著者
太田 純子 川津 智是 調 裕次 矢敷 敦 松岡 縁 小川 一恵 板東 弘子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.273-276, 1993

心因的背景が原因となった剥脱性口唇炎の2例を報告する。症例1の17歳男性は思春期における自我同一性形成途上での不安, 葛藤, 挫折感が自傷行為になったと考えられ, 症例2の17歳女性は醜形恐怖症が原因となったと考えられる。いずれも皮膚科的治療では寛解に至らず, カウンセリングや向精神薬によって精神状態が改善してはじめて口唇炎も改善した。
著者
西 園子 曽根 正好 二瓶 宏 清水 倉一
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.177-184, 1996 (Released:2010-07-05)
参考文献数
23

Proximal and distal sodium reabsorption values were calculated from lithium clearance in 63 patients with renal diseases, 13 cirrhotic patients with ascites and 12 control subjects. In the patients with renal diseases, fractional excretion of lithium (FELT) and fractional proximal reabsorption of sodium (FPRNa) were not changed in patients whose glomerular filtration rate (GFR), was over 30 ml/min, but FELi was increased and FPRNa was decreased when the GFR was lower than 30ml/min. Moreover, fractional distal reabsorption of sodium (FDRNa) was decreased in patients whose GFR was under 40ml/min. These results indicate that proximal tubular function is well adapted to the degree of renal function even if the etiologies of renal diseases are different. Five patients with nephrotic syndrome (minimal change type) were subjected to lithium clearance method before and after steroid treatment. FPRNa in nephrotic patients was reduced after the treatment, though there was no significant difference in FDRNa. In cirrhotic patients, FELT, FPRNa and FDRNa did not differ from the values in the control subjects, which were not influenced by the decreace in GFR. Thus, the reduction of FPRNa with GFR which was observed in renal disease, was absent in liver cirrhosis. In conclusion, these data indicate that renal adjustment of sodium excretion in chronic renal disease at first takes place in the distal parts of the nephron and later in the proximal tubule, and in addition, that in appopriate reabsorption of sodium from the proximal tubule probably plays a role in ascites formation in cirrhotic patients.
著者
門脇 大
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2017年度は、「近世怪異文芸を学問・思想・宗教との関係から捉え直し、通史的な読解を行うことにより、従来とは異なる視座から文学史・文化史の再編を行う」という本研究の主目的に沿って、2本の論文を公表した。以下に、公表した2点の研究実績を記す。1)「心学「鬼の相」をめぐって」(鈴木健一ほか編『江戸の学問と文藝世界』、森話社、2018年、pp.273―296)を執筆した。18世紀中頃に興った石門心学の中に表象される「鬼の相」に関する考察を通して、18・19世紀における心学伝播の一端と化物の教訓的な役割を明らかにした。心学資料の中に散見される「鬼の相」に関して、「鬼の相」と題された絵像と、関連する道歌を具体的に検証した。そして、心学の「鬼の相」と、その元となったと考えられる大津絵の「鬼の念仏」との関係を考察した。両者の比較を通して、18・19世紀の大衆的な教養の広がりを具体的に明らかにした。2)「怪火の究明」(堤邦彦・鈴木堅弘編『俗化する宗教表象と明治時代』、三弥井書店、2018年、pp.131―156)を執筆した。「怪火・火の化物」に関する言説を検証して、18・19世紀における怪異認識の変遷の一端を明らかにした。まず、18世紀中期における「怪火・火の化物」の一般的な認識を当時の百科事典をはじめとした諸資料によって整理した。そして、18世紀以降に出版された怪異現象を理知的に説く弁惑物に認められる関連記事を検証した。さらに、明治期以降の教訓書に散見される「怪火・火の化物」に関する記事を具体的に読み解いた。これらの検証によって、前近代から近代へという時代の変節期における怪異認識の変遷の一端を具体的に明らかにした。上記の1)、2)に加えて、刊行には至らなかったものの、18・19世紀を中心とした近世怪談と、その周辺分野(心学、在地伝承など)に関する基礎研究を行った。
著者
N. Watanabe S. Matsusawa Y. Miyato H. Itozaki
出版者
(公社)日本磁気学会
雑誌
Journal of the Magnetics Society of Japan (ISSN:18822924)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3-2, pp.235-238, 2013-05-01 (Released:2013-05-23)
参考文献数
7
被引用文献数
2 6

We measured the high-resolution magnetic images using an STM-SQUID microscope that combines a high-Tc superconducting quantum interference device (SQUID) with a scanning tunneling microscope (STM). In the STM-SQUID microscope, the STM probe plays the important role of a flux guide and is responsible for tunneling current detection. Therefore, it is essential to investigate the probe itself in order to improve the magnetic image resolution. We optimized the electrochemical polishing condition to realize the fine probe with a tip radius of 50 nm or less. We fabricated the various shaped probes by controlling the voltage during sharpening. The tip radius of 50 nm or less was achieved when the probe tip was sharpened at the applied voltage of 30 V. We then measured the magnetic images of typical magnetic materials, such as a steel sample and nickel thin films, using the probe with a tip radius of 50 nm or less. The magnetic domain structures were observed clearly.
著者
則 のぞみ
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

本年度特別研究員は、ICU入室患者が有する複数の疾病の組合せを反映する患者に個別化されたリスク予測手法を開発した。特別研究員はこれまでの研究で、疾病をタスクの単位とするマルチタスク学習手法により、疾病に個別化された予測モデルを構築した。しかし、患者は通常複数の疾病を有するため、これら複数の疾病の組合せを考慮することで、患者の個別性をより捉えたモデル構築が可能になると期待される。一方、患者の有する疾病の組合せは多くの場合、当該患者に固有の組合せとなるため、疾病の組合せごとにタスクを明示的に構築するようなナイーブな手法は有効ではない。特別研究員は患者の個別性を捉えたモデリングのため、患者が有する複数の疾病群から患者の潜在的なタスクを学習するマルチタスク学習手法を開発した。また、実データを用いた実験により、提案手法の有用性を予測精度や予測モデルに基づく知見抽出等の観点から評価した。提案手法により、患者に個別化されたリスク予測および学習モデルの分析等を通じた患者の個別性に対する知見抽出が期待された。更に、その他のこれまでの研究テーマについても、より網羅的な評価実験等を行い研究を進めた。
著者
黒野 耐
出版者
講談社
雑誌
(ISSN:03850366)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.9-11, 2006-09
著者
Komizunai Shunsuke Nishizaki Keisuke Wada Kyohei Kijima Takuya Konno Atsushi
出版者
富士技術出版株式会社
雑誌
Journal of Robotics and Mechatronics (ISSN:09153942)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.790-798, 2016
被引用文献数
1

<p>This paper describes a wearable encounter-type haptic device suitable for combined usage with a visual display. The features of the device lie in a driving mechanism that enables an encounter-type haptic display and the compact implementation of the entire device including the driving mechanism. The driving mechanism displays a natural haptic sense based on a smooth transition between follow-up and constraint of finger movements. The compactness is important because it contributes to preserving the quality of visual information when used together with a visual display. To test the basic performance of the device, the response of the driving mechanism was evaluated. The haptic display function was evaluated by a simulation in which the device is used to touch an object in a computer graphics (CG) space.</p>

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1939年12月22日, 1939-12-22
著者
豊田 恭子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.54-59, 2015-02-01

筆者が20年前に外資系金融機関で運営していたビジネスリサーチセンターでの仕事と,現在,広報エージェンシーで行っている仕事とを比較しながら,企業における情報専門職の役割が,情報収集から情報選択に移行していることを確認する。加えて,現在,アメリカで注目されているエンベディッド・ライブラリアンに光をあて,彼らが生まれてきた背景と,彼らを受け入れる利用者側の変化について考察する。最後に,これからの情報専門職の役割として,フィルターバブルに風穴をあけることを提言する。
著者
青柳 英治
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.152-165, 2015-09-01

本稿の目的は,第一に,企業内専門図書館職員を検討の対象として,そのプロフェッション性を組織内プロフェッションに求めることによって検討することである。第二に,その結果をもとに,他の機関種をも含めた専門図書館職員のプロフェッション性を高めるための方策を検討することである。その結果,組織内プロフェッションの定義と条件のうち,一つの定義と三つの条件を満たし得ないことがわかった。これらの課題を満たすための方策を,米国におけるエンベディッド・ライブラリアンのモデルと認定資格制度の設立という二つの観点から考察した。
著者
武藤 武志
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第57回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P29, 2010 (Released:2010-06-15)

クロスメディアやメディアミックスの中心にはWEBサイトが置かれることが多いが、その中でもWEBサイトや動画共有サイト等の普及により、動画がプロモーションやリッチコンテンツとして使用されるケースが増加している。そこでの動画の尺は、テレビCMより長く、映画より短い時間で構成されている。この尺での映像表現を魅力的にするためにはその尺に合った「盛り上がり」を考えなくてはならない。映画ほど時間をさいての盛り上がりの設定は困難であり、テレビCMのような短時間でのインパクトを追求した表現では、WEBに誘導する効果は薄いと言える。 この盛り上がりを考える上で、情報量との関係に注目した。映像表現には多くの種類の情報が混在している。文字情報、写真やイラスト等のグラフィック、オブジェクトの動きから、音楽・効果音などである。情報量を調節することが、映像のリズムを演出し、視聴者の集中力を維持し、しいては魅力的なものとなると推測される。 本研究では映像表現における盛り上がりについての要因の抽出分析を行い、仮想映像モデル作成、印象評価等を行い、各要因の関係性について考察する。
著者
本澤 真弓 亀谷 小枝
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.43-52, 2001-06-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
21

全国ネットの4種のテレビ局について, 1999年6月初旬の1週間の放映内容を基に, 食に関するCMを抽出して, チャンネル別, 曜日別, 時間帯別, 食品・飲料別に集計し, CM中の訴求商品の種類, CM露出回数および訴求内容の特性を解析した.(1) いずれのchにおいても食品および飲料のテレビCMの全テレビCMに占める割合は, 1週間では土日よりも平日の方が高く, また1日では18時以降の夜帯よりも朝6時~および正午~の朝帯と昼帯の方が常に高かった. このことは, 食CMの訴求対象と密接に関連するだけでなく, CM料金および視聴率との関わりから, 食品CMが多数回のCMの反復露出により認知率の向上をはかる傾向にあることが伺えた.(2) 食品CMを8種の食品群にグループ化した場合, 「菓子類」および「調味料類」のCMの種類が他の食品グループのCMよりも圧倒的に多く, またCM露出回数も顕著に高かった. 飲料CMを4種の飲料グループに分類した場合, 「清涼飲料類」および「コーヒー・紅茶飲料類」のCMの種類ならびにCM露出回数が最も高く, 次いで「茶系飲料類」の順であった.(3) 食品CM, 飲料CMともに, 種類およびCM露出回数の多い商品CMは, 特定のchでの集中した反復露出を行う傾向が認められた.(4) 食に関するCM中の訴求特性を8つのカテゴリーに分類した結果, 食品CMでは, 日常の基本食材となるような「肉・魚介.卵・豆類」, 「穀類.主食類」, 「調味料類」CMでは「食味」に次いで「品質・安全性」を訴求するものが多く, 「菓子類」, 「栄養補助食品類」のCMとは異なる訴求特性を示した. また, 商品の種類ならびにCM露出回数の多い「菓子類」, 「調味料類」CMは, 新発売などの「新規性」を訴求するCMの割合が他の食品グループの場合に比べて若干高く, 商品認知のための知名広告として, テレビの媒体機能を有効活用していることが推測された.飲料CMの訴求特性については, 「清涼飲料類」および「茶系飲料類一CMでは, 「素材・成分」を訴求するものが「食味」訴求の割合より高く, 特定成分や素材の除去.軽減や, 添加・増量による飲料のデザインの傾向の強いことが伺われた.
著者
奥田 邦晴 樋口 由美 増田 基嘉 林 義孝 南野 博紀 山西 新 川邊 貴子 灰方 淑恵 喜多 あゆみ 田中 美紀 高橋 明 小西 努
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0786-E0786, 2005

<B>【目的】</B><BR> 近年、競技やレクリエーションとして積極的にスポーツ活動に参加する重度の障害者が増加してきている。理学療法の目標の一つに障害者の生活支援がある。この生活支援に焦点を当て、重度の障害者の生活遂行過程においてスポーツが果たす機能ならびに理学療法学との接点を明らかにすべくインタビューによる調査を行った。<BR><B>【対象と方法】</B><BR> 本調査の主旨に同意を得ることができたスポーツを行っている重度障害者76名(A群)およびスポーツを行っていない重度障害者24名(B群)の計100名とした。スポーツ群の障害内訳はC5・6頸髄損傷39名、脳性麻痺(CP)30名、筋ジス他7名、スポーツ選手群はC5・6頸髄損傷11名、CP12名、他1名であった。上記対象者に面接による聞き取り調査を実施した。面接時間は平均約1時間、ボイスレコーダーでの録音および口述筆記を行った。<BR><B>【結果】</B><BR> 医療機関の受診状況はA群76%、B群95.8%であった。特にリハ科の受診率はA群の11.8%に比べB群では39.1%と高率であり、内容も理学療法目的がほとんどで日常的なリハ医療への依存性が高い傾向が見られた。スポーツを始めたきっかけは友人・知人の紹介が多く(43.4%)、医療従事者からの情報提供は極めて少なかった(3.9%)。リハセンター等のスポーツ施設を併設する医療機関に入院できるかどうか或いは障害者のスポーツに精通している指導者に出会えるかどうかが後のスポーツ活動に大きな影響を与えていた。スポーツを行う目的について71.1%が競技であり、レクリエーション、リハは各々11.8%であった。楽しみである、生き甲斐であると答えた者が約半数あった。スポーツ開始時期について、CP者では養護学校での体育の授業が45.2%、残りの41.9%の人は早い人で19歳、遅い人では54歳(平均29.8歳)であった。有職率はA群46.1%、B群16.7%であった。A群は給与、年金等すべての収入を合わせた年収について回答を得た70名は54.3%が200万円未満であったが、14.3%は年収400万円以上を得ていた。B群の20名は約8割が年収200万円に満たない状態であり、低所得層であることが伺えた。<BR><B>【考察】</B><BR> スポーツをするかしないかは本人の選択であるが、せめてスポーツに関する情報提供は早期から行われるべきであり、理学療法士は社会参加の一手段としてのスポーツの機能について認識を深めることが重要である。スポーツ場面において、選手同士は新たな自己を再発見・再認識することができるだけでなく、自己および他者の存在や役割を客観的に理解し合うことができ得る。また、スポーツはセルフヘルプグループに類似する機能、エンパワーメント機能等、重度障害者が充実した自立生活を送ることや自己実現を可能にする一手段として、また社会に踏み出す一歩としての重要な役割を有していることが明らかになった。