著者
盛 誠吾
出版者
一橋大学
雑誌
一橋法学 (ISSN:13470388)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.356-388, 2002-06-30

論文タイプ||論説
著者
飯塚 高浩
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.920-922, 2008 (Released:2009-01-15)
参考文献数
10
被引用文献数
4 3

Anti-N-methyl-D-aspartate receptor (NMDAR) encephalitis is a new category of treatment-responsive encephalitis associated with "anti-NMDAR antibodies," which bind to extracellular conformal epitope in the NR1/NR2 heteromers of the NMDAR. The antibodies are usually detected in CSF/serum of young women with ovarian teratoma, who typically developed schizophrenia-like psychiatric symptoms, usually preceded by viral infection-like illness. Most cases developed seizures, followed by unresponsive/catatonic state, decreased level of consciousness, central hypoventilation, orofacial-limb dyskinesias, and autonomic symptoms. Brain MRI is often unremarkable. CSF reveals nonspecific changes. EEG shows diffuse delta slowing. The pathogenesis remains unknown, however this disorder is considered as an antibodies-mediated encephalitis. The prodromal"viral-like"disorder by itself or in combination with a teratoma sets off the autoimmune response. The antibodies bind to the common autoantigens expressed on the cell membrane of the neurons in the forebrain/hippocampus. Based on the current NMDAR hypofunction hypothesis of schizophrenia, we speculate that the antibodies may cause inhibition of NMDAR, rather than stimulation, in presynaptic GABAergic interneurons, causing a reduction of release of GABA. This results in disinhibition of postsynaptic glutamatergic transmission, excessive release of glutamate in the prefrontal/subcortical structures, and glutamate and dopamine dysregulation that might contribute to development of schizophrenia-like psychosis and bizarre dyskinesias.
著者
八木 柊一朗
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2015年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.100065, 2015 (Released:2015-12-01)

近年,地球温暖化の進行に伴う局地的集中豪雨の多発や台風の強大化など,異常気象災害が地球規模で深刻化することが危惧されている.我が国でも集中豪雨による土砂災害,交通網のトラブル,浸水被害など多くの深刻な被害を受けており,極端な降水現象に対する防災対策の必要性が高まっている.また,現在では降水現象を人為的に操作する手法としてクラウド・シーディング(以降,シーディングと呼ぶ)を利用した人工降雨の研究が世界各地で行われている.シーディングとは雨粒の「種(シード)」になるものを雨雲の中に散布することで雲粒を雨粒に成長させ,人工的に雨を降らせる技術である.シーディングの研究の目的の多くは渇水や旱魃対策,水資源の確保等のために降雨を促進させるものであるが,既往研究では,積雲発達期のシーディングによる豪雨抑制効果が確認されており,シーディングの降水抑制手法としての可能性が示唆されている.そこで本研究では,積雲発生初期におけるシーディングに着目してその豪雨抑制効果について検討した.また,シーディングによる豪雨促進リスクの大小を定性的・定量的に評価するため,複数の豪雨事例についてメソ気象数値モデル(WRF)を用いて数値実験的なシミュレーションを行った.その結果,シーディングにより広範囲に強雨域が抑制されることや,時間降雨強度が抑制されることを確認することができた.さらに,全事例合計するとシーディングを行ったケース数は240ケースあり,その中で閾値を設けたとき,積算最大降水量が抑制されたケースは83ケース,促進されたケースは29ケース,1時間最大降水量が抑制されたケースは81ケース,促進されたケースは27ケースであり,積算最大降水量が抑制される可能性は約35%,促進される可能性は約12%,1時間最大降水量が抑制される可能性は約34%,促進される可能性は約11%となった.また,シーディングを行う雨雲の高度と霰の混合比に大きな差が見られ,豪雨を促進する要因の1つである可能性が示唆された.
著者
越川 義功 高山 晴夫 竹内 康秀 真崎 達也 大城戸 博文 藤井 暁彦 林 健二 渡邉 洋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.II_73-II_81, 2015 (Released:2016-06-01)
参考文献数
30

ダム建設工事では,工事区域での樹木伐採や剥土に伴い,昆虫類の生息場が短期間で広範囲に減少する.施工者による自然環境保全の取り組みのひとつとして,伐採材を活用した木柵(エコスタック)設置により,昆虫類の代替生息場の確保を実施した.設置からわずか1カ月後の調査において,木材に依存するカミキリムシ類、オサムシ類等をはじめとした56種の昆虫類がエコスタックで確認された.その後も季節による変動はあるものの,多くの昆虫類がエコスタックを利用しており,伐採材を利用したエコスタック設置は昆虫類の代替生息場の提供として有効に機能することが確認できた.
著者
吉田 克志 武田 善行
出版者
農業技術研究機構野菜茶業研究所
雑誌
野菜茶業研究所研究報告 (ISSN:13466984)
巻号頁・発行日
no.3, pp.137-146, 2004-03

チャの重要病害である炭疽病の抵抗性検定法を確立するため,付傷接種による抵抗性検定法を検討した。ジャガイモ蔗糖液体培地にメチルセルロース400cPを最終濃度3%(w/v)になるように混合し,これに炭疽病菌分生子を加え,最終濃度が1×10 7個/mlになるように調整した分生子懸濁液を検定に供試した。チャ炭疽病菌分生子懸濁液を付着させた,3mm幅のマイナスドライバーを用いて,充分に硬化したチャ成葉を十字型に付傷すると同時に接種を行った。その後,湿室・暗黒下で26℃,18時間静置した後,オアシス(R)育苗成型培地に接種葉を挿し,湿室条件下で2週間培養すると,その品種の炭疽病拡大抵抗性の強さを反映した,炭疽病の病斑形成が認められた。炭疽病抵抗性の強さを病斑の大きさにより,極強(3mm未満),強(3-5mm未満),中(5-8mm未満)および弱(8mm以上)の4段階に類別した。また,成葉の供試時期の違いにかかわらず再現性の高い結果が得られた。本検定法はチャの拡大抵抗性を調査するもので,圃場抵抗性を直接反映するものではないが,圃場における炭疽病自然発生の程度と本検定法の結果は類似性が高いこと,幼木から採取した成葉も検定法に供試できることから,本検定法はチャ育種における炭疽病抵抗性系統の早期選抜に利用可能であると考えられる。
著者
横山 浩 井上 貴仁 伊藤 順司
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.281-286, 1994-04-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
20
被引用文献数
2

走査型トンネル顕微鏡の誕生というコロンブスの卵は,原子間力顕微鏡をはじめとするSPM(走査型プローブ顕微鏡)と呼ばれる顕微鏡技術の一族に成長・進化し,現在では,表面の形状に留まらず様々な物性・機能をも局所的に観測し画像化する表面解析技術として,著しい発展を見せている.筆者らは,表面電位,誘電率などの電気物性をナノメートルオーダーの分解能で計測するSPMとして,走査型マクスウェル応力顕微鏡(SMM)の開発をすすめている.SMMは,原子間力顕微鏡と同様に,探針に働く力を検出するタイプのSPMであり,外部交流電圧により誘起される強制振動電気力の測定のみから,表面の様々な電気的情報を同時に引き出せることを特徴とする.ここでは,金属薄膜の接触電位差や有機分子薄膜の相分離構造の微視的観察の例を交えて,その概要を紹介する.
著者
横山 浩 井上 貴仁 伊藤 順司
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.709-712, 1994-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
16

走査型マクスウェル応力顕微鏡 (SMM) は,探針と試料との閾の電気的なマクスウエル応力を検出する非接触型SFM (Scanning Force Microscope) の一つである.探針に,複数の周波数成分からなる交流電圧を印加することにより,試料の表面形状,表面電位・電荷,誘電率とその高周波分散などの複数の電気物性情報を,対応する異なる周波数における探針の振動から検出することができる, SMMの分解能は,クーロンカの長距離性に強く影響されて現状では数十nm程度にとどまっているが,電気力そのものに代わって,電気力こう配を検出することで,原理的な分解能向上が見込まれる.ここでは,そのための新しい手法である機械電気混変調法を紹介する.
著者
渡辺 乾二 佐藤 泰
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.393-400, 1971-08-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
19

ラードを空気の通気のもとに170-175°Cで,0-0.5,0.5-1.0,1.0-2.0,2.0-4.0,4.0-8.0と8.0-14.0時間断続的に加熱した.各加熱区間で得た揮発性生成物を中性化合物,酸性化合物およびラクトンとに分画した.これらの化合物の同定にはGCおよびある場合にはGCMSを用いた.加熱したラードの酸化変質の測定は化学および物理的方法によった.各加熱区間で得た主要な成分は,中性化合物としてペンタナール,ヘキサナール,ヘプタナール,ペンタノール,オクタナール,2-ヘプテナール,ノナナール,2-デセナールと2-ウンデセナールであり,酸性化合物としてはC6, C8とC9の脂肪酸であった.それらの生成割合は加熱区間ごとに異なっていた.検出したラクトンはγ-ラクトン(C6, C7, C8とC9)とδ-ラクトン(C10とC12)であり,γ-ラクトンが酸化変質の進んだ加熱区間の後半において特に顕著に生成されることが認められた.
著者
大河内 勇 大川畑 修 倉品 伸子
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.125-129, 2001

道路側溝への両生類の転落死は両生類減少の一因として問題とされている。それを防止するために, 簡易な後付けスロープ型脱出装置をつけた場合の効果, 脱出装置の改良方法を調べた。スロープ型脱出装置をつけた場合, アズマヒキガエルでは側溝からの脱出数が多くなるという効果がみられたが, ニホンアカガエルでは装置がなくともジャンプによる脱出が可能なため効果はわからなかった。脱出装置は, 一部の種とはいえ効果があるので, 道路側溝につけるべきである。移動力の弱いアズマヒキガエルの幼体を用いた脱出装置の改良実験では壁面の角度が30度以下になると, 壁面が乾燥条件でも全個体脱出できた。これらから, 100%脱出可能な側溝は, 角度が30度より浅いV字溝になることを示した。
著者
片山 紀子
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
no.126, pp.13-24, 2015-03

わが国では,学校における体罰は「学校教育法」11条により禁止されている。しかし,実際には,長い間,体罰への衝動に駆られ,懲戒処分に課される教員はこれまで後を絶たなかった。この一因には,体罰をめぐるオープンな議論が繰り広げられることを欠いてきたことが挙げられる。わが国の「学校教育法」第11条のルーツは,アメリカ合衆国にあるが,かつて体罰許容国であったアメリカでは,規律に向けた哲学に変容が見られ,教室経営や学校経営など,以前とは異なる施策をとるように変わってきた。