
11

Knee pain is a major source of disability in patients with knee osteoarthritis (OA). Although the mechanism of OA progression has been well documented, pain pathophysiology is largely unknown. Recent accumulating clinical evidence indicates that subchondral bone marrow lesions (BMLs) detected on MRI in knee OA are strongly associated with intense pain. In this review we describes bone pain in knee osteoarthritis clarified by our basic and clinical studies.In basic studies, we clarified nociceptive phenotype alterations of subchondral bone afferents of the distal femur in mono–iodoacetate (MIA)–induced OA rats. Two different retrograde tracers were separately injected into the knee joint cavity and the subchondral bone to identify synovium and subchondral bone afferents. OA caused an up–regulation of calcitonin gene–related peptide (CGRP) and tyrosine receptor kinase A (TrkA) in both synovium and subchondral bone afferents. CGRP and TrkA expression in subchondral bone afferents gradually increased over 6 weeks. Furthermore, up–regulation of CGRP and TrkA in subchondral bone afferents displayed a strong correlation with the subchondral bone damage score. Up–regulation of CGRP and TrkA in subchondral bone afferents correlated with subchondral bone damage, suggesting that subchondral bone is a therapeutic target, especially in the case of advanced stage knee OA.In clinical studies, we clarified the association of subchondral BMLs with pain in medial compartment knee osteoarthritis. Total BMLs size were significantly correlated with walking pain (Spearman’s r=0.59, p<0.01). As a result of the multi regression analysis, subchondral BMLs became a factor of walking knee pain in the case of advanced stage knee OA (Regression coefficient = 0.75, p<0.01). Subchondral BMLs are potentially therapeutic targets to treat pain associated with subchondral bone in knee osteoarthritis.In conclusion, subchondral bone, in itself, is a therapeutic target, especially in the case of advanced stage knee OA. In particular, BMLs are potentially therapeutic targets to treat joint pain associated with the subchondral bone in OA.
著者
加藤 幸夫 西村 正宏 菊地 寿幸 澤井 高志
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.20-31, 2009-03-30 (Released:2016-03-31)
参考文献数
40

A rabbit osteoarthritic knee model was used to analyze time-related accessibility of high molecular weight 2,700 kDa hyaluronan to healthy and osteoarthritic articular cartilage and synovium. Fluorescein-labeled high-molecular weight 2,700 kDa hyaluronan (F-HA) was found in shallow, inner and deep layers of degenerated cartilage within 3-24 h after injection. It quickly reached the deep cartilage layer and was retained within inner and deep layers up to day 28. In constrast, in healthy knees, F-HA accessibility was confined to superficial and shallow cartilage layers during 3-24 h and did not change until day 28, showing no signs of deep layer retention. In both healthy and osteoarthritic knees, F-HA penetrated synovium from its synovial lining cell layer to the interstitium in subsynovial fat tissue (deep layer) at 3-24 h after injection. Though having a high molecular weight, 2,700 kDa HA rapidly penetrated shallow, inner and deep layers of degenerated cartilage and deep layer of synovium after its intra-articular injection. The joint tissue penetration of 2,700 kDa HA after its intra-articular injection in an animal OA model indicates that soon after the injection, hyaluronan is rapidly accessible to synovial and degenerated cartilage tissues. There, it exerts its anti-inflammatory actions on the synovium and degeneration-inhibiting action on the articular cartilage.
著者
田中 晃平
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2014-02-05

卓球ボールは半径2cmと小さく, 質量2.7gと軽量である. また, ボールとラケットラバーとの摩擦が大きいのでボールに回転をかけやすい. ほかの球技に比べて競技中の無次元速度(Re?1.0×?10?^5)は低く, 無次元回転数(SP?2)が大きくなるのが特徴である. そのため, Re数, SP, 回転軸が空気力(抵抗と揚力)に大きく影響し, 重力を凌駕して飛翔軌道を変化させる. 一般にトップスピンボール(ドライブ)には鉛直下向きの, バックスピンボール(カット)には鉛直上向きのマグナス力が働くことが知られている. 一方, Tanedaの水槽実験ではマグナス力の方向が逆転する「負のマグナス効果」が観測されるパラメーター領域の存在が示された. Tanedaの提唱した「負のマグナス効果」の領域はRe=5.0×?10?^4まで広がっている. 卓球競技中に「負のマグナス効果」が発生するとなると, 競技者による球種の選択に重大な影響を及ぼす可能性が生じる. スポーツ流体力学の観点からも低Re 数領域での「負のマグナス効果」の詳細が注目される. 本論文では, Re 数, SP, 回転軸が空力に及ぼす影響を調査するため, 3ローター式発射装置により発射された卓球ボールの飛翔軌道を, 高速度ビデオカメラを用いて撮影し, 卓球ボールの抗力係数C_D , 揚力係数C_LZを計測した. Nittaku社製の卓球ボール(真球)を試験球とし, 卓球競技で想定されるRe 数とSP領域で, C_D, C_LZ のRe 数依存性, SP 依存性, 回転軸依存性を調査した. バックスピンする卓球ボールに対する2.0×?10?^4?Re?9.0×?10?^4 のSP 依存性を測定した結果, C_LZ<0となる領域はなかったが, Re=9.0×?10?^4ではSP=0.5でC_LZ?0となることを確認した. 卓球競技で想定されるRe 数領域で「負のマグナス効果」が発生しないが, C_LZ はSP の単調な増加関数でないことを見い出した. また, SPを固定してRe 数依存性を調べた. SP=0.5の場合, C_D, C_LZ ともにRe 数が増加するにつれて減少した. SP=1.0 の場合, Re 数が増加するにつれてC_D は減少し, C_LZ は増加した. 次に回転軸を水平面内の様々な角度に設定した. SP=0.34,θ=0°,30°,45°,90° におけるRe 数依存性は, C_D はほぼ一定で, C_LZ はRe 数が増加するにつれて減少した. また, Re=3.0×?10?^4,5.0×?10?^4におけるC_D, C_LZ の回転軸θ 依存性を測定した結果, C_D はほぼ一定で, C_LZ は回転軸が0°から傾くにつれて緩やかに増加し, 45°?θ?60°付近から一定となった. 以上のように, 飛翔実験では「負のマグナス効果」は発生せず, Tanedaの水槽実験や小西らの風洞実験結果とは一致しなかった. 逆に小西らの風洞実験結果から準定常性を仮定して飛翔軌道を求めてみても, 本実験結果は再現できないことがわかり, 現象の非定常性の重要性が示唆される結果となった.
著者
森山 明美 阿部 典子 山岸 由幸
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.1201-1210, 2014 (Released:2014-10-20)
参考文献数
26
被引用文献数
1

【目的】本研究の目的は、看護師の栄養管理に関する自己評価尺度を開発することである。【方法】看護師655名を対象に無記名自記式質問紙により行った。調査は再現性評価のため再テスト法を用いた。質問項目は、文献から栄養に関する看護介入を検討し、35項目を作成した。尺度タイプは5段階リカート法を用いた。【結果】回収403名、有効回答は365名であった。因子分析は一般化された最小2乗法を用い、因子数は固有値1以上の基準とした。因子負荷量は0.35以上で因子分析を繰り返した。プロマックス回転の結果、5因子24項目を抽出し「看護師の栄養管理に関する自己評価尺度」と命名した。5因子について各項目内容を検討し、「アセスメントに基づく食事指導」「食事摂取に関する援助」「経管栄養に関する援助」「在宅栄養管理に関する援助」「職種間との連携」と命名した。α係数はα=0.743~ 0.908、再テストは r=0.34~ 0.65であった。【結論】開発した本尺度は信頼性と妥当性を確保したと判断した。
著者
森山 明美 阿部 典子 山岸 由幸
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.959-964, 2015 (Released:2015-08-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】本研究では病棟看護師が栄養管理に関する自己評価に影響する要因を検討することを目的とした。【対象及び方法】成人病棟に勤務する看護師655名に無記名自記式質問紙調査を実施した。質問紙は24項目からなる「看護師の栄養管理に関する自己評価尺度」を使用した。これは栄養管理全般における看護実践能力を評価するものである。【結果】合計得点は経験年数により有意差がみられた(p<0.001)。多重比較では、1-2年目は3-5年目(p<0.001)、11 年目以上(p=0.018)より有意に低かった。6-10年目は3-5年目より有意に低かった (p=0.019)。また、栄養学授業構成に関して合計得点は「講義と演習・実習」が「講義のみ・履修なし」より有意に高かった(p=0.044)。多重ロジスティック回帰分析では、栄養学授業構成において「講義と演習・実習」が「講義のみ・履修なし」より合計得点の上位群が2.05倍(オッズ比2.05,95%信頼区間1.04-4.03)であった。【結論】病棟看護師の栄養管理に関する自己評価は、経験年数や栄養学授業構成が得点と関連した。
著者
築山 高彦 山田 光治 愛知県西三河児童・障害者相談センター 岡崎女子短期大学幼児教育学科
雑誌
岡崎女子大学・岡崎女子短期大学 地域協働研究 (ISSN:21892385)
巻号頁・発行日
no.1, pp.29-37, 2015-03-30

安全委員会方式を導入している施設の活動の状況と職員へのアンケート調査から、安全委員会方式導入の効果と効果的 で安定的な安全委員会の運営のために必要なことについて検討した。導入の効果としては、個々の児童も職員も意識面や 行動面でよい変化が認められること、組織としての対応が徹底されたこと、関係機関との連携が強化されたこと、職員の 児童処遇への自信や安心感が生まれてきていることが挙げられた。また、効果的で安定的な安全委員会の運営のためには、 「丁寧で継続的な聞き取り調査の実施」、「厳重注意以前の対応の的確な選択」、「厳重注意の適切な実施と日々のアフター フォローの重要性」、「児童・職員への周知の徹底」を指摘した。

1 0 0 0 OA 五經大全

著者
明胡廣等奉敕撰
巻号頁・発行日
vol.[8], 1653
著者
杉本 良男 Yoshio Sugimoto
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.305-417, 2007-03-23

小稿は,南アジアに広く受けいれられている聖トマス伝説について,1)現在の状況の概要,2)聖トマス伝説の形成と展開およびその歴史的背景,3)ヒンドゥー・ナショナリズムとの関係のなかでの現代的意義,とりわけ2004 年末のスマトラ沖大地震・インド洋大津波をめぐる奇蹟譚の解釈をめぐるさまざまな論争と問題点,について人類学的に考察しようとするものである。問題の根本は,インド・キリスト教史の出発点としてつねに引き合いに出される聖トマスによる開教伝説の信憑性をめぐる論争そのものの政治的な意味にある。南インドには,聖トマスの遺骨をまつるサントメ大聖堂をはじめトマスが隠棲していた洞窟などが聖地として人びとの信仰を集めている。その根拠とされるのは新約聖書外典の『聖トマス行伝』であり,これを信ずるシリア教会系のトマス・クリスチャン(シリアン・クリスチャン)がケーララ州に400 万の人口を数えている。聖トマス伝説はポルトガル時代にカトリック化され,また聖トマスが最後ヒンドゥー教徒の手で殉教した,とも伝えられる。これが,さきの地震・津波災害のおりには,反キリスト教キャンペーンのターゲットにもなっていた。2 千年のときを経て聖トマスはいまも政治的,宗教的な文脈のなかで生きているのである。

1 0 0 0 OA [師守記] 64巻

著者
中原師守 [著]
巻号頁・発行日
vol.巻52 貞治三年八・九月, 1339
出版者
巻号頁・発行日
vol.第133冊,
著者
坂本 大介 小野 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.109, pp.15-20, 2005-11-08
参考文献数
7

ロボット技術の発展に伴い,今後実際に社会に出て人と共に暮らすことのできるロボットが登場することが予想される.ロボットが実際に人とともに社会生活を行うためにはいまだ様々な問題が残されている.特に,ロボットが既存の人間関係や社会関係にどのような影響を与えるのかという問題に関する研究は多く行われていない.本稿では社会的なロボットが人間関係,社会関係にどのような影響を与えるかを扱う学問であるロボット社会心理学を提案し,この有効性を確かめるための実験を行った.これによりロボットが実際に人間関係に良い影響も悪い影響も与える可能性があることを確認した.つまり,ロボットは人間関係を壊すことが可能性であり,同時に人間と共に良い関係を築くことも可能であることを確認した.これについて報告する.With the developments in Robotics, Robots that live with us will appear on the daily life in near future. However, there are many problems on social robots. In particular, the effects of robots behaviors influence the human relations and societies have not clarified. In this paper, we conducted an experiment to verify the effect of robots behaviors influence the human relations using the 'Balance theory'. The result shows that a robot can affect a good or bad influence on the human relations. A Human's impression of another human, had undergone a change by a robot. In other words, robots can construct or collapse the human relations.
著者
岡部 裕美 冨田 久枝 七澤 朱音
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.191-198, 2017-12

[要約] 今の科目横断形になった「音楽表現」と「身体表現」の指導内容を2008年までさかのぼり,教師の指導内容や学生の学びを公演終了後の受講生の記述内容をもとに質的分析(Text Analytics)を行った。その結果,受講生達が試行錯誤や失敗,成功した実体験を元に多くを学び取り,保育者としての音楽的・身体的表現性を身に付けていく様子が明らかになった。また,過去4回にわたって実施した選修をまたぐ授業相互参観を通して,教員相互のコミュニケーションに質的,量的な変化が見られたことが見て取れた。量的な変化から言えば,明らかにコメント者からの記述量もリコメント者からの記述量も増加していた。さらに,回を重ねる中で参観者・授業者がそれぞれの視点からコメントが述べられるように質的にも変化していった。授業実践者もリコメントの内容に同じ目線と協働意識が芽生えている内容の記述が見られた。
著者
上﨑 哉
出版者
近畿大学法学会
雑誌
近畿大學法學 = Kinki daigaku hogaku : the law review of Kinki University (ISSN:09164537)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3/4, pp.57-99, 2006-03-01

[目次] 一.はじめに, 二.争点化過程, 三.政策内容の変容, 四.結びにかえて