著者
西村 丈治 ニシムラ ジョウジ Joji NISHIMURA
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.29-38, 1994-07

"商法第222条1項に規定するところの,利益による償還株式の消却によって,資本金は名実ともに滅少しないとするのが現行の通説である。しかしながら,このような見解は,償還株式の消却によって,償還されない株式を保有する株主(残留株主)の株主持分は,一方において利益持分が滅少し,他方において資本持分が増加する点からみて疑問を抱かざるを得ない。結局,利益による償還株式の消却は,一方における資本金の払戻しと,他方における残留株主による利益の資本組入れの形での追加出資を伴う措置であり,後者に対して新株を発行しないために形式的に株式の消却,つまり特定の発行済株式を消滅せしめる措置にすぎないのではなかろうかとする疑問を提起した。"

1 0 0 0 OA 少年伝記叢書

出版者
民友社
巻号頁・発行日
vol.號外 横井小楠文, 1897
著者
田中 幸夫 中山 幹康
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.144-156, 2010
被引用文献数
5

本稿では,中東に位置するティグリス・ユーフラテス川流域を事例に国際河川紛争の解決要因の検討を行う.同流域では主にトルコ・シリア・イラクによる水争いが20世紀後半以降顕在化し,流域国間での合意形成が幾度にもわたって試みられたが,いずれも不調に終わり,現在に至っている.このような膠着状態を脱却する要件として,本稿では「イシューのパッケージ化」に着目した.特定の争点の妥協を誘引するためにその他の争点を交渉に導入する(イシューをパッケージ化する)という手法は意識的または無意識的に様々な資源交渉もしくは国際交渉の場で行われている(本稿では米国とメキシコの間のコロラド川水質汚染問題におけるイシューのパッケージ化を例示した).ティグリス・ユーフラテス川の事例においても,流域国間でトレードオフが可能な争点としてエネルギー,国境貿易および経済開発,民族(クルド人)問題などが挙げられた.これらを水資源配分の問題と合わせて流域国間交渉に導入することにより,流域国の協調が達成可能となることが期待される.

1 0 0 0 OA 略要抄 3巻

著者
[洞院公賢] [編]
出版者
南頬書堂
巻号頁・発行日
vol.[1], 1642
著者
小林 道
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.501-506, 2018 (Released:2018-08-28)
参考文献数
15

本研究は大学生を対象として、学童期に栄養教諭による授業を受けた経験が現在の食習慣に与える影響について明らかにすることを目的とした。平成29年11月に北海道のA大学の食品科学または管理栄養士養成課程を専攻する1学科の2・3年生335人を研究対象者とした。最終的な解析対象者は288人(有効回答率:86.0%)であった。質問内容は、性・年齢、居住形態等の基本属性、睡眠時間、運動、喫煙、飲酒等の生活習慣、食習慣に関する項目は朝食の欠食状況および簡易型自記式食事歴法質問票(Brief type self-administered Diet History Questionnaire;BDHQ)による食品群別摂取量とした。栄養教諭 による授業を受けた経験有り群と無し群の2群に分類して食品群別摂取量との関連を検討した。多変量ロジスティック回帰分析の結果、栄養教諭による授業を受けた経験有り群では授業経験無し群と比較して野菜類および卵類の摂取量の高摂取群の割合が有意に高かった。学童期に栄養教諭による授業を受けた経験は青年期の食習慣を良好にする可能性がある。
著者
竜田 徹
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育
巻号頁・発行日
vol.83, pp.24-32, 2019

<p>本研究では、想起とはどのような行為なのか、またそれにはどのような意義があるのかについて、発達心理学者・岡本夏木の論考を手がかりに検討した。研究は次の手順で行った:(1)国語教育において想起に関する研究が求められる背景の検討。(2)岡本夏木の論考を取り上げる理由の検討。(3)想起に関する理論的検討。(4)まとめ―国語教育への示唆の検討―。検討の結果、想起は存在的意味と記号的意味の循環的な獲得を促進するエネルギーであることが明らかになった。学習者の自律的な言語学習能力の育成において、想起のプロセスを学びの対象にすることには大きな可能性があると考えられる。</p>
著者
中山 雄二朗 小寺 厚志 宮崎 直樹 上妻 精二 瀧 賢一郎 大島 秀男
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.223-231, 2012 (Released:2012-04-25)
参考文献数
13

われわれは,過去5年間にArtzの基準で重度熱傷と分類され,熊本医療センターで手術が施行された46症例を対象として,在院死亡の予測因子を検討した.各因子の予測の精度はReceiver Operating Characteristic曲線下面積(AUC)で検討した.在院死亡は12例で在院死亡率は約26%であった.AUCは熱傷指数で0.88,熱傷予後指数で0.85,総熱傷面積で0.84,受診時の白血球数で0.84と,それぞれ高値を示した.白血球数は一般的かつ簡単に測定される検査値であるが,算出が複雑な熱傷予後指数や総熱傷面積と同程度に,重度熱傷患者の在院死亡の予測に有用な因子である可能性が示唆された.
著者
Momoko Muto Osamu Ezaki
出版者
Japan Atherosclerosis Society
雑誌
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (ISSN:13403478)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.375-392, 2018-05-01 (Released:2018-05-01)
参考文献数
44
被引用文献数
17

Aim: The associations between dietary saturated fatty acids and the risks of stroke subtypes in cohort studies were examined by a meta-analysis of separate ethnic Japanese and non-Japanese cohorts, and causes of their difference were elucidated.Method: Log hazard ratio (HR) with 95% confidence interval (CI) of the highest versus the lowest saturated fat intake from cohort studies were weighed by an inverse variance method to combine HRs.Results: Five studies of intracerebral hemorrhage and 11 studies/comparisons of ischemic stroke were selected. A meta-analysis of intracerebral hemorrhage excluding subarachnoid hemorrhage showed a strong inverse association in Japanese (n=3, HR=0.55, 95% CI 0.32–0.94) but not in non-Japanese (n=2, HR=0.98, 95% CI 0.62–1.53). A meta-analysis of ischemic stroke showed a mild inverse association in Japanese (n=4, HR=0.82, 95% CI 0.71–0.93) but not in non-Japanese (n=7, HR= 0.93, 95% CI 0.84–1.03). The effect size of saturated fat in reducing the risk of stroke in Japanese was stronger for intracerebral hemorrhage (45% reduction) than for ischemic stroke (18% reduction).Conclusions: In Japanese but not in non-Japanese, a diet high in saturated fat is associated with a low risk of intracerebral hemorrhage and ischemic stroke. This may be due to differences in the range of intake of saturated fat, genetic susceptibility, incidence of lacunar infarction, and/or confounding factors such as dietary proteins. An intervention study targeting Japanese will be required to verify the causality.