著者
中田 政司 伊藤 隆之
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.169-174, 2003-12-30
参考文献数
14
被引用文献数
1

愛媛県上浮穴郡小田町地内において, 緑化が施された大規模ノリ面下部に最近, シマカンギクルDendranthemaindicum 個体群(染色体数2n = 36および2n = 36+1 B,黄色舌状花)が見出された. 緑化現場に出現し周囲に在来シマカンギクの自生地がないことや, 倒伏した茎から不定根を出す性質が中国中南部に広く分布するシマカンギク(細分する見解では変種ハイシマカンギクvar. procumbens)に一致し在来のシマカンギクにはみられない特徴であることから, このシマカンギクは外来のものと推定された. 頭花の変異が大きい別の個体群では, 白色舌状花で頭花の大きい個体の多くが2n = 45の五倍体であったことから, 外来シマカンギクと周囲に自生するノジギクD. occidentalijaponense(2n = 54,白色舌状花)との間で自然交雑が起こり,雑種個体群が形成されていることが推察された. また2n = 38などの高四倍体が観察されることから, 五倍体雑種とシマカンギクとの間で戻し交雑が起こっていることも推察された.さ らに別の個体群では, 白色舌状花を持つ2n = 63の七倍体雑種が1個体見られたが, この個体はシマカンギクの非減数(または倍加)配偶子(n = 36)とノジギクの正常配偶子(n = 27)から生じたものと解釈できる. これにはシマカンギクが花粉親の場合と, ノジギクが花粉親の場合の二通りが考えられ, 前者であるとすれば, 外来種から在来種への遺伝的干渉が起きたことになる. 今回の報告は外来キク属と在来キク属との自然交雑が初めて確認された例と考えられ, 在来ノジギクの遺伝的汚染が懸念される.
著者
Robert F. Speyer
出版者
Marcel Dekker
巻号頁・発行日
1994
著者
佐藤 睦智 佐々木 剛 山田 博之 下村 浩一 矢嶋 航 丸谷 良 山内 伸二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.293-298, 2012-04-01

司会は昨年に引き続き嵐のみなさんと連続テレビ小説「おひさま」のヒロイン役を務めた井上真央さん.出場者は55組で随所に5ヵ所の中継や企画コーナーが加わる内容である.放送時間は19時15分から4時間25分(途中ニュースで5分間中断)の生放送で,総合テレビとラジオ第一が同時放送された.舞台セットは,点と点が繋がりみんなが一つになっていくことをコンセプトとした三角形の骨組みと映像を映し出すLEDスクリーンが基本セットである.前回から始まったテレビ副音声での「裏トーク」は,NHKホールの2階席に実況席が設けられ,生のステージを見ながらテリー伊藤さんと,神田愛花アナウンサがゲストを交えながら自由に話すというコンセプトで放送された.その他,3Dやスーパーハイビジョンの制作も平行して行った.
著者
中嶋 蘭 三森 経世
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.71-76, 2013-04-28
参考文献数
17
被引用文献数
34

抗MDA5抗体は皮膚筋炎特異的抗体であり,同抗体陽性例は筋症状が少なく,高率に急速進行性間質性肺炎を併発し予後不良であること,高フェリチン血症・肝胆道系酵素上昇を伴うなど特徴的な臨床像を呈する.抗MDA5抗体陽性患者と陰性皮膚筋炎患者の治療前血清サイトカインを比較したところ前者では有意にIL-6, IL-18, M-CSF, IL-10が高値を示し,IL-12, IL-22は低値を示した.これらのことから,抗MDA5抗体陽性例においては単球・マクロファージの異常活性化が病態の背景に存在すると考えている.抗MDA5抗体陽性例は一旦酸素投与が必要な呼吸不全状態になると極めて救命率が低いため,診断後可及的速やかに治療介入が必要であると考えられる.ステロイド大量療法・シクロスポリン内服・シクロホスファミド間歇静注療法(IVCY)の3剤を併用した強力免疫抑制レジメンを用いることで,同抗体陽性例の予後が改善した.特に疾患活動性を反映することが報告されている血清フェリチン値は,IVCY投与約2週後に低下する傾向を認め,IVCYが同抗体陽性例の治療においてキードラッグとなることが示唆された.<br>
著者
川崎 了 廣吉 直樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

土や岩の代表的なセメント物質の1つである炭酸カルシウムを主成分とし, 自然の土の中に生息する微生物の代謝活動を利用した環境に優しく新しい遺構, 遺物, 石造文化財などの保存材料(強化材料, 接着剤, 補填材料など)を作製した。また, 作製した保存材料を使用した土の力学・水理学特性およびその使用前後における微生物の菌数と帰属分類群について調査し, 新たに作製した保存材料の有効性について評価を実施した。その結果, 保存材料として有効であるとの見通しが大略得られた。
著者
荒川 由美子
出版者
文学教育研究者集団
雑誌
文学と教育 (ISSN:02876205)
巻号頁・発行日
no.188, pp.51-60, 2000-08-01
著者
木村 仁 遠藤 真美 小関 道彦 伊能 教夫
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.74, no.740, pp.806-813, 2008-04-25
参考文献数
17

A phenomenon that passengers are getting sleepy is often found in running cars or trains. If a mechanism can reproduce this phenomenon, it is feasible to put insomnia patients or infants to sleep without any harmful effects. This will bring extreme benefit for insomnia patients or parents of babies. The purpose of this study is to elucidate the sleep-inducing factors of running cars or trains, and the final goal is to develop a machine which reproduces the environment to put people to sleep. For the first step of this study, we investigated the relationship between sleepiness and vibrations on several trains. The sleepability of each train is discussed by the ratio of sleeping passengers. According to the vibration analyses, the results suggest that comfortable vibration for sleep has mainly low-frequency (〜2 Hz) vibration with particular fluctuation. In addition, it is also guessed that low level jerks contribute the sleepability.
著者
松原 小夜子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.60, no.469, pp.65-76, 1995-03-30 (Released:2017-01-27)
参考文献数
34
被引用文献数
3 3

1)住宅階層をとらえる指標を延床面積に置いて,延床面積と主要イ>テリア要素との関連性をみると,延床面積ともっとも関連が深いイ>テリア要素はイス・ソファーの張地と様式である。2)イス・ソファーの張地と様式を基準にすると,洋風居間のイ>テリア要素全般に差異が認められることから,洋風居間のイ>テリアは,(1)革張,(2)布張クラシック,(3)布張モダ>他,(4)イス・ソファーなしの4つに類型化できる。<革>はフォーマルイメージ,<布クラシック>はエレガントイメージといえ,両者ともに高級感が読み取れる。<布モダン他>はノーマルイメージ,<イス・ソファーなし>はカジュアルイメージといえ,これらは<革>や<布クラシック>に比べると高級感は薄れる。したがって洋風居間のインテリアは,イス・ソファーの張地と様式を基準にするとグレード別およびイメージ別に類型化が可能である。3)インテリア類型と居住者属性との間には対応関係が存在しており,<革><布クラシック>の2類型と<布モダン他>とでは居住者属性においても階層差が存在する。<革><布クラシック>の2類型と<イス・ソファーなし>とは階層差ではなく子供の年齢差である。インテリアイメージでは,<革>はフォーマルイメージ,<布クラシック>はエレガントイメージといえるが,居住者属性においても<布クラシック>は経済力に加えて夫婦ともに多趣味であるなど文化的属性との関連がうかがえる。4)インテリアヘの満足度や変更希望では,<布クラシック>はもっとも満足度が高く次いで<革>が相対的に満足度が高い。<布モダン他>と<イス・ソファーなし>は現在のインテリア要素を取り替えたいといった希望が多い。<イス・ソファーなし>は,いずれはソファーを置きたいという希望がみられる。5)インテリア要素の選択において居住者は雑誌,ショールーム,住宅展示場,広告やカタログといったインテリア情報を参考にしている。インテリア情報のデータを分析すると,インテリア調査の結果と同様に洋風居間のインテリアは4つに類型化できる。インテリア類型と延床面積との関係をみると,延床面積の増加とともに<革>と<布クラシック>が増加する傾向がある。<革>や<布クラシック>のインテリアには,インテリア情報を通じて高級イメージが付与され,<布モダン他>との差異化か生み出されていると推察される。6)以上より,<革>や<布クラシック>のインテリア類型と<布モダン他>のインテリア類型との間には階層的な差異が存在し,この背景にはインテリア情報の影響があることが明らかとなった。この結果から,<革>と<布クラシック>のインテリア類型は,<布モダン他>のインテリア類型との差異によって居住者の社会的属性や文化的属性の高さを表示する役割を果たしていることが推察されるが,この点についてさらに次報以降で考察を深める予定である。<革>や<布クラシック>のインテリア類型の存在は,1980年代後半のバブル経済と無縁でないように思われる。そこで次報では,<革>や<布クラシック>のインテリア類型に差異性が付与されるプロセスを,戦後消費社会の状況とからめながら考察したい。
著者
Naoki MURASE Gen HORIUCHI Katsuhiro SUMI Kenji HORIYAMA Sinji SAKURAI
出版者
Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences
雑誌
International Journal of Sport and Health Science (ISSN:13481509)
巻号頁・発行日
pp.201611, (Released:2017-05-12)
参考文献数
14

The objectives of the present study were: to examine the relationship between kendo competition levels and men strike times in 20 university kendo club members; and to determine factors for shortening men strike times. LED lamps were attached to the men and the kote (the strike targets), and subjects struck in the direction of the lit LED lamp with maximal effort from a distance of 2.30 m. Phase times, movements, and ground reaction force on both feet were analyzed. The results were as follows. 1. Subjects of higher competition levels tended to demonstrate shorter men strike times. Reaction times, movement times, and shinai upswing phase time also tended to be shorter. 2. Factor for shortening men strike times in the upswing phase consisted of the following: lifting the right foot from the ground quickly, simultaneously pushing off the ground with great force with the left foot, quickly lifting the right thigh forward while moving the body forward, and to increase the range of upswing motion of the shinai with high velocity. In the downswing phase, the shinai should be swung at a higher velocity, and the left shoulder should be flexed more when striking.